シャーレ所属のダレカちゃん   作:ブラウンドック

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ダレカちゃんはセリカさんと戯れます

 

ん、ダレカちゃんですわ。

 

今日はセンセが赤冬に行ってるので、ダレカちゃんはフリーです。セリカさんとデートするも良し、セリカさんにひざ枕してもらうのも良し、セリカさんをお姫様抱っこするのも良し。

そんな何事もない日です。だって、トリニティの布石は大体撒いたし、後はシャーレの方で依頼を受けないと現状のダレカちゃんは手出しをできない。

 

その依頼もレッドウィンターから帰って来てからだし、ダレカちゃんは何もしなくても良き良き。

 

とりま毎月恒例のアビドスへの寄付とカタコンベに物資の不法投棄をやりまして。はい、もうやる事がないね。おめぇの仕事ねぇから!とセンセからも言われたし。

ま、正確にはダレカちゃんが手伝える範囲の仕事はもうないってだけやけど。他のはシャーレ当番の生徒がやったりするし、ダレカちゃんも秘書としての仕事はぜーんぶやったよ。

 

センセが今行ってるレッドウィンターについては……うん、やだ。だってあそこに行けばダレカちゃんの変人指数が相対的に低くなるんだもん。

もしもセンセに『あれ?もしかしてダレカちゃんって常識人…?』なんて言われた日には……とりま陸八魔アルさんを殺す。そしてモモイさんを殴る。そんでキヴォトス中の眼鏡を全て壊して眼鏡キャラ愛好家を絶望させてやる。

 

――まー、とどのつまり。

 

「暇なんだよね〜、セリカさん♡」

 

「……………バイト中なんだけど?」

 

「そっかー。でもそろそろビラ配り終わるでしょ?」

 

久々のセリカさんです。絶賛ビラ配りのアルバイト中です。きゃわいいね。

 

想像と妄想では不慣れにも安い給料を出し合ってちょっとだけ広いアパートの一室を借りて二人暮しを始めた頃だけど、現実ではまだそーゆー事になってないからね。まだね。

 

この後はアビドス高校にも顔を出すつもりだけど、先に狂おしい程に愛おしいセリカさんに逢いに来た次第。

ようわからんけど、アビドスの生徒って自由だよね。大体のことは廃校対策の為の資金調達だって感じで出席日数とかもテキトーだし。や、昔からだけど。

 

「…終わったら学校に行くけど、ダレカちゃんも来るの?」

 

「行く行く野獣」

 

「は?」

 

「や、今頃はセンセもクマさんと戯れてる頃かなってね」

 

「どんな魔境よ…」

 

レッドウィンターにはクマさんが出るんですわ。旧校舎の方にだけど、色々とあって旧校舎に行く羽目になるし、運が悪ければエンカウントするよ。

普通のクマさんなら生徒が何とかするし、あんま心配はしてないけど。てかダレカちゃん的にはクマよりもこの辺の不良生徒の方が危険度は上だよ。硬いし、銃持ってるし。クマさんはハジキなんて持てんし、可愛いもんだ。

 

さて、です。

 

セリカさんを待ってるだけじゃあ暇なんで、ちょいと一儲けしようかな。テキトーな御捻り用の袋を置いて、スペースを確保しましてっと。

 

「ダレカちゃん、何やってんの?」

 

「大道芸で一儲けしようかなって。人が集まって来りゃあセリカさんのビラ配りも早く終わるっしょ?」

 

「いや、それはそうだけど……あまり危険なことするんじゃないわよ?人通りもあるんだし」

 

「わかってらぁ、セリカさんに迷惑はかけませんって。むしろ迷惑はかけられたいけどね☆」

 

「……迷惑なら、もう充分かけてるでしょ」

 

「うん?めい、わく……?」

 

何かあったっけ?てか何かされたっけ?やべぇ…覚えがねぇぞ!?バカな…このダレカちゃんが、セリカさんとの思い出を忘れてるだと…ッ!!

知らんけどコレも全部全部、陸八魔アルさんのせいだ!ちくしょうめ!後で事務所にインスタント食品の詰め合わせとシリカ水を箱で送り付けてやる!!

 

え、てかマジでなんの事を言ってるんだ…?

 

「………ヒントを」

 

「えっ?」

 

「ヒント、ちょうだい。ちゃんと…おもいだす。迷惑なんて…かけられた覚えはないし」

 

「お、覚えがないって……その…い、色々と助けてもらったりとか……あー、もういいっ!パフォーマンスするなら早くしてきなさいって!じゃないと先に配り終えて帰るわよ!?」

 

「え、ちょっ!セリカさん!?そのプリティキュートな柔手で妖しく艶やか且つ揺蕩う意識を強引に誘うような手付きで背中を押さないで!?」

 

えっ…えぇ…?何が起こってんの…?つーか、何でセリカさんの顔が赤いの!?クッソ…これがセンセだったら『あっれぇ!ダレカちゃん、まぁた何かしちゃいましたかぁ!?』ってボケれるのに…くっ!情緒が乱される!!

 

 

…………うん、取り敢えずダレカちゃんから言えるのは。この後の大道芸で五万程儲かったって事くらいだね。いやー、クッソ人が集まってきて大変だったよ。

 

失敗作なんて呼ばれてたけど、チョーゼツ有能なんでね。ふへへ、セリカさん褒めて褒めて〜♡

 

◆◆◆

 

「チョリーッス、お邪魔しますッス」

 

はい、セリカさんと一緒にラブラブ()とアビドス高校に来ました。

 

なんか大道芸をやってからセリカさんが引き気味だけど、次にやる時はバイトで助手をやってくれる事になったからモーマンタイ。

その辺でバイトするよりめっっっちゃ稼げるぜ?他ならぬダレカちゃんだし。火を吹いたり手刀でアスファルトを抉ったり、跳躍でビルを飛び越えたり腕から鳩を出したり。

 

ま、殆どは宇宙服の超パワーモードで補っております。生身だったら一瞬で姿を消したりイズナさん直伝の忍術を披露したりするんだけどね。

 

「んぁ?あー、ダレカちゃん久しぶり〜」

 

「ホシノさんもおひさー。相変わらずちっちゃくて可愛いね。おじさんとデートする?」

 

「うーん、不審者は嫌かな?」

 

「ぴえん。悲しいからセリカさんとデートする」

 

「え、嫌だけど…」

 

とてもないた。こころがこわれそう。ようじかしそう。なのでノノミさんにでろっでろに甘やかされて慰められたい。あーあ、ノノミさんの膝枕耳掻きASMRとか発売されないかな。

 

「ダレカちゃん、本日はどのようなご要件ですか?」

 

「アヤネさんのメガネを外しに来たんよね」

 

「ダレカちゃん、本日はどのようなご要件ですか?」

 

「無視されたし…てかコピペかよ。まー、経過観察って感じかな。まだアビドスの依頼も片付いてないし、でも連邦捜査部は忙しいからアビドスだけに集中できない。なーのーで、現状の確認とキヴォトス中全ての依頼の優先順位を付けるのが秘書のO☆SHI☆GO☆TOってコトさ」

 

正確には依頼順序の操作、だけどね。言わんけど。例えばセンセがいっちゃん最初のアビドスを後回しにして百鬼夜行とかミレニアムとかに行ってたらアビドスが手遅れになる。

アビドスが予定通りに解決しなければミレニアムのゲーム開発部が廃部になるし、そうなればアリスさんの今後がダレカちゃんも予測出来ない程に枝分かれするし、下手したらキヴォトスが滅ぶ。

 

順序ってのは決まってるんだよ。

 

最初はアビドス。続いてミレニアムでゲーム開発部の廃部を阻止して、次にトリニティでペロロ洗脳を……じゃなくて、エデン条約に関するアレコレを。

ぜーんぶ操作しないといけないのが、秘書の大変なところさね。間の依頼は多少の差はあっても良いけど、大体の流れは背くとセンセが大変なことになっちまうからね。

 

「…………」

 

「ん、シロコさんどしたの?」

 

「…ダレカちゃんが、真面目に働いてる……?」

 

「おうコラ、どーゆー意味だよ」

 

「あはは、ダレカちゃんは個性的なロジカルでイマジネーションを掻き立てるタイプですからね♤」

 

「柔らかい針で滅多刺しにしてくるやん?」

 

暗に貴様のクソ感性は常人じゃねぇから他人に理解出来ねぇんだワ、って言われてるし。泣いちゃう。泣きながらセリカさんに抱きついたら逃げられた。

 

「ん〜、暫くは大丈夫だよ〜?先生とダレカちゃんに頼りっぱなしもアレだからね」

 

「そうですね……なんだか、恩ばかりが貯まる一方ですね」

 

ホシノさんもアヤネさんも真面目だなぁ。恩なんて受けるだけお得なだけなのにね。や、ホシノさんは恩の過剰摂取で自己嫌悪に陥るタイプだけどね。

信用しきった上で裏切られたらって想像しちゃうし、そう考えてしまう自分が大嫌いなタイプやね。んー、親近感湧いちゃう!

 

でも、本人がこーいってるなら報いてもらうチャンスもあげないとね。

 

「じゃ、一つだけお願いしてもヨロシ?飽くまでも個人的なお願いだし、断られても慟哭して地団駄を踏みながら皿回しタップダンスをするだけやけど」

 

「ん、少し気になるかも。試しにやってみて?」

 

「鬼畜か?やらねぇよ、てかやりたくねぇよ。うっかり女の子一同に一目惚れされちゃうからやらないわ」

 

「慟哭して地団駄を踏みながら皿回しタップダンスをするコズミック不審者を見て惚れる女の子がいるわけないでしょ!!」

 

怖いよ、シロコさん。目の中にワクワクって文字が浮かんでて怖いよ。普通に考えて、地団駄を踏んでるのに同時にタップダンスは無理でしょ?

や、タップダンスで地面を揺らしたらいけるか…?通常宇宙服の数倍の重さがある『ダレカちゃん』の宇宙服ならいけるか?ま、地面への干渉についてはある程度は軽減される仕組みだけど。

 

………うん、これはちょっとした"お願い"だ。

 

真意は理解できなくても良いし、この人達なら断れない。断れないって分かってるからお願いする。ダレカちゃんは屑だけど、屑なりにやる事があるんだし。

 

「――お願い。ダレカちゃんが居ない間はセンセを守って」

 

「………!」

 

「ダレカちゃん…?」

 

「……なーんて!ぬっへっへ、ダレカちゃんらしくないって思ったやろ?セリカさんなんてギャップで惚れ直しちゃうかぁ〜!」

 

「最初から惚れてないんだけど」

 

「ッッ〜〜!?!?!?!?」

 

うせやろ!?もう想像と妄想では二人暮しも安定してきて、百均とかで買い揃えてた小物をちょいと良い感じのブランドで買い揃えて、お互いに何も言わずに食器とかマグカップ、スリッパやパジャマに至るまでをお揃いにしてる頃だったんだが!?

 

…ま、このお願いも保険的なモノだ。

 

エデン条約調印式の時期になればヒフミさんに協力してもらうし、そん時にちょっと早く来てもらおうってワケ。

それくらいになればギリダレカちゃんも戻ってきてるだろうけど、マトモに戦えるかは分からんからね。善処はするけど、気力でどーにかなる問題じゃないし。

 

テキトーに聞き流して貰っても良き良きだけど、ちゃんと利用させてもらうよ。ダレカちゃんはセンセほど潔白な人間じゃないし。てか人間かも怪しいし。心は人間だし我思う故に我あり派だから100%人間だけど。

 

…頼むよ、みんな。まだ順調だ……このまま。いや、これ以上に強くならないと未来なんてないからね。

 

◆◆◆

 

「――お願い。ダレカちゃんが居ない間はセンセを守って」

 

「………!」

 

………似ている。あの子と似ている…色々と混じってるダレカちゃんから垣間見えた、あの子の気配。既視感の強い、空っぽで無機質な…間違えるわけのない空気。

 

確信はない。だけどダレカちゃんの中身がキミである気がしてならない。私の……小鳥遊ホシノの心が高鳴る事象は何の前兆なのか、その答えをきっと私自身は理解している。

 

続けて戯けるダレカちゃんを横目に、目を閉じてノノミちゃんの膝に頭を預けた。

焦りをダレカちゃんに悟られたくない。きっと、あの子には私の向ける感情は邪魔なだけだから。

 

「……ホシノ先輩?」

 

「んー?どしたの、ノノミちゃん」

 

「…いえ。一瞬だけ深刻な顔をしていた気がしたので…」

 

「うへ〜、ノノミちゃんは目敏いなぁ……ちょっとね、昔のことを思い出したんだよね。ノノミちゃんがおじさんのストーカーになるちょっと前の、ね」

 

「す、ストーカーはしてませんよ…!」

 

「あれれ〜、そうだっけ?」

 

懐かしい記憶に浸ったからかな。少しだけ、ノノミちゃんの懐かしい反応にも気付けた。みんなのお姉さんとして、そして先輩としての柔らかくて包む対応と、私の後輩としての少しばかり幼い素の対応。

可愛いと思うよ、本当に。私もユメ先輩にはそう思われていたのかな…ううん、考えたって分からない。生意気で嫌味なまでに現実主義な後輩なんて可愛いとは思えないしね。

 

「………私がホシノ先輩と出会う前……少し話してくれた事がありましたね。もう一人、アビドスには生徒が居たって」

 

「正確には生徒じゃないけどね。ま、その話は置いとこっか。あんまり話してても楽しい話でもないからね〜」

 

只々、私があの子を傷付けただけ。改めて話す事もないし、言い訳もしない。またキミに会える…いや、会えた可能性があっただけでも収穫はあったようなモノだし。

 

でも、初めて『ダレカちゃん』と話した時。ダレカちゃんは私の既視感を否定して、全ての自分に関する情報を隠しきった。

きっとキミは隠してる。自分の素性も、私達との過去も。だから私から何かを言うこともない。親友として、先輩として……キミの意思を尊重するのが、私に出来る唯一のコトだから。

 

せめて、キミがキミなりの青春を見つけれた事を願うばかりだよ。

 

「だーかーらー!ゴリラの血液型はBしかいないってのは誤情報なんだって!!」

 

「でも、インターネットではB型しかいないって書いてたわよ!?」

 

「あ、あはは……セリカちゃん、騙されやすいからね」

 

「ん、インターネットリテラシーは大事。セリカは騙されやすいから」

 

「シロコ先輩まで!?」

 

 

……………えっ?アレって嘘だったの…?

 






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