「く、暗い!何も見えないよ……ッ!ダレカちゃん!二人も無事かい!?」
や、センセに目隠しをしてるダレカちゃんだよ。
地下室に落とされまして。センセを背負っていたダレカちゃんは勢いを完全にぶっっっ殺した着地と同時に超絶技巧でセンセを背負い投げしまして。無論、これも完全に勢いをブチブチブチ殺してるよ。
そしてセンセに目隠しをしました。ダレカちゃんも愛用してる『全知』アイマスクでぶっ隠しました。いいよね、『全知』アイマスク。賢くなったような気がするもん。
ついでのついでに手も縛った。ふんっ、ダレカちゃんにかかれば一秒未満でやれるんだからねっ!
「……ダレカちゃん、何してるの?」
「しっ!ミドリさん、静かに…!センセがクッソ混乱している隙にイタズラしようぜ!とりまライターとドライバーはちゃんと持ってきたぜ!!」
「聞こえてるよ…?ライアーとドライヤーで何する気!?」
「先生、ライターとドライバーだよ?楽器とヘアー乾燥機じゃイタズラ出来ないでしょ?」
「尚の事怖いんだけど!?」
ま、別にホントにイタズラをしたくてセンセを縛って目隠しまでした訳じゃないよ。ダレカちゃんはダレカちゃんは真顔でそう言ってみたり。
端的に換言しまして、センセが
ロリコンではないと信じたいけどセンセだからねぇ……ちょっとアレなセンセだからねぇ…ヤバいですね☆
「センセ、静かに」
「だ、ダレカちゃん……?」
「センセ!静かに!!」
「……分かった」
「セェンッセェェッッ!静かNIiiiiiiiii!!」
「静かにしてるよね!?」
「うっせぇわボケぇ!!」
「…わァ……あ……」
泣いちゃった!!!
まー、こんなクソ茶番は置いておいて。取り敢えずは電源OFFなスッポンポンさんに服を着せないとね。ダレカちゃんはロリコン扱いされたくないから直接は着せないけど。
でもご安心を。歩けば天才、座れば美人、歩く姿は才色兼備と名高いえりーとダレカちゃんです。パーフェクト――否、略してパフェな作戦がございます!
とりまアリスさんが寝てる台座を指差して、平然と言い放ってやりましょう。
「アッ……アッチニ…ハ、ハダカノ……」
「ダレカちゃんどしたの?風邪?」
「違うよ、お姉ちゃん。また変なボケに決まってるよ」
ちゃうわ!意外とえっっなのが苦手だから服を着せるのは手伝えませんって感じの演技だわ!!中身はアレだけど肉体年齢的にはそーゆー時期だし。思春期ダレカちゃんですまんね。
……いや、本当にアリスさんの裸にはトラウマがあるんだけどね。これマジなやつ。
「……恐らく、ダレカちゃんの視界の先には裸の子が居るんじゃないかな。ダレカちゃんはそれが恥ずかしく感じて、二人にどうにかして欲しいって言ってるんだと思うよ」
「えっ……キッショ、なんで分かるんだよ」
「やった、正解だって!」
「先生のメンタルも強くなってるなぁ」
おいコラ、才羽姉。何感心してるんだよ。まるで普段から狂人の相手をしていて日々成長しているって言ってる風に聞こえやがるぞ?
とりまミドリさんがなーぜーか、着替えの制服と下着を持ってきてるので、やってもらいましょ。
――センセを部屋の端で転がしながら待つこと数分。
モモイさんから『でけたよー』と気の抜けたキューティクルボイスを掛けられまして。仕方なくセンセの手錠と目隠しを外してあげた。
「で、センセ。この子に触れて?」
「えっ…?い、いいのかい?」
「いいの。ダレカちゃんのアホ毛センサーが、センセの接触が鍵になる可能性が無きにしも非ずだけど断言は出来ないから比較的簡易且つ双方共に重大な危機に陥る可能性が限り低い手順から徐々に踏んでいこうって告げているんだよ」
「多弁なアホ毛だなぁ………アホ毛生えてるんだね」
「えっ、生えてないけど?」
「えっ?」
「えっ?」
ここに落とされる前に聞こえた電子音声があるじゃろ?そんで、資格云々って言ってたやん。アレ、《AL-1S》さんを目覚めさせる人物かって事だと思う。
ダレカちゃんにも限定的に資格はあるけど、条件が噛み合えばこの部屋に入れる程度の資格だし、《AL-1S》さんにはあまり干渉できない。
ゲマッさん達の技術があれば侵入から起動まで出来るだろーけどね。そーなった世界線もあるし、キヴォトスが蹂躙されるけど。
困惑してるセンセの腕を掴んで《AL-1S》さんの頬をつつきますと――
――ビピッ、ピピピッ――
「うひゃぁ!?」
あ、モモイさんが飛び上がった。《AL-1S》さんの寝てる台から鳴ったね、多分。空間に響いてるから何重にも重なって聞こえるけど。
そんで、目が覚める前兆的なやつだ。多分、知らんけど、きっと、おそらくは。ほら、閉じてた瞳がゆっくりと開くぜ?
「――状態の変化、及び接触許可対象を感知。休眠状態を解除します」
「「「っ!?」」」
「状態把握、難航。会話を試みます……説明をお願いできますか」
「疑問、《説明》の程度について把握が困難。明確化を要望します」
「……ダレカちゃんが賢い喋り方してる!」
そーゆーところやぞ、モモイさん。そーゆーところがアホっぽいんだぞ。可愛い個性だから大切にしなさい、その感性を。
「要望を受任…………回答が見つかりません。本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認」
「其方の状態を把握、そして滞りない会話の難航も確認。以後、其方の呼称を《アリス》と提案」
別に急な提案じゃねぇよ?さっきミドリさんが台に《AL-1S》って書いてあるのを見つけて、モモイさんが《アリス》って読んだからね。
ダレカちゃんに命名権があれば『ナナッシー・権兵衛』って最高の名前にするんだけどね。
「……提案を承認。本機は以後、《アリス》です」
「了解。此方は今後、《ダレカちゃん》と呼んでください」
「《ダレカちゃん》――了解しました。
「ダレカちゃんと愉快な仲間たちだよ!」
「違うよ!?私はモモイ!こっちが妹のミドリで、そこの変な大人が先生だよ!」
「変な大人……」
「《モモイ》、《ミドリ》、《先生》……把握しました」
やったねたえちゃん!家族が増えるよ♪
◆◆◆
――そんで二時間後。
「…………?」
ゲーム開発部の部室にアリスさんを連れてきました。モモイさんが。モモイさんが……このモモイさんが悪いんです…だからダレカちゃんは無実やよ。
モモイさん曰く、アリスさんをゲーム開発部の部員にするってさ。部員が増えれば廃部阻止にはなるからね………今は。
校則やら部活規則やらが変わるからあんま意味ないけど、そこまで口出しはしないよ。だってシャーレ秘書のダレカちゃんはミレニアムにとって部外者だし。普通に知ってたらおかしいやん。
や、別に疑問視されても『いや、シャーレ秘書なんで!でもでもシャーレ秘書なので!イヤッフゥ!秘書っフゥ!!』って言い逃れは出来るけどね。
でも不信感ってのは積もりに積もるモンだし、ただでさえ外見が不審者だから、あんま変な行動はしたくないわけですよ。
「うーん……やっぱり心配。この子をうちの部員に偽装するなんて…本当に大丈夫?」
「ミドリさんは心配性やねぇ」
「『大丈夫』の意味を確認……状態が悪くなく問題が発生していない状態のことと推測、肯定します」
「いやいや、肯定できないって!この口調じゃ絶対疑われるよ!!」
はい、ミドリさんがワーワー喚いてます。可愛いね。
先生は手っ取り早くシャーレの部員としてアリスさん達を登録するためにシャーレに帰ったし、今はモモミドとアリスさん、ついでにダレカちゃんだけだね。
あ、一応ロッカーの中にもユズさんがいるね。てか朝からロッカーの上にヘイローが浮かんでるし。
「ふんふふーん♪服装はある程度整ったし、あとは武器と……学生登録して、学生証を手に入れないと!よし、学生証については私の方で何とかするね」
「………モモイさん、一応ダレカちゃんは中立的な立場だよ?連邦生徒とかセミナー寄りの生徒だし。そんなお偉いダレカちゃんの前で堂々と不正の公表はやめようね」
「でもダレカちゃんは誰にも言わないでしょ?」
信頼が辛いぜ!これもダレカちゃんの人徳だね、絶対違うけど。人徳を集めるようなコトもしてないし。ってことは…この子、絶対に悪い人に騙されるぜ……ダレカちゃんが守護らんと。
「じゃ、ダレカちゃんとミドリ達はアリスに普通の話し方とか教えてあげてね。もしユウカに色々と聞かれた時、今のままだと変な返しをして疑われちゃうからさ」
「う、うん……わかった。頑張ってはみるけど」
それだけを言い残してモモイさんは部室を飛び出した。ヴェリタスにでも向かったんだろうね。
さて、です。
残された面子は赤ちゃんアリスさんに、普通にコミュ障なミドリさん、ロッカーに引きこもって一生出てこないユズさん。
会話が困難や、こんなん。でも超ご安心を!ダレカちゃんにはとっておきの策がありますとも!ありますねぇ!ありますあります!!
「――ケイドロをやります!!」
「じゃあアリスちゃん、えっと…まずは話し方とかを学ばないとね。うむむ…普通は動画を見たり、周りの話し方を真似していくのが自然だけど…この人を見て育ったら大変だから…」
無視された挙句にやべぇ奴扱い。悲しくて心が痛い……これが恋…?ごめんね、セリカさん…ミドリさんに寝取られる……もちろん抵抗するで、拳で!1■才!!
「子供用の教育プログラムってインターネットに落ちてるかな……」
「………?……!正体不明の物を発見、確認を行います」
「っ!?!?!?」
「うん?それって……ディスク?ゲームかな……誰のだろう。あっ、そうだ。アリスちゃん、これ試しに――」
「それはダメ。やめなさい……頼むから」
ホントにやめて?それダレカちゃんが持ってきたセンセのえっっなゲームのディスクだから。アリスさんがそーゆーの覚えたら抵抗出来ないから。
いやダレカちゃんは最強だから勝てるけど……いつかの世界線であったんだよ。ミドリさんに襲われかけた翌日に、アリスさんからも襲われかけて……部室でマウントを取られた現場をミドリさんに見られて修羅場になったのを…………コワイ…タスケテ…センセ、タスケテ……
ミドリさんのは可愛いもんだけど、アリスさんはマジだから。危険人物第三号だから。一号は銀行強盗のプロ狼で、二号は殺人級の可愛さを誇る黒見セリカさんだね。
四号はサッちゃんね。すぐにセンセを殺しちゃっから。とんだじゃじゃ馬娘だぜ。
とりまこのえっっっなゲームはミドリさんにしかやらせない。誰もいない筈の部屋で一人ヒソヒソとえっちなゲームをやる姿、可愛いよね。黒歴史にして弱みも握れるし。
「そ、それよりもコレ!アリスさん、コレにも興味あるよねそうだなやっぱあるよねじゃあやろう!!」
「怪しい……って!それ私たちが作ったゲーム!?」
「TSC――テイルズ・サガ・クロニクル。ダレカちゃんも結構やり込んだんだよね。星5レビューも送ったんだぜ?」
「えっ………星5レビューって、一人しか付けてなかったけど……もしかして『ごりらワッフル』さん!?」
懐かしい名前やね。まだループに囚われる前にやってたんだよね、コレ。色々と情緒とか感情とか幼い頃だったし、ぶっちゃけ人生初ゲーが連邦生徒会長が買ってくれたTSCだったし、思い出のゲームだな。
ま、今はどーでも良いことだけど。感謝ならダレカちゃんにとっての初対面時に伝えたし、今は思い出話よりもアリスさんの教育が先でしょ。
……おいロッカー、いまガタンッて動いたぞ。ちゃんと隠れてなさい。
「ま、それは置いといて。アリスさん、やってみない?『会話』をしながら進めるタイプのゲームだし、勉強にもなるっすよ」
「……ここまでの言動の意図、完璧には把握しかねます。しかし……肯定、アリスはゲームをします」
「ほ、本当に!?ちょ、ちょっと待ってて!すぐにセッティングするから!!ダレカちゃんも後で話したいから連絡先を交換して!!」
それから三時間後、アリスさんが『ころして…』と呟きながらトゥルーエンドに辿り着いてた。わかる、めっちゃその気持ちわかる。
拷問の末に生き延びたけど、手足がない状態で外に放り出されているみたいな気持ちになるよね。
ちなTSCのRTA最速走者はダレカちゃんです。動画も出てるよ。