シャーレ所属のダレカちゃん   作:ブラウンドック

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うんち派か、うんこ派か……問題はそこのみ。サルノリ。エコノミー。




イワカン

 

とても、うんちだね。

 

うんちって幸せだよね。

 

うんちになりたいね。

 

それでも、うんち。

 

うんちのうんち。

 

うんちだよね、まさに。

 

 

 

 

「よしっ、死のう!」

 

「やめなさい」

 

「ふぎゃ!?」

 

はい、頭にメメント・モリを構えてたら急に顔面を蹴られたダレカちゃんです。美少女の足で蹴られたから実質お得ですね。やったぜ、成し遂げたぜ。

 

無事砂漠をコロコロしたダレカちゃんですが、まぁ心の中は穏やかではありませんこと。何故か睡蓮スイが虚空からこんにちはしてサヨウナラするし、異界の彼岸キミも持ってかれるし。

むにゃむにゃって寝てるホシノさんが羨ましいね。あ、ほっといたパンちゃんに食われそうになってる……残念無念カルペ・ディエム。塵になぁれ。

 

かんわきゅーだい。

 

「………なんの用?いま機嫌悪いからさ……嫌がらせなら――殺すぞ、ワカモさん」

 

「随分と愉快そうで。あの頃よりも無駄に感情豊かな御様子。本当に……反吐が出る」

 

「反吐でも糞でも勝手に出しとけや」

 

「下品で品性の欠片もありませんね」

 

「品性くれぇケツから捻り出したろか?あぁん?」

 

ダレカちゃんとセンセのストーカーさんこと、狐坂ワカモさんです。ちな電車の中からずっと居ました。

 

それなのに異界の彼岸キミと戦ってても助けてくれなかったんだね。や、変に助けようとして手ぇ出されても邪魔なだけやけど。つーかこの人、善意で人を助けるタイプじゃないわな。

 

自殺しそこなったので渋々帰ってセンセを助けてやろうかなと帰り支度をしてますと、ワカモさんがじっと後頭部を眺めてました………え、ハゲてないよね?むしろ長髪が邪魔だからボーズにしよっかなぁ。

 

「………本気で死ぬ気でしたね?」

 

「それが何か?」

 

「あの方を悲しませるつもりですか?」

 

「だから、それが何か?つーかそんなん気にするタチじゃあねぇだろ、ワカモさんは」

 

「旧知の幼子を心配するのは、おかしな事でもないでしょうに」

 

「え、ギャグ?お前そんな性格じゃないやろかーい!ってなツッコミ待ち?そーゆー雰囲気じゃないんすけど……」

 

「でしょうね」

 

「………え、マジでどーゆーつもりっすか?ダレカちゃんが困ってたら笑顔で爆弾をケツに突っ込んで奥歯で着火してやろーってゆーワカモさんのクセに、どーゆーつもりなんすか?」

 

「殺しますよ?」

 

「そのセリフ、フリーザ様に置き換えれるね」

 

「死になさい」

 

「絶壁鉄壁のホシノさんシールド!!」

 

「かひゅ…っ」

 

「銃弾が……弾かれた…?」

 

ホシノさん(の胸)が硬いって、ハッキリわかんだね。てかなんで暑い砂漠で寝てんの?あはっ、無貌の巨人のせいで気絶してるからじゃんね☆

 

良い子のみんなは気絶してる親友を盾にするのはやめようね!

 

「…いつまで偽るつもりなんです?あの方の前でも、私の前でも。()()()意趣返しがしたいのだとしても――」

 

()()()()()()恩返し、だろ?」

 

この人が七囚人って呼ばれてるのは皆様もご存知だとは思うけどね、SRT特殊学園のFOX小隊に捕まる寸前まではダレカちゃんとワカモさんは一緒に行動してたんよね。

ま、色々あってワカモさんはとっ捕まってダレカちゃん………彼岸キミはFOX小隊のツテでカイチョーに攫われましてと。

 

時系列的には、アリウスで睡蓮スイをパクパクした後にベアおばから身体改造されたり肉銃ヴァニタスを造られたりして、その後にスイの意志を継いだお姉ちゃんこと佐山ユウだとかサッちゃんだとかからアリウス脱走を助けてもらって。

そん次に一般アリウス兵から殺されかけながら逃げ続けて無事死にかけでアビドスに着きまして。あ、ちなアビドスにはスイと来た事があったので、彼岸キミの中にあるスイの意識と同調してたのかもね。

 

その後は簡単!ホシノさんとユメさんに拾われて、色々あって出て行って、また空腹と疲労で死にかけてたところをワカモさんに拾われて、と。

 

「着いてきたついでにさ。出来ればホシノさんをアビドス高校に届けてくれん?」

 

「何故私が?」

 

「今からセンセんトコに行って渋々嘶く渋り丸で助けるんだけどね?面倒だからワカモさんが行ってくれたら助かるけど――効率的じゃないやん?」

 

てかダレカちゃんの方が速いし強い。更に更に限定的に未来を知ってるようなモンだし、こりゃあダレカちゃん無双が始まっちまうってハナシ。

 

ワカモさんは七面倒臭い理屈とか感情論とか、知らぬ存ぜぬ我関せずな人だけど……センセが関わるなら話は別。

自分に成せる最善を尽くすし、自分で手が届かないなら誰かを利用する事もある。何故かダレカちゃんの中身がバレてるし彼岸キミがシャーレの秘書だってのも知られてるから、ダレカちゃんがセンセに対して敵対しないし助けるときはちゃんと助けるのも理解してるハズ。

 

んーま、それでもホシノさんをアビドス高校まで届ける義理はないんだけどね☆

 

でーすーがー!!

 

ここは超絶天才キューティクルキューティーキューアンドエーなファイナルラストエンド☆ダレカちゃんの超絶天才キューティクルキューティーキューアンドエーな脳が解決策を編み編みしておりますとも!!

 

「ふっ……ホシノさんのコト、少しなら触ってもいいよ?足とか腹とか」

 

「は?」

 

「お、おしりは………いや!許そう!!えっちなのはダメ!でも親愛的接触は許可!!」

 

「は?」

 

「ついでにセンセの二日くらい貸してあげる。センセの仕事をダレカちゃんパワーでカリカリと片付ければ余裕だし現実的で可能よ?なのよ?なのです。にぱー」

 

「良いでしょう。請け負いました」

 

「ドスケベ」

 

「死になさい」

 

「なんの!ホシノさんシールド!!」

 

「かひゅ…っ」

 

「銃弾が……弾かれた…?」

 

「これさっきもやったね」

 

このあと無事に厄災狐の宅急便さんがホシノさんをアビドス高校まで持ってってくれましたとさ。多分校門前とかに捨てられてるけど……ま、別にいっか!

 

◆◆◆◆◆

 

――鈍色の雲が空に蓋をする。

 

溢れる水も徐々に地面を犯し、濡らす。その雨水は少女の頬を伝う。一滴、二滴、そして流れるモノが全て覆われた頃、少女は繭に籠るように両膝に埋めていた顔を上げる。

 

「…………いか、ないと……」

 

綺麗に飾られた両翼は泥と雨水で汚れた。穢れてしまった両手を眺め、もう戻れないのだと理解してしまった。

然し同時、嬉しくもあった。あの日々を過ごした家族、その中でも末っ子のように可愛かった幼子。無垢なままに何十何百と殺し、それでも透明だった幼子。あの子と同じ罪を背負えるのであれば、少女も少しだけ嬉しく思えた。

 

だが、伸し掛る罪の重さは決して足を止めてくれない。呪いのような希望は、決して止まることを許さない。

 

這うように、震える膝で立ち上がり――力が抜けて倒れる。酷く寒くて、身体が重い。

もう止まりたい。死にたい。嘗ての仲間を裏切り、本気で殺そうとした。彼女に向けたヘイロー破壊爆弾は、上手く起動していれば殆ど確実に彼女のヘイローを壊しているだろう。

 

もう責任は果たしたのではないだろうか。

 

止まっても許されるのではないだろうか。

 

負の思考に震え、赤子のように身体を縮こませて――

 

 

「――止まるの?アズサさん」

 

 

雨と風を遮るように。大きな影が少女――アズサを覆う。変声機を通した声、誰よりも小さな体を隠してしまう宇宙服。

誰よりも待っていたのに、もう二度と会いたくなかった存在が目の前にいる。アズサを見下ろして、問い掛けてくる。

 

「………き、み……?」

 

「ダレカちゃんだよ」

 

「…………ごめん」

 

「なにが?」

 

「ごめん……ごめん、なさい……」

 

雨で隠れていた涙が溢れてしまう。強いところだけを見せていたかった存在に、自分の中で最も弱い部分を見られている。

 

「私が……よわい、から…!キミを守れなかった……サオリも、みんなも………」

 

「必要ないよ。もう、ダレカちゃんは誰よりも強いし。今なら、一人でアリウスの全勢力をぶっ潰す事も出来るよ。アズサさんだって、これからずっと()()()()()()

 

「………………」

 

酷く、醜く、蠱惑的に。

 

潜在的な恐怖心を、心に巣食う妄執が喰らう。膝を折って足元に平伏し、助けを乞うべきなのだと訴えてくる。

 

「手を取ってよ、アズサさん。助けてあげる」

 

見下ろす瞳。宇宙服のヘルメットの奥、金色の滲むルベライトの双眸は抗えない程に心臓を掴んで離さない。ドクン、ドクンと鳴り続ける心臓はきっと最初から目の前の人物に向けて鳴っているのだと理解させられる。

 

これが最善。

 

これだけが贖罪。

 

罪は晴らされる。

 

穢れた天使の手は、やはり無垢で真っ白だ。次の瞬間には空気に溶けてしまいそうだ。繋ぎ止めないと、と急かされて腕を伸ばしかける。

伸ばしかけて――吐き気がした。意図せぬ自分の行動、自分以外の全てに肯定されているという違和感。

 

 

これは()()()()()

 

 

そんな疑問すら見当違いなのだと、自分以外の全て、世界中の全員が叫ぶ。選ぶのは自分、だから手を伸ばして助けを懇願するのも自分の選択。

 

 

違う。違う、違う違う違う……!!

 

 

何も違くない。それが正しい。白洲アズサは弱い。弱さは罪でしかない。ならば必然、世界中の誰よりも強い彼岸キミは世界に肯定された正義。差し伸べられた手は正義を成すのみ。

 

「怖かったよね。寂しかったよね。でも大丈夫――もう泣かなくてもいい。()()、もう止まっても良いんだよ。『楽園』はすぐそこにある……一緒に行こ?アズはこの手を取る、それだけだから」

 

優しい声が理性を溶かす。暖かい橙色の声には魔性だ。

 

 

――違和感。違和感。違和感、違和感、違和感――修正、彼岸キミは最初からこうだった。優しく、蠱惑的で、アズサを助けてくれる天使のような存在。

 

 

本当にそうだったか?本当に彼岸キミとは、『色』のある存在だったか?無垢な『白い』手、暖かい『橙色』の声、それは本当に彼岸キミなのか?

 

違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――違和感――修正――

 

――いわかん。イワカン。

 

「……………だれ?」

 

脳を埋め尽くす思考の果て。

 

アズサは自分自身でも理解不能な、幼い疑問を声に出す。伸ばしかけていた手はまた地面に戻った。

誰よりも知っている筈の相手――それなのに、分からない。何度も自分で否定している違和感に襲われ、理性と本能の狭間で何かが叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

「…………そっか。やっぱ強いんだね、キミのおねーちゃんは」

 

「っ!キミ……?………えっ、あれ……?」

 

目の前には誰も居なかった――否、()()()()()()()()()。世界はそうあるべきで、結果と必然性がそう騙る。故に、この場には白洲アズサしか居なかった。

 

ただそこには、不似合いな睡蓮の花弁のみが残されていた。

 





ちな手を取っていたらメリーバッドエンドでした。テラーなアズサさんが降臨してセンセが消し飛んでました。日常だね。

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