|朽《く》ちる|薔薇《ばら》の|実《み》、|墜《お》ちるは|月《つき》   作:ディープ・スロート

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※ ⚠️ お読みになるにあたってのご注意(   Precautions for reading   ) ⚠️ ※

本作品はスマートフォン向けアプリゲーム「ブルーアーカイブ」の二次創作です。独自の解釈が含まれる可能性がある他、新しい生徒などがありますためご了承ください。また、誤字脱字を見逃して投稿してしまうかもしれませんので、ご了承ください。

当作品は2024/02/26に公開されたものであり、それまでに公開されたメインストーリー、イベントストーリー、各生徒の絆ストーリーなどに関係するワード、話、重大なネタバレが出てくる可能性があります。そちらもご了承の上お読みください。



【第二話 小屋入りの前に】

新学期から始まって一週間もしないうちに、ティーパーティーの三人のホストというものが決まる。他の学校では夏休みで区切る場所も多いそうだが、トリニティにおいては一年生が派閥の(おさ)に名乗りをあげるということはまず許されない。そのため、一年生は投票権こそ与えられるものの、二,三年生が実質的に派閥の(おさ)を決めるものなのだ。

 

フィリウス分派の投票の開票を正義実現委員会が行っている。正義実現委員会の活動上、本来行うものでは無いが不正防止のために前々から開票と結果発表は正義実現委員会が行うことになっている。桐藤ナギサは結果が発表されるのを自分(分派長)の部屋で紅茶を飲みながら待っていた。

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:(前期はエデン条約や虚妄のサンクトゥム攻略戦と様々な問題があったものの、かつてのティーパーティーの遺産を再び見つけ出すことで、トリニティの歴史を重んじる派閥や、エデン条約にまで漕ぎ着けたという点を評価している派閥などは後ろについています。なにより……フィリウス分派に私以外の立候補者は、ついに今日(こんにち)までいらっしゃりませんでした。)

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:(しかし、問題になっているのはパテル分派(ミカさん)の方……何やら、新しい生徒が立候補なされたと聞いています。)

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:(エデン条約のことを考えると、パテル分派の(おさ)にして今期のホストはこの方になるのだと思われますが……)

 

そこで扉がノックされた。

 

ティーパーティー生徒:「ナギサ様、開票の結果の書類をお持ちしました。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「どうぞ。」

 

扉が開かれるとそこに居た薄いパステルカラーの髪をした、ティーパーティーの生徒が深々(ふかぶか)とお辞儀(じぎ)をしてから、数枚の書類と封筒をティーセットの横に置き、ナギサのすぐ横に立って指示を待つ。

 

少し間を置いて紅茶のカップを置いて、書類を手に取る。目を通すと今期のティーパーティーのホストになりうる人物……(すなわ)ち、三人の派閥の(おさ)について書いてあった。そのうち2人はよく見た名前だ。自分(桐藤ナギサ)の名前と、セイアさんの名前……

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「ふむ。」

 

ティーパーティー生徒:「まずは今期もフィリウス分派の長としてのご当選おめでとうございます。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「ありがとうございます。今期もフィリウス分派の皆様の長として、尽力させていただきます。」

 

ティーパーティ-生徒:「……パテル分派ですが。」

 

ティーパーティーの生徒が少し口を濁す。恐らくミカさんと(桐藤ナギサ)との関係を気にしてどう言えば良いのか困っているのだろう。

 

パテル分派の長、今期のホストの名前は聖園ミカではなかった。

 

ティーパーティー生徒:「お時間が御座いましたら、彼女について私が調べた範囲ですが、お伝えしましょうか?」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「折角調べて頂いたのでしたら、是非お聞かせ願いたいのですね。お願いできますか?」

 

ティーパーティー生徒:「はい。ありがとうございます。まず彼女の名前は茨目(いばらめ)ニア。パテル分派に所属している生徒です。こちらはナギサ様も把握しているかも知れませんが、成績は非常に良好で、二年生としてはあの浦和(うらわ)ハナコさんに続くほどの成績を納めています。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ「そうですね。成績が良いということは風の噂でお聞きしたことがあります。」

 

ティーパーティー生徒:「特筆すべき点は、パテル分派としてはゲヘナ学園を毛嫌いしていないという場所を上げるべきかと。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ「……ふむ?」

 

パテル分派はゲヘナ学園を嫌いにしてることは知っていた。事実として一部の生徒に関してはエデン条約の際にゲヘナ学園に対し宣戦布告を行おうとしたくらいであるのもあり、その話は少し意外だった。紅茶カップに手を伸ばし、一口だけ飲む。

 

ティーパーティー生徒:「どちらかと言えばトリニティの派閥間での争いやいがみ合いを収めようという主張であり、敵は少なくなかったようですが……不安定なパテル分派の長として立候補することをリスクとして今期は見送ろうと考えている分派の生徒も多く、通ったのかと思われます。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「しかし、だとしても思想が異なればそもそも投票せずミカさんを続投させ、来期まで他派閥の動向を探ることのほうが……」

 

ティーパーティー生徒:「申し訳ありませんがそれは分かりませんでした。少なくとも何か画策したのかと……」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:「成程(なるほど)……ありがとうございます。もう大丈夫ですよ。」

 

ティーパーティー生徒:「了解です、ナギサ様。それでは失礼しました。」

 

そういうとティーパーティーの生徒は部屋から出て行った。残った沈黙と共に少し考えを巡らせる。

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:(茨目(いばらめ)ニア……パテル分派にしては、かなり異質な存在のようですね。)

 

桐藤(きりふじ)ナギサ:(最初の活動日は開票された日、つまり今日……分派のリーダー同士の顔みせですが、しばらくミカさん、セイアさんと変わらなかったから随分久しぶりに感じますね……)

 

異質感に苛まれながら、時は過ぎていく。椅子から立ち上がり、茶器をはける。ティーパーティーの会談の場へ行かなくてはいけない。ティーパーティーのベランダ……ベランダと言っても数部屋ほどもある広大なものだが、そこへ向かう。歩いていると窓から太陽の光が入って来ているのがよく分かる。今日は喧しいほどの晴れ晴れとした天気だ。

 

ティーパーティーの生徒やトリニティの生徒たちに挨拶をしながら進んでいく。ミカさんが正式に退陣したからか、抗議の書類を正義実現委員会の生徒が剥がしていた。少しずつトリニティは平和の形に戻りつつあるのかもしれない。

 

ティーパーティーのベランダに入ると、既にセイアさんが座っていた。いつもは自分よりも後に来ることが多いのにと思った私の考えを読み取るように、セイアさんは答えた。

 

百合園(ゆりぞの)セイア「ナギサ。これから(あらわ)れる生徒をそれだけ重く見ているんだよ、私は。私の”カン”がよく見ろと()いたい(よう)でね。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ「……なるほど。」

 

桐藤(きりふじ)ナギサ (セイアさんの”カン”、ですか。あの事件(虚妄のサンクトゥム攻略戦)以降、セイアさんは異様な程に鋭い”カン”を手に入れました。その”カン”が警鐘を鳴らしているのでしたら……それはこれから来るパテル分派の生徒……)

 

(桐藤ナギサ)は椅子に腰かけながらそんなことを考えていました。座り、少し考えようとするよりも前に、大きく音を立てて鐘がトリニティの空気を揺らし出す。

 

それと同時、時間厳守でその生徒が現われた。薄い桃色……ミカさんよりも薄い色の腰までは長い髪。ティーパーティーの制服は新しくあつらわれたものなのだろう。椅子に座れるように二つに先が分かれているの白色の長いマントのようなコートを羽織り、白色の服に同じく白色の短いスカート、そして白色のタイツを履いていた。

 

ヘイローは2つの正円とその上に煌々と王冠の印があしらわれていた。彼女が……茨目(いばらめ)ニア。瞳は底が見えないほどに澄んだ黄金の瞳をしていて、優しく微笑んでいる。しかし、それ故に真意は隠されているように見えた。

 

茨目(いばらめ)ニア「こんにちは、桐藤ナギサ様、百合園セイア様。初にお目にかかります、パテル分派の新たなるリーダーとし就任した茨目(いばらめ)ニアと申します。」

 

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