【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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 次回はカズマさんのターンと言ったな? あれは嘘だ。真面目に話しますと、カズマさんのシーンから始めますと、まちカド組が噛ませに見えるので、その辺りの調整です。


第三十九話 異世界の勇者参戦!? 最弱の冒険者佐藤カズマ!

「はぁ、はぁはぁ……」

 

「ミカン、大丈夫カ?」

 

「ウガルルもね」

 

 ウガルルは自身の隣に居るミカンへと視線を向ける。前線に居たウガルルがミカンの隣に居る理由は単純であり、絶望に近い答えだ。前線に居た三人が、ミカンの居る後ろまで前線を押された。ただそれだけの事だ。

 

『損傷率13%、頭部ノ損傷及ビ胸ヲ中心トシタ数多ノ傷。戦闘ヲ続行致シマス。』

 

 そんな中、ロボッターは首元の一点攻撃によって頭が取れはしたが、攻撃を受ける前と代わり無く動いていた。それどころか、身体がいくら傷付こうとも気にしてない様子である。

 

「まるで化け物だね」

 

「それ、貴方が言うの?」

 

 5tのタイヤを持ち上げる桃は、魔法少女の基準から見ても化け物である。ミカンはお前が言うなと思うが、そんな桃ですら敵わない相手なのだから、気持ちは分かる。

 

「ここからどうするん? これ以上はもたんで」

 

 ミカンは近距離だと緊張して攻撃が当たらないため、この場から離れる必要がある。しかし前線を張っていた三人は限界に近く、今こうして動けているのは、攻撃のヘイトが近くに居るミカンにも向いて分散されているからだ。

 

 もしミカンがこの場から離れたら攻撃の対象は三人だけとなる。すると対象が三人になる分、自身に攻撃が飛んでくる可能性が高まる。そうして防戦一方となり、攻撃を喰らって、前線が崩壊して……と、最悪な結果となる。

 

 一時撤退して、魔力の探知外に離れたいが、相手にはその隙が無い。どうすべきかと頭を回転させていると……

 

「『バインド』ッ!」

 

 後ろから聞き覚えのある声と共に、ロープが飛んできた。そのロープはロボッターの腕と脚をグルグル巻きにし、ロボッターが身動き出来ない状態にさせた。

 

「これって……!」

 

「お前ら、はぁはぁはぁ……だいじょ、はぁ、はぁ」

 

「呼吸を整えてからで良いよ」

 

 全員が後ろを向くと、そこには息を切らしたカズマが膝に手を当てて呼吸を整えていた。その顔はまるで死にかけである。

 

 カッコ悪い登場となったカズマだが、これには訳がある。あすらから河川敷までかなり遠く、そこを全力ダッシュしてきた一般人程度の身体能力を持つカズマは、体力が切れそうになったのだ。

 

『拘束状態ノタメ行動不能。拘束ヲ解除致シマス。』

 

「一旦引くよ!」

 

 なんにせよ、一時撤退するチャンスである。桃は息を切らしてるカズマを米のように担いで、指示を出してからその場から離れるのであった。

 

「…………ここまでくれば大丈夫かな」

 

 一時撤退した桃は、遠くに居るバインドを力ずくでほどいたロボッターへと視線を向ける。標的を見失ったからか、辺りを見渡すロボッター。魔力の反応が無いと判断したのか、商店街へと脚をゆっくりと進めるのであった。

 

「桃はん、桃はん。カズマはんが大丈夫やなんやけど」

 

「えっ!?」

 

 人が多い場所に行くようインプットされてるのか、ただの偶然か。なんにせよ、アレは無視して良いような存在ではない。桃が相手を観察していると、リコからカズマの様子がおかしいと言われたため、急いでカズマの方向を振り向く。

 

「うぷっ。やべ、吐きそう」

 

「カズマさん大丈夫? 前にカズマさんが私に教えてくれた落ち着く呼吸法を試す時よ!」

 

「まだアレを根に持って……はぁ、はぁ」

 

「ミカン、そのコキューホウっテ、なんダ?」

 

 ただ吐きそうになっているだけであった。一般人のカズマは魔法少女のスピードに付いてこれなかったようで、急スピードで動いたことで気分が悪くなっていた。

 

 射的の時の恨みが残っていたのか(第十四話参照)、ラマーズ法を勧めるミカンを見ながら、戦闘していた事も忘れて、気が抜けていく桃であった。

 

 

 

 

 

「カズマはん、気分はどうや?」

 

「取りあえずマシになったな」

 

 この前の仕返しをしてきたミカンには、今度やり返そうと心の中で誓いながら、ロボッターの情報を教えてもらっている間に、動ける程度に気分が回復したカズマ。

 

「カズマさん、私はあすらに待機を頼んだんだけど?」

 

「優子に桃達を救ってくれって頼まれてな。それより魔力は大丈夫か?」

 

 桃が詰め寄ってくるが、それを軽く流してドレインタッチで全員に魔力を分け与えるカズマ。シャミ子に頼まれたのは本当であるが、自身が「見捨てられないから来た」と言わないのは、この男がツンデレのような性格をしてるからだったりする。

 

「それで、今はどういう状態なんだ?」

 

「首元を一点集中したら頭を外れたのだけど、そこで魔力が切れかけてね。前線を押さえてピンチ……って所だったんだよ」

 

「よし分かった。それじゃあここは俺の爆裂魔法で」

 

「ちょっと待ちなさい。爆裂魔法? カズマさん今、爆裂魔法って言った?」

 

 大体の状況を理解したカズマは、早速爆裂魔法でロボッターを爆発させようとするが、ミカンが耳を疑うかのように、今何て言ったのか聞いてくる。

 

 カズマはもう一度「爆裂魔法を使う」と言って、マナタイト擬きを全員に見せる。今すぐにでも使おうとしてるのか、爆裂魔法を使う構えをとる。

 

「ちょっと待って」

 

「なんだ? もしかして、俺が帰れなくなるのを気にしてるのか? それぐらい、探せば他の方法が見つかるだろ」

 

「それもあるけど、そこじゃない。今ここで爆裂魔法を放つつもり?」

 

「そうだけど……それがどうした?」

 

 しかし桃は、爆裂魔法を使うことに渋る。この街の実力者が揃っても勝てない以上、これしか方法は無いが何か渋る理由でもあるのかと、カズマは桃に尋ねる。

 

「そんなことしたら街がボロボロになる。この街を守る魔法少女として、それは見過ごせない」

 

「あー、そういや地形について気にしてなかった。うちの爆裂魔は、いつも爆裂魔法を撃つ度に地形を変えてたからな」

 

「いや気にしなさいよ」

 

 ここは異世界のように誰かが地形を直してくれたり、そのまま放置は出来ない。爆裂魔法の余波で街に被害が行く事を考えると、そう簡単に使える代物ではない。

 

 そういう意味もあって、爆裂魔法はネタ魔法と言われているのだが、爆裂魔(めぐみん)はその気になれば街中で使うため、いつの間にかカズマの感覚は麻痺してしまっていた。

 

「なら空中で当てるのはどうだ?」

 

「良い案だけど、かわされる可能性が……」

 

 街に被害が行かないよう、空中で爆裂魔法を当てる提案をしたが、相手がまだ充分に動ける以上、当てる前にかわされる可能性が出てくる。

 

 なんとか相手に動けない、または動きが鈍くなる状況にしたいが、バインドはすぐに破られた。桃達は回復こそしたが、全快と言う訳ではないので、すぐに前線が押されるだろう。

 

「カズマ、アイツともう一度戦わせロ! 次は胸を貫ク!」

 

「ん、胸を?」

 

「ウガルルにセクハラをする気かしら?」

 

「べ、べべべ別にそういうのじゃねーから! 胸を貫くのに何か拘りあるのか気になっただけだから!」

 

 ふと、ウガルルが言った言葉を引っ掛かり、ウガルルの胸を凝視するカズマ。ウガルルはカズマの行動にハテナマークを浮かべていたが、ミカンはカズマの行動をすぐに理解したようで、やましいことでもする気かと、カズマに弓矢を向ける。

 

 動揺しながらも、胸を見ていた理由を説明するカズマ。それが本当か疑いつつも、ここで体力を無駄に消費するのは止めようと、手を下ろす。

 

「それはさっきまで胸の部分を攻撃してたからやな~」

 

 一点集中で首元を攻撃した後、四肢を体内に仕舞って武器を取り出されるのは厄介だと、手数を減らす意味も含めて、多くの道具が仕舞ってあるであろう胴体……もとい、胸を攻撃することにした。

 

 しかしジリ貧となり始め、疲れを見せた一瞬で前線はミカンの居た所まで押されていき、最初の場面となった。

 

「…………リコ、人一人飛ばすような巨大なパチンコって作れるか?」

 

「魔力が少なくなっとるから、誰かさんが送ってくれないと厳しいかもしれんな~」

 

「はぁ、分かった分かった」

 

「おおきに~」

 

 ある作戦を閃いたカズマ。図々しく魔力を要求するリコにドレインタッチで魔力を分け与えながら、作戦を達成するのに必要な事を一人ずつ聞いていく。

 

「ミカン、パチンコでウガルルと桃をロボッターの胸部分まで飛ばせるか?」

 

「私一人の力だと厳しいから、誰かに手伝ってもらう必要があるけど」

 

「リコ」

 

「ウチに任せとき~」

 

 この作戦に必要なのは、全員である。リコの変化能力、ミカンの射撃能力、桃の筋肉、ウガルルの鋭い爪。そして最後に爆裂魔法を決めるカズマ自身だ。

 

「桃はウガルルと一緒に飛んだ後、ウガルルを投げてくれ」

 

「分かった」

 

「リコ、葉っぱを何かに変化させてロボッターを空中まで誘導出来るか?」

 

「ウチだけ仕事多いな~」

 

「それで最後は俺の爆裂魔法でロボッターを破壊だ」

 

 作戦としてはこうだ。人を飛ばせるほど巨大なパチンコをリコの変化能力によって作成して、ミカンとリコがウガルルを抱いた桃をロボッターへと飛ばす。

 

 勢いの付いたウガルルを、桃が投げ飛ばすことでより加速を付ける。そのままウガルルがロボッターの胸を貫き、大ダメージを与えて動きを鈍くさせる。

 

 ロボッターが魔力に反応する行動を狙い、リコが葉っぱに変化能力を使い、その魔力に吊られたロボッターを空中へと誘導してカズマの爆裂魔法で止めとなる。

 

「勝負は一度っきり……」

 

 もし狙いが外れたら、桃が投げるのを失敗したら、ウガルルが貫けなかったら、リコの魔力にロボッターが反応しなかったら、カズマの爆裂魔法が外れたら……不安要素は数えきれないほどある。練習など無い一発勝負なのだから。

 

 だがカズマからすれば、それが異世界での普通だ。これまで魔王軍幹部達を葬ってきたが、それらは全ての戦闘に練習などなく、一度のミスも許されないギリギリの戦いであった。この男にとっては、今回もいつもと同じ一発勝負、ただそれだけなのである。




 今回凄いシリアスの筈だったんだけどなぁ……いつの間にかカズマさんがダサい登場をしたり、吐きそうになったり、セクハラしてギャグが混ざった。ずっとシリアスするより、此方の方が「このすば」らしいですね。

 パチンコの件は、最近ワンパンマン見てたら思い付きました。要するに唐突に生えてきた作戦です。今回で決着の予定でしたが、思ったよりかかりました。もうちょっとだけ続くんじゃ……

Q.流石のめぐみんでも街中で爆裂魔法使わないだろw
A.ハハハ、ハハ、ハ…………このすば原作7巻の後半部分をオススメします。

 次回は作戦実行からですね。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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