御機嫌よう、ダレカちゃんで御座いますわ。
今宵、ダレカちゃんズが赴くのはミレニアムの『廃墟』です。尚、今宵とは言いつつもまだ昼ですわ。トリニティのクソお嬢様がたが茶ァしばく時間ですわね。
ふふっ、一見して『廃墟』の名に相応しい所ではありますが、二見して再認識、三見してクッソ廃墟やんと納得するような場所でございます。
何やら新し目の切り傷とかオートマタの残骸が散らばってますが……ええ、きっと野生の鎧武者が自らの刀の鍛錬にでも使ったのでしょう。ダレカちゃんは知り得ませんが、きっとそうなのでしょうね。
「あらあら、うふふ……ご覧になって、センセ様。あそこの御オートマタ様がグレネードランチャーを御構えになって御あそばせましてよ。滑稽ですわね」
「あらまぁ…それは、放置しても宜しいのでザマス?私は、めちゃんこ生命の危機に瀕している気がしてやまないザマス」
「ふふっ、控え目に言わせて頂きまして…センセなら御死にになられるでしょうね。ケッ、汚ねぇ花火なのですわ。ぴえんですわ。ぴえんこえてぱおんですわ。悲しいですわ。だからテメェが先に死ねやァァ!!……ですわ」
「手裏剣ザマスかぁ……結構なお手前でザマス」
「…………え、ミドリ。この人たち何してるの?」
「知らないでゴワス」
「ミドリ!?」
――はい、ってなワケで普通に『廃墟』に来やがってます。
隠密行動を心掛けてるけど、オートマタって凄いよね。サーモグラフィー的なやつ?で隠れてても見つけて来るし、数だけは一丁前に揃えてるから武器の種類も豊富だし。
ま、どんな武器を持ってたとしてもダレカちゃんの手裏剣とかクナイで首を殺ればワンパンなんやけどね。
遠距離からは手裏剣!多ければ爆裂手裏剣!!もっと多ければ形容しがたいバールのようなもので蹂躙!!ダレカちゃんは最強だから、大抵のヤツは一方的にぶっ殺せるよ。やったねたえちゃん!
オラァ!無駄ァ!ボラァ!アリぃ!はい片付いたっと。arrivederci♡
「……もうダレカちゃん一人で良い気がする…」
「おいおい、モモイさんや。それはダレカちゃんが天才で最強な美人で儚くも力強い、例えるならば夜道のコンクリートにも咲き誇る一輪の蒲公英の如く隣人として親しみ深くて可憐だってオハナシかい?」
「それが自己評価だったら、それでも良いと思うよ?」
「……滅相もない。ダレカちゃんなんて、所詮は顔と力と知性しかないだけの一般生徒だし…大事なものは極々極々極々極々極々稀に取りこぼすし……救いようがないですよね…生きてて誠にごめんなさい」
「急にネガティブになった!?………あれ?これってネガティブになってる…?」
「モモイ、これがダレカちゃんだよ。馬鹿ではないけどキヴォトスで一番のアホだから、言ってる事の四割は無視しても問題ないよ」
「なんだとコノヤロウ。下に着てるシャツの表と裏が逆なクセに。バーカ、バーーカ!」
「なっ…!この…バカって言った方が馬鹿なんですぅー!ダレカちゃんのバーカ!!」
「じゃあセンセの方がバカじゃん!バーカ!!」
「あの……先生、囲まれてますよ。敵に」
「えっ!?」
……何が『えっ!?』だよ。この大人、本気で気付いてなかったのかぁ……ダレカちゃんはミドリさんが指摘するよりも前から気付いてたから、実質的にダレカちゃんの方が賢いね。
「先生!指揮おねがいね!!」
「お願いします、先生!」
「任せて。ダレカちゃんは――」
「あ、勝手に動くんでお構いなく。よっしゃテメェら皆殺しだコノヤロウ!!」
「……そっか。気を付けてね」
うーん…うむむ、やっぱタンクかな。手裏剣の回収とかもあるし、今のメイン武器が形容しがたいバールのようなものだから必然的に近距離戦になっちゃうし。
あーあ、ノノミさんが居たら『不審者二人、ただし最強』
しゃーないので最前線で……てか撤退しながらの戦闘だから最後尾で敵とドンパチやりましょ。
どっかの廃工場っぽい場所に《AL-1S》さんが眠ってるし、何らかの仕掛けが働いてるのか、ダレカちゃん一人では辿り着けないし…センセの指揮で動くモモミド姉妹について行くしかない現状。
ま、現状でセンセが死なない点だけは嬉しいところだね。なんだっけ……今の世界線でセンセが言ってたな。スーパー……ア……アロ…アホ?…そうだ、スーパーアホナ・チャン・バリアってのがセンセを守ってるし。
よく分からんけど、シッテムの箱の機能なんかね?スーパーアホナ・チャン・バリア。クッソアホそうな名前だけど、妙にしっくりくるね。
「上から来るぞ!気を付けろ!!」
「……別に何も来てないけど」
「甘いな、ミドリさん。
「あっ、なんか今のセリフかっこいい!次のゲームシナリオに追加してもいい?いいよね!!」
「お姉ちゃん……堂々とパクるのはやめようよ。せめて絶妙に言葉とかニュアンスを変えて、ギリギリのラインを走らさないと」
「少なくとも言った本人の前で言わんでね?パクリもオマージュも好き勝手にドーゾって感じだけど」
モモイさんねぇ……シナリオ自体は完成度高いのに、二転三転して世界観がブレブレになるから、最終的にはクソゲーになるんだよね。
どんなクソゲーでも作らんよりはマシだけどね。でももう二度と、センセを主人公にしたボイス付きギャルゲーは作るな。キヴォトスが荒れる。てか荒れた。
「あ、ダレカちゃん!そこの路地を左だって!!」
「おっけ、ミドリさん。こいつら蹴散らしたら向かうっす。ダレカちゃん式忍術・炎龍登!!」
「なんか炎を吹いてる!?スゴイ!後で私にも教えて!!」
「種も仕掛けもあるけどね。火傷を恐れないならモモイさんにも出来るよ。火傷するけど。てか火傷するんだけどね」
「大事なことだから三回も言われた!?」
いやー、シッテムの箱の領域って便利だな。
何が優秀って、戦場を各方角から俯瞰するセンセの指示というか、思考が共有されるんだよね。ダレカちゃんは指揮を受け付けてないからわからんけど。
さっきの場合はミドリさんとモモイさんの視界に接続して、道にポイントの可視化でもしてるのかな。声でのナビだけじゃなくて視界にもマッピングが有効って、戦術指揮のおまけ要素にしてはやべぇよね。
さて、取り敢えずは団体様を拳で歓迎しながらみんなについて行こっと。
◆◆◆
そんで無事に廃工場に到着しました。
正確には避難してきたんだけど、誤差誤差。ふぇぇん…最強でキヴォトス一強いダレカちゃんだけど、オートマタには敵わないよぉ…だって触れたら壊れるくらい雑魚なんだもん。手加減なんてできないよぉ…
「はぁ…はぁ…!」
「センセ、だいじょぶそ?」
「だ、大丈夫……疲れたけど、まだいける…!エナドリさえあれば……っ!!」
「こいつぁ重傷だ。ここにエナドリなんてねぇのによぉ……ほら、背負ってやんよ。乗りな」
「良いのかい?あ、ありがとう」
か、勘違いしないでよね!別にセンセが疲れてるから背負うんじゃなくて!この後に床が抜けて地下室に落ちる展開があって、そんときにセンセが死ぬ確率をできる限り低くしたいだけなんだからね!!
てかマジよ?マジで《AL-1S》さんとこに行くには床抜けギミックがあるし。そのクセ、このセンセったらモモイさんとミドリさんの下敷きになろうとするドM女なんだよ。
キヴォトスの生徒がたかが十数メートルの落下で死ぬわけねぇのに。ビルの屋上くらいまでならいけるんじゃね?まあ、ダレカちゃんはもっと上でも死なねぇけどね!!
「…よしっ、じゃあ探検しよう!」
「ステイ!モモイさんステイ!!」
この子、たまーに変な兵器を拾ってくるんだよね。『廃墟』ってそーゆーのが隠されてる場所でもあるし、好奇心旺盛なモモイさんだから仕方ないけど。
下手したら速攻バッドエンドだからやめようね。変なことをしたらダレカちゃん、モモイさんを殴ります!愛を込めてね。
「ふむ…センセ、どーする?ここはミドリさんの筋肉センサーに任せるかい?」
「そんな機能ないよ…」
「ダレカちゃんは何処に行くべきだと思う?」
「
「この建物内で、ダレカちゃんは何処に行くべきだと思う?」
「んー、ダレカちゃんのお宝センサーでは……しゅっと行ってカッと曲がり、どちゅんって所かな」
「りょうかい!早速行こー!!」
「えぇ…何でお姉ちゃんは分かってるの…?」
「考えるな、感じまくれ。思慮深い程までに」
「結局考えてるじゃん」
なんかダレカちゃん自身もテキトーに言ってて分からんけど、モモイさんが謎電波を察知したらしく。
しゅっと行ってカッと曲がり、どちゅんって所に行きました。なんかこー言うとモモイさんが正解ルートに向かうんだよね。
ワザップっぽい情報だね。でも合ってるんだからしゃーないよね。何千と繰り返してダレカちゃんが得た裏技だね。
――そんで変な部屋に辿り着きますと。
《――接近を確認》
「っ!?」
なーにか聞こえます。背負ってるセンセがビクンッて動きます。ちな心霊現象じゃなくて、機械音声っす。
「えっ、なに!?誰か喋った!?」
「この声……部屋全体に響いている?」
「この部屋…動くぞ!」
「動いてないから。喋ってるだけだから」
「喋るだけってなんやねん、センセ」
「……なんだろ?」
センセがビビり散らかしてるから冗談を一摘み。えへへ、優しいダレカちゃんを褒めて?出来れば顔の良さと頭の良さを褒めて?てかセンセに褒められても嬉しくないからミドリさんが照れながら褒めてくれたら嬉しい。
チラッと視線を送るけど、無視された。って言うよりも宇宙服だから視線に気付かれなかった。脱いだろか…こんな重いだけのゴミ!脱がねぇよ変態……センセはへんたい、ハッキリわかんだね。
《――対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません》
「……どゆこと?」
《――対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません》
「な、なんで私たちの名前を…!?」
………あ、やべ。
《――対象の身元を確認します―――「ゴォォリラァァ!なぜ鳴くのぉぉぉ!!ゴォリラだァかァらァぁぁぁ!!」―― 一部、限定的に資格があります》
「「っ!?」」
「ダレカちゃん!?えっ、急にどうしたの…?」
「失礼。眠れる魂が叫びたがってたんだ」
あっぶねぇ……名前バレするところだった。前回までは名前を隠してなかったし、何にも対策してなかった。てか予想外だった。
資格云々に関してはシャーレの秘書だからだと思う。どーせ連邦生徒会長が関与してますよ。キヴォトスの不思議なことの三割はあの人のせいだし。
この世の悪いことは妖怪か連邦生徒会長のせいだね。あ、センセが死んだことに関してはちゃんとダレカちゃんのせいだけど。背負うぜ、死ぬまでは。だから早死希望☆
《――対象の身元を『先生』と確認しました。資格があります》
「…私には資格がある…?ダレカちゃんにもあったから、シャーレ関係のものかな。もしくは連邦生徒会長が絡んでいるのか…?」
説あるコアトル。詳しくは知らん。そこに辿り着く前にあの人は姿を消したし、知らんったら知らん。リンさんすら知らんのだし、今のキヴォトスで知ってるヤツなんて居ないだろ。
確実に言えるのは、結局はキヴォトスってのはセンセが――『先生』を中心として廻る物語になってるってコトだろうね。
今の世界線と最初の世界線は違う。主観でも、客観でも、状況や条件が異なる。センセがキヴォトスに来たことで何かが変化した、乃至そうなるように連邦生徒会長が何かしたんだろーね。
さて、そろそろ喉を整えるかな。
《先生及び――『ウ ン チ ー コ ン グ って知ってるゥ!?』――への入室許可を付与します。才羽モモイ、才羽ミドリの両名を『生徒』として認定、同行者である『生徒』にも資格を与えます。認証しました――下部の扉が開きます》
「………やっぱり本名を隠そうとしてるよね?」
「ダレカちゃんはダレカちゃんだよ?それ以上でもそれ以下でもないし、全ダレカちゃんの中でも随一世界一宇宙一銀河一なダレカちゃんなんだよ?つまりダレカちゃんってことだね」
「そっかぁ――ああああッッ!?」
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「うぐぇぇぇ!?」
よし、センセの諦めを確認と同時に
なんかモモイさんがミドリさんにめっちゃ掴まれてるけど…姉妹愛だね、きっと。絞め殺されるウシガエルにそっくりだけど、それもまた姉妹愛ってやつさ。
んじゃ、レッツゴー!ワンダーでアンダーなワールド!!不思議の国のアリスさんは居るかな〜?