シャーレ所属のダレカちゃん   作:ブラウンドック

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少しばかり勘違い…というか作者の説明が下手なせいで伝わっていなかったので補足。

・主人公は性別不明です。女主人公でも男主人公でもなく、性別不明です。ハチマキ並に拘りましょう。性別不明は正義であり唯一神です。五体投地で崇めましょう。でも正直、お好きな方でお考え下さいませ。

・先生は女先生です。7話の時点で明確に明言しておりまして、でも言動は原作同様に中性的になっております。でも足を舐める変態なので男でも女でも大して差はありません。そしてすぐに死ぬマンボウ先生です。

・主人公さんが『ダレカちゃん』や『戸久銘ムメイ』で素性を隠し始めたのは今の世界線で、人生初の試みです。つまり仮面(ペルソナ)を後付けして精神がイカれている状態とも言えます。でもセリカ愛だけは本物なのでセリカさんを愛でましょう。セリカさん最高!セリカさん最高!アナタ達もセリカさん最高と叫びなさい。




ダレカちゃんはゴリラに投石します

 

――夜更け。

 

昼間と比較し、涼しいと言える時間帯。桐藤ナギサは校舎の裏に立ち、時折忙しない所作で携帯端末を覗いて時間を確認する。

普段からの彼女と比較したら些か落ち着きに欠ける印象を醸し出しているが、さりとて自身で定めた"優雅"な在り方から遠く外れた動作は決してしない。他者が今の彼女を見掛けたとしても、当然の様に気品のある方であると答えるだろう。

 

「…………」

 

ナギサは軽く胸に手を当て、浅い呼吸で自分の感情を模索する。

 

『直接逢って話したいことがある』『二人っきりで…ダメ、かな…?』『二人の今後に関わるはなしだから』

 

アフタヌーン・ティーに興じていた時、とある生徒からモモトークに送られてきたメッセージだ。飾らずの簡素な言葉の羅列はナギサでもあの子らしい、と一言で片付けるのだが。

然し飾らない簡素な言葉とは、時には説明不足とも取れる。そのままの意味で受け取るのであれば、二人っきりで逢いたい、とのこと。

 

(……二人の今後?学園や連邦生徒会を介さず、私達だけの今後……?)

 

――複数の疑問符が生じた。

 

共に単純ではない立場で、そも、あの生徒に関してはナギサも測りきれてない。歳や所属することになった学校、連邦生徒会長との関係については軽くではあるが把握している。

だがヴァルキューレに所属する前の経歴や、何故()()()()ヴァルキューレ警察学校に入れられたのかが不明だ。

 

色々と不明点の多い友人ではあるが、それでもナギサはあの生徒に悪印象は抱いていない――が、それ故に解らないのだ。

 

二人の今後、それは何を差す言葉なのか。

 

(や、やはり……()()()()()()、なんですか…!?)

 

頬が赤くなり、火照りを夜風が冷やす。立場が立場なだけにナギサは告白をされた経験もした経験もない。そしてミカのように漫画等の創作物でにわかにも知っているとは言い難く、結局のところ、送られてきたメッセージが『告白』という結論に落ち着いたのも一つの消去法的な視点でもあった。

 

モモトークでの"お誘い"にどんな望みが込められていたのかは、ナギサには分からない。故に真意を聞こうと即日で時間を設けたのだが、夜更けになってしまったのは先程まで彼女がホストとしての勤めを全うしていたからに他ならない。

 

「…………少々、早過ぎでしょうか…?」

 

待ち合わせから一時間は前に到着して半刻程待機しているのだが、未だに来ない。無論、急く気に嘘を吐けずに過剰なまでに早く来たのはナギサなのだが、不安に苛まれながら待ち続けるのは心臓に悪いと溜息をこぼす。

 

――然し、不意に足音が鳴る。

 

「っ!」

 

弾かれた弦のように俯いていた顔を上げる。一人の人間として、どんな気持ちも受け止めなければいけない。例えそんな義務が発生しないとしても、桐藤ナギサという一個人はそう在りたいと願うばかりだ。

 

街灯に照らされた校舎裏。

 

決して良いとは言えない視界で、ナギサは待ち合わせをしていた人物を視界に捉え――

 

「……………え…?」

 

予想外にも声を漏らし、やはり疑問符が生じるばかりだった。

 

◆◆◆

 

んはぁい、ダレカちゃんだよ。

 

なんかよく分からんけど、ナギサさんに夜中に呼び出されたのでトリニティ総合学園の本校舎裏を彷徨いております。

てかさ、本校舎裏とは言いましても。その本校舎裏が馬鹿みてぇに広いんですわ!何処だよ、何処の裏で待ってんだよ!?

 

トリニティ総合学園って、オモロい造りなんだよね。基本的に多いのは今のアビドス高校みたいに一つの建物の中に音楽室やら図書室やらがまとまっている感じだけど、トリニティはドチャクソに広い敷地内に大聖堂とか音楽堂、古書館、その他諸々の施設が別々に建てられている。

 

そん中で本校舎って言われたら多少は基準になるけど、ゆーて校舎裏がバカ広いのには変わりないんだよバーローチクショー!

 

あ、ちな『ダレカちゃん』で来てます。つまり宇宙服の不審者状態だね。や、ちゃんと考えたんよ?脱いで行って説明しようかな、とも考えたけど…こっちの方が説明が早いやん?

ナギサさんの目の前で脱いだら即証明完了からセリカさんとの結婚まで二秒で漕ぎ着ける可能性も微レ存。へへ、ウェヒヒヒ……クラスのみんなには内緒ダヨッ☆

 

で、トリニティを彷徨うコズミック亡霊になりながらぶーらぶーらと歩き回ってまして。途中でトリニティに忍び込もうとする成人犬男性をボコったり爆弾を設置してるヘルメット団のヘルメットを木っ端微塵にしたりしまして、とりまそれっぽい場所に着きまして。

 

「………あ、居た」

 

あっちは気付いてないけど、ダレカちゃんは視力すら化け物な天才でして。先に気付くんだよなぁ、コレが。あまりにも視力が良すぎるから、そのうち衣服とかが透けて見えたりしないかな。

てか余談だけど、最初の頃のループに比べてナギサさんの臀部がナーフされた希ガス。気のせいかもだけど。マリーさんの眼力が弱くなったり……や、マジで気のせいか。ユウカさんの太腿が細くなった気もするけど、ちゃんと太いからきっとダレカちゃんの記憶が盛られてるだけっしょ。

 

 

ま、んなこたァどーでも良くて。

 

なんかやたらとスマホを気にしてるナギサさんに接近します。這い寄らないよ、今回は。

わざと足音を鳴らして近付きますと、ナギサさんがビクンッとしまして、二度見飛ばして三度見されます。わかんよ、その気持ち。

 

「…………え…?」

 

「どーもっス」

 

「あ、貴方は……確か連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの秘書の…?」

 

まー、気付かんよね。てか気付かれたら怖いわ。今のところはワカモさんにしかバレてないし。

 

「ダレカちゃんだよ?形容し難い狼狽と悔いも愛しき琴線に語り掛けるような気持ちを込めて、ダレカちゃんって呼んでね」

 

「…それで、我が校で勝手に何をしているのですか?"捜査"でしたら、事前に――」

 

「あー、ちゃうちゃう。シャーレは関係ない……け、ど……」

 

…………ん?んん?

 

おう桐藤の姐さんや、ちょい待てや。

 

こりゃあ話が違うんちァありませんかァ?二人っきりっつったよなぁ?その為にダレカちゃん、わりと緊張して来たんだが?身バレは下手したらセンセへの身バレにも繋がる可能性があるけど、致し方なしとしゃーなく渋々と苦虫を噛み潰して苦汁を飲みながらネタバレしようと思ってたのに。

 

「……あの?」

 

「ジョセフ・ジョースター!貴様…見てるな…ッ!!」

 

「は…?」

 

「うぎゃっ!?い、痛ったいなぁ!!急に石なんて投げたら危ないでしょ!?しかも私、ジョセフ何とかさんじゃないし…!」

 

「み、ミカさん!?」

 

木の上から視線を感じたので石を投げやして。そーしたらミカさんことトリニティピンクゴリラが降ってきやした。

 

…こんな夜中になにしとんねん。ゴリラは昼行性だし、睡眠時間も12時間くらいだからこの時間は寝てる筈だろ。

てか白い制服を来てるからシルバーバックなのかな?ティーパーティーだし、ボスゴリラって考えだったらシルバーバックでもおかしくないけどね。

 

「なんや我ェ!ダレカちゃんとナギサさんの逢い引きを邪魔するとは何様じゃボケェ!!求婚するぞオラァ!!」

 

「あ、逢い引き!?」

 

「……ふーん、なーんかナギちゃんの様子が変だと思ってたけど…怪しい。ナギちゃんとどーゆー関係なワケ?」

 

「親子だボケェ!!嘘だよオラァ!!」

 

「…情緒不安定すぎませんか?」

 

「ふーんだ!私とナギちゃんは幼馴染なんだもーん!!」

 

「ならばダレカちゃんはナギサさんの仍孫だ!」

 

「くっ…!」

 

「『くっ…!』じゃないですよ……それに私に仍孫もいません。そんな事よりも、何故この場にミカさんが居るのですか?」

 

「えっ、面白そうだったから?」

 

「あ、貴女は…!」

 

「へー」

 

うっわぁ…嘘くせぇ。この時期のミカさんが好奇心で動き回るメンタルなワケないやん。意図せずともオトモダチを殺しちゃったあとだもんねー、死にたいけど後戻りが出来なくなって、自分自身が何をやっているのかも分からなくなってる時期だもんねー。

 

どーせ、変なヤツがナギサさんを殺そうとしたら阻止するつもりだったんだろうね。てかナギサさんも隠せよ、密会。

 

……や、ナギサさんも冷静じゃないのかもね。そろそろ補習部ことゴミ箱を作るだろうし、疑心暗鬼になっとるんね。

ここに一人で来たのは『ダレカちゃん』の中身の人がコンタクトを取ろうとしたからやね。いやー、なんで中の人の好感度は高めなんだろうね。庇護欲?

 

「で?結局、君は誰かな?」

 

「ダレカちゃんだよ?」

 

「そーじゃなくて。偽名じゃなくて中身!まさかロボットだなんて言わないよね☆」

 

「なんじゃそれ、reCAPTCHAかよ。ウケる。私はロボットではありませんってか?」

 

「んー、そーゆーのは求めてないかなー。ティーパーティーを二人も呼び出したんだし、内緒事はヒドイよ?」

 

「ミカさんは勝手に来ましたよね?」

 

「ナギちゃん、シー!それはまた後で謝るから!!」

 

さて、さてさてさて…どないする?チャート外の行動を取るとすぐにこーなる。てかナギサさんとミカさんがデケェ変数なんだよなぁ。

モブっ子だったらどーとでも動けってコトだけど、学園のリーダーが動いたら今後に関わる。だからナギサさんの腹心になって補習部とセンセを監視する役目を担おうと思ってたけど、ミカさんがクッソ邪魔や。

 

後日に回すか?でもなぁ…今はバタバタしてるけど、後になったらナギサさんも察するよな。待ち合わせ時間に素顔を隠した謎人物が来たとしても、その正体が待ち合わせ人だったって察するのはクソして寝るよりも簡単な推理だし。

 

その上で疑心暗鬼になってるから、ダレカちゃんがナギサさんを害しようとしてたって想像しそうだし。そうなったらもう信用なんて夢のまた夢。

 

……ま、頑張って覆すかな。

 

「……それで、ダレカさん」

 

「ダレカちゃんって呼んで?」

 

「…だ、ダレカ…ちゃん…」

 

「なーに?」

 

「あなたはもしかして……」

 

「あっ、ミカさんが居るからナイショね♡でも大体は察してる通りだし、その上で()()()()()()からの言い付けを守るつもりで()()()()にナギサさんに接触したんよね」

 

ま、嘘なんですけどね。

 

ダレカちゃんが連邦生徒会長の託けに従うわけないやん。だってあの人なら従わない事を計画に入れた上で動くし。

でも本人は居ねぇし、それなら好き勝手に利用し続けてやるわ。てか本人が居なくても役に立つとか、ぐう有能かよ。くっそ…腹立つ。

 

「連邦生徒会長?言い付け?え、えっ?ホントに何の話なの?」

 

「………なるほど。あの方でしたら、ここまで見通せていても不思議ではありませんね。でしたら、ひ……あなたが接触して来たのは必然、という訳ですか」

 

「そーだよ?」

 

「その口調も……ええ、成程。事の大凡は理解しました。その上であなたは、シャーレの先生ではなく私の腹心となると?」

 

「ダレカちゃんはセンセの忠実な部下じゃないし、そもそも契約を結んだのは連邦生徒会長だよ。なら優先順位はあるし……ま、個人的には思うんだけど、一人くらいは信用してもいいんじゃない?」

 

色々とミカさんの前で話してるけど、モーマンタイ。現状でミカさんが理解出来ているのは、シャーレの秘書がナギサさんの腹心になったってコトくらいだ。

 

連邦生徒会長のことも言ったけど、そもそもシャーレの重要関係者なんだし面識がない方が不自然ってヤツよな。

ぶっちゃけるなら、正体さえ隠せていれば問題ない。上の口がユルユルなトリニティピンク隕石ゴリラは確定会心の如くセンセにダレカちゃんの正体をバラすし。

 

「んー、なんか面白くなーい!!」

 

「なるほど……つまりナギサさんの一発芸をご所望とな。しゃーない、ナギサさん!やーっておーしまーい!!」

 

「…………え…?」

 

「やった!ダレカちゃん、だっけ?うーん、お友達になれそうだね♪ワクワク、ワクワク!」

 

「ワクワク!」

 

「一発芸を待たれましても困りますよ!?」

 

「「ブー、ブー!」」

 

「………いい加減にしないと…お二方のその小さなお口にロールケーキをぶち込みますよ!?」

 

「あ……これ、マジなやつだね〜。じゃ、私は帰って寝るね〜!!」

 

「あ、ズリぃ!ダレカちゃんを置いて逃げるなよ!?」

 

女の人っていつもそうですね…!ダレカちゃんのことなんだと思ってるんですか!?や、普通に不審者だって思われてそう。

とりま宇宙服を引っ剝がされてロールケーキをぶち込まれるのは嫌なんで、スタコラサッサ〜!

 

……………と、続いて逃げるフリをしまして。

 

残念、逃げません。だって都合良くゴリラが脱走…もとい、ミカさんが部屋に帰りましたからね。えへ、えへへ……二人っきり、だね♡

 

「……さて。で、話を戻そっか」

 

「…コホン。少々話が逸れましたが……私は近い内、本格的に動き出す予定です。まず手始めにトリニティの裏切り者を探します」

 

「目星は?」

 

「大方の予想は。ですが、飽くまでも"可能性"がある異分子に目をつけただけの事。願わくば、()()()()に出る前に本命が見つかれば良いのですが…」

 

「その役目、シャーレに依頼してよ。ダレカちゃんはセンセとか他の子に怪しまれない程度にはナギサさんの指示に従って、見極めるよ」

 

「……シャーレの先生。噂は聞き及んでますが……彼女は信用出来ますか?」

 

「必ず、センセはナギサさんの助けになるよ」

 

ま、ナギサさんの思惑通りに動くとは言ってないけどね。最終的には救うんだし、敵対してもしゃーない。疑心暗鬼を解く試練だと思って受け入れてね♡

 

 

……とりま準備を続けよう。今のうちからエンジニア部に義手の依頼をして、センセにも強くなってもらって…

 

少なくとも調印式中はダレカちゃんはセンセの傍に居られないんだし、出来る限りはやろう。やらないと、またセンセが死ぬからね。

 






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