シャーレ所属のダレカちゃん   作:ブラウンドック

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ダレカちゃんは殲滅します

 

「ああ〜ッ!人体構造において腕が本来曲がらない方向に曲がる音〜ッ!!」

 

「ぐぎゃあぁぁぁぁあ!?」

 

「ギコギコはしません!一度手刀が入ってしまったら、スゥーーッと刃が降りていってくれるんで!!」

 

「なぁッ!?あ、アタシの銃が折れた!?」

 

「Oh! チンピラさん地面の隙間の汚れWatch……ナゲカワシイナゲカワシイ」

 

「オグォッ!?」

 

「――その命の灯火(打球)、消えるよ」

 

「グフッ、うあぁぁぁぁあッ!?」

 

「おっ、反撃あざーっす。もちろんダレカちゃんは抵抗するで?拳でなァ!!」

 

「や、やめ――ッ!!」

 

はーい、今日も今日とてカタカタヘルメット団狩りです。前にセンセとアビドスの皆が片付けた奴らの残党ですね。

色々と作戦を立ててアビドス高校に殴り込もうとしていたので、捻ってやりました。へへっ、皆の為に…折るね☆

 

彼女達の後釜は便利屋68に任されてるし、そーなるとコイツらは単なる八つ当たりでセンセや対策委員を狙うクズだ。手加減なんて必要ない。

とりまホシノさんには毎回伝えてるけど、センセとか後輩達には伝えてないっぽいし。明るい内はダレカちゃん、日が沈んでからはホシノさんが残党狩りをしているワケでして。

 

宇宙服(第一形態)のダレカちゃんに圧倒されるんなら、脱いだ(第二形態)のダレカちゃんには一生敵わないね。ざーこ♡ざーこ♡

第三形態はセンセが指揮したダレカちゃんかな。ま、今のセンセだと圧倒的レベル不足だし、指揮しない方が強いけど。精進してくれよなー?

 

「んー、こんくらいかな。あとはテキトーに縛って、ヴァルキューレに電話しとくか。退治してくれないんなら回収くらいはヨロってコトで」

 

そーして一仕事終わりましたっと。

 

さてさて、そろそろセンセ達も帰ってくる頃かな。また柴関ラーメンに行くって言ってたし。ダレカちゃん前に一人で行ったけど、死にそうな顔にゾンビみたいな顔色だったから死ぬほど心配されまして。

 

めっっっちゃ大盛りラーメンを無料で食べさせてもらった。うへへ、大将だいすき〜。あの後は流石に吐かないように頑張った。普段から吐かない練習をしていた成果が出たね。やったぜ。成し遂げたぜ。

ま、普段は物食った直後に吐き散らかしておりますが。もうやめましょうよ!食費が勿体ない!!

 

 

形骸化した街。縛った不良共を引き摺りながら歩いてるけど、こーして観るとやっぱりデケェところだね。どんなに立派な場所でも地震雷火事オヤジ津波竜巻砂地獄のある場所には住めないって分かんだけどね?それでもいい感じに利用したいなって思っちゃう今日この頃。

 

確か、いつかのループでセンセを監禁したのもこの辺だっけ?空き家が多いし、当たりの家は地下室まである。そりゃあダレカちゃんの一人や二人は住み着いて人を閉じ込めますっての。

 

「………うっし、この辺かな。いいかテメェら、仮にでも逃げて見ろ?次に折るのはテメェらの首だからな」

 

「ひ、ヒィッ…!」

 

「……いや、逃げられないように足を折っとくか?なぁ…蛆虫共。どー思う?」

 

「す、すみません…!もうアビドスは狙わないんで……か、勘弁してください!!」

 

「別に許してやってもいいけど、お前らみてぇな屑はすぐに調子に乗りやがるからなァ…見せしめ、必要じゃないか?へっ、安心しろって。ダレカちゃんは機嫌が良いから、お前達に選ばせてやるよ。総勢十五人、そん中から一人だけ。たった一人だけ、再起不能にする。だから――ほら、選べよ」

 

……コイツらは単純だ。

 

意思は脆弱な癖にご立派を気取って、自分を覆い隠そうとする。どっかの恩人を死なせまくる屑に似てて、腹が立つ。

群れる事で自分を強く見せて、だから、一人だと行動しない。そのクセに仲間とつるんで強くなったつもりだ。数の暴力にモノを言わせて、こーゆー事を何度もしてくる。いま許したとしても数日後には同じことをするだろうね。

 

故に、取るべき手段は仲間内での潰し合いだ。誰だって多人数を救う為の尊い犠牲になんてなりたくない。センセと違って、このゴミ共はそんな手段を取れない。哀れで、自分本位、自己中心的。

 

「………醜いな」

 

今も目の前で罵り合いをして、犠牲になるたった一人を選ぼうとしている。策を練ったのはコイツだ、最初に復讐を謳ったのはお前だ、指揮をしていたのはアンタだろ、テメェは一番弱いだろ――こうやって責任を押し付け合っている。なんで、センセはこんなのも……いや、それを言ったらダレカちゃんもなんだけどね。救う価値も、守る必要もないゴミだし。

 

とりま、こんなに喧嘩してるんだったら、もう再集結してアビドスを標的にするコトもないだろ。友情にも満たない関係、壊すなんてわけない。

 

……ね、センセ。前にも言ったよね?センセの出来ないことをするのが()()()()()()()()()――汚い仕事こそが使命。センセが綺麗な道を往くなら、ダレカちゃんは汚い道を掃除しながら進んでやる。

 

その果てにセンセの平穏があるなら、何処までも手を汚す。もう決めた方針だからね。……ぬへへ、なんか厨二っぽくてイイネ。

ダレカちゃんの胸に眠る闇の力とかが目覚めないかな〜?あ、恐怖(テラー)はお断りで。

 

◆◆◆

 

「で、ダレカちゃん。私達が居ない間に何してたの?」

 

「…………ケチャップ祭り?」

 

「そっかぁ…その汚れ、ケチャップよりも赤黒いけど?」

 

「フッ、イカスミ祭りも同時開催してたんだよね」

 

私の前で立ち尽くすダレカちゃんは、相変わらずな淡々とした声質で戯言を言ってのける。いつも通りと言えばいつも通りだけど、真っ白な宇宙服の拳と右足部に赤黒い汚れが付着している。

心做しか鉄臭いし、ダレカちゃんの誤魔化しだっていつもよりも雑に感じる。

 

こういう時は大体、裏で何かをやっている。……いや、血を付着させた上で何もしてないってのも逆に問題だけどね?

 

「まあまあ、先生。落ち着きなって。ダレカちゃんだって責任を伴う立場だって自覚している子だし、あんまり変な事はしてないと思うよ?」

 

「ホシノ……私もね、責任がどうこうって言うつもりはないよ。ただ、ダレカちゃんには危険な事をしないで欲しいんだ」

 

「いま、ダレカちゃんがめちゃくちゃ天才で可憐で最高の秘書って言った?」

 

「……………私もね、責任がどうこうって言うつもりはないよ。ただ、ダレカちゃんには危険な事をしないで欲しいんだ」

 

「コピペか?………っておいコラ先公、そのネタはもうアヤネさんとやったわ。全く、他人の真似しか出来ない木偶め。ダチョウに満たないラーニング能力…マンボウよりも儚い命。軽蔑した……けど、そんな所も愛してあげよう。穢れなき眼で全てを受け入れよう。おいで、センセ」

 

「だ、ダレカちゃん…!」

 

私たちは抱き合った。これからも、手を取り合って進んで往こう。私たちの未来は明るイデデデデデデデェッ!?痛い!硬い宇宙服とゴリラみたいなパワーが合わさって骨が軋む!!

産まれてから初めて生命の危機の片鱗を感じたんだけど!これで割りと手加減してるって嘘だよね?ここまで来ると、もう生物としての絶対的な格ってやつを感じる。ダレカちゃんがスーパーな悟空なら、私は初期餃子だ。

 

「痛いよ!?ダレカちゃんのおバカ!脆弱な私にもっと手加減するくらいの気概はないのかい!?」

 

「……痛いってことは、生きてるって事さ。生命の神秘やねぇ…」

 

「…せいめいの、しんぴ………分かんないけど、なんだが壮大で凄いね。さすが、私の秘書だ」

 

「今更だけど。上手く話を逸らしてるね」

 

「ホシノさん、しーっ!馬鹿で愚鈍で間抜けなセンセが呼び起こされた芸人魂に感化されているウチはほっとくのがいっちゃんええんやって!!」

 

……オーケー、オーケー。もう怒った。大人を舐め腐ったダレカちゃんに、今こそ大人パワーを見せつけてやる。

その時の君は、私にどんなアホ顔を晒してくれるのか。思い浮かべるだけで笑いが……わ、笑いが……駄目だ、そもそもダレカちゃんの素顔を知らない。従ってアホ顔も想像がつかない…!

 

……ま、まぁ?この際、アホ面を拝むのだけは勘弁してあげよう。これこそが大人の余裕ってやつだ。もう何十回と私のアホ顔は晒して晒し尽くした気はするけど、関係ない。だって大人だもの。

 

「……む、その目…何かを企んでやがるな?」

 

「フッ、ダレカちゃん…今こそ私の――大人のパワーを見せ付けてあげよう!!」

 

「先生、良いの?ダレカちゃんの宇宙服が血で汚れてる件についてはもういいの?」

 

「ホシノ、優先事項ってのがあるんだ。それについては帰ってからたっぷり聞くとして、今は私の…ひいては大人の威厳を保つのが第一だよ」

 

「……ホシノさん、ダレカちゃんも…センセの本気に受けて立ちたいんです。センセの豪語する"大人の本気"とやら、是非とも見せて欲しいところだ」

 

「…言ったね、ダレカちゃん。もう逃げるだなんて選択肢は取らせないから覚悟しなさい」

 

「うへ…おじさんは帰りたい所存。やっぱり面倒事の気配を感じ取って逃げたセリカちゃんは正しかったんだね…」

 

――真剣勝負。

 

全てを受け入れて受け止めようとしているダレカちゃんに対して、私は『大人の力』を披露するのみ。実を言うと、キヴォトスに来た瞬間から何となく察してはいた。

私はいつか、この力を大人気なく使う事になる。察して、でも…まさかダレカちゃんに使うことになるとは、思ってなかった。

 

思ってはなかったけど……良かったよ、君が相手で。私の知る限りで誰よりも強い君だからこそ、私も手加減をしなくて済む。

 

鞄に手を突っ込み、()()()それを掴み――繰り出すッ!!

 

「なっ――うぐげェェェェェッ!!」

 

「なんかダレカちゃんが吹っ飛んだ!?えぇ…何が起きてるの?」

 

「ホシノ、これは実にシンプルな話さ。私が取り出したのは蒲焼さん太郎……その()()()――それは別名『大人買い』とも言う!!」

 

「…………え、だから?」

 

「お、恐ろしいヤツめ……よもやそんな方法で大人の権力を見せ付けてくるとは…!」

 

「あれって権力なの?ただ金銭的に余裕のある人ってだけの話に聞こえたんだけど」

 

「馬鹿野郎!アレは『大人買い』だぞ!?」

 

「ダレカちゃんだって出来るんじゃないの?それくらい、シャーレ秘書の給料は貰えてると思うけどな〜」

 

「ふっ…甘いね、ホシノ。出来るか出来ないか、じゃないよ。子供は『大人買い』を()()()んだ!!」

 

「先生ってダレカちゃんが絡むとIQが著しく下がるよね。あと、ノノミちゃんが結構な頻度でお菓子の箱買いしてくるよ?色々と任せっぱなしは悪いから、おじさんもたまーに駄菓子類だったらそーしてるし」

 

「「うぐぇっ!?」」

 

「あ、まとめてぶっ飛んだ」

 

なんだろう……大人としての矜恃が崩れそう。今の子供って平然とお菓子の箱買いをするの…?お小遣いとかあってもなんだが躊躇っちゃうし、一つのお菓子を沢山食べるよりも種類とかそっちを重視するんじゃないの…?

 

確かにね?私が買って来た蒲焼さん太郎の箱買いは大した値段じゃない。大人でなくとも、お小遣いを貰っていたら買えるだろう。

でも、それを大人買いするのは大人の特権だと思う。箱で買って、子供たちに振る舞うのが大人の矜恃だとさえ思ってる。……だから、だろう。なんだかアイデンティティを奪われたような気持ちになる。

 

「…そっか………そうだよね…」

 

「あー、ホシノさんがセンセを落ち込ませたー!」

 

「うーん…これって私が悪いのかな〜?勝手に得意気になって勝手に落ち込んだだけっぽいけど」

 

「おいたわしや、セン上…普通に飲み物とかプリンを箱買いしてたら威厳の一つや二つは生えてくるのに、ソシャゲに課金して、バカ高いフィギュアやらプラモやらを買ってお金もなく、泣く泣く大人買い出来たのが蒲焼さん太郎という比較的安価な駄菓子だったってだけなのに……ぷっ…お、お労しいねぇ…ふふ、ククク…!」

 

「ア゚ッ」

 

「トドメ刺すのに躊躇ないなぁ」

 

げ、ゲームの課金だって大人の特権だし…?プレミアフィギュアを買うのだって大人にしか出来ないし…?別にそのせいで給料日に衝動買いした箱買い蒲焼さん太郎でひもじくも食い繋いでいたって、大人の余裕ってのがあるから平気だし…?

……はぁ、前にみんなにラーメンを奢ったのがだいぶ痛手だったね。いや、それくらいのお金は寄せてるけど。そのお金も、ガチャキャラの唐突な復刻とかに備えてのモノでして…

 

最近はその事がユウカにバレて、財布の紐を握られてる。

 

「そ、そんな事より!ダレカちゃんの宇宙服についてる血について、話さないと…!!」

 

「声震えてんぞ?てかその話、まだ息してたんすね」

 

「さっき、明確に後回しにするって言ってた気がするけどね。やっぱり先生はダレカちゃんが絡むとIQが下がってるよ」

 

 

その後、使命感に燃え滾った私はダレカちゃんを問い詰めた。そして先日の残党について知り、警戒したけど……もうカタカタヘルメット団の子達がアビドス高校に襲撃してくることはなかった。

……本当に、ダレカちゃんは何をしたんだろう。また一つダレカちゃんへの疑問が増えた。

 






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