「はぁ、今日も働いたなぁ……」
あすら修復のために、今日も身を粉にして動いたカズマ。この世界に来てからはほぼ毎日ウエイターとして働いており、魔族や魔法少女のゴタゴタや、平和な日常に巻き込まれたりしていた。
明日もあすらを直すために頑張ろうと、部屋の電気を消して一人用のベッドへと身体を潜り込ませた。そして目を閉じて……
「ってちがあああああう!」
勢いよく起きた。この世界に来てからの二ヶ月を振り返っていたが、これはカズマが描く自堕落な生活は遠く離れたモノだ。最初は生活費を稼ぐために働くのは仕方がないと思っていたが、いつの間にかずっと働いていた。
「早く異世界に帰らねぇと。帰らねぇと……いや待てよ」
カズマはふと、ずっと異世界に帰る事に囚われていたがある事に気付いた。あのふざけた異世界よりも、此方の世界の方が滅法安全と言う事に。
尤も、この街が魔族と魔法少女の中立地帯となっているため安全に見えるだけで、この
「もうこの街に永住しようかな」
シャミ子のように自分を慕ってくれる存在や、自堕落な生活とは離れてはいるが、自分のスキルを存分に活かせて優しいマスターの居る喫茶店あすらがある。
モンスターや魔王軍の残党、頭のおかしいアクシズ教や紅魔族に関わらなくて住むと考えると、もうこの世界に永住しようか思う。
「小倉の薬はいつ出来るか分からないし、薬が完成しても帰れるとは限らないからな。永住しよう、そうしよう」
そうなれば善は急げと、マスター達に永住することを話そうとした。しかし、身体は動かない。否、正確にはカズマが身体を動かしていないのだ。金縛りを受けたわけではなく、自分自身の意思で動かない。
カズマは永住しようと「思っている」だけであり、実際に永住しようと行動しようとはしていない。自分自身の事なのだ、自分が一番よく分かっている。
ため息を付いてちゅんちゅん丸を持つ。鞘から取り出すと自身の顔が反射した。この世界に来ても手入れを怠っていないため、汚れ一つ無い綺麗な状態を保っているのだ。
「…………あいつら、俺居なくてもちゃんとやっていけてるかな」
アクアは馬鹿して自分にすぐ泣きつく、めぐみんは人の話を聞かずに爆裂魔法を撃って動けなくなる、ダクネスは勝手にモンスターの群れに突っ込んでいく。パーティーメンバーのバランスや、持続力を考えれば最悪な事この上ないが、カズマからすれば大切な仲間である。
以前、カズマと他のパーティーメンバーのリーダーがパーティーをチェンジした事があった。結果、カズマ達はクエストを無事こなして怪我無く帰還。アクア達を連れたリーダーは、問題児達を制御しきれず、初心者殺しに追いかけ回されて散々であった。
カズマのパーティーは誰か一人でも抜けてはいけないのだ。欠陥だらけの一点集中パーティーだが、その欠陥を互いに補って、最強のパーティーとなっているのだから。
「なんか、此方に来てから退屈だな」
シャミ子達と遊ぶのは楽しいし、あすらの仕事も大変であるが、辞めたいとは不思議と思わない。そしてこの世界ではモンスターの脅威に怯える必要が無い。
ろくでもない異世界と、この街のどちらが安全か聞かれたら、間違えなく後者となるだろう。当然カズマも後者を選ぶ。
しかし何故だろうか、カズマは退屈に感じていた。この街で過ごしているとふと、ろくでもない異世界の事を思い出してしまう。
カズマ自身、その理由はとっくに気付いていた。気付いていて、見て見ぬふりをしていたのだ。異世界に帰れると言うことは、この街か異世界の二択を選ばないといけないのだから。
「俺は、俺は……」
何度も世界を渡るような事態は起きないだろう。実際、今この世界に居るのも事故のようなモノなのだから。
『カズマさんカズマさん、今日も異世界の話を聞かせてください!』
『カズマさんカズマさん、今日も冒険に出掛けて大金を手に入れましょう!』
「異世界が、恋しいなぁ」
少し悩む素振りを見せたが、カズマの答えは最初から決まっていた。異世界に帰還である。
この街は異世界よりも良いところは沢山ある。新作ゲームを取り扱っていたり、お菓子が売ってたり、自分を慕ってくれる
けど、どうしても一つだけ存在しなくて、カズマにとって大切なモノがある。そう、大切な『仲間』である。シャミ子達は大切な『友人』であって、大切な『仲間』ではないのだ。
一緒に馬鹿やったり、多額の借金を背負ったり、モンスターを討伐したり……どれもこれも、ろくでもなく辛い思い出だ。だがそれと同時に、大切な思い出でもある。
「…………寝よ」
こんなホームシックになって、仲間達を心配するのは自分のキャラではないと、色々考えていたのが恥ずかしいと、カズマは布団を被って寝るのであった。
そして翌日、カズマの元に小倉しおんからマナタイト擬きが完成したと連絡が入った。
カズマさんが一人で悩む回でした。この回を入れた理由としては、カズマさんの心情を深掘りしたいのと、異世界に帰るのを拘る理由を描きたかったんですよね。
平和な日常を過ごしてようと、ふとした瞬間に思い出すほど仲間達は大切なので、カズマさんは口ではどう言おうと、結局は帰りますよ~って言うのを。
これが無いと、帰った時「まちカド世界の方が安全じゃんか。なんでわざわざ帰るの?」となりますからねぇ。
次回から第三章です。ちょっと賛否ありそう、と言うより批判多めの内容になりそうです。六話の人気を見るに、そういう描写入れても大丈夫だとは思いますが……念のため注意って事で。
そして次回の話はシャミ子中心の話になる予定です。今回はこのすば主人公のカズマさんだったので、順番的に……と言った感じです。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬