装甲列車、異世界へ ―陸上自衛隊〝建設隊〟 異界の軌道を行く旅路―   作:えぴっくにごつ

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3-5:「叩き込めッ、踏み込めッ、追えッ」

《――コントロールよりスタンリー1及びギャラクティク1、取れるか?》

 

 城内をさらに推し進め、何度目かの遭遇戦闘を退けてからの再編成を行っていた守屋等の元へ。

 作戦指揮所より、特戦チームや守屋等の班を呼ぶ通信音声が届いたのはその時であった。

 

「スタンリー1リーダーだ、送れ」

《了解スタンリー1、一旦進行待機せよ。施設の中枢個所をこちらで特定した。そちらが直近だが、そちらの侵入前に航空火力投射を実施する》

 

 特戦三佐が応答し、それにまた返り来たのは淡々と知らせ告げる内容。

 

「ぉ!」

 

 そして次には、壁越しにも鮮明なけたたましい音が響き届き。

 現在進行中であった廊下の窓より覗ける宙空に、再度飛来したAH-64Dが姿を見せ。それに特戦の二尉が声を零す。

 

 しかしそれも束の間。

 直後にはAH-64Dはその機体に抱えるヘルファイアミサイルを、城の上層階に何の躊躇も遠慮も無い様子で撃ち放ち、叩き込んだ。

 

「ッぉ!」

 

 その衝撃は守屋等の元にも少なからず届き伝わり、それにチームの誰かが声を上げる。

 しかし衝撃はその一撃に留まらなかった。

 AH-64Dは間髪入れずにヘルファイアの二発目を発射。一発目によって破られ空いた崩壊部より二発目は飛び込み、皇城の上層内部を破壊し吹き飛ばした。

 

「ッ……トコトン容赦無しだな……ッ」

 

 味方の、徹底したまでの火力投射に。特戦の二尉は冷や汗交じりにそんな声を零す。

 

「再開するぞッ、中枢に踏み込む」

 

 そして特戦三佐が号令を掛け、部隊は進行を再開した。

 

 

「――ッぉ」

 

 進行再開からほとんど直後に、部隊は開けた光景へと出た。そしてまた特戦の二尉が声を上げる。

 出たそこは屋上施設……などでは無い。

 城の上層階の外壁から、その内の廊下や部屋を隔てる壁まで。その全てが崩落して繋がり、夜空を直に望める広く開けた空間となった様子。

 今のヘルファイアの炸裂と破壊が成した光景であった。

 

《スタンリー1及びギャラクティク1、まだ少し待て。崩落個所より内部に動きを見止めた、別機が再度投射する》

 

 そこへ通信に飛び込んだのは、再びのコントロールからの知らせ。

 それが寄越されたのも束の間、直後には城の外部死角より――グァ、と。軽攻撃機仕様のOH-6が飛来。

 崩落部より城上層のすぐ直近宙空にホバリングする姿を見せると、直後にはそのスタブウィングに備えたハイドラ70ロケットを撃ち出した。

 

「ぬぉ……ッ!」

 

 ロケットが部隊の視界を横切り通り抜け、城の内部奥での炸裂と衝撃。それに部隊の誰かがまた唸り声を零す。

 それをよそに、OH-6はまた機に装備する四門の74式車載7.62mm機関銃を撃ち放ち。同時に機体を揺らして薙ぐような、まんべんなく浚うような掃射を実施。

 城内部に念入り過ぎるまでの銃弾の雨を叩き込んだ。

 

「ッー――スタンリー1よりコントロールへ、これ以上は不要と見る。後はこちらでクリアする」

《了解、機は離脱させる》

 

 特戦三佐がまた、凄まじい投射のそれに声を零した後。指揮所に向けた攻撃投射停止の要請を送る。

 それを受け取る通信が指揮所から返ると、その指示が届いたのだろう。すぐそこの宙空で滞空していたOH-6は離脱し飛び去って行った。

 

「よし、踏み混むぞ」

 

 それを見送った後に特戦三佐はまた号令を発し、部隊はいよいよ皇城の中枢へと踏み込む。

 

 最早仕切りの役割を果たさなくなった壁の慣れ果てを、乗り越え踏み越えて一個チームが先行し踏み込む。

 ブービートラップの待ち受ける可能性も鑑み、全員が一度には突入しない。

 

「――ッぉ……!」

 

 チームの一人たる特戦二尉が、突入した向こうの光景に何度目かの驚愕の声を零す。

 突入した先は、謁見の間と思しき造りの広い施設空間。

 しかしその内は執拗な火力投射によって破壊損壊し、元は荘厳な場であったであろう面影は今や微塵も無い。

 そしてその内のそこかしこに見られるは、帝国兵と思しきものの無数の死体。おそらく親衛隊のもの、いくつかは侍従次女のものと思しき姿も。

 侵入者を迎え撃ち、最後の戦いを行うべく待ち構えていたのだろう。

 しかしそれすら叶わず、果てた最期の姿がそこかしこに転がっていた。

 

「……皇帝らしき姿は無いッ」

 

 警戒しつつ内部を索敵していた空挺隊員が張り上げる。

 ガリバンデュル大帝国の指導者。皇帝のその姿――死体は、この慣れ果てた謁見の間の内には見つからなかった。

 ここで合わせて言うと、すでに自衛隊は皇帝の生け捕りは考えてはいない。

 しかしあるのは、主は無く引っくり返った巨大な玉座のみ。

 

「逃走されたか?」

 

 その報告に、特戦三佐が予測の言葉を零す。

 

《――全ユニット!城から逃走する複数の動きを、今確認したッ!》

 

 通信に。指揮所からの端的な、急いた声での張り上げる知らせが聞こえたのはその瞬間であった。

 

「!」

《地上、城門から馬車の列!上層階の発着場から飛行生物が数体!向かえる部隊は向かえッ、これを止めろッ!》

 

 各員が通信内容に目を見開き。立て続けに指揮所より寄越されたのは命令指示。

 それを聞くや否や、守屋等の部隊も数名だけをその場に残し。そして駆け出した。

 

 

「ッ――!」

 

 守屋等の部隊は城内通路を急いて抜け、その向こうにある開けた屋上のような場。飛竜の発着場に駆け出た。

 瞬間に目に飛び込んで来たのは、その体にゴンドラを下げた巨大な飛竜が。数体の護衛の飛竜騎兵を伴い飛び立ち去る瞬間であった。

 

「ッ――畜生!」

 

 空挺隊員が小銃を向けて数発を撃ち上げたが、残念にもそれが有効打を成すことはできなかった。

 

「追いかける!コントロール、ヘリを寄越してくれ!」

《すでに向かわせた。高確度で皇帝の関係者が乗っている、なんとしても止めるんだッ》

 

 特戦に二尉が通信に要請を張り上げ。指揮所からはすでに手配した旨が、念を押す言葉を添えて返る。

 そのほとんど直後には、OH-6が一機飛来。軽快に滑り込むように発着場に着陸。

 

「ヒップホッパー!一緒に来てくれ!」

「了ッ」

 

 特戦の二尉は追撃要員の一名に守屋を指名。守屋もここまで来たら驚く事でも無いと、端的にそれを了解。

 乗機を待つOH-6に駆け寄り、その機体に増設されたシートにドカリと乗った。

 

「ベルトを繋げ、落っことされんなよッ」

 

 隣に座った特戦の二尉より忠告の言葉が飛んだのも暇。守屋が転落防止用のベルトを付けた直後には、OH-6はフワリと機体を浮かべて上昇と同時に旋回。

 夜闇の空へと逃走した、飛竜の追撃を開始した――

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