今回は感想でネタを出されたイベント後の紗夜さんへの罰執行をお送りします。
でも、これをされたら完全に崩壊してしまいますわ…
Ex01-イベントの後始末
イベントバトルが終わり、リサと千聖によって控室へと連行された紗夜。
しかし、今の彼女にはイベント終わりの達成感ではなく、満面の笑みの下に隠されている2人の怒りという恐怖に襲われていた。
「紗夜、座って?」
「えっ…」
「座って?」
「はい…」
満面の笑みを浮かべるリサだったが、今の彼女には普段見せている様な優しさなど微塵も感じることが出来なかった彼女は言われるがまま控室の椅子に座ろうとしたが――――
「紗夜ちゃん、違うわよ?」
「白鷺さん?どうしました?」
「何をしてるのかしら?」
「座れと言われてので椅子に…」
「何をバカな事を言ってるのかしら?ほら、座るのはそこよ?」
「床…?」
「はやく…」
「…はい」
椅子に座ろうとした紗夜を千聖が止めると、彼女は満面の笑みを浮かべて椅子の手前の床を指差していた。
紗夜は流石に床に座るのもどうかと思って反論しようとしたが、千聖が繰り出した笑みの恐怖に敗北して言われるがままに椅子ではなく地面に正座していた。
「紗夜ちゃん?あなた、始まる前になんて言われたか覚えてるかしら?」
「はい…その…バトルをすると」
「違う!!…いや、バトルするのはあってるけど!!肝心なところが抜けてる!!」
「頭が痛くなるわね…」
2人は紗夜に今回の話について聞くが、肝心な部分が完全に抜けていた。
リサはその事をツッコむ横では千聖が頭を抱えていた。
「紗夜ちゃん…バトルするのはあっているけれど、全力を出すなって言われてたでしょ?
だから、私だってどっちかと言えば得意な空中戦が出来ない機体で射撃武器だって制限してたのに、紗夜ちゃんは完全装備をしてた上に全力出してたわよね?」
「白鷺さん?バトルで手を抜くのは失礼だと思いますが?」
「あの中だとあことか燐子達みたいな経験者よりも初心者の方が圧倒的の多かったでしょ!?手を抜くのは失礼だと言うのも分からなくはないけれど、あのメンツで紗夜がバトルで本気出したらイベントがご破算になるでしょーが!!
だから、装備制限したりして全力で戦えない様にしてって言われてたでしょーが!!」
「ですが、私が全力を出しても市ヶ谷さんに落とされてしまいましたが?」
「…はぁ…紗夜ちゃん?有咲ちゃんなんて例外中の例外よ?もしも紗夜ちゃんが薫や花音達と戦っていたら一方的なイジメになって落としてたわよ」
「なら問題なかったですね。私の目的は市ヶ谷さんと戦うことで、他の参加者を狙うつもりはありませんでした。
それに他の参加者と遭遇した時は全力で切り抜けるだけで、落とすつもりはありませんでしたから」
紗夜の言葉を聞いた千聖は説教の仕方を変えて、あえて子供に何が悪かったのかを問いかけるような優しい言葉をかけたが、紗夜はバトルで手を抜く方が失礼だというもっともらしい言葉を返すと、そんな紗夜の言葉を聞いたリサは紗夜の考えには理解を示しながらも、紗夜の実力で全力を出したらイベントその物が崩壊していた可能性を述べ、千聖も実際に紗夜を落とした有咲ではない相手と戦った場合の話をした。
しかし、紗夜は実際に起こった事実とそもそも有咲以外は眼中に無いというとんでもない発言をしてみせると、流石に千聖はこの言葉が信じられずリサの方に視線を向けていた。
「リサちゃん?紗夜ちゃんが日菜ちゃん以上のバカになったかもしれないわ…」
「千聖、バカになったかもじゃなくて、正真正銘のバカなの。日菜達はちょっとど忘れする程度で完全に覚えてないなんてないでしょ?」
「…そうだったね。日菜ちゃんが何かをやる時は盛り上がる時とかにやるし、言われたことは覚えてるから…彩ちゃん以上の馬鹿ね…」
「そうだよ。あの2人以上にバカだよ…」
千聖はあろうことか紗夜の事を日菜以上のバカだと頭を抱えたが、リサはそれを真っ先に否定した。
確かに千聖の周りでは、彩や日菜は何かをしでかすことはあったが、彼女達は注意されたこと自体は頭の中で記憶していながらも深く考えずに何かをやらかしたり、ど忘れでやった後に思い出したりしていた。
しかし、今回の紗夜に至っては自身が言われたが全く頭に残っていないという見方によっては先ほどの例に挙げた2人以上に質が悪く、思わず紗夜の事をバカだと言うが言われた本人は床に正座しながらも不満そうな表情を浮かべていた。
「2人とも失礼では?私はバカではありません」
「「うるさい、バカ」」
「えっ…」
「少なくとも少し考えれば、あくまでもバトルを誘うために参加していた私達が参加者を落とすって考えにはならないわよ」
「そうそう。紗夜はバトルが絡むと途端にIQが下がってバカになるのは知ってたけど…改めて酷さを実感したよ」
「そうよね。今思えば、最初のイベントでRGなんて出してくるなんてバカの所業よね」
「うんうん。それにそれを準備するために有咲の蔵に勝手に住み込んでまで準備してたしね~」
「なっ!?今回のクロスボーンは市ヶ谷さんの蔵ではなく大和さんの家で―――!!あっ…」
「人様に迷惑かけるな!!おバカ!!」
紗夜は自身がバカにされていることに対して意見するが、今度は千聖とリサが事実を言って紗夜を攻撃し始めると、紗夜は口を滑らせてしまい、更に自身の墓穴を掘ってしまうとその事でリサが紗夜に対して怒りだしていた。
「リサちゃん。このバカは何を言っても無駄よ。痛い目見せておかないと…」
「そうだね…どうする?とりあえず、しばらくはポテト禁止令として…」
「異議あり!!ポテトに罪はありません!!」
「紗夜ちゃん。意味が分からないし、そもそもあなたに発言権がないので却下します」
「白鷺さん!!横暴です!!」
「「黙れ、バカ」」
「リサちゃんどうしましょうか?何かいい案あるかしら?」
「首から看板でもぶら下げてRiNGの入口に磔にする?…2日くらいならいけるっしょ?」
「…ぬるくないかしら?」
「大和さん…!!そこで見てないで助けてください!!」
「ジブンっすか…。心情的には千聖さん達側なんですけど…」
「そこをなんとか…!!」
問題を起こした紗夜への制裁を考え始めたリサと千聖だったが、当の本人は藁にも縋る思いで今まで沈黙を保っていた麻弥へと泣きつき、麻弥は困ったような表情を浮かべていたが、何かを思いついて2人の方へと歩み寄っていく。
そんな2人に向かっていく姿を紗夜は希望に満ち溢れた表情を向けていたが――――
「千聖さん!!」
「麻弥ちゃん?何かしら?今、そこのおバカをどうするか考えているのだけれど…」
「ジブンにいい考えがあります!!」
「大和さん!?」
その希望は即座に絶望へと変わってしまった―――
「麻弥ちゃん?いい考えって?」
「ジブンとしてはあそこまで無理させれてしまった市ヶ谷さんに対して詫びを入れるべきだと思います!!」
「…詫び?麻弥、流石に指は詰めさせられないよ?」
「そうよね?ギタリストだもの…丸坊主にでもしましょうか?仕事はウィッグで誤魔化せるでしょうし」
「いやいや、そこまでさせる訳ないじゃないですか!?」
いや、リサと千聖は麻弥の提案に対して想像の遥か上を行くほどにバイオレンスな事を考えていたことに、麻弥は全く別方向に考えていた。
「肉体的にはまずいので…とりあえずはこの後にやる全体打ち上げと、市ヶ谷さん達がチームでやるであろう打ち上げの費用を全額負担…でどうでしょうか?」
「仕方ないわね。麻弥ちゃんがそういうならそうしましょうか…」
「だね~。これ以上時間使うのも無駄だしね~」
「…分かりました」
麻弥が考えたのは”全体の打ち上げと有咲達が個別打ち上げの費用を全額負担する”と言う分かりやすく紗夜にダメージが入る提案。
彼女から出された提案と言うこととこれ以上紗夜に時間をかけるのは無駄と判断された2人によって紗夜への制裁が決定すると、紗夜は肉体的なダメージを受けることがないと内心安堵していたが、リサと千聖の行動は早かった。
「よし!!麻弥ちゃん!!打ち上げ費用は紗夜ちゃん持ちに決定したから、今から注文するモノ考えるわよ!!」
「待ってください!?白鷺さん、注文ってなんですか!?」
「何って打ち上げで食べる軽食に決まってるじゃない。リサちゃん、あと一時間位でイベント全体が終わるからそれまでに決めるわよ!!」
この2人、打ち上げ費用が紗夜持ちと決まった途端に2人はスマホとにらめっこして打ち上げに用意するモノを生き生きとした表情で考える2人に対して、紗夜の表情は見る見るうちに青くなっていく。
「千聖!!アタシは寿司!!寿司食べたい!!」
「良いわね!!私は紅茶と…ケーキが良いわね。飲み物は…香澄ちゃん!!」
「千聖先輩!!呼びましたか!?」
「今日の打ち上げは全額紗夜ちゃんが出してくれる事になったから、香澄ちゃんはみんなに打ち上げで食べたいものを大至急聞いてきてちょうだい!!」
「因みに寿司は確定してるからね~」
「お寿司…!!千聖先輩!!任せてください!!」
「香澄~。紗夜がお金出すってのはみんなに言ったらダメだからね~」
「分かりました!!」
「あはは…ジブンが提案しておいてこういうのもなんですが…紗夜さん、ごちそうさまです。あっ!!リサさん。あんまり高いのだと舌が合わないですので、チェーン店のにしましょう!!」
「おっけー。紗夜、この調子で行くと…財布の中身消し飛ぶよ?」
「あっ…お金…降ろしてきます…」
こうして紗夜への制裁が決まり、紗夜はリサに言われるがまま正座で痺れた足でふらつきながら、ATMへと歩き出す。
そんなことがあった数日後―――
「友希那さん。この間RiNGであったイベントの打ち上げ凄かったんですよ!!」
「そうなの?」
「はい…ジュースやクッキーのような軽食だけではなく、中華のオードブルやピザにお寿司まであって…普通では考えられない程に豪華でした…」
「そんなことがあったのね…」
Roseliaの面々は今日も事務所のスタジオで練習に励み、その休憩中にあこと燐子が参加していなかった友希那に打ち上げについての話をしていた。
しかし、その話をしていた横では若干1名の表情が死んでいた。
「紗夜?あなた大丈夫なの?顔色が悪いようだけれど…」
「大丈夫ではないです…。ここ数日、昼食を食べれていないだけです」
「何があったの?」
「あー友希那、気にしないで。紗夜はちょっ~と散財しちゃって、お昼を買う金が無くなっただけだから」
「…あなた、何をやっているのよ。昼食が買えなくなるまで散財するなんて」
「いえ、その…はい。ちょっとしたことがあって…」
「紗夜、あなたバンドに支障が出さないでちょうだい」
「すいません…そろそろ練習を―――」
友希那は表情が死んだ紗夜の事を気にかけたが、リサは紗夜を心配する友希那へと事情を話すとそれを聞いた友希那の目が冷たくなっていく。
そんな目に耐えられなくなった紗夜は練習に戻ることを提案しようとしたが、彼女に悲劇が襲い掛かった。
「あの~…あっ、皆さん練習中でしたか?」
「晴海さん!!いえ、ちょうど休憩していた所でしたから」
「そうでしたか。実は紗夜さんに対しての請求書が郵便で…」
「請求書?領収書の間違えでは…?」
「…?とにかく、これを受け取ってください。先日イベントに出ていたRiNGからです」
スタジオに入ってきたのは彼女達のマネージャーである晴海。
彼女は紗夜に対して届いた請求書を持ってきたが、紗夜は請求書と領収書を言い間違えたのだと考えて何事も無かったの様に晴海から何かが入った封筒を受け取って中身を確認しようとしていた。
「全く、晴海さんも領収書の事を請求書と言うなんて…」
「紗夜?本当に請求書かもしれないよ?」
「流石にあり得ませんよ。全体打ち上げで食事代の約5万と市ヶ谷さん達の打ち上げ代金を見積もって8万円を支払っています。それなのに請求なんて…」
紗夜はリサに支払った金額を伝え、その上でも更に請求などあり得ない。
そんな甘い考えを持っていた彼女は晴海が持ってきた封筒を開いて中身を確認するが―――――――
「本当に請求書でした…」
「「「えっ…?」」」
「紗夜…?一応聞いてみるけど、おいくらほど…?」
「切りよく10万円です…」
「マジ?」
「氷川さん?封筒落としました…あっ…ちゃんと、レシートの明細も入ってますね…」
紗夜が開いた封筒の中身は晴海が言った通り、RiNGからの請求書。
請求書が来たことに驚いた友希那達を他所にリサは興味本位で金額を聞いたが、その金額はあろうことか彼女が想像していた金額の遥か上を行っていた事に目を丸くして驚いていた。
しかし、当の本人である紗夜は請求書が信じられないのか完全に固まって請求書が入っていた封筒を手放してしまうが、それは運悪く燐子の足元へと飛んでいき、燐子はその中に会計の明細が入っていくことに気が付くと思わずそれを手に取って確認してしまっていた。
「りんりん、何が書いてあるの…?」
「これRiNGのカフェでの注文ですね…」
「白玉ぜんざいが34個に、抹茶パフェが13個…?それ以外にも紅茶とかケーキを大量に…これだけの量を食べたの…?」
「あっ!!りんりん!!これ!!おねーちゃんに呼ばれて、あこも後から行ったやつだよ!!」
「えっ…あっ…本当だ…。この時間…巴さんに呼ばれてRiNGに行ったときに時間だね…。確か市ヶ谷さんの打ち上げ…だったよね?」
「うん!!色んなバンドの人達が集まってたよね!!紗夜さんの奢りだからって!!」
「えっ…あこ、それマジで言ってる?」
「うん!!そういえば、ありさがこう言ってた!!”ちゃんと3人だけって明記してないほうが悪い”って」
「あ~…やばいなぁ…紗夜が」
「なんとか支払えますが………あはははは…しばらくは昼食抜き決定だぁ~…」
「紗夜の顔凄いことになってるわね…。何かで見たことあるような…」
「あこ知ってます!!多分、モンクの叫びって絵ですよね!!」
「あこちゃん、ムンクだよ…?」
「うーん…自業自得とはいえやりすぎたかなぁ~…」
「皆さん!?そんな落ち着いている場合ですか…?」
紗夜を生暖かい目で見る4人とそんな4人にツッコミを入れる晴海。
そんな彼女達を請求金額を受け入れられずに顔面を崩壊させながら紗夜は現実逃避へと走っていくのだった。
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