ほいさっさ、ムメイでがんす。
――突然ですが。
既視感ってご存知?ま、知らん人はおらんよね…キキッ、にはは。言わずもがなデジャビュ現象のコトなんだけど、コレって記憶における類似性認知メカニズムの働き的なやつなんだよね。
簡単に言っちまえば、脳が勝手に類似した過去経験を想起するってコト。コトって言えばコトってコト。
無駄にループして記憶が混雑してるムメイは、寧ろ過去経験が多すぎて全てに既視感を感じるまであるけど……ま、どーでもいいね。過言だし。
んで、そこでムメイは持論を展開するわけですよ。既視感ってのは未知感と同居してる場合があるって、ね。や…対義語みたいなモンではあるんやけどね?でも、既視感と未知感はわりと似たものだってムメイは考えているわけでして。
「……ここ…アリスは、ここを…知っています…」
G.Bibleを探して三千里。『廃墟』を探索していた途中、センセがテキトーに入った廃工場の中でアリスさんがおもむろに呟いた。
はい、正解ルートに突入した合図です。
今のアリスさんって、記憶のデータが完全にない状態なんだよね。内部的に存在する事もなくて、DLCをインストールしないとってワケ。初対面ではそーゆーのを隠す必要性すら感じてなかったし、実は覚えてましたーってオチもない。
つまりアリスさんの脳は完全に記憶を喪失――消去された状態で、それでも自分に関する場所に既視感を感じているって現状。
アリスさんは未知感で頭がいっぱいだろうに、身体は既視感で動いている。こーゆー事が日常でも有り触れてるから、ムメイは既視感と未知感を同様の分類にしているわけでして。
たまにあるでしょ?エッチな漫画を読んでて、この先にこーなるだろーなーって何となく予想できるとき。それだよ、それなんだよ。その特定のエッチな漫画は読んだことなくても、所謂テンプレートってやつはあるっしょ?センセの持ってるやつはそーだし。
そんでテンプレートは様々な創作物において多数の類似点を孕むからね。その"予測"を無意識に脳が勝手に行うと、デジャビュ現象――既視感に繋がる。
ちな、
「アリス?」
「先生……アリスの記憶にはありませんが、まるで『セーブデータ』を持っているみたいです。この身体が、反応してます……例えるなら、そう…チュートリアルや説明がなくても進められるような…或いは、何度もプレイしたゲームを遊んでいるような…」
「むっ…直感、か……アリスよ、己が感性を信じろ。汝が手を伸ばさんと、至らぬのだろう」
「……アリスは、ムメイの言葉を信じます。こっちに……きっと、こっちに何かがあります。ついてきてください」
「よっし!アリスについて行こうー!!」
ぐへへ、カラダは正直だなァ〜!
ムメイね、意外とこのセリフが好きなんだよね。不良をボッコボコにしてるときに、たまーにそれでも強がってくる奴がいまして。
そいつの膝が恐怖でぷるぷるになってるから、ムメイは言ってやるんだよ。おいおい、カラダは正直だなぁ?って、ね。
温泉開発部の部長さんに宇宙服恐怖症を発症される時にも使ったよ。カスミさんは某小可愛みたいになっちゃったよ。ぬへへ、可愛いね。ペットにして飼いたいね。
アリスさんを先頭にしてテクテクテクテクと進みまして。下から来るぞ!気を付けろ!!って言いながら下階段を降りまして、なんだこの階段は!?と叫びながら、ついでに折角だから赤の扉を選びまして。ちな赤い扉は赤いとは言っておりません。
ドローンをチョキチョキと斬って最後尾を歩くこと十分くらい。記憶上では何十回も来た部屋にまーた来ちゃった♡狂気の部屋の始まりだぜぇ!と、コンバット戸久銘はコンバット戸久銘は真顔で言ってみたり。
で、一台だけ電源のついてるパソコンが置いてある部屋につきました。コレ、焼いたらバッドエンドになります。ライフハックだね。
「……む、面妖な絵箱か……皆、気を付けろ。触れたら爆発するやもしれぬ」
「普通にコンピュータでは…?いや、こんな所にコンピュータがあること自体が普通じゃないけど」
「んー、なんかミドリ落ち着いてるね」
「……アリスちゃんとか、変な大人の先生に忍ペロくん…てかダレカちゃんとか…挙句に鎧武者のムメイさんまで出てきてるし……えっ、改めて振り返ったら面子酷くない!?」
「変な大人ってまた言われた……」
お前もその仲間に入れてやるってんだよ!!
てか改めなくても酷いんだよなぁ。ゲテモノ小隊かよ…ムメイとダレカちゃんを別としてカウントしたらRabbit小隊とFOX小隊をまとめて相手にしても勝てるくらいの戦力だから尚酷いよ。
「ど、どうしよう……怪しい、よね…?電源もついてるし……」
「ユズは慎重すぎだって!こーゆーのは、テキトーに操作したらいい感じにパーンってなるんだって。知らないけど!だいじょぶだいじょぶ♪」
「何も大丈夫じゃないよ!?あ、ちょっ…お姉ちゃん!勝手に触れたら――」
あー!いけませんお客様!お客様いけません!あー!あーー!!ンアーーーッッ!!………や、別に良いんだけどね。誰が触れても起動自体はするし。
ここにたどり着けるなら相応の資格とか権限がある人だしね。知らんけど。そーゆー詳しいのは連邦生徒会長に聞くじゃんね☆ムメイも面倒事の大半をあの人にぶん投げてたし。主に街中で絡んできた不良とかをバキッ♡ってやっちゃった時とか。
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「あ、なんか動いたね。しかもまさかの親切設計?もしかして、ここにG.Bibleについて打ち込めば探してくれるのかな?」
「いや、ちょっと怪しすぎない…?色々とよく分からないし…『ディビジョンシステム』っていうのが、この工場の名前…?」
「……ムメイはどう思う?」
「……………ふむ、先生よ。『でびぞんしすてま』とはなんだ…?不明物は兎に角斬り伏せろと、師より教わっておるのだが…」
「斬ったら駄目だよ!?」
「二割は冗談だ」
「そっか、冗談ならしょうがないかぁ」
とりまゲーム開発部のロリ共がパソコンの周りをグルグルと周り初めまして。何か説明書とか落ちてないかなって魂胆ね。
てか普通に目の前にキーボードあるやん。使って、やくめでしょ。てかゲーミング仕様でビカビカと光ってくれたら分かり易いのにね。気の利かない機械だよ、ホント。
ま、実は音声認識とかもあるんやけどね。その機能もアリスさん…てかAL-1Sさんが触れて資格やら認識云々を突破しないと機能しないっぽいけど。
つーことで、はよ触れし。ほーれ、ほーれ。アピールするみたいにキーボードを迷剣ナナシの尖端でつついてますと――
「……っ!キーボードを発見……G.Bibleと入力してみます」
「あ、アリスちゃん!?あまり触らない方が――」
ユズさんが注意してるけど…ま、聞かんよね。好奇心MAXなアリスさんだし。ムメイも好奇心でオートマタをバラバラに分解したことがあるし、気持ちはわかるよ。
ちなオートマタは途中から分解出来なかった。色々とブラックボックス的な感じだし、ムメイだって人殺しはもうしたくないから、直せなくなる直前に諦めた。
アリスさんがキーボードでパチパチと打ち込んでまして、そうするとあーら不思議。
画面に変な文字が出てきます。
《――あなたはAL-1Sですか?》
「「「っ!?」」」
「む?なんと…絵箱の付喪神か…ッ!?魑魅魍魎の類いめ、譎怪な…!」
「ち、違うと思います……でも、AL-1S……?えっと、アリスちゃんのことかな…?」
「あ、そういえばユズちゃんには言ってなかったかも」
報連相は大事やで、ミドリさん。ムメイは報連相のほの字もやってないけどね!うへへ、ミステリアスムメイですまんね。
まー、でもユズさんも何となくは察してるでしょ。ゲーム廃人だし頭は回るってモンよ。てかモモイさん以外は比較的頭も回るよ。ミレニアムだからね。
「……?いえ、
…ここ、最初の頃は驚いたんだけどね?この子ったらあんま自分が《AL-1S》である自覚がないんだよね。知らない、じゃなくて自覚がないってのがミソ。
記憶はないっつってもさ、自分が寝てた場所に書いてた名前やん?やんやん?
しかも記憶が無いって言っても言語とか熟語は最初からインプットされてるし、しょーじきなハナシ、アリスさん自身も『記憶』と『知識』の境目を理解出来ていないんだよな。
ムメイが思うに、今のアリスさんは空っぽの頭の中に辞典をぶち込んだだけの状態なんじゃないかな。
そこにクソゲニウムを詰め込んで、カミゲニウムで中和しきれなかった部分が現状のアリスさんを構成してるね。だいじょぶそ?ムメイは手遅れだと思う。
《……………………》
「あれ?反応が遅い…?」
「むむむ?なんだか画面もボンヤリしてきたけど、処理に詰まってるのかなぁ?」
「叩くか?」
「ムメイ、基本的に機械は叩いたら壊れるんだ。だからその手に持った鞘をゆっくりと下ろしてね?」
《……そうで…ψ←s@?!&_::n*♢〉▅←ω―》
「っ!?え、えぇっ!?何これ…どういう意味!?」
「落ち着け、双子の妹御。いま殴る故」
「ちょっ、ムメイ!だから叩いたら壊れるって!?さっき私言ったばかりだよね!?」
「二割は冗談だ」
もうっ、センセったらジョークが通じないんだから!普段から秘書の可愛い物理冗談を体で学んでるんだし、ムメイの武士ジョークもケツをグワシグワシと掻きながら口にスポンジを突っ込んで受け入れろよな。
とりま持ち上げた鞘を肩に担ぎまして。………うん、担いだだけよ?ムメイのすること為すこと全てが意味深な伏線なわけないし。
《それは――――緊急事態発生。電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します。残り51秒――》
「む…?」
「え…だ、ダメ!せめてG.Bibleのことを教えてからにしてよ!!」
《……あなたが求めているのは、G.Bibleですか?〈YES/NO〉》
………………宇宙服モードだったらギャルのパンティを願うところだけど、流石に渋くてカッチョイイタイプのムメイが下ネタを言うのもなぁ…
てか時間もないし、黙ってよ。ムメイは空気を読めるタイプの武者だからね。ほら、センセ。褒めて?褒め散らかして?醸し出される美徳と体現された強靭な精神を褒めちぎって?
ま、ミドリさんがYESマンばりにYESと叫び散らかしまして。YESは人生のパスコードだからしゃーないね。で、アリスさんについてはもう良いの?ムメイは知ってるけど、君たちは知らなくても良いの?ま、ぜーんぶ任せるけどね。
《G.Bible……認識完了、コード:遊戯……人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象第1号。残り35秒》
「廃棄!?どうして!?それはゲーム開発者たちの…いや、この世界の宝物なのに!!」
《G.Bibleが欲しいのであれば、提案します。データを転送するための保存媒体を接続してください》
「…えっ、G.Bibleの在処を知ってるの?」
《――
………うん…ね?あはは…はい、えぇ…うん。
《正確には、私の中にG.Bibleがあります。しかし現在私は消失寸前、新しい保存媒体への移行を希望します》
にへへ、おいおい聞いたかよ姐さんたちよォ。コイツ、いま"希望する"って言ったぜ?無感情の"提案"じゃなくて"希望"だってよ。
なに考えてるんだろーね?ムメイは知らんけど。さて、感情も記憶も存在しないハズの機械は何を"思って"、そもそもどーやって物事を"考える"んだろーね。ぐへへ、王女さんに聞いてみよか?
「急に保存媒体なんて……お姉ちゃん、なにか持ってない!?」
「わたし!?え、えーっと…あ、『ゲームガールズアドバンスSP』のメモリーカードでも大丈夫?」
《………………………まあ、可能ではあります》
「何だかすっごく嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」
(感情が)ありますねぇ!ありますあります!!ンアーーーッッ!コイツ隠す気がないです!ユズさんの根性並にないです!!…つまりちょぴっとは有るって寸法よ。
とりま、この後はモモイさんのゲームデータを消しながら移行しまして。容量が不足してるんだからしゃーないね。
泣きながらG.Bibleのデータを確認しようとするモモイさんに、追加のパスワードが必要だって厳しい現実を見せつけまして。
さっさとミレニアムに戻ってヴェリタスに頼れって感じになりました。
そんでついでのついでに、モモイさんが叫んだせいで集まったロボットをぶち殺した。えーい!よっ!シューティングスター!ミルキーウェイ!レインボーテイル!ティンクルダスト!ビッグバン!メ゙デオ゙~~!
◆◆◆
はい、そんで別れました。
『ムメイ』がミレニアムの中まで行けるわけないやん。てか鎧も邪魔だし普通に私服だっての。ぶっかぶかの黒いパーカーね?ドデカイフード付きの。
フードを被ってると、いよいよ持って不審者だ。てか『ダレカちゃん』でも『戸久銘ムメイ』でも、『忍ペロくん』の時だって不審者じゃないことはなかったっての。
何事もなくシャーレに戻る最中です。着ぐるみを回収したらまたミレニアムに行くけど。メイドと戯れたいし。てかセリカさんと戯れたい。深刻なセリカさん欠乏症だ。セリカさんに逢いたい。へへっ…セリカさんを抱き締めたいし、抱かれたい。
セリカさんに想い馳せながらシャーレビル前まで来ますと――はい、変なのおります。自分の客には自分で対応しなきゃってことで、絡むかな。
「……あ?んだァ…テメェ…」
「………あなた、ですか…?」
「うん?」
「あなた…です、よね…!劣悪な手段でアル様の弱みを握ってる、不遜な輩は…ッ!!死んでください!死んでください死んでください死んでください!!」
え、怖っ。
えー、はい。銃をポンポンと撃ちながら呪詛を呟いてるのは伊草ハルカさんです。怖いね、でも可愛いね。一日三食とオヤツを与えながら部屋で飼いたいね。
で、現実逃避はやめよっと。なんでハルカさんが初っ端からブチ切れ鬼神モードなのかって言いますと、アビドスでの事件の最中が原因だね。
普通に忘れかけてたけど、ホシノさんを救出するときにアルさんをメールで脅したんだよね。
脅したっていっても可愛いもんだよ?アルさんが落とした駄菓子を拾って、辺りをキョロキョロと確認した後に食べてた動画を本人に送って、ヘルプ依頼に『これがアウトロー(笑)なの?』ってメッセージを付け加えただけ。
いやー、ハルカさんに曲解されてるよね。
ま、別にいいけど。適度にボコしてアルさんを呼んで回収してもら……あ?
「………………ん?」
おうちょっと待てや。何でコイツ、宇宙服の『ダレカちゃん』と今の姿を同一視している?宇宙服とパーカーだぞ?普通に別人だろ、どー考えても。声も変えてるし。
「ちょい待ち、リトルレディ。なんで襲ってくるの?」
「あ、あああなたが…アル様を…ッ!!」
「…別人じゃね?人違い。てか何処でその嘘情報を手に入れたん?」
「うそ、情報……?そ、そんなわけは……百鬼夜行の生徒が言ってました。あ、あなたが…あの時の不審者と同一人物だって…!!」
「………ん?え、百鬼夜行の生徒?」
「仮面を付けた、狐の……」
「…あー、なるへそね…………狐坂ァァァ!!テメッ…狐坂ぁぁぁぁあッッ!!」
「ひぃっ!?」
「…………失礼。ストレスが溜まると叫んでしまう体質でして。ちなその人は七囚人の一人で、嘘情報をばら撒きながら影で他人を嘲笑うのが趣味の腹黒狐だよ。可哀想に…君は騙されたんだ。アルさんには内緒にしとくから、帰って寝なさいな。君はただの被害者なんだから」
「え、えぇ……?」
ワカモさん……あの人は毎回毎回…何考えてるんだ?こっちの動きに合わせて対応を変えてくるから、ループを通してもいっちゃん確実性に欠ける生徒なんだよ。
昔は一時的に一緒に行動してたし、やっぱ正体はバレてるのか?てかワカモさんがFOX小隊に捕まった時に別れたけど……そのせいで連邦生徒会長に捕まったし、学園に編入させられるし……
アビドスを出て暫くしてから行倒れてたトコロを、ワカモさんが拾ってくれたのには感謝してるけど、それとコレとは話が別だ。他人を扇動して他者を襲わせるのはワカモさんの得意分野だし、まーた何か企んでるな?
「……チッ、しゃーない。少し探るか…」
仮に正体がバレてたとしたら、ハルカさんを仕向けるのは変だ。だって知ってるだろ、ハルカさん程度じゃあ倒せないって。
どーせ、ハルカさんをボコしたら便利屋と敵対するって感じの計画だったんだろうね。昔の脳筋時代ならそーしてたけど、今は頭脳派なんだ。何も考えずに生徒をボコボコにしたりはしないっての。
とりまビルの上にチラッと見えた人影にメメント・モリを向けて発砲しまして。避けたのを確認してからシャーレビルに入った。流石にセンセの仕事場を爆破したりはしなそうだし。
てか排除が目的じゃなさそうだからね。あー、怖い怖い。