ここから先はストック無いですし、いつ投稿するかも決めてないです。あくまで息抜きとして書いただけですし。
「お待たせ致しました!」
「カズマはん。3番テーブルに二名、5番テーブルに1名入るで~」
「分かった!」
時刻は朝、モーニングを食べに客足が少しばかり殖える時間帯である。それは『喫茶店あすら』も例外ではなく、席には少なくない人が座っている。
カズマがこの日本に来てから数日後。元々店長が身体を痛めているため休みにする予定であったため、その休みを利用してカズマに様々な事を教えた。
初日に教えた光の一族と闇の一族についての深い内容、接客の方法や料理の下拵えなど。街の案内もしたいと店長は考えていたが、マスターが身体を痛みによって断念した。
「カズマはん」
「会計は此方でやっとく。リコは料理人専念しといてくれ」
「了解や~」
喫茶店で働き初めてまだ初日ではあるが、カズマは既に慣れてきていた。異世界ではお祭りの際に露店を出したり、壁の修復作業をしたりと、意外にもモンスター討伐以外にも働いた経験のあるカズマ。
転生する前はヒキニートであったと思えないほど有能な働きぶりに、店はどんどんと回っていく。そうして客足が落ち着いてきた頃、店長に声をかけられた。
「カズマ君、そろそろ良い時間だ。少し早いだろうけど、お昼前に賄いを食べておきなさい」
「もうそんな時間か」
時計を見ると短針は11時少し過ぎを指していた。ピークにはまだ時間があるが、早めに食べておかなければお昼がもたないだろう。
カズマは店の奥へと戻り、置かれていた賄いを食べ始めた。そしてカズマの目の前に座っているマスターが声をかけてきた。
「カズマ君、初めての仕事どうだったかな?」
「いやぁ。接客業って色々やること多い上にクレーム言われる嫌な仕事だと思ってたけど、結構出来るもんなんだな」
「それは良かった。今は8月だから夏休みシーズンで人が多いけれど、その分給料は弾むから、しばらくの間頑張ってくれたまえ」
「そういえばマスター、手かがりは見つかりそうか?」
衣食住が補償された状態で働いてはいるが、あくまで異世界に戻るまでである。ここ数日はこの世界についての知識や、喫茶店で働くための作業を覚えるため、異世界に戻るための手かがり探しを動けてはいなかった。
マスターが微力ながら動いてはくれていたようだが、カズマ自身そう簡単に見つかるとは思ってはいない。ウィズの魔道具店に置いてある魔道具はどれもこれも酷いデメリット持ちではあるが、非常に強力な力がある。そんな魔道具と同じような力を発揮出来るものがそこらへんに転がっているとは到底思っていない。
「何の手かがりも見つかってないね。もしかしたら近くに杖が落ちてるかもと想って、念のため杖の特徴をポスターに書いて張ってるけど、正直厳しいだろうね」
「あとはこの街を守っている魔法少女、千代田桜殿に頼るぐらいだけど……」
あの説明書通りなら杖はこの街、いやこの世界に無いのだろう。ならば別の角度から異世界に戻る方法を探る必要がある。マスター自身はそういうのに心当たりは無いが、知っているかもしれない人物なら心当たりはある。
しかしマスターは言い淀む。この街は光の一族と闇の一族の中立地帯となっているため、光の一族である魔法少女に会った瞬間に攻撃されることは基本的に無い。そのためマスターが言い淀んでいるのは敵対しているのが理由ではない。
「ん、どうしたマスター。もしかしてその魔法少女って凄い気難しいのか?」
「あぁいや、別に気難しい人物じゃないんだ。どちらかと言うと一直線に進む系の人物なんだけど……ここ10年ぐらい姿を見てないし、連絡も取れてないんだ」
死んでも死ななそうな人物ではあるが、連絡が取れないどころか姿すら見えないとなると、この街を去って何処かへ引っ越したか、この世に居ないかの二択だろう。
此方から魔法少女を探すことも可能ではあるが、この街が例外なだけで、基本的に魔法少女と魔族は敵対関係にある。
魔法少女に会わないよう魔族の家には結界が張られており、運命レベルで出会うのを避けたり、無理に近付こうとする魔法少女の体調を悪くする効果が備わっている。
魔族側から会うことは可能ではあるが、会う魔法少女が友好的とは限らない。むしろ好戦的な相手が多いだろう。千代田桜を探すあまり色んな魔法少女に会って退治されるような目に会っては異世界どころの話ではないだろう。
「じゃあ地道に探していくしか無いのか」
「力になれず申し訳ない」
「別に良いって。衣食住を提供してくれるだけで充分力になってくれてるから」
カズマにとってこれは紛れも無い本音である。カズマは異世界で金欠のため馬小屋で寝泊まりして、寒い冬の日は鼻水が凍るほどの寒さに襲われたことがある。
冬を越すために家を手に入れた後も色々な事情で借金を背負い、食うものに困った時がある。今は金が殆ど無いが、あの時に比べたら充分マシと言えるだろう。
「マスターマスター、表の紙を見て来てくれた子居るで」
「なに。それは本当かリコ君!」
ガタッと椅子が倒れそうになるほど勢い良く立ち上がり、バク転を失敗して痛めた身体に電流が走る。只でさえ痛めていてる身体に更なる激痛が走るが、少しして落ち着くと壁に手を置きながら店の方へと歩き始めた。
「ぼ、僕が出るからリコ君も付いてきてくれ。カズマ君はゆっくりしてくれて大丈夫だ」
リコの言う表の紙とは、バイト募集中と書かれた紙である。元々喫茶店あすらは店長とリコの二人で回していたが、マスターは身体を痛めて接客が出来ず、リコは敬語が使えない。仮に使えても一人で店を回すのは厳しいだろう。
カズマと言う嬉しい誤算が即戦力として入ったが、まだ初日のペーペーである。もう一人ぐらい居た方がシフトを組んだり、役割分担をスムーズに行ったり出来るだろう。
「確かマスターの話だと、魔法少女の他にも魔族もこの街に住んでるんだったな」
魔法少女に話を聞くにも、肝心の魔法少女の居所を知らないのなら話にならない。そもそも居るかも分からない人物を探すのは手間がかかるだろう。あくまで魔法少女自体は異世界に戻るための手がかりを持ってる可能性の人物に過ぎないのだから。
ならば魔族はどうだろうか。マスターやリコは魔族特有の能力を持っており、探せば世界を移動出来る能力を持つ魔族が何処かに居るかもしれない。魔族ならマスターやリコの知り合いから探せるだろうから、まだ見つけられる可能性がある。
「まずは異世界に戻るための方法を知ってる可能性のある人物を探す所からか」
世界を渡る方法を探す、その方法を持ってる人物を探す、そしてその人物の情報を集める。そして今はこの世界で活動するための資金集めからである。遠い道のりである。
そう考えながら賄いを食べ終わる頃には、カズマは羊のような角と細長い尻尾が生えている魔族の後輩が出来るのであった。
書いてて思ったけど、並行世界の日本に飛ばされるより中々に過酷な異世界ライフを送ってますねカズマさん……
そして最後に出来た後輩は、何ミストレス優子なんでしょうね
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
-
佐藤カズマ
-
吉田優子(シャミ子)
-
千代田桃
-
日夏樹ミカン
-
マスター
-
リコ
-
リリス
-
吉田良
-
吉田清子
-
佐田杏里
-
小倉しおん
-
犬のお姉さん
-
犬