追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜   作:蒼月浩二

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第2話:付与魔法使いはギルド試験を受ける

 朝の定例会議をしていた宿を出て、俺は冒険者ギルドに向かった。

 やらなければならないことは決まっているが、すぐに達成できるようなことではない。

 

 ひとまず冒険者になり生活を安定させることがスタートラインだ。

 俺は冒険者になることなく勇者パーティに所属していたため、冒険者の資格がない。

 

 まずは、どこかの冒険者ギルドで冒険者試験を受け、ライセンスを取得しなければならない。

 

 現在拠点にしているのはベルガラム村。

 冒険者ギルドは各村に存在しているが、ライセンスを取得することができる村は限られている。

 幸いにもベルガラム村はある程度規模が大きいため、このギルドで試験に合格することでライセンスを取得できたはずだ。

 

 ガラッ。

 

 冒険者ギルドの扉を開け、中に入る。

 

 左には大量の依頼書が貼られた掲示板が並び、右には冒険者用の酒場。

 奥には受付がある。

 

 勇者パーティもギルド経由で依頼を受けたり、司令を受け取ったりをするが、基本的にリーダーが手続きをするので、あまり建物に入ったことがなかった。

 

 なるほど、こんな感じなのか。

 

 新鮮さを感じつつ、受付へ向かう。

 

「いらっしゃいませ。ご用件はいかがでしょうか?」

 

「冒険者ライセンスを取りたいんだ」

 

「なるほど、冒険者志望ということですね。最短で今日試験を受けられますが、いつになさいますか?」

 

 冒険者ギルドでは、毎日昼ごろから試験を行っている。

 まだ朝なので今日の試験に間に合うらしい。

 

 一日でも早く冒険者にならないと食うに困ってしまうので、これはラッキーだ。

 

「今日で頼む」

 

「かしこまりました。では、こちらの用紙にお名前とジョブをお書きください」

 

「ああ」

 

 俺は、受付嬢から用紙を受け取り、名前とジョブを書き込んでいく。

 

 ジョブというのは、生まれながりにして神から与えられた職業のことを指す。

 

 剣士や魔法師など多種多様だが、俺の職業は付与魔法師。

 強化魔法でパーティメンバーをアシストするのが主な役割だ。

 

「アルス・フォルレーゼ……付与魔法師……あ、あの……もしかして、勇者パーティの方でしょうか?」

 

 名前で気づかれたか。

 隠す必要もないが、変に目立つのも仕事がやりにくそうだ。

 

 嘘にならない範囲で誤魔化しておこう。

 

「いや、勇者パーティとは何も関係ないぞ。っていうかわりとよくある名前だろ?」

 

「た、確かにそうですが……」

 

 どうにか上手くいったようだ。

 

「それでは、試験の説明をしますね。冒険者ギルドの試験は、全部で4回の試験があります。魔力試験、的当て試験、実技試験、最終試験です。順番に試験の全てを合格する必要がありますが、決して困難なものではありません。不合格となっても、何度でも再受験が可能です。頑張ってくださいね」

 

「ああ、わかった」

 

 俺のようなサポート職であっても、最低限の戦闘力はないと一人前の冒険者としては認めてもらえない。

 

 一見して試験の回数が多いようにも思ってしまうが、命の危険が伴う冒険者になるのならこのくらいの壁は乗り越えられないと話にならない。

 

 冒険者の死亡率というのは、初心者のうちが最も高く、ベテラン冒険者ほど低くなる。

 初心者冒険者を死なせないよう、ギルドも色々と考えた結果なのだろう。

 

 早く冒険者になりたい俺としてはやや面倒だが、スムーズに終われば一日で全て終えられる。

 気合いを入れて頑張るとしよう。

 

「それでは、事前に魔力試験を行いますので、別室にどうぞ」

 

「わかった」

 

 俺は受付嬢の後をついていく。

 魔力試験というのは、魔力の総量を計測する試験のことである。

 

 剣を使うにせよ、魔法を使うにせよ、冒険者である限り魔力はどうしても必要になる。

 正確な魔力量は勇者パーティに入るときにしか計測したことがないが、おそらく大丈夫だろう。

 

 あれだけ毎日頑張ってきたのだ。

 増えることはあっても減ることはないだろう。

 

「この部屋です。どうぞお入りください」

 

「ああ」

 

 連れてこられた部屋には、中央に丸い水晶がある以外は何もない部屋だった。

 魔力測定用の水晶は綺麗な球体だが、くすんでおりお世辞にも綺麗な見た目ではない。

 

 受付嬢が触れることで、水晶が淡く煌めく。

 

「このように触れることで魔力を吸収し、魔力量を示してくれます。輝きが大きいほど魔力量が高く、逆に輝きが小さければ魔力量が少ないということです」

 

「なるほど。どのくらいが合格点なんだ?」

 

「先ほどの私の魔力量では厳しいですね……。もう少し輝けば合格できると思います。一般人の私ですらもう少しで手が届きますので、それほど高いハードルというわけではありませんよ」

 

「なるほど……ともかくやってみる」

 

 俺は、水晶に手を乗せた。

 すると——

 

 ピカッ!

 

 たちまち水晶は強烈な蒼い光を放った。

 これだけ輝いていればさすがに合格だろう……と一瞬思ったのだが。

 

「どうした? 固まっちゃって。もしかして何か間違えてたか?」

 

 受付嬢は目を見開き、微動だにしなくなっていた。

 早く合格判定をしてほしいのだが……。

 

「す、すみません! こんなの初めて見たもので……すぐに確認しますね!」

 

 どうやら、やっと我に帰ってくれたようだった。

 

 勝手に手を離すわけにはいかないので、そのまま水晶に手を触れていると——

 

「熱っ」

 

 だんだんと水晶の温度が上がり、火傷しそうなほど熱くなってしまった。

 見た目も赤い球に変化してしまっている。

 

 俺は鍛えているので実際に火傷することはないが、200度くらいはあるんじゃないだろうか。

 

 受付嬢がメモを取っていると——

 

 ピキピキピキピキ……。

 

 という嫌な音がしてきた。

 これってもしかしてだが……。

 

「なあ、この水晶って割れること……あるのか?」

 

「いえ、今までそんなことは一度も聞いたことがありません。絶対に大丈夫です!」

 

「そうか、なら良かった」

 

 そのときだった。

 

 パリンッ——!!

 

 ガラスが割れるような音が部屋に響き渡り、俺の魔力量を計測していた水晶が粉砕したのだった。

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