【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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 今回で最終回です。

※予約投稿のため、この作品を見た時間によっては連載中となっている可能性がありますが、今回で完結となります。


第四十二話 さらばカズマ! この素晴らしい少女達に祝福を!

「よし、準備完了」

 

 カズマは綺麗になった自室を眺めながら、忘れ物が無いか確認をする。ちゅんちゅん丸は腰に携え、お土産は全部袋に入れた。服装もこの世界に来たのと同じで、手のひらサイズの時空転送装置も忘れずに持っているのを確認をすると、店の方へと向かう。

 

「カズマ君、忘れ物は無いかい?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

 店にはリコとマスターが居た。色々あって休みが続いたあすらであったが、今日から開店である。しかしカズマが働くことは無い。何故なら今日は、カズマが異世界に帰る日だからだ。

 

「それじゃ……行ってくる! じゃあな!」

 

「じゃあね」

 

「バイバイやで~」

 

 子どもが遊びに行くようにような軽さで、外へ出るカズマと、それを見送る二人。会えなくなるのは寂しいが、不思議と悲しくは無かった。

 

 魔族として長く生きているから別れには慣れているのもあるだろうが、悲しくないのは会えなくても二人の記憶には、カズマとの思い出の日々が残るからだろう。

 

 

 

 

 

「カズマさん、此方です此方!」

 

 あすらを出て、ある場所へと着いたカズマ。そこはこの街を一望出来る場所であった。その場で待っていたシャミ子は、カズマに街を見下ろすように勧める。

 

「おぉ、いい景色だな」

 

「そうでしょうそうでしょう? 異世界に帰る前にこの景色を見てもらおうと思いまして!」

 

 一緒に居たミカンと桃も、カズマに並ぶような形で街を見下ろす。最初はもっと大勢でカズマを見送ろうとも考えたが、大勢で見送っても却ってカズマが帰りにくくなるだろうと言う配慮で、この場にはシャミ子、桃、ミカン、そしてカズマの四人しか居ないのである。

 

「懐かしいわね。ここからあすらを狙撃したのが昨日のように感じるわ」

 

「それは懐かしさを感じるモノなのか?」

 

 ミカン達があすらと関わり始めたのは、シャミ子の様子のが発端であった。元凶はリコであったが、最初はカズマが何かしたのかと怪しみ、あすらへと襲撃を仕掛けた。

 

 それが夏休みの出来事であった。学生の一年は早い、特に桜捜索の件やウガルルの件などで慌ただしくしていたこともあり、時間の流れが本来より早く感じているのだろう。

 

「あの時はちょっとした擦れ違いがあって、カズマさんと戦ったね」

 

「戦いの準備も何もしてなかったからあの時は焦ったな」

 

 第一印象が最悪だったのもあり、もしマスターが止めなければ桃はカズマの命を奪おうとし、カズマはドレインタッチで桃の魔力を吸い取って、コアを通り越して消滅させていたかもしれない。

 

「さて、街を一望出来たことだしそろそろ帰るわ」

 

 ちょっとした思い出話に花を咲かせたが、本来の目的は異世界に帰るカズマを見送るために集まったのである。これ以上やり残したことも後悔も無い。あまり話に花を咲かせ続けても帰るタイミングを見失うと考えたカズマは、話題が一区切り付いた今、帰ろうとしていた。

 

「じゃあね」

 

「異世界でも柑橘類を摂取するのよ!」

 

「あの、カズマさん……また会いましょう!」

 

「ああ、またな!」

 

 さようならは言わない。またいつか会えると何処かで確信しているのか、それともそれを言うのは寂しいと思っているのか。

 

 カズマが時空転送装置に魔力を込めると共に、カズマの周囲が光で満たされていく。この光が消えると共に、カズマは元の異世界へと帰っていくのだろうとすぐに理解した。カズマは光が消える瞬間、シャミ子の方を向いた。

 

「頑張れ優子、この街を守れるような立派な魔族になれよ!」

 

「ッ……はい!」

 

 その言葉と共に光が収まり、そこには最初から誰も居なかったかのように、カズマの姿は消えていたのであった。

 

「帰っちゃったわね」

 

「そうだね」

 

 カズマがこの世界に居たのはたった2ヶ月である。しかしその2ヶ月は相当に濃く、カズマの居る生活が日常の一部となっていた。

 

 カズマは自分達より幾つか年上でありつつも、イタズラ好きな子どものようにちょっとした問題を起こしたかと思えば、頼りになる一面を見せたりと、童心を忘れずに成長しているような不思議な少年であった。

 

「帰ろうか、シャミ子」

 

 カズマの居なくなった空間の余韻に浸りつつ、帰路に就こうとする桃。ミカンもそれに続こうとするが、シャミ子だけがその場で立ち止まっていた。

 

 桃が声をかけるがその場から動くことは無く、地面に顔を向けているシャミ子をよく観察すると、小雨が降ったかのようにシャミ子が立っている場所の地面が濡れていた。

 

「…………シャミ子、泣いてる?」

 

「泣いてない、これは目汁だ!」

 

 目汁だと目を擦って誤魔化すシャミ子であるが、目から水分を放出しながら鼻を啜っている状況では、誰がどう見ても泣いていると判断するだろう。

 

 シャミ子はワクワクする話をずっと聞かせてくれたカズマを兄のように思い、桃達の中で一番カズマの事を慕っていたのだ。いくら我慢しようとも、居なくなってしまうのは悲しく、自然と涙も出てしまう。

 

「泣いてる時に目を擦っちゃいけないわよ」

 

「だからこれは目汁で……グスッ」

 

「やっぱり泣いてるじゃん」

 

 ミカンはシャミ子にハンカチを貸して、目元を軽く抑える。目汁と言う嘘が通用するほどシャミ子は嘘が得意ではなく、二人もそういった事には鈍感ではない。

 

「桃、ミカンさん」

 

「なに?」

 

「なにかしら?」

 

「私、もっと強くなります。強くなっていつしか、なんとか杖を使ってカズマさんに会いに行きます!」

 

「その前にまずはこの街を守れるぐらい強くなりましょうね」

 

「それじゃあ今からフルマラソンを」

 

「切り替えが早すぎないかしら!?」

 

「フルマラソンだろうと、なんだろうとかかってこいですよ!」

 

「早速やる気ね!」

 

 魔力量を上げて、なんとかの杖で世界を渡れる杖を作り出せる程強くなり、カズマの居る異世界へと遊びに行く。シャミ子に新しい目標が出来た瞬間であった。

 

 頑張れシャミ子、友達と力を合わせてこの街を守れる立派な魔族になるんだ!

 

 

 

 

 

「えっと、ここは……」

 

 一方、時空転送装置を使ったカズマは見覚えのある魔道具店に居た。床を見ると、シャミ子達の世界にテレポートすることになった、欠陥魔道具が転がっていた。

 

「カズマさん、お茶が入りましたよ」

 

「お、久しぶりだなウィズ」

 

「……? 私は少ししか席を外してませんが?」

 

「あーいや、此方の話だ」

 

 店の奥から姿を表したウィズに久しぶりと挨拶をするが、ウィズは頭にハテナを浮かべる。

 ウィズからすれば、お茶を持ってきたと思ったら、カズマの手荷物が増えており、しばらく顔を見ていなかったような反応を見せたのだ、疑問に思うのも当然だろう。

 

「俺、戻ってきたんだなぁ」

 

 あっちの世界に2ヶ月居たのに対して、異世界ではほんの一瞬の時間であった。大方、小倉しおんが改良を加えた際に欠陥魔道具を使った瞬間の時間に調整してくれたのだと適当に結論付けた。

 

 夢のような一時であったが、紛れもない現実である。それを裏付けるかのようにカズマはアクア達に渡すお土産袋の中から、ある写真を取り出す。それは、良子に撮ってもらったシャミ子とのツーショットであった。

 

 写真を見ながら余韻に浸っていると、魔道具店の扉が大きな音を立てて開いた。そうやって扉を開いた人物達の顔を見て、カズマは懐かしい気持ちを抱いた。

 

「カ"ス"マ"さ"ーん"! 宴会芸で消す芸をしてたら、消したモノの賠償金を払えって言われたの! 私、消す事は出来ても戻すことは出来ないんですけど! このままだと私、お金足りなくて借金を背負うことになるんですけど!」

 

「大変だカズマ! めぐみんの爆裂魔法で、眠ってた古代兵器が目を覚ましたとギルドから報告が」

 

「ふっ……我が力に呼応されて復活するとは。だが、我が爆裂魔法の前には全てが無力です! さぁカズマ、早速討伐しに出掛けましょう!」

 

 扉を開けた人物達、それはカズマの仲間であった。

 アクアはギルドで宴会芸を披露しており、モノが消える宴会芸をしたが、アクア本人でも消えたモノの行方を知らないため、消してしまったモノの賠償金を求められていた。そんな金は無いと、ギルドから逃げてカズマの元へ泣きついてきたのである。

 

 めぐみんは爆裂魔法を撃ちに、ダクネスはその付き添いであった。いつものようにアクセルの街の外れで爆裂魔法を使っためぐみんであるが、運悪く爆裂魔法の余波でダンジョン内に眠っていた古代兵器が目を覚ましてしまい、暴れているとギルドから苦情が入ったのだ。

 

 ダクネスは動けなくなっためぐみんを背負って、これは自分達のせいだから討伐しに行こうと言うが、実際はどんなに強烈な一撃を叩き込んでくるかの事しか考えていない。

 

「はぁ……」

 

 先ほどまで浸っていた余韻は何処へ行ったのやら。すぐいつものように面倒事を持ってきて、騒ぐ仲間達に溜め息を付くカズマ。何も聞かなかった事にしたいが、それをすればギルドからなんと言われるだろうか。

 

「しょうがねぇなあああ!!」

 

 あくまで仲間達の尻拭いだからと、内心言い訳をしながらギルドへと向かうカズマは、鬱陶しい雰囲気を出しながらも、この喧しい日常に戻ってきたのが嬉しいのか、その言葉とは裏腹にカズマの表情は笑顔であった。




 ~この素晴らしいまちカド世界に祝福を!~
完結


 第一話投稿から約1ヶ月、展開について悩む時もありましたが、毎日投稿と言う形で無事完結しました! 最初から完結までの道は見えていたとは言えど、毎日投稿出来るとは思っていなかったです。

 初期の構成では、本編に話が出てきたように「なんとかの杖」を使って帰ろうとしていたんですよね。

 その後、カズマさんが使った杖に変形しても帰れない。そもそも変形させるための魔力が足りない。ってことで、色々試行錯誤して小倉さんに何とかしてもらいました。

 じゃあマナタイト擬きあるから帰れるね。と、思ったんですが、それで帰っても物語的に面白くないなと。時系列的には、日常をダラダラ過ごしてたら帰れるようになったから、帰るね。
 となるので。どうしても無事完走仕切ったと言うより、打ち切り気味に見えるんですよね。なのでこのすばらしく、強敵を出そうと思いまして第三章になります。

 それにしても、今回で最終回ですか。やりたいことは全部やりましたが、寂しくなりますねぇ……



 次回は、短め&蛇足気味にはなりますが、オマケとして最終回後の話をシャミ子視点でお送りします。

 え、終わりじゃないのかって? いや、私は最終回と言っただけでオマケを書かないとも、更新を止めるとは言ってませんよ。もうちょっとだけ続くんじゃ。

 まぁ、今後の更新はオマケ1話+この作品の出来た経緯とかをダラダラと書いた長い後書き1話だけですがね。

 それではオマケで会いましょう。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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