例えば、水を殴るとしよう。
普通の人が殴ればパチャパチャと音を立ててすり抜ける。ダレカちゃんが殴れば爆散の如く全て飛び散る。そして、集めて元通り。みずみずしい水の完成だ。
これを凍らせても、蒸発させても、最終的には水でしかない。何か別のモノを混ぜれば
さて、です。
これからダレカちゃんが戦うヤツってそーゆーモンなんす。ダメージレースじゃあ
こりゃあクソゲーだよ。ゲーム開発部のアレの方がマシなレベルでクソゲー。周回前提どころか攻略本必須ってマジ?マジなんよなぁ、それが。
まっ、現実に攻略本なんてねぇけど。敢えて言うなら、死ぬほど
そんなクソゲー、じゃあ『勇者の剣』をゲットしたらボスを倒せて即クリアからの幸せエンディングかと聞かれれば、そーでもない。
まずボスは倒す必要もないのに倒さないと詰むタイプのバグを搭載したカスで、『勇者の剣』があっても『無理ゲー』から『クソゲー』に変わるだけのゴミ。
しかもボス攻略失敗でセーブデータは消えるときた。やはり現実はクソゲーだ。ダレカちゃんが保証するぜ?つーか、んなバグクソゲーを発見したらミレニアムタワーのテッペンから捨てちまえ、存在するだけで時間の無駄です。
と、まあ。
何故ダレカちゃんが暇潰し程度に現実クソゲーの攻略を考えていたかと言いますと。
「………………んで、そろそろ帰って良き?」
「そ、そう…ですよね……私は彼岸さんの気持ちを踏み躙って、裏切って……利用したんです。謝罪なんて……」
「ダレカちゃんって呼んでね?」
「……私は、ダレカちゃんさんを――」
アビドスから帰ってきて寮に帰る途中、ナギサさんに捕まりまして。もう夜よ?カラスは泣き終わりました。
……ちな一時間前からナギサさんがこーゆー感じです。二人で正座してます、星座になれたらいいね。しりゃあせんけど。
おおん、オロロン。精神的に追い詰めすぎたかな?
罪悪感湧いてくるなぁ、や…実はそこまで湧いてないけど。沸いてんのはフロアとトンカツと頭だけってか?HAHAHA!ぶち殺すぞテメェ。
やる事は決めてたし、そんで嫌われるならしゃーなし。ダレカちゃんが嫌われる程度でセンセが生きるなら、嫌々渋り渋らせ渋りながらも地団駄踏んで駄々をコネコネして、検討に検討を重ねる事を検討しつつも泣く泣く已むを得ず否々乍らも気分サッパリと嫌われてあげようとも。
「あー、えっとね。あんときはそーゆーテンションで、口が滑ったと言いますか……マジでナギサさんを嫌っているワケじゃなくてですね?」
「……ええ、理解してます。私には好かれるどころか、嫌われる資格すらありませんよね…」
「ダレカちゃん的にはナギサさんも好きなんだけどなぁ」
「お気遣い、感謝します。ですが――」
「ンアアァァァァーーッ!!ンアッ、ンアアアアアァァァァーーッッ!!」
「っ!?!?」
「失敬、キチゲ解放のお時間だったので」
「は、はい………えっ、あ……はい…?」
重い長い面倒い!!なんやこの面倒女ぁ!お姫様抱っこしてウエディングロードをハーレーで爆走したろかコンニャロウ!!
思わず叫んでしまいました。心が叫びたがっているんだから、仕方ないよね。天がそうしろって言ってたんだし、しゃーない天誅。
ダレカちゃん的には罪悪感で倒れるより、いっそ開き直ってくれた方が有難い。ミカさんまでいくと開き直りってよりも暴走だけど。
「ナギサさん」
「……はい」
「ナギサさん!」
「は、はいっ!」
「んっナァギッサァァァァンッッ!!」
「聞こえてますよ!?」
「うっさいわボケェ!!」
「……………」
「……ダレカちゃんはさ、ここで反発する
「……ですが」
「ですがもヘッタクレもないっすよ―――
「ッ!」
ナギサさんの気持ちは分かる。裏切ったのはダレカちゃんだけど、最初にダレカちゃんを利用しようとしたのはナギサさんだ。
ホントならコレでお相子なのに、ナギサさんったら年上だとか立場だとかで自分に非があると思っている。
……違ぇだろ、立場があるんだったら
「恥も外聞もかなぐり捨てて言いますよ、ナギサさん。今回はお互い様だ。そんでナギサさんだけが謝り倒すのは不平等だろ」
「不平等ではありません。私は彼女からあなたを託され…本来ならば政治的に利用するべきでは無い彼岸さんを巻き込んでしまった。それなのに、私を護る為に動いてくれた彼岸さんと私がお互い様で良いわけがありません」
「ダレカちゃんな?……今回の件、確かにナギサさんの非はあるッスよ。ヒフミさんやコハルさん、ハナコさんは…………あ。……や、コハルさんとハナコさんは被害者でしかないし、エデン条約を意識しているにしては試験会場にゲヘナを選んで、しかも温泉開発部を利用したのは…ま、下手したらヤベェ事になってたかもッスよ」
後者に関してはナギサさんが独自の網を使った可能性もあるし、政治的云々に関してはどーとも言えんけど。
「謝るべき相手はいるだろうね。素直に謝罪できる人ってのは意外と居ないモンだし、ナギサさんの美徳だとも思う」
――でも。
「でも、ダレカちゃんには――『彼岸キミ』には謝るな。ガキだと思って
「っ!……いつの、間に……」
「…………」
「…いつの間にか、大きくなりましたね……ダレカちゃんさん」
「しみじみとダレカちゃんさんって呼ぶのやめない?や、確かに『ダレカ』が苗字で『ちゃん』が名前ではあるんだけどさ」
「少し前まではあんなに小さかったのに……お母さん、嬉しいです」
「オッフ…オカン気取りかい?ふへっ…♡バブバブ〜♡」
「冗談です」
「え?合法的に赤ちゃんプレイが出来るチャンスだったのに……まじ萎えぴえん不可避ナウ説あるコアトル」
「あ、あか…?」
ケッ、お偉いさんは赤ちゃんプレイも知らんのかね。いや…ナギサさんが赤ちゃんプレイに詳しい赤ちゃんプレイの申し子だったら脱帽だけど。
でもお偉いさんって闇が深いからなぁ……ストレスが多いと人間を奇行に誘うのかね、欲って。うーん、精神の謎。
とりま心のメモ帳に書いとこ。ナギサさんは特殊性癖の可能性大、と……滾るね。ちなミカさんは《ピーー》な《ピーーー》という偏見を持っております。どっかの教室で学んだ希ガス。セイアさんは誘い受け(ド偏見)
「……すみません。謝ったことに、謝罪させてください」
「誤って謝った事を謝りますと。健闘を検討することを検討します、みたいに言われましても」
「一人の人間として、私はあなたと対等に向き合っていなかったのかもしれません。いつの間にかあなたは、庇護下にいるだけの子供から連邦捜査部シャーレの秘書として、大きく成長してしていたのですね」
「………いつまでも考え無しで突っ走るだけじゃあいられなかったんでね。ふっへっへ、キキッ……大人の色気を醸し出せるアダルト☆ダレカちゃんですまんね」
「ですが、まだ子供っぽいところもありますね」
「聖母みたいな顔やん?おうコラ、頭撫でるな。茶菓子出すなジュース出すな、大人扱いしてくれる流れじゃなかった?」
「12才はまだまだ子供です。よって、親離れはまだでしょう?」
「自称姉に続いて自称母も出てきた件について。もしかして変なフェロモンでも出てる?
「ふふっ、冗談ですよ」
冗談ならしゃーないかぁ……なんだろ、好きな子に一生お友達宣言されたような気持ちやね。あっ、セリカさんで想像したら普通にマジ涙が出てきた……マジ無理病むわ反転するわリスケしよ。リスケは大事やで?センセが死ぬ度にリスケしてるモン、リ・スケジュール。
「……そう言えば、ダレカちゃんさん。ミカさんには会いましたか?」
「おん?今、ダレカちゃんの寛容な御心に前衛的な芸術味を感じた、ツルッとした宇宙服の頭部はまるで地球を象っていて左右対称な在り方は平等乃至世界平和の象徴とも言える、然し内面に秘めた
「いえ、言ってません。ミカさんには――」
「え?今、ダレカちゃんの圧倒的ビジュな顔面偏差値に脱帽してロールケーキを捧げたくなった、変声機を通しても尚衰えない美声は天使のように朗らかで悪魔のように妖艶且つ大胆で紅茶を供えたくなった、大体の生徒は木っ端として片手間にぶち殺せる戦力に恐れ慄き慟哭してエナドリを箱で贈りたくなった、的な事を言った?」
「言いましたね。それで、ミカさんには会いましたか?」
「………………ノーコメント。略してノーン」
「……会っていないのですね。今回だけでなく、ミカさんはずっと彼岸さんを探していたのですよ?逃げられてる、と悲しそうにしていましたね」
「キャッ、キャッ♡略してキッキ♡」
「相変わらず、なんですね……あなた達は」
だってあの人、苦手なんだもん。とダレカちゃんはダレカちゃんは内心で独り愚痴ってみたり!
独占欲が強いというか、人を自分の所有物みたいに思ってる節があるというか。ミカさんって普通に我儘お嬢様だし、気に入らない事柄に関しては態度悪いわ口が悪いわ喧嘩上等だわ、ゴリラかよ。や、ゴリラの最たるだわさ。
結局は過去のトラウマ?って言えるほど高尚なモンでもないけど、所有物扱いが当時のダレカちゃん的には大地雷でして。
いろいろと面倒臭いから距離を置いてたら、どっかの世界線では監禁されたし。それでセンセに会えなくてセンセが死んだんだが?
別に恨んでるとか嫌いだとか、そーゆーのは今はなくて。単純に面倒臭い。ヴァルキューレの寮に帰る度に寮長から『ミカ様が来てました』って言われるんだぜ?そりゃあループで学んだミカさん襲来周期をフル活用してでも逃げるよ。怖いもん。
……うん?てかミカさんって檻の中に居るんやろ?ぷ…ククッ、動物園のゴリラかよ…!一般人にも公開して動物園にしよーぜ。
問題点は檻が機能していない点だね。注意、ゴリラが気分悪くなると檻や壁を容易く破壊して貴方に隕石をぶち込みにいきます、てか?教えはどうなってんだよ!教えは!!なんで金持ち学校の中にゴリラが居るんだ!?クソッタレ!!エデンの賜物だね。エボンは知らん。
「……会いに行ってあげてください」
「や!」
「会いに行きなさい」
「えっ、命令口調やん?」
「そうですか、では監視の者に話は通しておきます。この際ですので御夕飯のロールケーキも一緒に持って行ってくださいね」
「行くって言ってないが?つーか今からなん?」
晩餐については何も言うまい。ロールケーキ ハ 一日三食主食 ダヨ?アカシック・レコード ニモ 書カレテルヨ?
はい、そーゆーワケでロールケーキが入った籠を片手に外に放り出されたダレカちゃんです。
嫌だなぁ……行きたくないなぁ……センセとか生贄にするから、キャンセルできん?ミカさんキャンセル、これを略して"ミキャさん"と名付けよう。
今後の人生では"ミキャさん"の開拓も必要になるよなぁ……や、世界線とか関係なく。てか今回は絶対に生き残らせるし。
とりまセンセにモモトークを………あ、そもそもセンセの連絡先持ってねぇや!ナーハッハッハ!暗躍に邪魔だから登録してねぇし、電話番号は覚えてるけどさ。
まっ、余程のピンチならシッテムの箱が勝手にこっちの端末を探知してヘルプメッセージを送ってくるし。センセと普段からメッセのやり取りをしたいワケでもないし態々交換する旨味もナッシング。
さて、新テクニックこと"ミキャさん"は使えんかぁ……そもそもセンセは倒れて入院中だし、呼び出しても使い物にならんけどね。
「…………腹ァ括るか?」
ダレカちゃんとしてなら幾らでも会えるけど、『彼岸キミ』をご要望らしいし。てかナギサさんも遠回しに『彼岸キミ』で行けって言ってたし。
「一旦帰って、着替えるしかないかぁ………嫌だなぁ…行きたくないなぁ……着くと同時にゴリラ脱走とかのニュースが流れないかなぁ……」
あー、ストレス溜まってきた……解放するか、キチゲ。
ンアアアアアァァァァァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!!
あ、ごめんなさいお嬢さん。ちょっ、通報しないで!?ナギサさんとかカンナ先輩に怒られるから!リンさんにもぶちギレられるから!!
無事逃げましたとさ。そしてトリニティの新たな都市伝説になったとさ…………汚ぇ都市伝説ですこと。ぺっ!ぺっ!!
死ぬほど誤字報告、感謝致します。