「最強ってさ…、堕としたくなるよね」理論の堕とされる側であるTS戦闘狂   作:産地直送の焼き鳥

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 2/26 異能者図鑑に『焔の御手』の使い手くんを追加しました。
 2/27 『突撃ショタ狂いJK』→『突撃ショタ狂いJC』に変更


異能が満ちる、私は戸惑う

 異能バトル、というものをご存じだろうか?

 

 昨今人気になっている漫画・小説のジャンルに含まれるものだ。知らない者たちがいるとして、彼らに説明するとしたら『なんか不思議な力が手に入ったぜ、やっほうっ!!おい、おめぇ戦おうぜ!おらワクワクすっぞ!!』といった感じのものである。

 

 まあ年頃の男の子とかであったら確実に考えたことはあるだろうし、少女諸君もまた日曜日の朝とかにやっている魔法少女的なものにあこがれて魔法が使いたかったお年頃があったのではないのだろうか。

 

 ともかく異能、魔法、神秘その他もろもろ。

 

 それらを使ってみたいという人はとても多い。私もその一部の人間だ。

 小さい頃は『ウィンガーディアム!!』とか、腰に段ボールで作った輪っかを付けて『へんしん!!』なんて遊んだ少年時代だった。

 

 現代の日本社会においてこれらの概念は、社会現象と言ってもいいのではないだろうか。これらの話は話題が尽きない。

 

 それでなぜ私がこの話を始めたのかって?

 

 それは私が日本ではない国に転生し、異能を手に入れたからだ。

 ふむ、名を知らぬ観測者諸君。『それいいなぁ!』『裏山』など思ったことだろう。ちなみに私が手に入れた異能は身体強化に近しい異能。まあ身体強化の異能と考えて構わない。まあ地味だが強い、自分でもそう思っている。戦闘・日常・仕事など幅広い使い方ができるので、かなり便利だ。

 

 しかもご都合主義的に、世界人口の約3割が異能を獲得しており、そのほかにも人類のほとんどが顔面スペックが向上しているという素晴らしき世界。もちろんこの私の顔も前世とは比べ物にならぬほど。

 更にはこの国には五、六個ほどダンジョンがあると親が話していたりもした。

 

 最初は私も狂喜乱舞したさ。

 赤子として誕生し、数年たってから前世の意識がだんだんと戻ってきたわけだが私もまた生粋の中二病だったというわけだ。

 ちなみに死んだ理由はよく覚えていない。そこは割とどうでもいいので、いったんわきに置いておく。

 

 今世の顔はとてもよかったし、何よりかなりのハイスペックだ。文武両道なんて最高ではないか!私を転生させてくれた名も知らぬ誰かよ!ありがとう、これで夢の異能バトルができる!!感謝だ!!―――と、そう考えたわけだ。あの純粋無垢な幼き頃…いや前世も入れたら立派な中年か。まあいい。

 

 しかしだ。少し年齢が経ち、家の近くの小学校に通い始めると、なんだか違和感を覚え始めた。

 

 なんだかおかしいのだ。隣のミカちゃんが顔を赤らめながら『お、おおかみさんはっ♡もり、にぃぃ♡♡』と言いながら崩れ落ちるわ、一mmも知らんおっさんが何食わぬ顔で教卓に立って『ぐほぅ、これから保健体育の時間だぞぉ?』とか言い始めるし、ましてや窓際の席のカツキ君がお尻を抑えながら、『ふぅぅぅぅ♡』と言いながら保健室に連れ込まれるわ。

 ちなみに見知らぬオッサンはしっかり処分しました。はい。

 

 これだけおかしな事件が起きればさすがに私も気づく。

 

 『あっ、これもしやR-18的な世界?』…と。

 

 一度疑問に思ってしまえば話は早い。この灰色の脳細胞を持つ天才は気づいてしまったのだ。

 

 これまでも、路地裏からなんか艶やかな声がしたりとか、たまに夜に歩くと顔を赤らめた人間が多いとか、頭悪そうなヤンキー軍団とともに華麗な女性が歩いていて、それを遠くから血の涙を流しながら地面をたたく男性とか!

 いろいろいたのだ!…これだけ居たのに気づかないのも間抜けだったかもしれない。小五の私は性的に襲ってきたオッサンを踏みつけながら、そう考えた。

 

 しかし、しかしだ。

 

 最近ガキ大将として名を馳せ始めた私は、少し訝しんだ。

 R-18な世界はまだ許そう。たまに小説とかであるし、ましてや漫画なら盛沢山だ。確率としては十分に高いだろう。たまたまこの世界に転生してしまったのだろう。うん。

 犯される可能性?全員叩きつぶしゃあ問題ない。

 

 もとは元気盛んな男子高校生が、遺伝子的にはXX。つまりは女性に転生してしまったことも寛大な心をもってして許そう。我が息子を卒業させられぬことは残念だが、百合を目指せばいいのだ。この世界は同姓婚も認められている。

 

 そして小五となってもいまだ全くと言っていいほどロリ体形なのも、まぁ、まだ、いい。母親もぐらまらすだし、母方の従妹も出るとこが出ている。懸念点は父方の従妹はまな板を超えて絶壁級かつロリ体型ということだが、私は母に顔つきが似ているので安心だ。

 更に女性の成長期は中3までとされている!それまでにしっかりと睡眠をとり、運動し、食事をとればナイスバディも夢でないはずだ!!ふはは、勝ったな!!*1

 

 だが、だが、だ。

 

 これだけは、これだけは。認められん。認めたくない。

 

 異能バトルはどこいったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??

 

 小五にいたるまで!11年間!!両手両足で数えられるほどしか!!戦闘がなかった!!

 血沸き踊る戦闘がぁぁ!!

 

 倒したのは『保健体育の時間だよぉ?』おじさん(以下保健体育おじさん)とか、変人教師。くそったれヤンキー等などだけである。全部警察に突っ込んだ。

 それと九割が弱かった。

 

 一番強かったのは校舎に堂々と入って『ショタァァァ!』と叫びながら突入してきた女子中学生である。

 最初に言った保健体育おじさんは洗脳系異能者だったらしく、教員に気づかれることなく潜入してきたのだが、この女子中学生は正々堂々正面突破だ。

 

 あまりに清々しく、涎を垂らしながら、目を充血させ、綺麗な顔を歪めながら突進してきた彼女からはすさまじい熱意が感じられた。

 その顔からは『何が何でもショタを犯す!!』という気迫が感じられたのだ。

 

 まあ問答無用で叩き潰したのだが。

 

 しかしすさまじいほどに強く、大人たちの健闘も虚しくついには入り口近くまで侵入していた。保健体育おじさんなどの不審者への対策として警備員が多数置かれていたのだが、その半数をなぎ倒し校舎に入ろうとしたところに私が参戦。校舎玄関周辺が粉々となる事態になってしまったが、教員がたの胃袋とこの学校の資金以外には被害を与えることがなかった。人命が無事だったのだ。これで勘弁してもらいたい。

 

 彼女との闘いはとても満足だった。まさか完全に追い詰めたところで『世界中のショタが…!私を…!応援している!!』とか意味わからん事言い始めて、私の拳による肉体的ダメージから私の正論パンチによる精神ダメージまでも全回復したのは予想すらしなかった。

 

 彼女のことはたぶん一生忘れないだろう。

 ただアレが最強レベルだとは思いたくない。その、あれが、ねえ?

 

 閑話休題。

 

 つまりはこの世界。すこぶる程に戦闘が少ない。ぶっちゃけ言ってつまらない。

 

 そこで賢い私は考えた。

 

 『強い騎士的ムーブしてりゃあ、堕とそうとして強いやつが来るのでは?』と。いや、もちろん反論はあるだろう。しかし、しかしだ。すでに心が汚い青年諸君。『くっころエルフ騎士』やら『最強騎士、奴隷堕ち』などというものに似たような言葉に心当たりは?

 もちろんあるだろう。

 

 ならば!このエロ漫画の世界においてそのような行動を行ったとすれば!

 

 『あいつ生意気だから俺らの奴隷()にしようぜww』的なのとか『最強を手に入れればこの計画…、勝つる!!』なんて思って向かってくる阿保、馬鹿、屑がいっぱいいるはずである!

 その屑らでストレスを発散しながら、たまに来る『闇の組織(笑)』などをぶち倒して大満足。

 

 この計画を完璧と言わずしてなんと呼ぶ?いや、完璧!

 

 そうと決まってからは話が早い。

 まずは元男の子となってしまったカツキちゃんに相談し、修行内容を決めていった。

 

 両親には心配されたが、『性犯罪者から身を守るため』『友達を守らねばならない』と三日かけて論理だてて説明したところ、目に隈を浮かべながら納得してくれた。

 

 修行内容は『一撃で倒すハゲ男』を参考にした。あそこまで、とは言わんでも拳で地面を割れるぐらいには強くなりたいものである。

 毎朝とにかく10km走り込み。そしてそのまま山へと直行し、パルクールにいそしむ。そしたら懸垂100回、正拳突き100回、腕立て伏せ100回、腹筋100回。

 

 学校帰りには、とくに予定がない限り空手道場に行く。たしか『死神と呼ばれし小学生名探偵』の漫画では空手キャラがクッソ強かったはずだ。それを参考にしたのだ。

 これらの修行を小五の春辺りから始めたわけだが、小六になると素手で岩を割り、100mを9秒で走れるようになった。小学校卒業間近になったら、金属バットで大型バスを粉砕できた。…さすがに廃車よ?この辺りになると『体育祭に出ないでくれへん?』みたいに言われた。もちろんでるが?

 

 小学校の先生に勧められた中学校の中で、異能の育成の中高一貫の国立学園があったのでそこに入学。先生は『えっ…?メスゴリラが、あの学園に入学…?』とか言ってた。そして両親が一番、私が入学できたということに驚いてた。

 いやなんでやねん。

 

 元気に中学校でも修行を重ね、部活にも入りながら鍛錬を重ねていった。

 中一には水の上を走れるようになり、垂直飛びで5mは越えた。ちなみに地球での世界記録は120cmちょいであるが、この世界では6kmと少しである。なんでも浮遊が可能な異能の持ち主だったとか。

 そんな異能力者にやらせちゃあかんでしょ。

 

 ともかく、この最強ガキムーブの結果としては十分だった。

 

 へんな気色悪いやつがいっぱい来たが大満足である。

 なんか男子高校生ぐらいのヘタレ的野郎が『俺の!!幼馴染にぃ!!何をしたぁ!!』と言いながら向かってきたときが一番興奮しました。もちろん戦闘的な意味で。

 あ、異能は『焔の御手』っていう掌から炎を出す異能だった。結構強くて大満足です。

 

 ちなみにその幼馴染についてはよく知らない。

 この前路地裏で女の子が暴漢に襲われていたところを助けはしたが、そのあとは絡みがない。その時はその女の子が泣いていたので、持っていた青色のハンカチを渡したぐらいだろうか。それにさっさと暴漢を倒した後、安全な場所に連れて行ったら直ぐにその場を去ったのだ。名前も伝えてないし、たぶん関係ない、と思いたい。

 

 そうした私の趣味の戦と、ゲフンゲフン!立派で高尚な慈善活動のなか、中学校生活を楽しんで行った。

 特筆すべきことは、学園長が異能を使った『強制参加デスゲーム』を始めたり、生徒会長が『学園乱交祭』なんてものをしようとした時は大変だった。

 

 なんとかマトモな教職員や、生徒会役員を巻き込んで阻止はできたが、なかなかにきつい戦いだったと思っている。

 

 最後の終業式の時に、真の黒幕が高等部の教頭だった時はこの一年で一番驚いた。

 『クククッ…、クックック。あなた方が頑張っている姿を見るのはとても楽しかったですよ?まぁ、それも今日でお・し・ま・い、ですがねぇ!!!クハハハハッッ!!』なんて言いながら、頭部装甲を光輝かせていたのはとても印象に残っている。

 

 そのようななかなか濃い一年を過ごした私であるが、無事犯罪者どもを豚箱に突っ込むことができた。

 もちろん、中等部の生徒会や高等部の生徒会役員、そして風紀委員の皆が手伝ってくれたおかげだ。

 しみじみとこの一年を思いながら、次の生徒会長は一体誰になるのだろうか、と思いながら中等部、高等部総合の入学式を自身の席から見ていた。

 

 中等部へと入学してきた新入生たち、高等部へと上がっていった先輩方。そして中等部と高等部の在校生の方々。

 彼らは綺麗な制服で身を包み、荘厳な雰囲気の中、新たな学園長の話を聞いていた。

 その話が終わると高等部の新入生に向けて高等部校長が喋り、中等部の新入生に向けて中等部校長が一通り喋った。

 

 そして中等部校長の話が終わると、司会を担当している生徒会役員がマイクを握り、式の進行を続けていく。

 

 「この、数百年の歴史を持つ国立異能鍛錬総合学園は高等部と中等部、そして七つの学科で構成されています。学園の生徒・教員数は約9000人近くが在籍しており、日本国内において一位の敷地面積・生徒数を誇ります。この学園理念は『生徒の問題は生徒によって解決を』。この学園内で起きた問題は風紀委員が取り締まり、生徒会が学園内の整備・企画運営・部活管理などを行っております」

 

 そうそう、この学園マジでやばくてな??なんと敷地面積が250ha、東京ドーム55個分と少しである。

 しかもその学園内の管理とかは生徒会が中心となってやっている。

 マジで意味わからん。

 

 「そして生徒会は学校運営に携わることもあり、生徒会本部役員、という肩書きだけでもその重みは十分です。そんな生徒会はこの学園内には三つあり、高等部生徒会と中等部生徒会、そしてその二つの会を束ねる総合生徒会がございます。

 現在、総合生徒会長を務めておられるのは、史上二度目の中学生総合生徒会長!!中2にして総合生徒会長になったのは史上初!!当時中学一年生にも関わらず前年度の『学園長暴走事件』、『生徒会長御乱心の変』、そして『最後の日の悲劇〜教頭の後光を添えて』ものいくつもの事件を解決した天才中の天才!!」

 

 ていうかあの事件の名前、正式にこれで決まったのか。

 警察方の正気を疑うとともに、これは夢じゃないのか、夢であってくれと頬をつねるが、目は覚めない。

 

 「『龍神楽 羅希』総合生徒会長のご登壇です!皆様盛大な拍手をお願いします!!」

 

 そうだ、自己紹介が遅れていた。

 私の名は『龍神楽 羅希』。異能名は『龍ノ舞姫』。この度中2にして総合生徒会長となりました。

 

 …なんでぇ??

 

 

 ◇◇◇

 

 

 私は元OLの転生者、今世の名前は『阿良々木 錦』!手に入れた異能は『超運』、そして『掲示板』!この世界においてたぶん初のダブルホルダーです!!

 いつの間にか赤子の姿で転生していて、掲示板のみんなの考察によってR―18の世界だとは分かったけど、これまで異能『超運』のおかげで性的被害が起きていません。

 今回私は、異能『超運』がビビッときた中学校に入学しました。

 いやぁ本当に便利ですね、この異能。『超運』様様です。運が絡んだ勝負でしたら私の勝利は確定ですし。

 

 この中学校の正式名称は『国立異能鍛錬総合学園中等部』。この国が建立した『異能の日常的使用化及び異能によるダンジョン攻略』を目的としたすごい学校です。

 長いから縮めて異能、鍛錬、中等部ということで『異端中』なんていう人もいるとか。

 …まぁこの世界ではよくある異能差別、というやつです。

 まあ気分を戻していきましょう!

 

 ここは国が手をかけているだけあり、高等部付属の中等部までもが金をたくさん注ぎ込まれています。

 私の前世では古びた隙間風が吹く体育館で入学式を行っていましたが、ここではくっそ広いアリーナ的なところに連れてかれました。

 まじできれいです。

 

 えっ、いくらかかってんのこれ?わぁ、椅子もふっかふか…。

 私が椅子の柔らかさに感激しているうちに、入学式が始まりました。

 

 まずは堅苦しい学園長の話から始まって、高等部校長、中等部校長のありがたーいお話を聞きます。ここは前世と同じですね。なんでこういう人たちって話が長いんでしょうか。

 

 彼らの話が終わったら、次は先輩方による挨拶がある、と前もって渡された予定表に書かれていました。

 

 どんな方なんでしょうか。気になるところです!

 

 「『龍神楽 羅希』総合生徒会長のご登壇です!皆様盛大な拍手をお願いします!!」

 

 そうこうしているうちに、その総合生徒会長という人が、壇の上へと上がっていきました。

 

 純黒とも呼べるほどに真っ黒な長髪、そしてこの学校を象徴する学園のマークが彫られたバッジを胸につけ、ゆったりとした歩きで昇っていく。

 身長は小学生、と呼ばれても信じてしまうほどですね。

 頭には帽子で少し隠れていますが二本の捻れたツノが見え、お尻の辺りには大きなトカゲのような尻尾があるので、物質変化系の異能とかその辺りでしょうか。

 

 総合生徒会長のゆったりとした歩みの中、私が今座っている中等部の新入生の大部分がクスクスと嘲笑しています。

 まああの見た目ですし、無理はないんじゃないんでしょうか。

 

 しかし私の『超運』が警鐘を鳴らしていました。

 『嫌な予感がする…!!』的なアレです。例として信号近くで嫌な予感がして少し下がったら、トラックが突っ込んできたとか。そんな感じのです。

 

 そんな私の『嫌な予感』ですが、それがバンバン鳴っています。

 先ほどのトラックの嫌な予感が猛犬ぐらいだったら、今のは隕石くらいでしょうか。ぶっちゃけ言って大きすぎて分かりません。

 

 私の『超運』も万能というわけではなく、私よりも遥かに強い異能だったらゴリ押しで敗れてしまうのです。

 つまりは今世最大の死の予感的な感じですね。

 

 今、『私余裕ですけど?』みたいな感じですけど痩せ我慢ですからね?

 マジで漏れそうです。…あ、少し漏れた…。

 

 私の他にも、感知系の異能なのかガタガタ震えている生徒も少しばかりかいます。

 やべえっすね、あの生徒会長。

 

 そんなことを私が考えていたら、いつのまにか周囲の新入生たちが騒ぎ始めました。

 ザワザワ、ガヤガヤと言った感じです。

 まあ私はガタガタ、ブルブルですが。

 

 壇の上に到着しても、先ほど最後に話された中等部校長と身長が数十cm離れているためマイクに届いていなかったりしているのは微笑ましいです。

 これも侮る一因となったのか、さらに声が大きくなっています。

 

 かなり煩いですがなんで気づかないんでしょうかね?

 先輩方はほとんどが黙っていることに。

 

 マイクの調整が終わると、総合生徒会長は「あ、あ」と可愛らしい声を出しながらマイクのテストを始めました。

 しかしそのマイクテストも新入生たちの声でかき消されています。

 まあ我々新入生は最前列ですし、当たり前かもしれません。

 

 すると何を思ったのか、マイクが乗った台の上から降りました。

 

 …何をするのでしょうか?そこの位置だとマイクが何も拾ってくれないと思うのですが。

 

 すると『偶然』後ろの席の人が私にぶつかり、『偶然』私のバックの中にあったヘッドフォンが跳ね、『偶然』私の頭に落ち、『偶然』にも耳を隠しました。

 

 その直後、衝撃波のような空気の波が届いてきました。

 

 …!なんですか、これは!?

 

 ヘッドフォンを外してみると、周りの新入生生たちはみんな耳を押さえていました。

 そして総合生徒会長の方を見てみると、少し間を空けて手を合わせています。まるで拍手をするかのように。

 

 …まさかさっきのはただの『拍手』?

 いくらなんでもそれはヤバくないですか?

 

 拍手による爆音で少し講堂内が静かになると、総合生徒会長は壇の上に戻り話を始めました。

 

 「あー、今年度より総合生徒会長の任を拝命させて頂きました『龍神楽 羅希』だ。今は中等部迷宮探索科に所属しており、現在二年。

 それと少々私に疑問を抱いた方々がいたようなので、先ほどの対応をさせていただいた。できるだけ手加減して行ったわけだが…、満足していただけただろうか?」

 

 不遜とした態度で喋り出す彼女に、新入生の一部たちは怒りやら苛つきの視線を向けてはいるが全員黙って彼女の話を聞いていました。

 煩くしたらまたあの『拍手』が来るかもしれないからでしょう。

 

 「この学園では先ほど司会の子が言ったように、『生徒の問題は生徒によって解決を』という理念を掲げている。つまりは『自由』を掲げているのだ。何をするにしても自己責任、しかし生徒内で助け合いもする。そのような学園だ」

 

 そして彼女は、目線、ボディランゲージ、言葉の抑揚を加え、時には大袈裟に話していました。

 …戦闘能力以外にも統率者の才能も持っているとか化け物ですね。

 隣に座っている子なんか、先ほどの拍手で精神が吹っ切れ、話を聞いている中で『恐怖』から『畏怖』、そして『尊敬』を越えて『崇拝』の域まで入ってしまっています。

 

 短い時間のでこうなったのは『圧倒的オーラで叩き潰され、』『そのあとカッコいい姿をみてしまった』からでしょう。感知系の異能を持っていたのでしょう、彼女は総合生徒会長を見ているうちに荒い息になっていきました。

 無事新たな扉が開いたようです。

 

 「私たち生徒会はこの『自由』を掲げる学園内において、政府のような立ち位置をしている。そして風紀委員は警察、治安維持としての役割を。他にも生徒で行っている機関はいくつも存在している」

 

 事実、周囲を見渡せば色んな反応や表情がありました。反応としては、忿怒、興味、疑心、驚愕、嫉妬、恋慕、崇拝、尊敬、恐怖などなど千差万別ですが、同じなのはただ一点。

 全員彼女に注目しています。

 凄まじいですね…。本当に。

 

 「そのような学園に所属する君らには、その責務もまた成し遂げていってもらいたい、と言いたいところだが。

 この学校の理念は『自由』であり、我々学生の本分は『勉学』だ。

 何も学んでみても良い。何をしてもいい。それこそが自由だ。

 …だがまぁ,一線は是非とも越えないでいただきたい。自由には責任も伴うのだからな。

 さて、長くなってしまったが私から言いたいことはこれで最後」

 

 やはり私の『超運』は間違っていなかったようです。

 パンフレットを大量に用意して『棒倒し』で決めましたが、

 この学園はいやはやどうして

 

 「『全力で自分の青春を』。以上!第三百七十五代目総合生徒会長『龍神楽 羅希』より」

 

 退屈しなさそうです♡

 

 

 ◇◇◇

 

 

 in the あいさつの後 「side『転生者,阿良々木 錦』」

 

 (いやぁ、すごかったですねえあの人)

 

 (前世のギャンブラーとしての血が騒ぎます。敵として対決するのもハイリスクで楽しそうですし…、いや味方となって彼女の活躍を見るオタク活動も楽しそうですね!)

 

 (まあ、決めるのはもう少し観察してからでいいでしょう。)

 

 (いざとなったらもう一つの異能、『掲示板』のことを伝えてみても面白そうです)

 

 (まぁ?世界で?唯一の?複数異能保持者(ダブルホルダー)ですからねぇ!!)

 

 (これは私の大きな自慢ですよ!しかもいいカードになりそうです!)

 

 (交渉ごとがあったら遠慮なく使っていきまーーー)

 

 「それでは新入生代表挨拶です!何と世界初の複数異能保持者(ダブルホルダー)、だと言うことです!

 『神宮寺 アキラ』さん!御登壇お願いします!」

 

 (……?)

 

 「こんにちは、ただいまご紹介にあがりました神宮寺アキラです。僭越ながら新入生代表挨拶をさせていただきます」

 

 (…、おっふ)

 

 

 ◇◇◇

 

 異能者図鑑 記録者:ジョン・ドゥ

 

 仮名;保健体育おじさん

 異能系統;精神操作系 異能名『周辺洗脳』

 スマホを媒体として周囲の人物を洗脳してしまうぞ!スマホ以外でも五円玉とか、特殊な本とかを使っても可能だ!結構強い能力だ!…彼女の手では瞬殺だったけどね!

 

 仮名;突撃ショタ狂いJC

 異能系統;精神操作系 異能名『強固なる意思』

 精神操作系の区分で、自身が対象となる異能。自身の意思が確固たれば足るほど、自身の存在は強化される。逮捕された後、刑務所内で彼女は『ろり…』などと呟いている。また、少年に対する興味は幾分か減少したが、少女の写真を見せると動揺が観れたので注意すべし。

 

 仮名:ヘタレ幼馴染系少年

 異能系統:物質具象系 異能名『焔の御手』

 物質具象系は『物質を生み出す』という能力。コイツの場合『掌に限定して炎を出す』異能力。異能は強かったが、使い方が不味かった。

 何だか彼の幼馴染が暴漢に襲われたと聞き、向かったら青いハンカチを握りしめながら『…会いたくない』と言われたため、『青いハンカチの主が俺の幼馴染に何かした』と判断。全力を尽くし、主人公の元へ辿り着いた。

 いやぁ『青いハンカチを握りしめた幼馴染(女)』って誰なんだろうなぁ。そういえば羅希さん、あなたこの前路地裏で女の子助けたと言っていませんでしたっけ。

 

 龍神楽 羅希(りゅうかぐら らき)

 異能系統;複合異能系 異能名『龍ノ舞姫』

 強力な身体強化系と、人体の構成物質を変え龍と化す物質変化系との複合系となる。鍛え抜かれた異能は『自身』のすべてを強化する。見た目は黒い長髪ロリにツノと龍の尻尾生やした感じ。制服を着ているとツノが帽子で隠れる。翼は付いていないため、空は飛べない。

 飛べない龍はただの龍!!

 

 『転生者』阿良々宮 錦(あららぎ にしき)

 異能系統;法則改変系 異能名『超運』

 あらゆる現象は異能保持者の望む幸運へと収束していく。つまりはご都合主義の塊。これを超えるには、異能ではない尋常ではないほどの生まれ持った強運か、桁外れの力を持つ異能でしか対応できない。

 …というのが本来の能力であり、今現在は本来の50%が最大出力。

 彼女が出した幸運例『六面サイコロ振ったら20回連続で1が出た。』

 =1/6の二十乗(3656兆分の一)

 

 異能系統;■■■■  異能名『掲示板』

 ■■■■■であり、なおかつ■■■■、■■■■■■■。また、■■■■■■と■■■■■■。

 

 『世界初(?)の複数異能保持者(ダブルホルダー)』神宮寺 アキラ

 異能系統:不明 異能名:不明

 

 異能系統:不明 異能名:不明

 

 

*1
特に話の本筋とは関係ないし、学術的根拠もないが「女の子は父親に似やすい」らしい。…特に話の本筋とは関係ないよ!!

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