これは市ヶ谷さん主人公ですわ…
有咲の体当りによって体勢を崩した紗夜はこの後来るであろう追撃に備えようと身構えたが、そんな紗夜の予想に反して有咲からの追撃が来ることはなかった。
「追撃がっ!!…来ない?」
その状況に紗夜の頭の中では追撃しないことの理由を考えていたが―――
「くっ…
考えすぎて……頭の中が沸騰してるみたいだ…即興での予想は負担がデカすぎる」
有咲は追撃をしなかったのではなく、追撃が出来なかったのだ。
紗夜は普段からパーフェクトストライクやデスティニーガンダムSpec2と言ったあらゆる距離で戦えるように豊富な武装を取り揃えた機体を好んで使用しているが、アカツキを使う有咲にとっては遠距離武器の通りが悪く、近距離も対艦刀にビームサーベル、ブーメランにデスティニーならパルマフィオキーナと武装こそ多いものの武装の構えから攻撃の予想を絞りやすいのだが、今の紗夜が操るクロスボーン・ガンダム。
その機体には既に使用不可能になっているフロントスカートのシザーアンカーに肩部に格納していた2本ビームサーベル、そして未だに1本残している脚部のヒートダガーと奇襲性の高い武装に豊富な手持ち武器を備えていた。
そこから繰り出される可能性がある膨大な攻撃パターンの殆どを予測していた有咲だったが、その予測は彼女の脳に深刻なダメージを与えており、それが紗夜を攻撃する絶好のチャンスだった今一気に噴き出して有咲に襲い掛かり彼女の脳は完全にオーバーヒート状態に陥っていた。
「よく分かりませんが…これ以上時間をかける訳にもいきませんので、決めさせてもらいます!!」
だが、有咲がそうなっていることを一切分からない紗夜は、降って湧いたこの好機を逃さまいと有咲へと向かっていく。
有咲は紗夜の事は視界に入っており、彼女に対応するのに必要な体力も残っていた。
しかし――――
「頭が…回らねぇ…でも、ここで止めなきゃ蘭ちゃんが…」
脳がオーバーヒートを起こしてしまった今の有咲の頭は紗夜に対してどう対応するかを考える余力は残っていない。
それでも無理やり頭を回して対応を考え始めてた有咲だったが、そんな状態ではすぐに限界を迎えてしまった。
「ぐぅうううううう!!あぁぁぁあああああ!!」
既に頭が沸騰している錯覚を覚えるほどに酷使していた頭を更に酷使した彼女は耐えがたい頭痛に襲われて思わず絶叫してしまう。
しかし、ここで有咲が紗夜を止めなければ紗夜は先ほどの言葉通りに自身を倒してから蘭に襲い掛かるのを何となく理解していた有咲は限界を迎えてても思考を続け――――
「らぁああああ!!」
「っ!!何か狙ってる…!?」
有咲は無意識でサーベルを振るうがそれは今までのような計算された物ではなく、本当にただサーベルを振っただけなのだが有咲が取っていた今までの行動からかけ離れたもの。
だが、それは紗夜がその行動に意味があるものだと錯覚して攻撃を回避するとそのまま有咲の脇をすり抜けるとそのまま高度を取って有咲を見下ろしていた。
「次で…決めます…」
紗夜は再びブランドマーカーのスパイクを構えた。
だが、ほんの僅かに出来た時間が有咲の頭を少しだけ冷やされると、彼女にうっすらと一筋の光が差した。
「…見えた。勝ち筋が…うっすらと…」
がむしゃらにサーベルを振ったことなど完全に頭から吹き飛んでいた有咲。
だが、その行動で出来たほんの僅かな時間で有咲は今にも消えそうなほどうっすらと見えただが紗夜に勝つための勝ち筋が見つけたが、その成功率は今の有咲にでも分かる程には絶望的なものだった。
少しでも勝ち筋から外れたら2度目はない上に、その見つけた勝ち筋は紗夜の行動1つで台無しになってしまう。
それでも今の有咲にはそれをやる以外の選択肢を選ぶ余裕はなかった。
「何を考えてるかは分かりませんが、何をしようとも次は確実に当てます…!!」
「はぁあああ…こい…!!」
目の前の策などねじ伏せる勢いで紗夜は落下の加速もつけて一気に有咲に向かっていくと、有咲も両手でサーベルを構えて迎え撃つ体勢を整えていた。
「3…2…今!!」
「はぁああああ!!」
有咲は自身の中でカウントを取ってタイミングを取って両方のサーベルを横から挟み込むように振るうが、紗夜は即座にスパイクからシールドに切り替えてそれを防ぐとその場で競り合いになって空中で2人は睨み合いになっていく。
両手が塞がってシールドが張られている状況では有咲はビーム砲を撃てないが、紗夜にはまだダガーが残されており、それで有咲の足を突き刺そうと足を上げようとしたが有咲はダガーの刀身に向けてビーム砲を動かして自分からダガーに刺さりに行っていた。
「…!!ビーム砲を犠牲に抑えた!?くっ!!足が動かない…!!」
「つぅ…!!」
ダガーがビーム砲の砲身に突き刺さったのを見て紗夜はそのままダガーでビーム砲諸共有咲を切ろうとしたが、刺さり方が悪くビーム砲の刀身に刺さったダガーはピクリとも動かない状態になると2人は同じタイミングでスラスターを吹かしていくが、有咲よりも高度を取っていた紗夜が重力も加わって徐々に有咲を地面に向かって押し込んでいく状況に紗夜は既視感を覚えていた。
「以前にバトルした時と同じ状況ですね…」
「そうですね…」
機体は互いに違うが、この状況は以前に蘭と有咲の2人とバトルした時にあった状況と全く同じ構図になっていたが、一緒でもあの時と1つだけ決定的に違っていた。
「ですが、今は仲間の美竹さんはいませんよ」
以前のバトルでは地面に押し込まれた時に蘭からの援護があった有咲だったが、今この場にその時助けてくれた蘭はおらず、徐々に有咲は地面へと押されていくこの状況では2人は勝敗を確信していた。
「かなり苦戦しましたが、これで勝負は見えましたね…」
「紗夜先輩…そうですね…」
「市ヶ谷さん、この勝負は私の―――」
「えぇ…
私の勝ちだ」
「なっ!?」
勝利を確信した紗夜だったが、あろうことかこのタイミングで有咲が自身の勝ちと言い放った事に一瞬だけ驚いて身体が固まってしまった
紗夜が固まっていたのは時間にしたらコンマ数秒ほどの時間しかなかったが、その本当に僅かな時間が2人の勝敗を完全に分けることになった。
「くっ!!ビーム!?レーダーもロックオンのアラートもないのに!?」
突如として緑色のビームが地面から放たれると、有咲と競り合っていた紗夜の背部のスラスターに命中して爆発すると、3つのスラスターが完全に機能を停止した。
だが、そのビームが放たれたタイミングで紗夜の機体はレーダーで敵を捕捉すらしていない上に
今回のイベントでは麻弥が使うような狙撃機体も1機もおらず、ロックオン通知をすり抜けるようなステルス機能を持っている機体はいても3つのスラスターを同時に撃てる機体ではないことも紗夜は把握していた。
「一体何が…っ!?」
それにも関わらず紗夜のスラスターは3つ同時に撃ち抜かれた理由が理解できず、思わず彼女はビームが飛んできた地表へと視線を向けるとそこには信じられない物が目に飛び込んできた。
「アレは…
シラヌイのドラグーン!?」
紗夜の視線の先にあったのもは地上付近からこちらに砲門を向けているドラグーン。
有咲が最初にシラヌイを使っていたため、ドラグーンそのものはあること自体は何らおかしくはないのだが、今の状況は紗夜にとっては異常事態だった。
「何故ドラグーンが!?先ほど7基全て地面に落ちたのは―――っ!?」
彼女が言うように有咲はシラヌイをパージしたのを切り飛ばしたし、その前には彼女が放ったドラグーンの全てが地面に落ちていったのは自身の目で確認をしたはず―――――
だが、それを口にしたのと同時に紗夜の中である違和感が過った。
「サーベルで2基とウェッブで2基……数が合わない…!?」
「別の勝ち筋のために残したのが活きたな…」
シラヌイに搭載されているドラグーンは合計7基あり、紗夜が言うように最初の2基を肩部のサーベルを打ち出して貫いた後に、ウェッブを振るって2基のドラグーンを叩き折った。
4基は確実に損傷させて落としていたのは把握していたが、残りの3基には損傷らしい損傷を与えてはいなかった。
紗夜はウェッブでドラグーンを叩き折った際に全てのドラグーンは地面に向けて落ちていたのを確認して全て破壊したと思っていたが、実際には3基のドラグーンは無傷でこのタイミングになるまで温存していた有咲の強かさに紗夜は驚愕しながらも残った1つスラスターを使ってなんとか地面に着地しようとしていたが、バランスが取れずに有咲よりも高度が下がると有咲は一気に畳み掛けた。
「これで…!!」
「っ!!まだです…!!」
「バルカンか!!ちっ!!」
スラスターが潰されて落ちていく紗夜に対して有咲は潰されていないビーム砲を紗夜へと向けたが、紗夜は咄嗟に機体を捻ると即座に頭部バルカンを放ち、ビーム砲の砲門へと命中させていた。
その攻撃でオオワシは爆発すると察した有咲は即座にオオワシを分離してそのまま紗夜へ向けて放つも紗夜は分離したオオワシへとバルカンを乱射するとそのままオオワシは空中で爆発すると近くにいた有咲の両手からサーベルが零れ落ちる。
それを確認すると同時に紗夜は再び地面に機体を向けるとドラグーンから来るであろうビームを防ぐためにシールドを張って防ぐ構えに入っていた
紗夜は上空にいる有咲を警戒はしていたものの残っているのは片刃のサーベルが1本のみで、同じように落下している有咲が近づいても相対速度から考えても余裕で反応できる速度にしかならない。
そんな風に紗夜は考えていたが、有咲はそんな彼女の予想を完全に上回っていた。
「接近警報…!!」
地面を向いていた紗夜。
そんな彼女の機体は自身の上空から有咲が接近してくることを見逃さずに、アラートを出して警告したのを聞いた紗夜は機体を反転させようとしたが、紗夜は完全に接近してくる速度を見誤っていた。
「早いっ!?ぐぅううう!!」
上空から落ちてきているはずの有咲だったがその速度は紗夜が想定していた速度よりも格段に速く、紗夜が反転する前に激突してしまい、彼女は有咲の手によってそのまま地面に押し込まれると機体正面からそのまま地面に激突してしまった。
「ぐっ…機体ダメージが…ですが…市ヶ谷さんはまだ生きてる…」
スラスターは完全に大破して機体本体にも大ダメージを受けるが、紗夜の機体はまだまだ機体は戦える事を把握した紗夜は近くに落ちたであろう有咲を迎え撃とうと立ち上がろうとした。
しかし、紗夜は立ち上がることが出来なかった。
「背中に何かが…」
紗夜は背中に何かを押し付けられて立ち上がることが出来なかった。
そして、今この場で紗夜の事を抑えられるのは有咲のみ。
「市ヶ谷さん…!!」
紗夜はそのまま後ろを振り返って有咲の姿を確認したが、彼女の目の前には信じられない物が飛び込んできた。
―――両脚は巨大な足を思わせる大型ブースター
―――機体の腰部から背部にかけて巨大な砲身とミサイルポッドを背負い
―――そして、機体の全高を上回るほどに長大なリニアキャノンの銃口が紗夜の背中に押し当てられていた。
「ゼウスシルエット…っ!?」
紗夜の背後にはゼウスシルエットを装着し、リニアキャノンの銃口を押し付けている有咲のアカツキ。
ドラグーンの隠蔽以上にとてつもない隠し玉を用意していた有咲。
だが、抵抗しようにも両手は地面についてブランドマーカーも展開できず、足のヒートダガーを打ち出そうと紗夜は足を動かそうとしたが――――
「チェックメイトだ…」
有咲はゼウスシルエットのリニアキャノンを最後の抵抗をしようとする紗夜へ向けてゼロ距離で発射するのだった。
「有咲~!!かっこいい~!!」
「あはは…有咲…紗夜先輩相手にあそこまでやる…?」
「でも、凄いカッコよかったよ?」
「でも、叫んだと思ったらあんな風になってたけど…なんだったんだろ…?」
「確かに…アレはなんだったんだろ?よく分かんないや」
「でも、まだバトルは終わってないからね…そう言う訳で次回"ライジング・サン"」
誤字報告・評価感想をお願いします。
判明チーム
チーム羽沢珈琲店2Pt
つぐみ(バルバトスルプスレクス)・イヴ(ゴッドガンダム)・つくし(ジム・ストライカー)
チームドラマー2Pt
ますき(エクシアリペアⅡ)・巴(辟邪)・花音(スローネドライ)
チーム2年A組1Pt
あこ(デスヘル)・ロック(マドロック) ・明日香(デスティニー)
チームパレ町1Pt
パレオ(SDゼロカスタム)・七深(ハシュマル)・燐子(エアリアル)
チーム月ノ森1Pt
透子(NT-C装備)・ましろ(ターンエー)・そよ(デストロイ・小破)
チーム瀬田薫とお姫様達1Pt
薫(ギャン)・りみ(サイコガンダム)・ひまり(ヒルドルブ)
チームmedley(寄せ集め)1Pt+3Pt
有咲(アカツキ)・蘭(ティターニア)・瑠唯(AGE3-ノーマル)
運営サイド
紗夜(クロスボーンガンダムX1フルクロス)・千聖(ケルベロス・バクゥ・ハウンド)
美咲・リサ・麻弥:解説