シャーレ所属のダレカちゃん   作:ブラウンドック

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ムメイは暴れながらオートマタを斬りまくる

 

おはこんハロチャオ〜!戸久銘ムメイです。

 

本日赴くのは、濃厚ゴーストタウンの果て、朽ちた駅から連なるアビドス砂漠です!

 

うっひょ~~~~~~!尾行時、遠くのオートマタがセンセへ銃口を向けているのを見て飛ぶ斬撃で一刀両断にしたら、 ドローンさんからの誠意で集中砲火を頂きました〜!!

ムメイの加減次第でテメェらの核のデータ保存部分まで破壊する事だってできるんだぞって事で。

 

なのでぶち殺しまーす!まずは腕から…コラ~!これでもかってくらい集まってきたオートマタの中にはゴリアテが入っており、怒りのあまりメメント・モリの最大出力でぶち抜いてしまいました~!

 

すっかり敵側も立場を弁え、誠意のロケットランチャーの雨を貰った所で、お次に圧倒的存在感の戦車を……両断!殺すぞ~!!

 

ワラワラと寄ってきた敵影の中には、センセ達を狙っている奴もおり、さすがのMUMEIも、絶賛トラウマ吐き気MAXなマジ怒りモードに入って行ってしまいました~!

 

ちなみに、オートマタさんが犬神家体勢で砂に突き刺さっている様子は、ぜひサブチャンネルをご覧ください。

 

 

 

はい、そーんなことをしてたらホシノさんとシロコさんにバレてしまったワケでして。

 

今は泣く泣く砂の中に潜っております。へへ、ヒフミさん御用達の身代わりペロロ人形がなければムメイの姿までバレてたぜ。…あの巨大ペロロ、何故か真っ先に狙われるんだよね。怖いね。

ホシノさん相手でも一瞬は視線を奪えるから、その隙にメメント・モリでぶち抜いた地面に隠れるだけ。天才って呼んで?ご褒美はセリカさんからのよしよしで良いよ。あ、脳筋って呼ばないで?呼んだらセリカさんを抱き枕にするよ。

 

まー、そーやってるとね?あっち側からしたら人間大のペロロがオートマタとかゴリアテをぶっ殺している絵面に見えてしまうワケでして。うーん、アビドス七不思議に刻まれちゃいますね。一つはアビドスを彷徨う鎧武者でヨロ〜。

 

 

今更だけど、今日のセンセ方の目的ってアビドス砂漠で怪しい動きをしている企業の調査なんよね。ヒナさん情報のやつ。

 

経験という名の予言をすると、別にカイザーPMCがアビドス砂漠で何をやっていたとしてもアビドス高校の皆が介入する権利ってないんだよね。

そもそもアビドスの土地って何年も前から少しずつアビドス生徒会から売り出されてるし、その対象が限りなく黒に近いグレーな手法を用いてるカイザーグループだったってオハナシ。

 

アビドス砂漠にある、皆さんが知らないであろうカイザーPMC基地も同様に介入する権利なしッスね。シャーレのセンセ以外は。

 

あーあ、大人の腹黒いオハナシですよ。嫌になっちゃうね。センセもそんくらい腹黒いタイプだったらムメイだって簡単に見捨てれるのに、どこまでも聖人だから面倒臭い。

 

そんなことを心の中でボヤいていると……まー!大変だワ!センセとアビドスのみんながオートマタに襲われてるワ!!

 

………あ、片付いた。あ、また襲われてる……あ、一瞬で片付いた。あ、またまた襲われてやがる。……オートマタさん、暇なん?アイツらってカイザーPMCの警備オートマタじゃなくて、単にアビドス砂漠を彷徨いている野生のオートマタなんだよね。てか野生のオートマタってなんだよ?

……どうやろ、セイアさんに聞いてみよか。アハッ、もう聞けないじゃんね☆

 

んー、ま?ピンチになったら発煙筒で合図するハズだし、ムメイが出しゃばる必要はないかな。知らんけど。

 

視力には自信あるから、ホシノさんにギリ見つからないくらい、ずっと遠くで野生のオートマタ狩りをする時間。うーん、雑魚狩りはとても気持ちがいいです!

 

あー!いけませんお客様!お客様いけません!!あー!ああーー!!ンアーーッッ!……ほら、寄ってくるから斬っちゃった。

でもオートマタは多少破壊しても自分達で修復するし、モーマンタイ。ほらほら、がんばれ‪♡がんばれ‪♡…ざーこざーこ♪おじ(オートマタ)さぁん、子供に負けるだなんてなっさけなぁい‪♡

 

 

……うん、改めて思うけど…鍛冶屋の親方、やべぇな。昨日今日で『廃墟』で結構使い込んで手に馴染ませてはいるけど、それでも頑丈で切れ味も申し分ないね。

メメント・モリには及ばないけど、もしも今後もループを繰り返すとしたら最初に買いに行くようにチャートを組まないと。

 

グロック26(メメント・モリ)がそうであるように、基本的にムメイが使い込んで愛着があり、それだけの神秘を込めれるだけの器として成長する"モノ"は、ムメイが観測者として存在する限りは全てのループの経験値を継承する。

なので、この『迷剣ナナシ』と名付けた刀もループ間で使い込めば使い込むだけ強くなる。

 

因みに、その法則はムメイの"身体"も同じだね。ムメイにとって身体は武器であり手段、多少壊れても目的を遂行できるなら構わないし。

普通にやってたらエデン条約云々時点で左腕は失くす予定だし。そのうち、ミレニアムのエンジニア部に義手を作ってもらわないとね。

 

うんうん、こーして振り返っても身体の喪失に慣れるのって結構時間が掛かったんだよなぁ。………ま、センセの腕とか足がグッバイ宣言するよりはマシだね。たとえ、本人がなんて言おうとも。

 

 

……ん?あ、発煙筒の煙発見!!ぬへへっ…辻斬りのお時間でぃ…ムメイ、行きまーす!!

 

◆◆◆

 

「――惨刹仗断」

 

「……っ!」

 

()()が先生の前に現れたのは、唐突だった。

 

アビドス砂漠にある謎の施設――カイザーPMC基地の調査を開始した刹那、警備を務める無数のオートマタと戦闘になった。

最初こそ先生の指揮する廃校対策委員会が優勢であったが、数の暴力とでも言うべきか。もしくはオートマタに備わっていたラーニング能力が十全に発揮されてしまった結果とも表現出来るだろう。

 

囲まれて追い詰められるのに、そう時間は掛からなかった。前方後方、どちらか片面であれば十六夜ノノミのミニガンで対処は効いただろう。然し全方位となれば味方への被弾を恐れてか、彼女の本領は発揮出来ない。

他の面々も多少の数の利は覆せるだけの能力はあるが、されども限度はあった。

 

絶体絶命ではあったが――先生には賭けになるが()()()と呼べるものが二つあった。

 

一つは何処迄も反則の一手であり、先生も大人の矜持として、安易に使うつもりはない。故に、もう一つの確実性に欠ける札を切った。

それは先日、戸久銘ムメイと名乗る謎の存在から手渡された発煙筒だ。生徒なのか、人間なのか、味方なのか。全てにおいて謎である存在ではあるが、不思議と先生は彼の者を信用したいと想っていた。

 

「――戸久銘ムメイ、刹那の主に応え参上した」

 

「ムメイ!き、来てくれたんだね…!!」

 

「否、"来た"のではない。汝が助けを求める時、ムメイもまた其処に"在る"のみ。工程も理屈も、無用也」

 

――鎧武者は風の如く、皆を取り囲むオートマタの一角を切り崩して現れた。

 

アビドスの生徒も驚いて銃口を向けるが、慌てて先生が手で制する。助けを求めてこの場に呼び、それに応じたのであれば武者が敵である可能性は低い。

先生の様子と手に持った発煙筒で察したのか、驚嘆こそ薄れないが辛うじて銃だけは敵に向け直した。

 

「な、なにコイツ!?」

 

「……えっと、先生。知り合い…?」

 

「…愛猫に狼よ、ムメイと先生はキョウダイの盃を交わした間柄。故、マブダチ」

 

「交わしてないよ!?」

 

「あ、あいびょう…?」

 

「……冗談だ。本気にするな」

 

刀で辺りを牽制しながら武者は声質を変えずに戯ける。だが予想に反する返事を受けたのか、鎧武者もまた心做しか固い声で応える。

 

その光景を眺めていた小鳥遊ホシノは浅く笑い、揶揄うように鎧武者をつつく。

 

「へぇー、武者さん。()()()()()ユーモアのセンスがないね」

 

「ッ!…………そうか」

 

「うん…?…ホシノ先輩と武者さん、お友達なんですか?」

 

「うへへ、ノノミちゃんは鋭いね〜。ねっ、武者さん。少し前、私と()()()になったんだよね」

 

「む…う、うむ……その通り。ムメイとホシノさ…ホシノは竹馬の友だ」

 

「え、そうだったの?それだったら前に会った時に言ってくれればよかったのに」

 

「……雑談に興じる暇、無し。後方の全ては任せろ。ムメイ――参る!」

 

「あっ、ちょっ!?……よしっ、指揮を再開するよ。みんな、お願い」

 

『先生には及びませんが、私もサポートします!どうぞ存分に、暴れてください!!』

 

「ん、頼りにしてる。先生、アヤネ」

 

一瞬で後ろのオートマタの一体を無力化する武者に続き、皆もまた別方向へようこそ駆け出した。

先生は無数の画面を空中へ展開して戦場を俯瞰し、生徒の視界へ送るべき情報を区別しながら武者への援助も試みるが――

 

(………駄目だ。ムメイもダレカちゃんと同じで…指揮を受け入れてくれない)

 

基本的に、先生がシッテムの箱を通して指揮をする際に、声での指揮だけでなく視界の共有やシッテムの箱の展開する領域内における予測出来る弾道線の可視化、諸々の唯一性を誇る補助を施している。

 

然しその補助は先生と生徒の(繋がり)を経由する。端的に言って、相手が受け入れなければ補助は行えない。

その為、先生はムメイに拒絶されている事となる。無論、某宇宙服の生徒も同様であり、拒絶されているからと言って嫌われているとは一概には言えないが。

 

先生の能力は強力だが、独善的な行使は出来ないのだ。

 

拒絶されるのは、やはり先生とて辛い。善意の押し付けはするつもりはないが、一見して慕ってくれている生徒からの内心的な拒絶は自分が生徒の心に寄り添えていないのだと実感させられるのだ。

 

「……………ダメだね、私は」

 

自己嫌悪なんて何度も味わったし、晴れた試しもない。

 

然し、それでも先生は想ってしまうのだ。此処に――隣りに居たのが、『ダレカちゃん』と名乗るあの生徒だったら、どれだけ安心出来たであろうか、と。

 

想いは届かない。されども、無駄にはしたくない。大人でありながらも我儘な意思は諦める事を認めず、『ダレカちゃん』の為ではなく自分の為に"会って話したい"と望んでしまう。

情けなくも、包み隠さない対応こそが自分とあの生徒の在り方だ。いつか、真似ることが得意な『ダレカちゃん』が自分の在り方も真似てくれたら嬉しい。そんな事を考え、先生は意識を切り替えて目の前の戦闘に臨む。

 

(――終わったら、絶対に君を探すよ。ダレカちゃん)

 

謝りたいからではない。まだまだ、()()()()()()。話し合いも、過ごす時間も、喧嘩すら――足りないから、絶対に無事に帰る。廃校対策委員会の皆と共に。

 

◆◆◆

 

アイエエエ!?ホシノサン!?ホシノサンナンデ!?

 

なんか正体バレてるやん……ッ!戸久銘ムメイがダレカちゃんと同一だってバレてるやん!!なーにが『相変わらずジョークのセンスがない』だよ!同じ事をこの世界線で初対面した時に言われたわ!!

 

 

……まてまて、意識を切り替えよう。

 

現状、ホシノさんはセンセにネタバレするつもりはない。……ないよね?……うん、ないって仮定する。心の自己防衛は必要だね。自己防衛、投資、海外移住、キヴォトス脱出………おっと閑話休題。

 

ネタバレをする気がないってことは、先生に関しては心配する必要ない。問題は、ホシノさん以外にはバレていないのかってトコロだ。

クソッタレ…下手くそめ。速攻バレるとか、才能ないやん。生きるのやめてぇ……あ、やめても次のループが始まるだけだね。

 

で、全員の反応を見るに…少なくともホシノさんにしか気付かれてなさそうだった。別に『戸久銘ムメイ』=『ダレカちゃん』って判明しても、最低限ホントの中身がバレなければいいんやけどさ……

 

 

とりま、後でホシノさんを()()

 

黒服との交渉を後輩にバラすぞって脅せばホシノさんだって口を噤むハズ。ケッ、悪く思わないでね。ホシノさんを大切なお友達だっては思っているけど、センセとどっちか選べって言われたら悩まず全てを捨ててセンセを選ぶから。

嫌われてもいいし、殺されてもいい。それでループが終わってセンセが生きる未来があるならね。

 

はい、そんなワケで帰ったらホシノさんと話さないとね。じゃないとホシノさんがさっさと身売りしちゃうから。どーせ助けるし、身売り後の布石は撒かないと。

 

あーーー、マジで死にてぇ…けど死ねないから、代わりに死ねやオートマタくぅん!ヒャッハァァァァ!

アバンストラッシュ!水の呼吸壱の型、水面斬りィ!終の秘剣、火産霊神(カグツチ)!!……って名前の適当剣技です。

 





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