【完結】この素晴らしいまちカド世界に祝福を!   作:のろとり

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ガチガチな戦闘シーンです。


第六話 決戦! VS桃色魔法少女!

「『ドレインタッ━━━』」

 

「まずい桃、下がれ!」

 

 目潰しに成功したカズマは、桃に近付いて触れた相手の魔力を吸い取るスキル、ドレインタッチを使おうした。しかし桃の肩に乗っていた小人に邪魔されて、触れる前に逃げられた。

 

 カズマは「魔法少女なんだから、魔力を奪えば倒せるだろ」と考えたのだが、実際の所は少し違う。魔法少女は身体を魔力で構成しているため、魔力が無くなると身体を保てなくなるとコアになり、そのまま消滅してしまうのだ。

 

 カズマの手から溢れ出す邪悪な魔力を警戒して、目が使えない桃に下がるよう指示した小人だが、結果的に桃は消滅の危機を逃れたと言って良いだろう。

 

 後ろに下がった桃を追うようにしてカズマとリコは店を出る。一方のマスターは店から出ず、入り口から事を見守っている。

 

「厄介な使い魔やな~カズマはん、注意した方がええで~」

 

「分かった」

 

 カズマの苦手な正面からの戦いとなったが、今すぐにでも使える搦め手は幾つもある。それに自分一人で戦っている訳でなく、パーティーにはリコが居る。戦闘力までは分からないが、異世界のパーティーのように自らに不利な状態を作るようなマネはしないだろう。

 

「ちょっ、余は使い魔じゃない! ちゃんとリリスって名前が」

 

「リリスさん。私の目が使えるようになるまで、周りを見ておいてください」

 

 小人もとい使い魔、もといリリスは使い魔呼ばわりしてきた桃に怒るが、それどころでは無いので、無理矢理遮って戦闘の補助を頼む。

 目が見えなくとも、目の前から邪悪な魔力を感じた。アレを喰らっていたらどうなっていただろうか、桃は冷や汗を流す。

 

「なら『スティ━━━』」

 

 距離があるならと、次は目の前の相手の持ち物をランダムで盗むスキル、スティールを使おうとするが、何処かから飛んできた矢をかわしたことにより中断された。

 

「かわされた!?」

 

 一切気付かれずに撃ったつもりだが、弓をかわされたことに思わずミカンは驚きの声を漏らす。気付いた素振りも、直前までかわすような動作も無かった。

 まるで息を吸って吐くかのように、自然にかわした姿を見て、ミカンと桃はカズマに対する警戒度を一段階上げた。

 

 実の所、これはカズマの持つスキル『自動回避』である。運が良いと相手の攻撃を避けられるスキルであり、このスキルの強力な部分は、運さえ良ければ魔王の不意打ちすら避けられる部分だろう。

 

 つまり、今の攻撃をかわせたのはスキルのお陰である。ミカンの攻撃に一切気付かなかったため、このスキルが発動していなければ、カズマは攻撃を喰らっていただろう。

 

「ッもう一度!」

 

「カズマはん、ここは頼んだで~」

 

 もう一度カズマに標準を合わせるミカンであったが、狙撃音と声でミカンの居場所を把握したリコは、カズマに一言声をかけると、ミカンの方へと向かっていった。

 

 これで邪魔な狙撃は入らない。逆に言うと、リコはミカンの相手をしているため、カズマは一人で桃と戦う必要が出てくる。

 

「桃、カズマとやらと一緒に居た魔族はミカンの方へと向かっていったぞ!」

 

「一対一か……」

 

「お主、余が居ること忘れてないか?」

 

 リリスの小声を無視して、周りの気配に気を配る。忘れてはいないが、リリスは戦闘力皆無のため戦力として数えていないだけである。

 

 目が使えなくとも、相手の出した音や魔力の気配で場所は分かる。だが無音で動いたり、魔法を使わなかったら場所は不明となる。けれども無いよりはマシとして、目を擦りながら相手の動きを待つ。

 

 自分の方から動ければ楽なのだが、ここは街中だ。大技を放てば住民を巻き込むことになる。それに相手の手札にカウンターなど、魔法を跳ね返すようなモノがあればより不利になる。そのため、どうしても後手に回ってしまうのだ。

 

「一応聞くけど、私の話を聞く気はある? 千代田桜についての情報を集めてるんだけど……」

 

「店に矢をぶっぱなしてきた奴の話なんか聞くかよ!『クリエイト・ウォーター』」

 

「かわせ桃!」

 

 矢を放ってきて「話を聞いて」と言われて、素直に従う人物がこの世にどれだけいるだろうか。桃の話に乗っからず、カズマは手から水を放つ。

 

 正面切って戦闘は苦手ではあり、どちらと言えば忍者のようにコソコソとした戦法を得意としてるカズマであるが、今回は事情が違う。

 

 自身を倒すのが目的なら場所を変えてゲリラ戦を挑めるが、あすらに用事があるのなら、無駄に背を向けて逃げるだけとなる。それに、あすらはカズマの宿である。折角異世界での寝床が出来たのに、簡単に逃げるようなマネは出来ない。

 

「邪悪な魔力は感じない。けど……」

 

 桃は今の魔法からは邪魔な魔力は感じないが、どんな効果があるか分からない以上、無駄に喰らうつもりはない。桃達からすれば無害に見えるだけで、毒や麻痺薬が混ざってるかもしれない水なのだから。

 

「ただの水? いや、これは聖水だな」

 

 よく観察すると、リリスはカズマの出してくる水が聖水であると気が付いた。直接喰らったことが無いため予想にはなるが、魔族が喰らえば多少痛みはあるだろう。だが、魔法少女にはなんのダメージにもならないだろう。

 

「『クリエイト・ウォーター』『クリエイト・ウォーター』『クリエイト・ウォーター』」

 

「……おちょくってる?」

 

 何度も聖水を出すカズマに、桃は怒りを覚えた。カズマからすればある作戦を実行するためだが、桃からすれば自分を無視して地面をビシャビシャに濡らす行為である。もしかしたら、シャミ子の様子がおかしいのも、自分達をおちょくって反応を楽しんでるかもと、見当違いな事も考え始めていた。

 

 何が目的かは分からないが、早めに決着を付けようと、聖水で出来た水溜まりを踏みながらカズマへと近付く。隠し玉を持っているかもしれないので、警戒はしているが。

 

「今だ『フリーズ』」

 

 カズマの手から放たれた氷が聖水で出来た水を凍らしていく。そして、桃の両足は薄い氷の中へと閉じ込められてしまった。

 

「お主、まさかこれが目的か!?」

 

「でもこの程度、すぐに……」

 

 5tはあるタイヤを持ち上げられるほど筋力がある桃からすれば、薄い氷の中から足を脱出させるのは朝飯前である。

 これが隠し玉だったのかと、警戒していた自分がバカバカしく感じていた。確かに邪魔な魔力を感じるような魔法は持っていた。ただ、それ以外は姑息な手で誤魔化されてるが、弱い魔法だけである。

 

「本命は此方だ!『スティ━━━」

 

 けれどカズマの真の目的は別にあった。先ほど不発したスティールで桃の持ち物を奪おうとした。桃はステッキが無くても拳一つで戦えるほど強いが、ここの持ち物とは、身に付けてるモノを指す。

 

 当たり前の事であるが、補足をすると身に付けているモノとは、服や髪飾り、さらには下着も対象内となる。そしてカズマはこのスキルを女性に使うと高確率でパンツを奪ってしまう。

 

 つまりカズマは桃のパンツを奪って動きを封じようとしていた。また、パンツが意味無いなら魔力が尽きるまで服を剥ぎ取ろうとしていた。

 

 普通なら躊躇するような戦い方ではあるが、この男は躊躇の二文字は無い。それどころか、異世界ではスティールで奪った、女性のパンツを振り回した挙げ句「自分のパンツの値段は自分で決めるんだな」と、有り金全部むしり取ってクズマだの、カスマだの言われてきたのである。この程度で怯んだりはしない。

 

「カズマ君待った! どうやら千代田桜殿について何か知っているかもしれないし、ここは穏便に」

 

「『━━━ル』」

 

 しかし桃とカズマの間に、痛めた身体を引き摺りながら、松葉杖付いてマスターが現れた。

 

 先ほど桃が「千代田桜について情報を集めている」と聞き、連絡が取れない千代田桜について何か知っているかもしれないと思い、二人の戦闘に割って入ったのだ。

 

 繰り返すが、スティールは目の前の(・・・・)相手の持ち物をランダム奪うスキルである。そしてその対象は目の前に誰かが割り込んで入ってきた場合、その割り込んで来た人物が対象となる。つまりは……

 

「え?」

 

「あっ」

 

 マスターがスティールの対象となる。

 スティールによって持ち物、今回の場合は松葉杖をカズマに奪われたマスターは、バランスを崩して地面へと身体をダイブさせた。

 

 身体が痛いと小声を漏らすマスターを中心に、カズマ達の間には微妙な空気が流れる。両者にこれ以上戦闘を継続するつもりはないが、どう話を切り出すか悩んでいる。

 

「……桃よ、ここは一旦話を聞くことにしないか?」

 

「そうだね。私の方も色々聞きたいこともあるし」

 

 空気を変えるようにリリスが桃に提案をする。その提案に乗ることにした桃は、足を無理矢理氷から抜き出してカズマへと近付く。

 

「えっと……カズマさんだっけ。私たちはこれ以上戦うつもりは無いし、そっちにも色々事情があるみたいだし、まずは話合わない?」

 

「そっちにも色々事情があるみたいだしな。分かった」

 

 敵感知のスキルを使って調べたが、桃からは敵意を感じない。話し合いをする気があると解釈しても良いのだろう。

 

 そうしてマスターを連れてミカンとリコに事情を説明した桃達は、あすらへと戻り話し合うのであった。




 私が書きたかったシーンの一つ「カズマさんのドレインタッチに反応する桃達」が書けて嬉しいです。

 魔族側なら兎も角、魔法少女からすれば天敵のスキルですからね。カズマさんは遠くや暗闇でも目が見えるようになる千里眼、気配を消す潜伏、相手を拘束するバインド、見つかっても敵から逃げれる逃走がありますかね。暗闇で奇襲すれば魔法少女も倒せるかも……うん。ホント敵に回したくないですね。

 未遂になりましたが、もし桃のパンツを奪ってたらカズマさんはゴミを見るような目で見られてたかと。まちカド世界の住民が優しいと言っても、限度がありますからね。

 今回は桃は街を傷付けるから、カズマはあすらから離れると何するか分からないから。この二つの理由で互いに本領発揮が出来ない戦いになりましたが、本気で戦ったらカズマさんがコソコソ隠れて、ドレインタッチで桃の体力を奪う展開ですね。

 次回は互いの事情を確認するシーンからですかね。そこでカズマさんの事情も説明出来るかと。え、シャミ子? シャミ子は次回もポワポワしてますね。

【第二回】この作品で好きなキャラ投票!

  • 佐藤カズマ
  • 吉田優子(シャミ子)
  • 千代田桃
  • 日夏樹ミカン
  • マスター
  • リコ
  • リリス
  • 吉田良
  • 吉田清子
  • 佐田杏里
  • 小倉しおん
  • 犬のお姉さん
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