追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜   作:蒼月浩二

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第17話:付与魔法使いは武器を求める

「ワイバーンに関してはかなり貴重な素材が取れますし、買取金額も期待しておいてくださいね!」

 

 希少性が高いことは俺も知っていたつもりだが、改めてそう言ってもらえると期待が高まるな。

 

「あっ、それでですね状態の確認をしてからの査定としたいのですが……ちょっとワイバーンが大きすぎて運ぶのも一苦労になりそうでして。アルスさん、ギルドの奥まで運んでもらうことってできますか?」

 

「ああ、そのくらい構わないよ」

 

 アイテムスロットを使えば移動に大した手間も労力も変わらない。

 早く移動させた方が査定もスムーズに終わるだろうし、早く支払いが終わるのはこちらとしても望むところだからな。

 

 俺はアイテムスロットにワイバーンを収納してからギルドの受付から奥に入った場所にある査定場所にワイバーンを移動させた。

 

「では、その間に依頼達成の処理をさせていただきますね。ギルドカードをお預かりします」

 

「ああ」

 

「あ、私もですね」

 

 俺とセリアは受付嬢にギルドカードを預けた。

 受付嬢は専用の魔道具に俺たちのカードを挿入し、何かの操作をしているようだ。

 

 しばらくするとギルドカードが魔道具から出てきた。

 

「お待たせしました。こちらお返ししますね」

 

 受付嬢からギルドカードを受け取り、内容を確認する。

 

 依頼達成件数が1に増えていたり、ギルドポイントの欄に30/100という数字が打ち込まれている以外には、特に見た目上の変化はなさそうだ。

 

「今回の依頼はギルドポイント30の依頼でしたので、30ポイントが付与されているはずです。お確かめください」

 

「ああ、入ってる。ギルドポイントっていうのは、100ポイント溜まったら次のランクに上がるっていう認識でいいのか?」

 

 勇者パーティにはランクという概念がなかったため冒険者のランクシステムをあまり気にしたことはなかったのだが、そんな噂を聞いたことがあった。

 依頼を達成した回数だけポイントが貯まっていき、一定のポイントが貯まるとランクアップするのだと。

 

「概ねその通りです。規定のポイントが貯まり、かつその時点でのランク帯の依頼を一つ以上クリアしていることが条件です」

 

 なるほど、簡単な依頼ばかりをたくさん受けても際限なくランクアップすることはないということだな。

 確かにこういった規定がなければ、そのランクに相応しくない冒険者がランクアップしかねない。必要な仕組みなのだろう。

 

 こうして依頼達成の処理が終わったと同時のタイミングで、受付の奥から別のギルド職員が来て書類を置いた。

 

「あっ、先ほど査定が終わったようです。それでは、ワイバーンの素材買取賃と依頼の達成報酬を合わせてお支払いしますね」

 

「ああ、結構早いんだな」

 

 支払われた金額は合計で105万ジュエル。

 ワイバーンの買取金額が100万ジュエルで、依頼の達成報酬が5万ジュエルという内訳だった。

 

 ◇

 

「ワイバーンの報酬、全部私にって……何を言ってるのですか!?」

 

 ギルドを出た後、報酬の分配についてセリアと話し合っていた。

 依頼達成の報酬は折半するとして、ワイバーンの報酬は全額セリアが受け取るべきだと言ったところ、このような反応が帰ってきたところである。

 

「今回はセリアが一人で倒したんだから、俺が一部でも受け取るのは変な話だろ?」

 

「そんなことありませんって! アルスに戦い方を教えてもらったから倒せたんです!」

 

「そうだとしても、俺はセリアに受け取ってほしい。もうちょっとこう……武器をなんとかするための資金に充ててくれたら俺も助かるからさ」

 

「武器ですか? そこそこ良い武器のはずなんですけど……」

 

 セリアは自身が持つ剣を眺めた。

 鋼色をした普通の剣。手頃な価格でどこかの武器屋から購入したものだろう。

 

 普通が悪いわけではないのだが、『剣聖』が持つ武器としては頼りなく感じてしまう。

 今はまだ成長途上だから剣の性能が足りず足を引っ張るという状況にはなっていないが、このペースで強くなり続ければ近いうちに買い換えなければならない。

 

 武器のせいで成長が止まってしまうのは避けたいからな……。

 

「すぐにその武器じゃ物足りなくなる。そうじゃなくても強い武器を持っておくにこしたことはないし、100万ジュエル全額は使わないにしてもそれだけの予算があれば今より良い武器が手に入るはずだ」

 

「な、なるほど……。アルスはそこまで考えて譲ってくれようとしていたのですね!」

 

 セリアはようやく俺の意図を理解してくれたようだった。

 

「まあ、そんなところだ。もちろん強要はしないんだが、そうしてくれると助かるって感じかな」

 

「わかりました! 私、このお金で新しい剣を買います! じゃあ早速武器屋さんに行きましょう!」

 

 ということでセリアの武器を選びにベルガルム村にある武器屋を物色したのだが——

 

「う〜ん、いまいちだな」

 

 一通り武器屋にある剣は確認したのだが、正直どれも今セリアが使っているものと大差はない。

 今よりも強い武器……程度のものならあるにはある。しかしそんなものを買ったとしてもすぐに物足りなくなってしまうため、もっと性能の高い武器が欲しいのだ。

 

 もちろん100万ジュエルという予算の限界はあるので際限なく良いものを——とはさすがにできないのだが、どうせ新調するのならもう少し良い武器を持たせてやりたかった。

 

「一旦今日はこのくらいにしますか?」

 

「そうだな。たまに王都から来る武器商が来た時に見てもいいし、焦らず良いものを探そう」

 

 そんなやりとりの上、武器屋を出た時だった。

 見知らぬ二人組の冒険者たちから興味深い話が聞こえてきた。

 

「あのドワーフ族のおっさん、300万ジュエルの依頼断るとかどうかしてるぜ……」

 

「どうやったら受けてくれるかわかんねーよな」

 

 ドワーフ族というのは、この世界では手先が器用で有名な民族だ。

 既製品の剣を探すことしか考えていなかったが、オーダーメイドという手もあるにはある。

 

 100万ジュエルあればオーダーメイドで剣を作ってもらうことも現実的な考えになり得る。……とはいえ、300万ジュエルの依頼でも断られたというのだからこれでは足りないかもしれないが。

 

 俺がこの話に注目したのは、ベルガルム村にドワーフ族の剣の名工がいるという噂を聞いたことがあったからだ。

 

 付与魔法師という役割から剣についてそれほど注目はしていなかったが、件の名工は最強と名高い前勇者パーティの剣士が使った剣をも打ったと言われている。

 

 そのドワーフ族の鍛治師ついての情報が気になるな……。

 

「なあ、ちょっと今話してたドワーフ族についてちょっと教えてくれないか?」

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