『強大ナ魔力所持者発見、最優先ニテ排除致しマス。』
「させないよ」
刀の攻撃を白羽取りをした桃を、魔力量から推測するに強敵だと思考したロボットは、桃を最優先で倒そうと蹴りをお見舞いしようとするが、桃はそれより先に動いて刀を折り、ロボットの胴体に強烈な拳を浴びせた。
鉄を殴る感覚と共に、ロボットは後方へと飛んでいった。桃はシャミ子とカズマの方をチラリと見て、無事な事を確認する。
「桃、どうしてここに!?」
「学校で変なロボットが街を彷徨いているって先生が言ってたから、ミカンと街をパトロールしてた。シャミ子も聞いてたでしょ?」
「え"っ!? え、えっーと」
「はぁ……兎に角、一旦引くよ」
大事な話を聞いていなかったシャミ子に小さく溜め息を付く桃。聞いていなかった理由は、カズマが帰る事で頭が一杯になっていたんだと予想は付くため、あまり強く注意は出来ない。
そしてこの場に桃が一人の理由は、戦闘になっても動けるようにと、屋根の上から敵を狙い撃ち出来るミカンとその護衛のウガルルが住宅街、最大戦力である桃は、戦闘になっても周りの被害を気にしないようにと、河川敷付近と二手に別れていたからである。
それが功を奏したと言えるだろう。もし別れていなければ、人が多い住宅街が中心にパトロールをする予定となっており、シャミ子達に気付かなかったかもしれないのだから。
「え? でも今のでロボットさんも」
「動けなくなってたら良いね。殴ってみて分かったけど、アレは堅いからパンチ一発程度じゃ倒せないよ」
シャミ子は今の拳で倒せたと思っているが、実際に殴った桃はそうでは無かった。殴った感覚はあったが、鉄を凹ませたり、ヤった感覚はしなかった。
桃は見ていないが、なんとかの杖でコピーしたミカンの弓矢を喰らったが、ロボットにはさほどダメージは無かった。少なくともその防御力では、拳一発程度で倒される事は無いだろう。
「カズマさんと後ろに下がれる?」
「分かりました! カズマさん、下がりま……気絶してる!?」
「シャミ子、カズマさんを起こしといて。私はアレを食い止める!」
シャミ子は先程から一言を喋らないカズマを不思議に思い、倒れたままのカズマを見ると気絶していた。幸いにも心臓は動いており、呼吸もしているため命に別状は無く、攻撃されると思って気を失っただけなのだろう。
桃は気絶しているカズマが起きて、全員で一時撤退するまでの
「起こすと言われましても……おーい、カズマさん?」
シャミ子は邪魔にならないように、桃が周りを気にせずロボットを
なんとかの杖でハリセンを変形させて、カズマの頭を全力で何発も叩くが反応は無い。衝撃で起きないのであればと、次はなんとかの杖をメガホンに変形させた。
「カズマさーん!」
「うおっ!?」
「ようやく起きましたね」
メガホンで拡声された声で目が覚め、身体を飛び上がらせたカズマ。ようやく起きたカズマにやれやれと言った表情で状況を説明しようとするシャミ子。
「チェンジで」
「チェンジってなんですかチェンジって!?」
しかしカズマは、起きて目の前に居たシャミ子にチェンジを申し出た。意味が分からず、突っ込むシャミ子。
カズマは死ぬ度に天界へと魂が送られ、そこで女神エリスと会っているのだ。シャミ子を庇った結果死んで、エリスの元へと送られると思っていたカズマだが、目の前の人物がエリスで無いと気付いて速攻チェンジを言ったのだ。
死ぬ寸前まで行っていたのに、エリスで無いとチェンジと言う辺り、肝が据わっていると言うべきか、それほどまでにエリスが好きな事を褒めるべきなのだろうか。
「また心臓麻痺で死んだと思ったから、エリス様に会えると思ってんだよ」
「死に慣れないでくださいよ」
冷静に「自分は死んだ」と進言する辺り、どれだけ死んで生き返ったのだろうと、シャミ子はカズマに呆れに近い感情を抱く。
「それより! 急いでここから離れますよ! 桃があのロボットさんと戦ってくれてますから!」
「お、おう!」
シャミ子は桃が倒してくれると信じて、カズマと一緒にその場を後にする。桃を信頼しているのだろうが、今はその信頼が慢心となる。
シャミ子は桃が自分とは比べモノにならないほど強いのを知っている。5tのタイヤを持ち上げられる程の力があるのを知っている。シャミ子からすれば桃は強者だ、勝てる人物は居ないと思うほどの。
しかし世の中は広い。井の中の蛙と言うことわざがあるように、シャミ子が知らないだけで桃より強い人物は探せば見つかるだろう。そして、その強者こそが桃が今戦っているロボットなのである。
『損傷率16%、戦闘ヲ続行シマス。』
「くっ!」
シャミ子は桃がロボットを
不意打ちであったり、ミカン達と合流したりなど、やり様はあるのかもしれないが、真正面から桃一人で戦っている現状では、その思いは叶うのが望み薄な願望だ。
折られた刀を体内へと仕舞い、拳で桃に応戦するロボット。最初の拳以外にも攻撃を何発か喰らっているが、倒せる気配が無く、一方の桃は押され気味となっている。
生物で有る限り付き纏う体力の概念を持つ桃と、体力と言う概念を持っていないロボット。例え桃が朝からフルマラソン出来る体力が有ろうとも、底があるのは生物として免れない。
「ねぇ、君はどうやってこの街に現れたの」
『私ハゴ主人ノ命ニヨリ動クダケデス。コレ以上ハ時間稼ギノ会話ト判断、攻撃ヲ再開シマス。』
「融通が効かないね」
情報の獲得と、逃げるための時間稼ぎをしようと目的を聞いたが、獲得出来た情報はこのロボットがご主人とやらの命令されて、魔力を持っている者の命を狙っているだけだ。
そのご主人とは誰か、どうやってこの街に来たのかは不明である。敵があと何人居るか分からず、目の前のロボットは自分一人で倒すのは難しい強敵だ。
「『デッドリーバックスタッブ』」
時間稼ぎがバレてしまった以上、会話を続けようとしても無駄だろう。せめてここでの戦闘に気付いたミカン達が来るまで粘らないと……と、攻めるのではなく守りに徹しようとした時、カズマがロボットの背後から不意打ちをかました。
「カズマさん!? どうしてここに!?」
「『潜伏』で気配消して来た。取り敢えず優子から、なんとかの杖を包丁に変形させてもらって、後ろから斬り付けた」
シャミ子と一緒に逃げていたカズマだったが、俺に残して先に行けと言わんばかりの死亡フラグを立てる桃が気になり……もとい、置いてくのが心配になったため、シャミ子と一緒に見に来たのだ。
なんとかの杖をちゅんちゅん丸へと変形させてもらい、あるスキルを使って背後から攻撃したのだ。ちなみにだが、包丁に変形させた理由は、シャミ子が相手を斬るイメージで変形させた武器が、包丁だからである。
「でも一回斬った程度じゃこれは」
『ピー……ガガガ。損傷率87%、修復不可能ノ損傷率』
「もう致命傷与えたから動けないぞ」
カズマがさっき使用したデッドリーバックスタッブは、相手が気付いていない状態で背後から攻撃すると、確率で相手に致命傷を与えるスキルとなっている。本来なら条件が難しいスキルであるが、潜伏で気配を消せて、運が良いカズマにはうってつけのスキルである。
ロボットは地面へ倒れたままその場から動かなくなった。機能は生きているようだが、攻撃する気配も動く気配も無い。後は止めをさすだけだろう。
「一時はどうにかなるかと思いましたが、なんとかなりましたね! 私、このまま帰ってパーティーがしたいです!」
「私はシャミ子の料理が食べたい」
「おい! なんでこうも、お前らは死亡フラグをポンポンと立てるんだよ!」
『修復不可能ト判断致シマシタタメ、第二形態ニ変形致シマス。』
シャミ子と桃の二人が立てた死亡フラグを回収するかのように、動かなくなったロボットの姿が変わり始めた。
女性のような見た目をしていたロボットは腕、脚、頭が少しずつ変形していく。大きく、機械らしく……そして、戦隊モノの最終兵器として出てくる巨大なロボットのように。
「…………え?」
「マズい! シャミ子、カズマさん急いでここから離れるよ!」
『損傷率0%、魔力所持者三名確認、排除致シマス。』
そうしてロボットは、女性のような面影は無くなり、全長五メートルの変形ロボとなった。三人が与えたダメージは完全に回復しているようで、全快の状態で戦っても勝つのは厳しいだろう。消耗している今はもっとである。
「なら俺に近寄れ! 『テレポート』」
カズマもマズいと直感したのだろう。カズマの持つスキルの一つである、テレポートを使用してテレポート先へと登録してある場所へ、シャミ子と桃と一緒に移動するのであった。
ロボットが変形するのは、そのロボを作った製作者ならその機能付けそうだな~と思って変形させました。
ちなみにですが、カズマさんのデッドリーバックスタッブが登場するのは、もう少し先に本物のちゅんちゅん丸にやってもらう予定でした。今やっても展開的には困らないなって事で、先に済ませました。
━追記━
最初は気絶してるシーンを、原作カズマさんの死因と同じ心臓麻痺にしようと思いましたが、ちょっと調べて「桃が心臓マッサージ(拳)」をしても心臓動かないと分かってボツになりました。
次回はテレポートした後の話になります。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬