説明回が続きますが、説明入れないとカズマさんが情報不足で話に付いていけなくなるので必要となります。それと、まちカドまぞくを知らない人向けの説明回でもありますし。
それでは本編どうぞ!
第九話 魔族説明! 闇の女帝シャドウミストレス優子の事情?
「マスター、マスター、マスター!」
「どうしたんだい優子君。バイトの時間にはまだ余裕があるから、そんなに急ぐ必要は無いよ」
「何かあったのか?」
シャミ子邸へお邪魔してから数日後。シャミ子の体調は治り、万全になったと電話で聞いたマスターは早速今日からバイトを頼んでいた。一応、疲れが溜まってる可能性があるので、早めに上がらせる予定ではあるが。
勢いよくあすらへと入ってきたシャミ子だが、バイトの時間まで後30分以上はある。早く来てくれるのに越したことは無いが、そんな勢いよく入ってきてはどうしたのかと、マスターとカズマは心配になった。
また、リコは現在調味料の買い出し中のため不在である。開店前には戻ってくるだろうが、仮に時間がかかってもシャミ子とカズマは料理が出来る。リコのような心を癒す効果は無いが、ピンチヒッターとしては充分な活躍が期待できるだろう。
「はい! まずご先祖からの助言で私の記憶の中に入りました。夢の中にも入れる能力のようですが、私にはよく分からないです。それでその能力を使って、猫さんと話した内容を見ることにしました。そしたら私の中に桜さんが居て、なにやら私の身体に桜さんのコアが埋まってるようです。私が強くなれば桜さんは復活出来るようになります。なので私が頑張ればお父さんをミカン箱から解放することが出来ます! あと桃が闇落ちしました!」
「……なんて?」
「夢に入れるって所を詳しく」
マスターはあまりの情報量の多さに、話が右から左へと流れていってしまった。そしてカズマはシャミ子の能力の一つである「夢に入れる」と言う部分に意識を持っていかれ、話を聞いていなかった。
後者は兎も角として、今の話を聞いて初見で理解出来る人間は居ないだろう。マスターがもう一度話を聞こうとするのは必然であった。
「えっと……一つずつ説明しますね。まずはですね」
「シャミ子よ、ここは余が説明しよう」
「あれ、リリスさんの声が聞こえる」
シャミ子が一つ一つ説明しようとすると、突然リリスの声が聞こえた。聴覚からではなく、テレパシーのように脳内からではあるが。
カズマとマスターはキョロキョロと小人サイズのリリスを探していると、シャミ子はペットボトルサイズの像を取り出した。
「これがご先祖です」
「これが!?」
カズマは目を見開いて、シャミ子の持つ像『ごせん像』をマジマジと見る。異世界で何かが封印されてるのは見たことはあったが、それは建物の奥深くや土地自身であったりしたため、こんな持ち運べる像に誰かが封印されてるのは初めて見たのである。
「ふむ。余達の一族が使う能力について説明しようと思ったが、最初は余自身の説明が必要だな。余はシャミ子のご先祖で、昔色々あって封印された魔族だ」
「一応聞くけど、その封印って「封印のある土地ってカッコいいよな」って理由でリリスさんが封印されたとか無いよな」
ここはあんなふざけた異世界では無いのは分かっている。分かってはいるが、今までの経験から封印されたモノの経緯にはろくなものが無いため、カズマはどうしても確認したくなった。
「おいカズマ! 貴様は余のことをなんだと思っておる! そもそもそんな理由で封印を施すヤツが何処に居る!」
「…………俺の世界に居る頭のおかしいアークウィザード達です」
リリスはあまりにもふざけたことを言うカズマに怒ったが、現実から目を逸らすように、死んだ魚のような目をして下を向くカズマに、リリスは何も言えなくなった。
実際、カズマの世界では『紅魔族』と呼ばれる頭のおかしいアークウィザードの集団が居る。彼らは里に迷い込んだグリフォンを石化させて、カッコいいと言う理由で観光名所にしている。
また、里に魔王の城を覗き見し放題の展望台が置いてあり、魔王の娘の部屋すら覗けるとか。そして実力が高いため、1000体の魔王軍が攻め込んできても簡単に返り討ちに出来る実力を持つ。それを観光名所にしようとする辺り、やっぱり頭がおかしいが。
「あの、なんかすまんな」
「いえ此方こそ」
「話を戻すと、優子君は魔族の血を引き継いでいて、人の記憶や夢に侵入する力を持っているってことで良いのかね?」
微妙な空気をどうにかしようと、マスターは話題転換のためにリリスとシャミ子が話した内容を纏め、リリスへとその解釈であっているかを確認する。
「正確にはあらゆる有情非情の無意識に侵入する力ではあるが、大体あってるぞ。ちなみにだが、そんな余達のことを夢魔と呼ぶものも居るぞ」
命を持つ生物や、命を持たない石などの無意識に入って記憶を改竄する能力である。そして改竄された本人は改竄された事実に気付かない恐ろしい能力である。
リリスはこの能力の危険性を充分理解してるが、シャミ子自身は「桃の過去を知れるよ、わーい!」程度の認識である。この能力を片手で数えられる程度しか使った事の無いのも、能力について深く理解してないのに関係してるだろう。
「その能力を使ってエッチなお願いをするのは」
「嫌に決まってるだろう!」
「嫌に決まってるじゃないですか!」
「カズマ君……」
しかし、そんな恐ろしい能力を聞いてカズマはぶれる事は無い。それどころか、能力を扱える本人に真正面から「エッチなお願い」をするほど精神が図太い。
流石のシャミ子とリリスもそんな質問はされると思わなかったのか、二人して否定する。リリスはごせん像のため表情の変化は無いが、きっとシャミ子と同じように顔が赤くなっているだろう。
「な、なんだよ。試しに聞いてみただけだろ? それに俺の世界にも人に夢を見せるモンスターが居たから、同じこと頼めないか気になっただけだよ」
「頼んだことあるんですね」
カズマの名誉のために補足をすると、アクセルの街にはサキュバスが住み着いている。本来ならモンスターとして討伐対象の彼女達ではあるが、男性冒険者にエッチな夢を見せる変わりに、欲望の感情を吸って生きる。
そうして彼女達は生き、男性冒険者は対価として彼女達を見逃す。カズマもその例にもれず、彼女達の世話になっている。あまりにも彼女達の事が忘れられず、レベルが上がっても始まりの街アクセルに住み着く男性冒険者は多いが、今は関係ない話である。
「コホン! それで、その能力を使ってシャミ子自身の記憶に入り、10年前の記憶を調べることにしたのだ」
「そこからは私が話しますね。記憶の中に入るとご先祖とは違う声が聞こえて、その声の通りに動くと、桜さんが現れました! どうやら桜さんはこの前話した猫さん、つまりはコアの状態になって私の所に会いに来て、私の身体にコアを埋め込んだそうです」
シャミ子は自身の入院していた頃の記憶へと入り込み、そこで謎の声、もとい桜の声に導かれて自身の病室へと案内された。
病室の扉を開けると桜のコア、つまりはマスターが見た猫がシャミ子と話しており、話が終わるとシャミ子の身体へとその
「桜殿が優子君の身体にコアを埋め込んだ? いったいどういうことかね」
「実は私、昔は一族の呪いで身体が弱かったんです。そんな私が生きられるように、コア状態の桜さんは私の中に入ったよう身体をささえているようです」
「なるほど。じゃあ僕が見たのは、桜殿が優子君へと向かう途中の所だったのか」
マスターはコアについて詳しくないため、身体の中にコアを埋め込める事を知らなかった。いや、マスターに限らず他の魔族や魔法少女でも知っているものは少ないだろう。けれど、実際に行えてるのだから出来ることなのだろう。
「記憶の中から桜さんを連れ帰ろうと思ったんですが、今はちょっと出来ないようでして。私が強くなれば復活出来ると言ってましたが……正直、出来る気がしません」
シャミ子の中に居る桜は現在コアの状態。シャミ子が強くなる、つまりは魔力が増えれば桜の復活が出来る。だが、その基準は5tのタイヤを持ち上げられる桃と同等近くの強さである。
誇張して話したのかもしれないが、それぐらい強くならないと街を守れないとも言いたいのだろう。シャミ子からすれば、桃の強さは雲の上のような存在だ。そこまで強くなれる気がしない。
「そう責任を持つ必要なんか無いだろ。それに責任を強く持たない方が良いぞ? そんなことしたら、悪名高い貴族のおっさんに無理矢理結婚式を挙げられた挙げ句、パーティーメンバーに結婚式をぶっ壊されて、おっさんに夜逃げされてバツイチになったどっかのクルセイダーのようになるぞ」
「それはむしろ何があったんですか!?」
カズマなりの冗談だと解釈したシャミ子だが、これは実際にあったことだったりする。カズマのパーティーメンバーの一人、クルセイダーのダクネスは責任感の強い性格をしている。
パーティーメンバーを、そしてアクセルに住む人々を守るために自身が嫁に行く形で、悪名高い貴族のおっさんと結婚式を開いた。結果としてはカズマ達、そして多くの冒険者達の手を借りて結婚式所ではない騒ぎとなり、おっさんはその夜に姿を消し、ほんの一瞬とは言えど結婚したダクネスはバツイチとなった。
「でもそうですね。カズマさん、ありがとうございます。桜さんの事やお父さんボックスの事で責任を感じてました」
「気にす……おいちょっと待て、お父さんボックスってなんだ」
気にすんなと言おうとしたが、それ以上に気になる単語が出てきて思わず突っ込む。頭に残りやすい響きの言葉であるが、意味が全く分からない。
「お父さんボックスは、桜さんが何かしらの事情で封印してしまった私のお父さんが入った段ボールです」
「説明されても意味が分からん!」
呼んで字の如くのため、説明しようにもこれ以上は話すことが無いので困ってしまう。しいて言うのであれば、そのお父さんボックスの封印を解く方法を知るために、桜の力を借りようとして、桜を探していたことぐらいだろう。
「おっと、もうこんな時間か。僕は開店の準備をしてるね」
時計を見ると、開店まで残り10分となっていた。時間通りに開店出来るようにと、マスターは最終確認のためカウンターへと引っ込んでしまった。
「それじゃあ俺も」
「あ、そうだカズマさん! 桃が闇落ちしておへそを出る格好をしてました。私の眷属になったように見えてカッコいいです!」
「その話詳しく」
カズマも開店の準備をしようとしたが、桃の闇落ちした姿を聞いて態度を一変させて、シャミ子の言葉を聞き逃さないよう、耳をすませる。
桃が闇落ちしたのは、凄い悪そうな魔族に闇討ちを食らった訳ではなく、シャミ子を助けるためである。10年前の記憶を探ろうと能力を使ったシャミ子であるが、使いなれない能力に失敗し、数日は目覚めず、悪夢に魘されるようになると知った。
そんなシャミ子を見てられず、シャミ子の記憶に入る条件「魂が親族レベルで近い」をクリアするために、一時的にシャミ子の眷属となるため闇落ちし、シャミ子を助けたのが理由である。
「お主ら……」
リリスが呆れる中、二人はあすらが開店するまで、桃の格好についてひたすらに語り合うのであった。案外、この
書いてて思った。やっぱシャミ子とカズマさんは相性が良いな。
想定外の行動と幸運でハッピーエンドに持っていくシャミ子と、悪知恵を使った戦略と高い幸運で相手を倒すカズマさん。ただし、二人とも調子に乗ると痛い目に合う。
今回で原作3巻は終了ですね。正確には今回の話は3巻と4巻の中間辺りではありましたが。
次回は短編集の予定です。それとは別でオリジナルでやりたい話はありますが、ここ数話は説明会が続いたので箸休めとして短編を。
カズマさんが色々と魔法を使う話や、商店街の人と交流を深めてもらう話の予定です。
【第二回】この作品で好きなキャラ投票!
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佐藤カズマ
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吉田優子(シャミ子)
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千代田桃
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日夏樹ミカン
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マスター
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リコ
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リリス
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吉田良
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吉田清子
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佐田杏里
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小倉しおん
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犬のお姉さん
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犬