「えっと……まずは此方から質問させてもらうね。まずは桜殿について聞いても良いかい?」
全員、あすらの席に座り簡単な自己紹介が終わった。カズマ達も桃達も聞きたいことが沢山ある。まずは何から切り出すべきか悩んでいると、マスターが先陣を切った。
年長者として先陣を切ったのもあるが、桜についての確認を一番にしたかったのもある。桜の居所について、また居所が分かればそこへ向かい世界を渡る方法を知ってるか聞けるため、カズマが帰るための道が一気に開けるからである。
「千代田桜は私の姉で、シャミ子もとい吉田優子の父と協力関係にありました。だけど、10年前に千代田桜は失踪。シャミ子のお父さんは何故だか千代田桜に封印されてる状態で発見されました」
「つまり桜殿の居所は不明の状態なのか」
しかし現実はそう上手くは行かない。魔法少女側、そして家族である妹である桃すらも居所を知らないとなると、桜を世界中を探すか、他に知ってるかもしれない人を探すかの二択だろう。骨が折れる選択だ。
これなら桜を探そうとせず、世界を渡る方法を探した方が早いだろう。尤も、両方とも手がかりが無い状態のため、どっちも遠い道のりなのは変わらないかもしれないが。
「はい。シャミ子のお父さんを封印を解くため、そして封印を施した千代田桜を探すため、古くからこの街に居る魔族訪ねて今に至ります」
「そうか。此方こそ力になれずすまない」
桜について手がかりは得られなかったが、探している人物が居ると知れただけ充分だろう。穏健派の魔法少女のようだから、協力体制をとれるだろう。協力体制をとっていれば、桜が見つかった際に桃達経由で世界を渡る方法を聞けるのだから。
「次は私の方から質問させてもらうわね。そこのカズマさんって何者なの? 魔族でも魔法少女でも無くて魔法を使うなんて」
次は魔法少女側が質問する番となった。シャミ子について聞きたくもあったが、それと同じぐらいミカンはカズマの存在が気になっていた。
人間で魔法を使えて、本来の実力が出せていなかったとは言えど、桃と渡り合っていたのだから。にわかには信じがたい本当の事だから困る。桃曰く「自分は弱い」と言っているが、他の魔法少女と協力して世界を救ったことがあるほどの実力者なのだから。
そんな桃と人間が居るとはにわかに信じがたい。ただの人間が戦ったのではなく、人間に化けた魔族が魔法少女を騙して戦ったと言われた方が信憑性がある。
「あぁ。俺はちょっとした事故があって、異世界から此方に来たんだ」
「「異世界!?」」
思わず桃とミカンは顔を見合わす。
魔族が化けているのかと思っていたが、まさかの答えであった。正直怪しくはあるが、ここで異世界について深掘りしても話が進まない。少なくともここで争う気が無いのなら、今は見逃しても大丈夫なのだろうと、二人は結論付けた。
「っても、元は別の日本に居て……あー、紛らわしくなるからそこら辺は省略するけど、俺は元居た異世界に戻る方法を探してるんだ」
「世界を渡る方法か。私は聞いたことが無いな、ミカンは?」
「私も無いわ」
知らない以上はそれ以外のことは言えないが、仮に知っていても、桃達は正体が確定するまでは教えるつもりは無い。
本当に異世界人なのだが、桃達からすればそれを証明するものがない以上、桃と渡り合える自称異世界人の危険人物となる。
見たことの無い魔法ではあるが、独自に研究したオリジナルの魔法の可能性もある。話し合いが出来る事から、今すぐにでも戦うつもりは無いと信用は出来る。だが、何もしないと言う信頼が無いのが、桃達から見た今のカズマの評価である。
「余からも質問があるぞ。シャミ子の様子がここ数日おかしいのだが、何か知らないか?」
カズマ達が確認したかった「千代田桜の居所」と「世界を渡る魔法」の二つを聞けた以上、後は桃達の質問が終わるのを待つだけとなる。
桃達はまだ聞きたいことが沢山あるが、今はシャミ子の安否が重要である。他の聞きたいことはシャミ子を回収してからでも聞ける。
「ウチは心当たり無いで~」
「俺もだな。そもそも働いてる優子しか見たこと無いから、どう様子がおかしいか言ってくれないと」
「少しその様子について詳しく聞いても良いかい。例えば何かを忘れてるとか、疲れを全く感じさせないとか」
リコとカズマは心当たりが無い中で、マスターは何か引っ掛かったのか、その様子について具体的な例を上げて三人に聞いた。
「ッ! そう。私達は魔族の居る場所に近付けないからシャミ子に交渉を頼んだんだけど、何故だか持って帰ってくるのは情報じゃなくて、美味しそうな料理だった」
「やはりか。リコ君の作る料理には心を癒す効果があってね。抱えているプレッシャーや、日々の疲れを忘れさせる効果があるんだ」
マスターは桃の言葉に対して深く何回か頷き、リコの料理について説明を始めた。リコの作る料理は一種の中毒性を持っているが、それと同時に心を癒す効果を持っている。
効果としては味の濃いニンニクラーメンとそう変わり無いが、それでも桜を探す事を忘れていたとなると、そういうことになるだろう。
「プレッシャー……」
「桜殿を探すことに対して、君は何か見返りを与えているのかい?」
「え?」
見返りと言われて、桃は今までの出来事を思い浮かべる。自分が勝手にやったことなので、見返りとは少し違うが、シャミ子に魔力修行したり、一緒に河川敷を走った。
そしてシャミ子は体調が悪くなったときに看病してくれた、桜がシャミ子のお父さんを封印したと知って自己嫌悪に陥った時優しく声をかけてくれた、料理を作ると何故か光輝く自分に代わってご飯を作ってくれた。
もしかして自分はシャミ子の優しさに無意識の内に甘えていて、見返りを与えず、代わりにプレッシャーを与えていたのではないか。
このまま見返り無しにシャミ子の優しさに付け込んでいたら、姉と同じように、いつの日かシャミ子が自分の隣から居なくなってしまうのではないか。桃は姉と同じ道に辿るシャミ子を想像し、どうすれば良いか頭を抱えた。
「もしかして優子君にとっては、桜殿を探すことがプレッシャーになってたのでは無いかね。次からはちゃんと見返りを与えるようにすれば、今回のようにリコ君の料理で忘れたりはしないだろうね」
自己嫌悪に陥っている桃に年長者として諭すように、けれど叱るように少し強めの言葉をかける。姉が心配な気持ちは分かる。けれどその気持ちを優先して、シャミ子にプレッシャーをかけるようなマネはしてはいけないと話す。
今回気付いたのなら、次回から直せば良い。そうすれば同じ失敗はしないと、長く生きてきた人生経験、いやバク経験を語る。
「せやで~、まぁ通常の10倍ぐらい摂取するとハイになるけど」
「「えっ……」」
そこで終わっていれば良い話で終わったのだろう。しかし空気の読めないリコは、しんみりした空気をぶち壊すかのように、衝撃の事実を口にする。
「な、なぁリコ。俺そんな話聞いてないんだけど」
「10年ぐらい一緒に働いてきた僕も聞いたこと無いんだけど?」
「そら誰かに言ったのは今のが初めてやかね~」
ハイになっていたのなら、プレッシャーになっていようが、なっていなかろうが、何もかも忘れてしまっていて当然だろう。
世界が変わろうとも、カズマの周りには問題を起こす人材が集まるようである。マスターとカズマは数秒ほど頭を抱えて、ふと椅子から立ち上がった。
「「すみませんでしたあああああ!」」
そうして二人は桃達へと、揃って土下座をするのであった。
まちカド世界の現状について説明する回でした。
桃達視点でカズマさんが異世界人だと確定するには、あるフラグを踏む必要があるので、今は疑惑を持っている状態となります。少なくとも、シャミ子が今の状態だと疑惑止まりなので、ハイの状態から直るのを待つ必要があるんですよね(RTA風)。
異世界のお金や武器を見せるのも手ですが、疑惑と言うフィルターがあったら偽札扱いや自作した武器として見てしまうでしょうから、桃達視点ではここでは確定出来ないんですよね。
ここで一区切り着きましたね。
次回はマスター達がシャミ子に家に菓子折りを持っていく原作回をするか、それを軽く流してオリジナルをするか悩んでます。
カズマさん居ても大筋は変わらないけど、まちカドまぞくの話が一気に進む場面なので、書かないと今後の話がゴチャゴチャするんですよねぇ。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬