今日も今日とて空が青い。
なお、ダレカちゃんの心は真っ黒雨ザーザーな模様。あっれー?ダレカちゃんの
ヒフミさん、そろそろダレカちゃんへの青春宣言もして?やくめでしょ。あはは、違うかぁ……違っちゃたかぁ。………ペロロ信者になってもダメ?ま、ならないけど。沼だし。
今日この頃、ダレカちゃんは何をしているかと言えば………うん、なーんにもしてないね。アビドス高校のグランドに寝転がってボーッと空を見ている。
「……ダレカちゃん」
「なんだい、センセ」
「背中が痛い…」
「そりゃあ下には砂しかないですからね。痛くなかったら怖いっすわ」
「そっかぁ…じゃあダレカちゃん」
「なんだい、センセ」
「私たちは何をしているの?」
「つかの間の平和を噛み締めているのさ。空が青い、風が心地好い…なんて平和なんだろーね」
「そっかぁ…じゃあダレカちゃん」
「なんだい、センセ」
「なんで私は
「それはね、センセが砂の上に寝転がりたくないって駄々を捏ねたからだよ。服が汚れる?砂が口に入る?へっ、知ったこっちゃねぇわ!平和を享受しろや!!」
「押し付けられる平和は平和じゃないよ!?シャーレの制服だってあまり予備がないんだし、汚したくなかったんだって!!」
生徒とのお戯れを嫌がるとは……センセのクセに生意気な。ホントに今が一番平和な時間なんだし、何も考えずにボーッと空でも眺めてたらいいのに。
それに、アビドスの砂は水分のないサラサラとしたヤツだし、そんな残るような汚れにもならないでしょーに。
センセの着てる制服はシャーレのモノでして、白と青のヤツ。リンさんのと似てるね。ま、コートは羽織ってないけど。
「汚れたら私服に着替えればいいじゃん」
「その私服を心底バカにしたのは君だよね。私、もうあんなの外に着ていけないよ…」
「上下灰色のスエットを私服だって言われたダレカちゃんの気持ちも理解して?アレはパジャマっすよ。別にセンセだから洒落た上物は期待してないけどさ…せめてスカートとか持ってないの?」
「持ってるよ、ほら。今着てるシャーレの制服」
「ダレカちゃんは私服の話をしているんだが?」
この人、ホント…自分の格好については無頓着です。上下灰色スエットを私服と言ってみたり、それを別の日にはパジャマと言ってみたり。
深夜にそれでコンビニとか行ってるんだから、ソラさんも呆れてますっての。あまりにもダサい。ダレカちゃんのセンスを見習って欲しいくらいだ。ま、今は宇宙服だからセンスもクソもないんやけどね!
一時間くらい空を眺めてから、仕方なくセンセの縄を解いてやった。お、縄の跡が出来てるやーん。背徳的だね、ダレカちゃんはあまり好きじゃないけど。
「……いい天気だね」
「そやね。あとは砂埃さえなければ、もっと気持ちいいんだけどなぁ」
「なら部室でも良かったと思うよ?窓から空だって見えるし、砂もないし」
「風情がねぇなぁ…時には大雨だったとしても、家より外の方が良いってコトもあるんだよ。自然の音とか、空気の匂いとか…イロイロと肌で感じるモノもあるんだよ」
あとは、帰りたくないときとかも。ダレカちゃんの場合は…シャーレだろうと所属校の寮だろうと、もう『帰る場所』としては受け入れられないし…外の方がまだ見覚えのある風景があって、心休まる。
誰がなんと言おうと、ダレカちゃんの……元の自分の居場所は最初の世界です。それ以降の世界は『やり直し』ではないってダレカちゃんは考えている。
最初の世界と今の世界では、限りなく類似しているけど明確に違う点がある。一つは連邦生徒会長についてだし、それによって及んだ影響もダレカちゃんの知ってる最初の世界と今の世界を重ねさせてくれない。
最初の自分が助けれなかったセンセは二度と戻らないし、今のセンセだって死なせてしまったら次はない。ま、現状で唯一の観測者たるダレカちゃんがそーやって解釈しているだけで、結局は全て同一の存在なのかもだけど。へへっ、ダレカちゃんには難しいこと分かんないぜ。
「そーいえば、この前ユウカさんに会いまして」
「私が留守だった日だよね」
「そ。……うん、やっぱ素晴らしい太腿だった」
「分かりみが深い……私、将来的にはあそこに住居登録するんだ。そして毎日抱きつく予定なんだ」
「へへっ、業の深いセンセだぜ……だがよォ、センセ。ダレカちゃんだって、将来はあの太腿の所有権を取る予定なんだぞ」
「…ふっ、簡単に譲るつもりはないよ?」
「上等。退屈させてくれるなよ?」
……これでこそ、ダレカちゃんの恩師たるセンセだ。まだまだ届きそうにない、けど!負けない…負けなくない!この偉大な
ま、ゆーて?ユウカさんの太腿はユウカさんのモノだし、取り合ったところで不毛なだけなんだけどね。ワロスワロス、レジワロス。
でも…いつか平和になったら、一度でもいいからユウカさんの太腿に挟まりたいね。ユウカさんの太腿に挟まって、ノノミさんから膝枕をしてもらう。両方成さなきゃいけないのが、秘書の大変なところだね。
「そういえば、ダレカちゃん」
「なんだい、センセ」
「昨日の夜、何処に行ってたの?なんか依頼を片付けてくるって言ったっきり今に至るけど」
「不良を片付けてたよ?ほら、シャーレへの依頼ってするだけ
「えっ…そ、そうだったの!?」
そりゃあ変に権限を付与された鴨がネギを背負ってるからね。つつけば金も手に入るし、やっぱどーやって解釈しても当の本人は貧弱そのもの。防御力ゼロで素早さも低いメタルキングかよ。
そーゆーのを片付けるのがダレカちゃんの仕事だし、生徒が居ないと雑魚なセンセとは違って単独でも殆どの生徒を腕っ節で蹴散らせるダレカちゃんの役目。
基本的には生徒を気に掛けて危険から遠ざけようとするセンセだけど、ダレカちゃんはあまり心配していなそうだし。まあ、キヴォトスに来てから早々に近くで有能さを魅せ過ぎたかな?
いやー、有能で美人で最強すぎてスマン!超高スペックって存在するだけで罪やねぇ…ぬっへっへ。
「色々とありがとうね、ダレカちゃん」
「ん?なんやいきなり…センセ、消えるんか…?」
「消えないけど!?……そうじゃなくてさ、キヴォトスに来てからお世話になりっぱなしだから」
「ええ…急にしんみりとし始めてるし……」
「この流れでよくドン引き出来るね…」
「流れもクソもあるかっての。ダレカちゃんとセンセの関係は、遠慮とかそーゆーの要らないんだって。ダレカちゃんは情で動くし、センセだってやりたいようにやればいい。それくらいがちょーど良いってモンだ」
「……は、はは…良いね。君のそういうところ、大好きだ。さすが、私の相棒だよ」
「へへっ、これならも仲良く利用し合おうぜ?相棒さん」
――利用し合う。
うん、これくらいがいい。これ以上は重いだけだし、これ以下は軽薄。悪友みたいなモンだし、センセにとっては単なる生徒ってだけじゃあ在れない。
横を見れば、悪戯に笑うセンセの顔がある。こんな笑い、他の生徒には見せられないだろーね。いつか、嘗ての思い出…ダレカちゃんは、この
………なんか、久しぶりかも。
ダレカちゃんも、久し振りに笑えた気がした。
◆◆◆
「……うーん」
アビドス高校の対策委員部室にて。
唸ってみる。無論、その行動ひとつでダレカちゃんの悩みがポーンと解決して宝クジが当たってテストで満点を取れて恋人も出来てセンセも寿命まで生きてくれる、なんてコトはないケド。
今の悩みと言えば、『便利屋68』です。あの実力派芸人集団、ギャグ空間製造機です。
別にあのアホ達が何かやったワケでは……いや、この後すぐにやらかすのは知ってるけど。それは大した問題じゃない。
ダレカちゃんが疑問視しているのは、どーして便利屋68は
これまでのループで、ダレカちゃんは色んな生徒の死ぬところを見てきました。普通に死ぬ生徒は少ないけど、キヴォトスが滅ぶ世界線ではとーぜんながらキヴォトスの住民はほとんど例外なく死ぬわけでして。
死ななくともBAD END的なモンはあるし、ハナコさんが退学したりゴリラ魔女化はそーゆー扱いだね。
でも、便利屋68が死ぬ世界線を…少なくともダレカちゃんは知らない。センセが死んだ数だけ世界線はあるけど、便利屋はしぶとく生き残っている……多分?きっと、恐らくは。ま、観測外での出来事は知らんから断言は出来んけどね。
「うーーーん」
「……ダレカちゃん、何か悩み?」
「あ、シロコさん。どーぞお構いなく」
「お構いなくって言われても……近くで唸られたら、気になる。…言ってみたら、解決することもある…かも」
「それを言うなら、横で筋トレされたらダレカちゃんだって気になるんだけどなぁ…ま、じゃあ聞いて貰ってもヨロシ?」
「ん、いいよ」
あまり口には出てないけど、これ多分暇潰しにされてるな?こんのオオカミめ……ま、別にいいけど。シロコさんだし。銀行強盗とあっち向いてホイ強要罪を除けば良い子だし。
……つっても、どー相談したらいいのか。素直にセンセが死ぬんやって!マジやって!トトロいたもん!!って言ってもやべー奴だし。
頭銀行強盗な割に賢いシロコさんだから、テキトーに言ってもそこそこ感じ取ってくれるかな。感じるな、考えろシロコさん。
「えー、まず絶対に死なない人がいるとしまして」
「頭を撃ち抜いても?」
「…撃ち抜こうとしたら絶対に逃げられる人が居るとしまして。同時に、絶対に死ぬ人が居ます」
「頭を撃ち抜かなくとも?」
「……撃ち抜かなくとも、自分で銃口を頭を合わせて引き金を引く存在弱々子ちゃんです。ミジンコよりも弱くて、超絶雑魚なクセに敵を呼び寄せるメタルサボテンダーです」
「それは……うん、雑魚でどうしようもないね」
「そんなセ…雑魚虫やろうを死なせないように、絶対に死なない人を利用したいけど、どーしよーってコトを悩んでまして。ま、思考実験とか心理テストみたいなモンだよ」
現実的ではないけどね?自覚はしてるし、良い子達だから悪い感じでは利用したくない。センセを護るのが第一だけど、その為に何かを切り捨てるのは違うし。
もしセンセが生き残ったとしても、その後にも人生は続く。そこで後悔や恨みつらみを背負って欲しくない。こーゆーの、老婆心って言うん?知らんけど。
「ん、簡単」
「………ほう?」
「絶対に死なない人のクローンを作って――」
「おいコラ砂狼ィ!非人道的な答えはやめないか!!」
「…じゃあ、死ぬ人と死なない人を一生糸で縫いつけ――」
「話聞いてんのか?貴様のロードバイクをハーレーに改造してやろうか?」
「っ!だ、ダメ…!…ロードバイクは、自分で漕ぐことに意味がある」
「知らんがな。てか出来ねぇっすわ、チャリをバイクにするなんて」
「…自分で言ったのに」
ダメだね、シロコさんに聞いたダレカちゃんが馬鹿でした。は?馬鹿じゃないが?天才なんだが?
…にしても、我ながら答えのない質問をしたもんだ。でもなぁ…センセが最初に便利屋68と出会った世界線ではそこそこに長生きしてたんよな。
残念ながらその間にアビドスが悲惨な末路を辿って、最終的には色彩コンニチハからの死の神爆誕で速攻死ぬけど。…死の神さんが手を下したってよりは、混乱したキヴォトスで起こる事件とか災害に巻き込まれて無事死亡って感じだね。
もう鎧を装備して行動したら?そんなん無理かぁ…頭お花畑なセンセだし。
「…多分」
「うん?」
「多分だけど、死なない人を利用して死ぬ人を助けるのは無理だと思う」
「……ま、そーだよね。HAHAHA!とーぜん分かってたけどね?だってダレカちゃん、天才だもの」
「――だから
「っ!……真理だなぁ」
結局、ダレカちゃんはそれを…それだけを信じて、今日まで歩んできた。挫けたし、何千回も負けたけど……諦めることが出来なかったから。
「よしよし、シロコさんは賢いなぁ〜!おーよしよし、ダレカちゃんの撫でテクはキヴォトス随一だぜぃ!」
「んっ……確かに、手慣れてる…?ノノミよりも上手い」
「おいコラそれ絶対に本人に言うなよマジで?ホント、ダレカちゃんに人のアイデンティティを奪って曇らせる趣味なんてないから」
「……?…分からないけど、ダレカちゃんがそう言うなら」
本当にそーゆーコトがあったからね。ダレカちゃん、ノノミさんを泣かせるやつは絶対にぶっ殺したい所存。だからダレカちゃんに自殺なんてさせないでおくれ……
その後すぐにノノミさんに見つかったけど、シロコさんのノミ取りをしていたって言って誤魔化した。シロコさんは何か言いたげに睨んできたけど、ペロペロキャンディで黙らせました。へへっ、菓子類は宇宙服の中に揃えてまっせ?