「でけたー!!」
はい、ダレカちゃんだよ。
ダレカちゃんは天才です。ちょー天才なので、思い付きしたぜ!そうだ、温泉を掘ろうってなァ!!
今日の早朝にさ、ゲヘナで温泉開発部を開発()してやったやん?ピーピー泣き喚くアホ共を
そんで、思ったワケよ。みんなの前に出てきた死にかけクソガキがダレカちゃんじゃないって証明するには、まずはアリバイが必要なワケよ。
当初はナギサっさんに抱っこにおんぶしてもらおーかなって思ってたけど、そー言えば2日に1回の密会を寝坊キャンセルしちまったのさ。
………で、気まずいやんね。
ついでにナギサさんが雲隠れしてるし。
だから自己解決をしましょっと、ってこと。や、無理そうなら普通に土下座するんだけど、ちょーぜつ天才ヤベェ鬼才むっちゃ超才なダレカちゃんだからさ、自己解決が可能可能の可能之助だったってコト!
そんで掘りました。
宇宙服の超パワーモードで合宿舎の庭をホリホリして、なんかお湯を出しまして。や、ね?火山ヤマモリなゲヘナじゃないんだから、ンなに温泉は出ないって思うやろ?
でも出たァ!違う世界線でシロコさんと、この辺にグングニル的なヤツをバーストした時にお湯が出たからね。いやー、楽勝楽勝♡
んでね、掘った所をあーしてこーして、手刀で加工した丸太で良い感じに地面に突っ刺して石とかを詰めたりして、最近ミレニアムで見付けたアレでズモモモモってきたら完成じゃんね☆は?3時間もかかったんだが?朝っぱらからダレカちゃんはなにしてんだっけ?
まっ、普通の人なら数日は掛かるコトを一人で、しかも三時間でやったんだしぃ?アリバイ工作としては九百満点やろ。………………や、普通の人でも数日は無理だな、コレ。一人では無理だぞコレ。
でも出来ちゃうっ♡模範的ゴリラをラーニングしてるんで(真顔)……や、いつも真顔だぞぃ?つまりいつもゴリラ…?ゴリ……あはっ、トリニティ所属じゃないんだからゴリラなわけがないじゃんね!
「……なにしてるの?」
「あっ、センセ及び他の皆さんもおかえりなさい。いやー、誰も居ないから集団夜逃げしちゃったかと思ったでオイ。昨晩から温泉を掘ってたダレカちゃんに謝ってもろうて」
「ごめーんね」
「あ゙あんっ!?」
「えぇ……私なんでマジギレされたの…?」
軽いわァ!!謝罪がワタアメかよゴラァ!!………謝罪がワタアメってちょいと可愛いジャねぇか、コノヤロウ……センセのクセに生意気な。
とりまセンセを筆頭にして帰ってきたアホ共に、ダレカちゃんは一晩中温泉を掘ってたって猛アピール♪伝われ!この想い!!
「ちな許可は取らずに掘ったよ。センセ、後でナギサさんに連絡ヨロシク」
「そっかぁ……リンちゃんにも報告しておくね」
「すみませんマジで勘弁してください」
「ダレカちゃん、相変わらずリンちゃんが苦手なんだね」
苦手だが?てかダレカちゃんとダレカちゃんの中の人を同時に把握してる人は総じて苦手なんだが?リンさんって必要と思えば自己判断でバラすだろーし、堅物で読み易いって思わせながらも意外と読めない人なんだよ。
「……………なるほど」
「おん?」
「あ、いえいえ。お気になさらず」
ハナコさん?ねぇ、どーして意味深に思案顔をしてるんだい?にっへっへ……暗黒微笑でもしたろか?や、痛々しいし…そもそも宇宙服で隠れてるからやっても分からんし。
アホなコハルさんは『あっ、じゃあアレって違ったんだ!』みたいな顔をしてるからモーマンタイ。そんな君がしゅき♡しゅき♡だーいしゅき♡
昨日は……てか今日の早朝は銃を向けちまったし、いつもより五割増しの愛情を向けてます。染みて!この想い!!
「……えっと、えっ……でも…」
「おん?どしたの、ヒフミさん。ちな玉葱の花言葉は『不死』と『永遠』だよ」
「あっ、いえ……多分勘違いです……勘違い、ですよね…?」
「この儚くも気高いLove?勘違いじゃないから結婚しよっ、式場は
「あ、あはは……」
あはは……否定も肯定もしない、僅かな遠慮と現状維持を込めた『あはは』。どしよ、『あはは』って曲でも作ろうかな。デスボを豪快にぶっ込んで。出せるぜ、デスボ。
この後、取り敢えずは昨日の『クソガキ=ダレカちゃん』の方程式は物理的に有り得ないって思わせた。
想像力が足りてないぜ?ちなダレカちゃんも、数時間でトリニティからゲヘナに行って帰ってきて、一から温泉を掘って加工して広い囲いまで作ったって言われても信じません。ミカさんレベルのゴリラが6人もいたら可能かな?
「そんで?センセ達は何処で何をしてたん?一晩中寂しく温泉開発をしてたダレカちゃんも仲間に入れておくれ」
「…一晩中、ね……うん、後でちゃんと話すよ」
…………ん?おい、なんで含みのある言い方なんだ?センセのクセに生意気な。とりまケツを蹴り上げてピーピー言わせといた。ダレカちゃんの方が強いので。そして、ダレカちゃんの方が強いので。
◆◆◆
はーい、残り一週間です。
最後の学力試験が一週間後です。一週間後には
「さーてーと、楽しい楽しい計画を組もうかね」
とりまそろそろ、ダレカちゃんがナギサさんの腹心だって事は
最初から明かすって事は決めてたけど、ここにきてナギサさんがダレカちゃんを置いて雲隠れしちゃったんだもん。端末での連絡は控えるように言われてるし、そーなればこっちからの接触はむむむむ無理なカタツムリです。
最終日なら居場所も分かるけど、この時点ではめっちゃ多い
なーのーで!心の底からナギサさんに心酔してて、身も心も捧げる所存だった腹心(笑)なダレカちゃんはナギサさん側から補習授業部側に行こうってオハナシ。
タイミング的には試験前日、アズサさんがカミングアウトする時がいいよね。つーか考えてもみれば、ダレカちゃんって何も妨害しとらんやん。あん?誰が無能スパイだゴラァ!!
………で、ここからが
『ダレカちゃん』はもちろんセンセの味方。でもさ、ウソーノ・ウラギールは
「あーあ、ヴァニタスくんさぁ。人型になって自立したり出来ない?」
《――――――》
「むり?なんか上手い感じに……こう!シュババッて出来ないん?てかヤレし」
《………………》
「あー、ごめんって。泣かないで、泣かないで。おーよしよし、ヴァニタスくんはじゅうぶん頑張ってるぞ〜。後で生肉食べさせてあげるぞ〜」
《〜〜〜♪〜〜〜♪》
「うわっ、キモッ……脈動すんなっての。燃やすぞ」
《――ッ!?》
「二割は冗談だって。ヴァニタスくんは一部の厨二紳士には人気やぞ。や、知らんけど……うんうん、肉拳銃はロマン。ロマンスはないけどロマンだぜ!」
《…………、〜〜〜♡》
「うわっ、急に脈動するなよ!気持ち悪いなぁ!!」
《―――っ!?――っ!――――ッ!!》
「なっはっはっは〜!」
んで、つまりは試験当日に『ダレカちゃん』はLove Love♡マイスイートハート・コハルさん達には
だってウソーノ・ウラギールがトリニティを闊歩してクッソ暴れる予定だもの。残り一週間はじゅうぶん休んで、元気80%ウソーノ・ウラギールとして仕上げる予定だったんよ。
……………だから無理して徹夜続きをしてたのに、このクソガキったら倒れて気絶しやがるんだもん。ぶち殺すぞ、陸八魔アル…!!
……ま、倒れて寝坊助をやらかしたから当日は元気95%の世界最強ウソーノ・ウラギールでいけるけどさ!睡眠薬、いつもの倍は消費するぜ☆
そんでもってマジでぶち荒らすぞ、てかセンセが強くなる為に最高の壁になったるぞィ!アンチ勢だし、てかアンチ勢筆頭だし。
まー、ホシノさん救出然り、VSメイド部然り。
センセが壁にぶつかるシーンでは基本的にダレカちゃんはその場に居ないし、意図は伝わってるよな。センセのレベルアップを願う健気ダレカちゃんを褒めて?褒め散らかして?宇宙服のツルッとしたフォルムと内包された矛盾を寛容する優しさを褒め甘やかして?
今回もそのスタンスで行こー。
建前は……そうだな、学園を取り囲んでるアリウス兵士をボコしていたって感じにするか。作戦開始時点で『サポートに回る』とか『ヤベェ奴がいそうだから〜』的な事を言っとけば良い良い。ノリとテンションで別口の建前をぶち込むかもだし。
基本的には二転三転した言葉で会話してるけど、ダレカちゃん、世界一強いし言葉に説得力も着いてくるって寸法よ。
よーし、みんなの為にがんばろー。
…………うんうん、いい言葉だにゃー。
「……………はぁ…まっ、
苦い溜息が漏れる。不思議と肺の中にはまだまだ悪感情が燻ってて、晴れた試しはない。
誰に言い訳するでもなく。ダレカちゃんの言い訳は■に向けてのモノでしかない。別に多少の尽力は構わんけど、どうしても助けたいワケではない。
元より『みんなの為に』的なスタンスの人間じゃない。他人様の為に動けるほどの余裕なんて最初からないだろ。極論的には『センセの為に必要だったから』なんだよ。
じゃなきゃ、■を庇って捕まったワカモさんを放置なんてしなかったし、ホシノさんを一人残してアビドスから出て行かなかった。
結局、執着がなければ人助けなんか余裕のあるヤツの自己満足だ。時間が、精神が、肉体が、金銭が――ひとつでも余裕があれば、きっと人間は善も悪も関係なしに気紛れで人助けに乗り出すのだろうね。
羨ましい限りだ。本当の意味で人助けを出来るヤツは、ダレカちゃんにはチョイトばかり眩しい。眩し過ぎる。
――これまでも、これからも。
ダレカちゃんの行動は
もし人助けになってるとしたら、それは薄っぺらい理性で一丁前に人間を真似てるだけ。事実、好きな人以外に慈愛を向けたりなんか出来ない。無関心な木っ端に目を向けたりなんかしない。人間未満なんだから、これも仕方がないってモンだ。
どんだけ考えても、結局は暴力に辿り着く。こりゃあ確かに、センセの思想なんて理解できないワケだ。
なぁに、哲学的な話じゃあないさ。
もっと原始的で至極簡単なオハナシ。力しかないから……武器を持っちゃったから、そのやり方しか知らないから、ダレカちゃんは暴れる。暴れる事を手段として、目的に突き進む。
逆にセンセには力がない。でも『心』があって、他人と繋がれる。だから強い、だから他人を頼れる。
……たまに思う。
持ってない人は、良い意味で小賢しい。持っていないダレカちゃんは、そんな小賢しい部分が欠落してるから幸せを得ることが出来ない。
「……ヴァニタス。幸せって、なんなんだろうなぁ」
《――――?――、――――》
「…そーかい。なら、応えないとね」
きっと、大金を得たってダレカちゃんは幸せにはならない。精々アビドスに寄付して、自己満足と自己嫌悪に浸って溜息を吐くだけだ。
きっと、愛されたってダレカちゃんは幸せにはならない。その愛に報いるコトができない…そんな時間は残されていない。伸ばされても、手を掴めないんだ。その資格がないから。
きっと、センセを救ったってダレカちゃんは幸せにはならない。いつか、彼岸キミは消える。消えて、
あーあ、多分だけどダレカちゃんはさ。消えて無くなる前に、小説の冒頭見たいに呟くんだよ…『恥の多い生涯を送ってきました』って。最後のカッコつけで。
Vanitas Vanitatum, et omnia Vanitas.
虚しい、全ては只々虚しい………けど、ラーニングした部分がもう一言を付け加えたがっている。虚しいけど、それは明日を目指さない理由にはなり得ないって。
ホント、猿真似だ。
………がんばろう。すべては、センセとスイの為に。