前回は予約し忘れてそのまま投稿したので、今回はちゃんとしましょ(戒め)
「はい、では会議を始めます」
「…アヤネさんや。それはつまり、会議を始めるってことかい?」
「なのでつまり、会議を始めるってことですね〜☆」
「ノノミ先輩!? ノノミ先輩までダレカちゃんの戯言に乗らないでください!!」
「ざれごと……」
今日も今日とてアビドス高校。徹夜明けで寝てたセンセを簡素な台車に乗せて、シャーレビルからアビドス高校まで来たけど、まあ…変な目で見られるよね。ヴァルキューレ警察学校の人に止められたよ。
ヴァルキューレってなーんか変なんすよね〜。所属生徒がどこの学園都市にもいるんやけど、弱いし装備も普通だし……戦闘に関しては自己完結出来る生徒が多いし、大規模な学園だったら生徒会直属の治安維持組織もあるから尚更必要ないです。
良かったね、なんかダレカちゃんが知らない間にSRTの生徒が割り振られてて。
連邦生徒会長が居なくなってSRT特殊学園の云々があーなってるのも、ループ開始地点
戯言を吐きながら別事に思い耽ていると、アヤネさんはダレカちゃんを視界から排除して話を続ける。だから俊敏に動いて視界に入ってやった。
おいセンセ、なに呆れた顔してるんだよ。生徒の戯れだぞ、菓子のひとつでも出せって。アプリゲームに課金して金がないのは知ってるけどね。
「……今日の議題は先日の件についてです」
「うんうん、セリカちゃんが泣いてた件についてだね。おのれカタカタヘルメット団め、うちの可愛いセリカちゃんを泣かせるだなんて許せないね〜」
「ホシノ先輩!な、泣いてないって!目が乾燥してたから体液で潤してただけよ!!」
「その言い訳は無理があるんじゃないかな…」
「ほう…つまり、センセはこう言っておられるぞ!くっだらない虚言で今後のアビドス然りキヴォトスを左右する超絶会議を荒らすのはヤメタマエ!!貴様は泣いたんだ!産まれたての子供のように泣き喚いたんだ!!認めろぉぉ!!……と、我らがシャーレのセンセは言っておられる」
「ぶっ殺すわ、先生共々!!」
「なんで私も!?………ダレカちゃん、少し黙らないと――」
「お?お?センセったら虐待か?うっはー、天下のセンセも苛つく生徒相手では拳が先に出ちまうかぁ〜っ!!」
「リンちゃんに報告するよ?これまでの言動、余すことなく全て」
「ホントすんません。ジブン、チョーシ乗りやした!腹切って詫びます!!うへ、うへへ…これ、トリニティで買ってきたクッキーでして…少しでもセリカさんの心の傷を癒せればと…」
「最初から素直に渡そうよ…」
茶化す事で楽になることってあるやん?特に、結果的には皆に迷惑を掛けたって感じてそうなセリカさんにとっては。
ダレカちゃんだって、自分の罪を茶化さないと罪悪感とか諸々のストレスで死にたくなるし。ま、自殺しても次のループが始まるだけなんやけどね。にはは、メンディーデスね。
てか……いや、ホント…マジでリンさんに報告は駄目。あの人、ダレカちゃんの正体を知ってる数少ない人だし。バラされたら溜まったモンじゃない。
昔の………ま、時系列的には数週間前?のダレカちゃんを知られてるから、今はまだ好き勝手にやらせてもらってるけど……後でリンさんとも話さないとな。ループは秘密だけど。
「あ、このクッキー美味しい」
「ちょっ、シロコ先輩!私よりも先に食べないでよ!!」
「へへ、皆様で分けてくんさい」
「はーい、私の方で分配しますね〜」
「ありがとうね、ノノミちゃん。うへへ、おじさんは少なめで良いかなー。その分をセリカちゃんに、ね」
「…………………お話、戻してもいいですか?」
「ひえっ…アヤネが怒ってる…」
あ、センセが怯えてらぁ。おっかしいなぁ、某ボーカロイドの偽物っぽい見た目のスナイパー生徒だけを連れてベアおばとヤりあった時すら怯えなかったのに。
いやー、あの時は絶望感ヤバかったなー。さしものダレカちゃんでも、残った片腕だけでセンセを守りながらベアっさんを討てるワケもなく。
――
とりま、先日のセリカさん誘拐事件については
中身はわかんないけど、そーゆー輩を探しましょーって会議でした。ちゃんちゃん。
「…あっ…最後にちょっといい、アヤネちゃん?」
「セリカちゃん?」
「……あのさ、多分先輩たちは分かってると思うけど。あのとき、私を助けてくれたのって対策委員のみんなだけじゃないよね」
「…セリカ、気付いてたんだ」
……おやぁ、話が嫌な方向に。シロコさんも肯定しないでとぼけようよ…心の傷になってたら大変だし。野生のゴリラが隕石を呼び寄せながら戦ってた、的なことを言っとけばいいのに。
ま、そーんなダレカちゃんの心情が伝わったら苦労しないわけでして。かいた冷汗を宇宙服内の冷房が冷やしやがる。
「うーん、そーだねー。セリカちゃんはさ、その人の姿を見たの?」
「み、見れてはないけど……でも確かにいたのよ!ヘルメット団のヤツらがボコボコにされてる声とか騒音は聴こえてたし、それに……ヘルメット団のヤツが叫んでたのよ、『このクソ猫が』って」
「ネコ…ネコちゃんですか?……本当の猫ちゃんではないでしょうし、その様な身体的特性を持つ人でしょうか?」
「…多分、ノノミの言う通りだと思う。でも他校の生徒はこんな砂漠まで普通は来ないし、一般市民なら尚更。しかも、痕跡からして一人でヤったっぽいけど……ホシノ先輩、他校の強いひととか知らない?」
「うん?え、私?」
「だって、私たちは他の高校について詳しくない。でも先輩だったら、多少はマシかなって」
シロコさん、たまーにIQが上がるよね。普段は銀行強盗とあっち向いてホイしか考えてなさそうなのに、頭は回るんよなぁ。
……にしても、たぶんホシノさんに聞いても無駄なんじゃないかねー?『猫』ってキーワードだけでダレカちゃんの正体に気付くのは難しいだろうね。
理由は色々とあるけど、まー。『強くて猫っぽい人』ってだけのはダレカちゃんじゃないからね。
そもそも、ヘルメットの子がダレカちゃんの猫要素しか見えなかったのって、多分だけど暗かったのと宇宙服を脱ぎ捨てたダレカちゃんが速すぎたからなんよね。
「猫かぁ……ごめんね、ちょっと分かんないかな」
「…ダレカちゃんは何か知りませんか?」
「おん?ノノミさん、きゅーにどした?ダレカちゃんに想い馳せてるなら、休日に楽しくて蠱惑的なデートをするけど」
「あはは、楽しそうですね♪それは後にしましょうね?」
え、後でしてくれんの?マジかよ…じゃあ部室デートで膝枕してもらおう。ぐへへ、ノノミさんの耳掻きは極上なんすわ。
それをホシノさんに見せつけてNTR風にしましょ。いやー、夢が広がるね。ダレカちゃんが甘えるのを素直に受け止めてくれる人って、案外少ないんだよ。ま、最終的にはセリカさんを抱き枕にするのが目標だけど。
「で、それっぽい生徒を知らないって話だよね。特徴として『ネコ』に限らずでも近いのは…キャスパリーグとか清楚故に色っぽいシスターとかいるけど、装備を揃えたヘルメット団を蹂躙出来る子はいないかな」
「そうですか…」
「ねえ、シロコさん。本当に犯人って一人だったの?」
「……あまりセリカを助けてくれた人を"犯人"とは言いたくないけど、まあ…飽くまでも一人だった可能性が高いってだけの話。私と先輩の意見が同じだったから」
「現実問題、集団ではないにしても二~三人。多くても四人は居たんじゃないかな」
都合的にはそーゆー可能性も否定できないだろう?だって、ダレカちゃんの犯行時間は十分程度で、ヘルメット団は何十人といた。
その後に半刻と経たずして対策委員のみんながセリカさんを救出したんだから。普通に考えて、かなりの実力を持つ複数人が居ないと成立しない。
ま、トリニティピンクゴリラとかゲヘナシナシナシロモップの退化前、ゲヘナシロモップなら可能だろうけど。あ、チビメイドさんとか
「……そう言われれば、そうな気がしてきたかも」
チョロっ!さっすがシロコさん、安定のチョロさだね。こーゆーところは大好き。でもセンセを危険に晒すから嫌い。うそ、普通にしゅき♡
だいじょぶ、大体はセンセが悪いから。弱くて勝手に死ぬセンセがぜーんぶ悪いから。へへ、センセが悪いって認められて初めてセンセアンチ勢になれるんだすわ。
シロコさんを納得させたら、あとはもう簡単。
協調性のあるノノミさんは内心は兎も角として外では敢えて波乱を起こそうとはしないし、セリカさんも直接見たわけではないので可能性の高い方を信じる。
あの時はオペレーターをしていたアヤネさんも同様で、ホシノさんだって自分たちに危害がないことを悟ると無理につついてきたりはしない。
疑問はあっても、分からないものは分からない。結局のところはそれに尽きる。
その日はこれ以上の進展はなく、また違う議題――借金に対する金策については話し合ってから解散となった。
ダレカちゃんね、水着アイドルとか銀行強盗はねぇなって思いましたわ。常識人だって悟られたくないから黙ってたけど。
◆◆◆
「…ダレカちゃん、あの日…キミは何をしてたの?」
「ん?」
そう聞かれたのは、シャーレに帰ってから仕事を片付けている時だった。
最近はシャーレ当番とかセンセへの依頼が増え、誠に残念ながらダレカちゃんの仕事も増えてきた。センセのスケジュール調整とか、イタズラの依頼を弾くとか。
滅法多いのが、アビドスからの依頼を邪魔しようとしてたヘルメット団らしきバカ達から嘘依頼だ。こーゆーの、センセだと気付けないからしゃーなしにダレカちゃんの仕事となる。
「あの日ってなんすか?」
「セリカが誘拐された日。君はアヤネとは別の場所でオペレーションをしてくれてたけど…」
「フツーに自宅近所だが?誘拐事件を知ったのもセンセから着信があってからだし」
「…それにしては、居場所を割り出すのが早かったよね。私が連邦生徒会のセントラルネットワークにアクセスするよりも、余程ね」
「そりゃあね。センセも含めて、皆に発信機を付けてたし」
「そうか…………………え、発信機!?」
「おん。もう外してるけどね」
一応、これはマジだったりする。大体の出来事はループを重ねて脳に記録されているけど、だからって全てが思うがままに進むワケでもない。
だからこそ万全を期したい。
今回の件だって、イレギュラーが起きたかもしれない。セリカさんじゃなくてアヤネさんが攫われる可能性だってゼロじゃないし、記憶通りセリカさんだったとしても拉致られる場所が違うかもしれない。
『ダレカちゃん』という異分子が存在する限り、確定で同じ未来に辿り着く可能性は限りなく薄い。どうやっても、絶対に差異は出る。
その対策……とはちゃうけど、リカバリーを効かせる為の事前準備はしている。それが
「い、いつの間に…!」
「うーん、この際だからセンセにだけは言っとくかな。ダレカちゃんの宇宙服ね、イロイロな機能が搭載されてまして。指先、よおーーーーっく見るとちっさい"点"が付いてるっしょ?これ、発信機」
「…本当だ。全部で十個、指の本数分はあるんだね」
なんとなんと、この指ごとで誰の発信機かを判別しております。セリカさんに付けていたのは薬指だね。えへへ、他意はないよ?ホントだよ?マジでないよ?ぐへへ。
ま、難点としては割と近付くまで反応を読み取れないんやけど……まあ、それを言うと矛盾点に気付かれるので言わない。
「……………」
「おうおう、なんやその目ぇは!人をストーカーを見るみたいな目で見やがって!!シバキまわしたろか!?」
「だって本当だよね。ダレカちゃんには常時場所がバレていたっぽいし…あまり良くないよ、それは」
「あのなぁ…ダレカちゃんだって好きでやってるワケじゃねぇっての。万が一に備えるのが秘書として、センセの右腕として、そして懐刀としての役割でして。しかも場所の察知は任意でオンオフを切り替えれるから、必要な時しかオンにしてないっすわ」
「……そっか。うん、疑ったりしてごめんなさい。そして、ありがとう。私を支えてくれて」
「存分に感謝したまえ!そしてお給金上げろー!!」
「あ、それはリンちゃんに言ってね。私の懐から出してるわけじゃないから、管理しているのは連邦生徒会だよ」
「くっ…!」
「「くっ…!」って言われても」
センセの人っていつもそうですよね…!ダレカちゃん達のことなんだと思ってるんですか!?
いっそゾンビになって噛み付いてやろうか?……そうなるとゾンビだらけの世界でセンセだけが襲われなくなるんやろーな。
ま、つーか…やっぱり疑ってたな。アホで頭にお花が咲いてるセンセだから簡単に誤魔化せたけど、これがホシノさんとかだったらヤベェんだろうね。
てかあの人も疑ってるんかな。……疑われてるんだろーなぁ。別にいいけど。こーゆー道を歩むって決めたのは自分だし、疑われるのも裏切られるのも慣れてるし。
ほんとーに嫌なのが、そーゆー事が重なる度にダレカちゃんの嘘が上手くなることかな。しゃーないね、嘘はとびきりの愛なんだし。完璧で究極の秘書になっちゃう!
今後もこんな道を往くんだろうなー。あーあ、胃が痛てぇ…吐きそう、不眠症になりそう。あ、もうなってた!HAHAHA!