今年も細々とやっていくのでどうぞよろしくお願いします(この作品は後は小ネタやって終わりですが…
今回は3章被害者の会で脳筋バカ担当からお送りいたします
事件が終わり病院からも解放された一同だが、その中でも一部の面々は後遺症?が続いていた。
「…いい時間だから練習はここまでにしましょう」
「分かりました。今井さん、クッキー焼いてきてますよね?」
「あっ、気が付いたの?」
「匂いで分かります。それとシャンプー替えましたね?湊さんも一緒のを使ってますね?」
「そうそう。いいの教えてもらってさ~、友希那もお揃いなんだよね~。クッキーは帰る時に渡すからね~」
「「「……」」」
後遺症を引きずっている1人である紗夜。
彼女はリサの匂いからクッキーを持っていることと友希那と一緒にシャンプーを変えたことを言い当てたことに周囲がその様子に完全にドン引きしていたが、当の本人はそれに気が付いている様子もなく、平然としていることに困惑を隠せなかった。
「あっ…そう言えば白金さん」
「ひぃ…ひゃい…」
「何で噛んでいるのか分かりませんが…?」
「にゃ…にゃんでもないれしゅ…」
「…?」
そんな状態で紗夜から声をかけられた燐子は光の無い目をした紗夜にいきなり声をかけられたことに動揺して返事を噛んでしまっていたが、紗夜はそんな燐子に首を傾げはしたがすぐに意識を戻して本題に入っていた。
「こう聞くのも変ですが…しっかりと寝れてますか?」
「はい…?」
「いえ、目の下がうっすらと隈が出来ていたので…」
「えっと…特に問題にはなってませんが…あこちゃん…どう…?」
「うーん…言われてみれば黒くなってるような…なってないような…?」
「私には分からないわね…でも、言われてみれば少し色が違うような…?」
「氷川さん…怖い…」
紗夜の言葉を聞いてあこと友希那が燐子の顔を確認するが、殆ど気が付かないレベルで隈が出来ているような気がし始めていた一同だが、言われてそこを注視しなければ絶対に気が付かないようなレベルのそれをあっさりと見つけた紗夜に燐子は完全に引いていた。
そこで話が終わったかと思ったが、今度は燐子ではなく別の人物が標的になっていた。
「そういえば、宇田川さん」
「ひゃい!!」
「さっきの練習で些細な事なのですが…1番と2番のサビ入りの所で気になったことがあったのですが…」
「サビ入りで?演奏は及第だと思ったのだけれど」
今度の標的はあこ。
彼女も燐子同様に返答を噛んでいたが、練習についてと言う事で友希那が珍しく興味津々と言った表情を浮かべて紗夜の言葉を待つ。
そして、彼女の口から出てきたのは完全に異質過ぎる言葉だった。
「手数が多いですが、スコア上では1番と2番のサビ入りは同じフレーズのはずです。それなのに、1番と2番でステックの振り挙げる角度がコンマ6度程違うのは何か意味があるんですか?」
「「はい…?」」
「…いえ、スコア通りに演奏が出来ているので問題は無いのですが…」
紗夜はあこがドラムスティックを振り挙げる角度が違うと言い始めていた。
あことしてはある程度は自分が叩きやすいように腕を動かしているが、その際にスティックを振り上げる角度など殆ど気にしておらず、そんなことを指摘されてあこもそれを一緒に聞いていた友希那も困惑の言葉を漏らしてしまっていた。
紗夜も自身の疑問に間抜けな言葉が返ってくるなど思ってなかったのか、珍しく空気を読んで変える準備をするように促し始めていた。
「ん~!!今日も練習したね~!!」
「えぇ、しばらくぶりに思いっきり演奏した気がします」
「「「……」」」
何気なく練習について話し合う紗夜とリサの2人の後ろを他の3人は軽く引いた目で見ながら帰路についていた。
普通に考えれば僅かな匂いからクッキーやらシャンプーを変えたことに気がついたり、殆ど分からない隈を見つけたり、コンマ角度の違いを指摘してくる時点で相当にヤバい。
だが、それを気にすることすらせずに会話が出来るリサも相当にヤバいのでは?と一同は訝しんでいた。
だが、そんな状況は一瞬で崩壊した。
「おねーちゃーん!!」
交差点に差し掛かったタイミングで、日菜が紗夜の姿を見つけて陸上選手と見紛うほどの速度で紗夜へと突撃し始めていた。
声は聞こえて振り向いたら対応できないほどに鋭い走りを見せる日菜だったが、今の紗夜にただの突撃は悪手でしかなかった。
「へぶっ!?」
「日菜…いきなり飛び掛かるのはやめなさい」
「痛い痛い痛い!!」
「いきなり飛び掛かってくるからよ。反省してるのかしら?」
「いたたたたた!!割れる!!割れる~!!」
「うわぁ…紗夜さんがヒナちんにアイアンクローしてる…」
紗夜は横から突撃してきた日菜の頭を一瞬で捉えてそのままアイアンクローをしながら日菜の頭を持ち上げていた。
姉の対応に追い付けなかった日菜は余りの痛みに紗夜の腕をタップして限界だと訴えるが、紗夜はそれでも手を放すことなく更に力を入れて締めあげていく。
その状況の中で日菜が走ってきた方向から見知った4人が紗夜達の方へと歩いてきていた。
「ちょっと日菜ちゃん!!って、紗夜ちゃん達!?」
「あっ!!彩達じゃん!!パスパレは仕事終わり?」
「そうっすね。リサさん達Roseliaは…練習ですか?」
「そうそう。さっき終わって今帰りなんだよね~」
「そっちも練習お疲れ様」
「おねーちゃん!!本当に頭が割れる!!割れちゃう~~!!」
「この程度で頭蓋骨が割れる訳がないわよ」
「千聖ちゃんも麻弥ちゃんもそんな話してる場合じゃないよ!!日菜ちゃんが大変なことになってるから!!」
日菜の後からやってきたのはパスパレの一行。
だが、恐ろしいのは日菜が一方的にやられている現状を見ても麻弥と千聖は完全にその事を放置して世間話に興じているという事実にたまらず彩がツッコんだが、状況は全く変わらない。
「イヴちゃん!!助けて~!!」
「ヒナさん!!ブシドー!!」
「イヴちゃん!?どこから出したの!!その竹刀!!」
「彩ちゃんにしては珍しいわね~」
「綺麗な五七五っすね~」
「そうだね~。あっ、紗夜の頭を狙ってる」
変わらない今が嫌になったイヴが業を煮やしてのと日菜の助けを聞いて、どこからか竹刀を取り出すと紗夜の頭目掛けて竹刀を振り下ろした。
―――が紗夜の頭を捉えることはなかった。
「遅いですよ…」
「なっ!?」
竹刀を振り下ろされた紗夜だったが、彼女は日菜を放すことすらせずに迫ってきた竹刀を片手で止めたが、問題はその受け止め方だった。
「えぇ~!?」
「紗夜さん!?」
「紗夜…指の先で竹刀を挟み込んだわよ…」
「怖い…」
「見てから回避は余裕だよね?」
「リサちゃん…私も見えたけれど動けないわよ…」
「ジブンは近づかれる前に何とかしないとダメですね~」
あろうことか紗夜はイヴが振り下ろした竹刀を指の先端で挟み込んで白刃取りと言うとんでもない動きを見せていた。
そんな状況に普段ならカッコよさに言及するあこですらドン引きしており、その横ではリサ達も完全に思考が明後日の方向に向かっていた。
遂にその時がやってきた。
「あっ…いしきが…と…」
「あ~!!紗夜さん!!ストップ!!ヒナちん意識飛んでるから!!」
紗夜によって締めあげられ続けていた日菜は遂に痛みから意識を手放してしまった。
その事をあこが指摘するが紗夜はそのままヒナを掴んだまま放すことはせずに、光がない目をした顔で皆へと振り返っていた。
「「ひぃ!!」」
「とりあえず日菜を家に置いてきますから、これで失礼します。今井さんは市ヶ谷さんの家で…」
「えぇ……お疲れ…」
余りの迫力に燐子と彩が小さな悲鳴を上げるが、紗夜はその悲鳴を気にすることもなく、
他のメンバー達に別れを告げてから日菜の頭を掴んだまま引き摺って家路についていく。
その圧倒的な光景を前に呆然としていた一同は不意に我に返り―――――
「「「「しばらくは紗夜を絶対に怒らせない様にしよう…」」」
残された一同は目の前で繰り広げられた状況を見て、心を一つに合わせるのだった。
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