【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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 この作品伸びるなぁ~と毎回思うけど、まちカドもこのすばも色々動いてるから、時期が良かったな。

 どんな動きをしてるのかって? まちカドまぞくは原作が連載再開して、このすばは4月からアニメ三期の放送があるんですよね(宣伝)!


第四十一話 一件落着? シャドウミストレス優子の人生相談!

「う、うぅん……」

 

「目が覚めました?」

 

 カズマが気絶から目を覚ますと、そこはあすらの自室であった。辺りを見渡すまでもなく、自身の顔を覗くようにして、シャミ子が顔を出してきた。

 

「チェンジで」

 

「またですか、またチェンジが希望なんですか! そんなに喧嘩がしたいなら、買ってやりますよー!」

 

「まぁまぁ、優子君落ち着いて」

 

 デジャヴを感じるやり取りをする二人。あの時は緊急事態だったが、既にその脅威は取り除かれた。安全ならば躊躇する必要はないとカズマに襲いかかろうとするシャミ子だったが、マスターに止められる。

 

「ってそうだ。爆裂魔法を撃った後から記憶が無いんだが」

 

「カズマさんは爆風で吹き飛ばされて、何日も気を失っていたんですよ」

 

「何日も!?」

 

 デジタル時計を確認すると、ロボッターとの戦闘から数日後の日にちとなっていた。それと意識した途端、身体が空腹を訴え始めたため、本当なのだろう。

 

「カズマ君が気絶してから、優子君は物凄く心配してたんだよ? 毎日カズマ君の元に来ていてね」

 

「マスター! その話は秘密って言いましたよね!」

 

 幾らカズマが心配と言えど、シャミ子は学生である。そのため学校があるのだが、御先像を学校に持っていくのを忘れるほどカズマの事を気にしており、勉強に身が入らず、学校が終わるとすぐカズマの元へと看病に来ていたのだ。

 

「…………カズマさん、これからどうするんですか?」

 

「マナタイト擬きも使っちまったからなぁ。あークソ、これならロボッターの時空転送装置とやらを残しとくべきだったな」

 

 マナタイト擬きは爆裂魔法を使うために消費した。もう一度小倉しおんに作ってもらうのも手ではあるが、一個作るのに五億もの大金を要求されたため、それほどまでに貴重な材料で作製したのだろう。

 仮に大金を用意出来たとしても、肝心の材料が無ければ、マナタイト擬きは作れない。

 

 ロボッターがこの世界に来た方法であり、日記に書いてあった時空転送装置とやらがあれば良かったが、ロボッターは塵も残さず消滅した。

 そもそも、そこまで気を配るほど余裕が無く、時空転送装置とやらの形を知らない以上、それだけを残してロボッターを倒すのは無理である。

 

「あるよ~」

 

「うおおおお!」

 

「ギャアアア! 出たァァァ!!」

 

 また一から方法を探すかと呑気に考えていると、何処に居たのだろうか。小倉しおんが音も無く現れた。敵意が一切無いためカズマの敵感知も発動せず、カズマとシャミ子は二人揃って大声を出して驚いた。

 

「って小倉かよ。つーか、あるって何があるんだ?」

 

「時空転送装置なら残ってるよぉ」

 

 聞き間違いだろうか。小倉しおんは今、時空転送装置と言ったように聞こえた。しかも「作った」ではなく「残ってる」である。

 

 小倉しおんが独自に作ったものが残っていたのではなく、今の言い方だとまるで、ロボッターに装備されていたモノが残っていたようである。

 

「え!?」

 

「ロボッターは俺の爆裂魔法で塵も残さず爆発させた筈なんだが」

 

「ウガルルちゃんが持ってたんだよ~」

 

 ウガルルがロボッターの胸を貫いたと共に、爪に胸部分が突き刺さっていたのだ。獲物を捕まえた猫のようにそれを持ち帰り、小倉しおんが回収したのだ。

 

 その時に胸部分に装備されていた、時空転送装置も一緒に持ち帰っていたのだ。尤も、半壊したような状態で機能が殆ど死んでいたため、小倉しおんが修理及び改良を加えたが、直せたのは精々世界を渡る機能のみであり、それも一回でも使えば完全に壊れて動かなくなるだろう。

 

「これで無事に帰れるよぉ~」

 

「おおおお!」

 

「なぁ、もしかして何か企んでる?」

 

 シャミ子が目を輝かせて時空転送装置を見る一方で、カズマは小倉しおんを怪しんでいた。小倉しおんは世のため人のためで動くような人間ではない。

 

 自身の興味や関心のみで動き、盗聴機を仕掛けるのに躊躇の欠片も無い倫理観のタガが外れた人間だ。その小倉しおんが何の要求も無く帰れる用意をしたとなると、カズマが怪しむのも無理はないだろう。

 

「ああ、それは僕が頼んどいたんだよ。カズマ君が帰れるようにね」

 

「マスター……!」

 

「まぁ、その分お金は結構飛んだけどね」

 

「マスター……ッ!」

 

 これまでマトモな人物に会うことが殆ど無かったカズマ。善意だけでここまでしてくれるマスターに感動し、涙で視界が歪む。

 

「カズマ君には店の売上だったり、リコ君達を助けてくれたりして、色々お世話になったからね。そのお礼だと思って受け取ってくれないかい?」

 

「これに魔力を籠めれば異世界に帰れるけど、今すぐ使う?」

 

「帰れるなら帰りたいが、せめて腹満たしてからで良いか? 気絶してたから、何も食べてなくて……」

 

「なら私が料理を持ってきますね!」

 

 いつカズマが起きても良いようにと、料理を用意していたシャミ子。シャミ子は尻尾を揺らしながら上機嫌で、料理を取りに行くのであった。

 

「さて、カズマ君は起きたばっかりだからね。ここにずっと居ても負担をかけてしまうだろうから、僕は出ていくね」

 

「またなマスター」

 

「…………カズマ君、ありがとうね」

 

「おう」

 

 何に対しての「ありがとう」とは聞かないカズマ。内心、ふっ。俺はあえて何の話かは聞かずに察せる男だぜと、カッコつけてるカズマを残して、マスターは部屋を出ていくのであった。小倉しおんもそれに合わせてか、いつの間にか姿を消していた。

 

「お待たせしました!」

 

 それから十分ほど経ち、両手でトレーを持ったシャミ子が戻ってきた。そのトレーの上には料理が盛り付けてある皿が乗ってある。

 

「私の自信作ですよ! あすらでバイトを続けた腕前を喰らいやがってください! と言っても、カズマさんにはまだ敵いませんけどね」

 

「俺はスキルで料理が上手いんだけどな」

 

 トレーを受け取り、料理を食べようとしたカズマだったが、その箸が止まる。何故なら、その料理は全て見覚えのある、動物園で食べたお弁当の中身と同じだったからである。

 

「気付きましたか? 前に桃達と動物園に行った時に作った料理を入れてみました! 最初は異世界の料理を再現しようと思いましたが、リコさんもマスターも作り方を知らないようでして」

 

「そりゃそうだろ」

 

 異世界ではスティックにしても動く野菜や、巨大なカエルの唐揚げ等がある。前者はそもそも動く野菜なんて存在しておらず、後者はカエルの唐揚げを食べた事ある人物なぞ、殆ど居ないだろうから仕方がないだろう。

 

「カズマさん、美味しいですか?」

 

「旨いな」

 

「良かったです」

 

「…………カズマさん」

 

 料理を食べていると、ベッドの横に椅子を持ってきて座るシャミ子。そして躊躇うような声色で、暗い雰囲気を出しながらカズマの名を呼んだ。

 

「なんだ?」

 

「私、これからこの街を守れるでしょうか」

 

 視線が下を向く。ロボッターとの戦闘が終わってから、シャミ子はずっと悩んでいた。今回、自分は何も出来なかった。桃達が死闘を繰り広げている間、自分は何をしていた? ただ指を咥えて事が終わるのを待っていただけである。

 

 今回はカズマが居たから誰一人欠ける事無く勝てたが、今後カズマが異世界帰ってから、今回のような強敵が出てきたら、自身はまた眺めるだけで終わるのだろうか。

 

「私は、桃のように筋肉も無いし、ミカンさんのような射撃力も、ウガルルさんのような鋭い爪も、リコさんのような変化させる能力も、マスターのように自分の無力さを堪える心の強さも、カズマさんのような頭脳も無いんです。私は……私は、どうすれば良いですか?」

 

 桃や家族にすら言わなかったが、カズマが目を覚まして安心したからか、心に抱えていた不安をこぼすシャミ子。

 

「俺は」

 

「はい?」

 

「俺は、日本で女の子に迫るトラクターをトラックと見間違えて、その女の子を庇って心臓麻痺で死んだ」

 

「え?」

 

 今までそれとなく誤魔化されて、知る事の無かったカズマが異世界に転生にする事になった死因。今後訪れるかもしれない脅威に対しての不安を相談をしていた筈が、死因の話題を振られて困惑するシャミ子。

 

「その後はアクアと出会って異世界に行って、生活費を貯めるためにバイトをしたんだ。冒険をする筈が、働く楽しさを知って、ずっとバイトをする日々だったんだぜ?」

 

「カズマさん?」

 

 カズマが語るのは、異世界に転生した直後の話。右も左も知らない状況で、冒険の準備どころか衣食住が安定しない中で、明日を生きるために働く日々。

 

「ある日、冒険してない事を思い出してアクセルの街に居る弱いモンスター、ジャイアント・トードの討伐に出掛けたんだ」

 

「巨大なカエルから逃げまくってたら、油断してたアクアが食われてな。アクアを食っている隙を狙って、なんとか一匹倒したんだ」

 

 それはこれまで聞いた異世界話とは違った。カズマの頭脳を活かす場面も、アクアの行動に苦労するような事も無い。強敵を葬った凸凹パーティーの話ではなく、生きようしても上手く行かない、ただの人間の話であった。

 

「だからまぁ、アレだ。最初は誰も上手く行く訳じゃないし、借金背負って失敗する事もあるんだ。あまり難しく考えるとスティールするぞ」

 

「カズマさん……」

 

 自分のキャラじゃないと小言を溢しながらも、この街を守るボスとして不安を抱えるシャミ子をそのままに出来なかったカズマ。

 

 危機管理フォームがエロいだの、胸をチラ見したりとセクハラを繰り返してはいるが、誰かが困ってたらなんやかんやで助ける。それが佐藤カズマなのである。

 

「桃にセクハラされたと伝えておきますね」

 

「おい待てホント待て!」

 

 それが本人に伝わるかは別の話ではあるが。スティールする=下着を剥ぐと解釈したシャミ子は、桃にカズマをしばいてもらうと伝えると、部屋を出ていこうとする。

 

 カズマはシャミ子を追おうとするが、今動くとトレーが引っくり返ってしまうので、近くの机にトレーを動かす。その頃にはシャミ子は既に部屋の扉まで移動していた。

 

「なんて、冗談ですよ」

 

 しかし桃に伝えるのは冗談だったようで、まんまと引っ掛かったカズマに微笑みかける。これまでカズマに振り回されていたシャミ子ではあるが、今日ばかりは振り回す側のようであった。

 

「カズマさん」

 

「なんだ?」

 

「本当にありがとうございます」

 

 何がとは聞かない。マスターと言い、シャミ子と言い、何に対してのお礼かは既に察しているのだから。カズマは部屋を出るシャミ子に、またなと声をかけるのであった。




 時空転送装置のくだりは、前回「胸部分破損して、時空転送装置も一緒に無くなったぜ」って言う伏線付けてます。傷一つない状態にすると、幾らでも世界を渡り放題になるので、半壊してた事にしましたが。

 シャミ子は何も出来なかった事引き摺ってそうだなぁ~と思ったので、カズマさんにメンタルケアしてもらいました。あと、一段落付いたのでカズマさんとシャミ子の絡みが見たかったので。

 今思い付いたから今更感あるけど、リリスさんはカズマさんのスティールキラーな気がする。あの人、ハイレグを服として希望したり、すっぽんぽんで日向ぼっこしてた経歴あるし。パンツぐらい盗られても気にしなさそう(偏見)

 次回、最終回です。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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