スペシャルオレンジがトレセン学園に入学してからしばらくの時間が流れる。キタサンブラックを始め、サトノダイヤモンド、シュヴァルグラン、サトノクラウンと多くの友人が出来…食堂で一緒に昼食を食べていた。
「ん~、今日もご飯が美味しい~!」
「キタサンって本当によく食べるよね。」
「フフフ…本当にね。成長期、というのもあるかもしれないね。」
「でも…もうちょっと欲しいかな…」
「これ、食べる?」
「バナナだ!いいの?」
「うん、…食べてるキタちゃんを見たいから。はい、あーん。」
「ありがとうオレンジちゃん~♪あ~ん♪」パクッ
「…ごちそうさま。僕は先にいくね。」
シュヴァルグランが立ち上がり、食器の返却へと向かう。
「うん、またねシュヴァルちゃん。」
「午後のトレーニング、頑張ろうね!」
「…」モグモグ
「…うん。」
軽く言葉を返し、シュヴァルグランはそのまま食堂を後にした。
「ふぅ…ごちそうさまでした!」ゴクリ
「早っ!」
「ダイヤちゃん、オレンジちゃん、クラウンちゃん、私たちも早くトレーニングに行こうっ!」
「そうだね♪」
「時間的にはまだ早いけど…もう着替えに行こうかな。」
「はいはい。慌てないの…」
「レッツゴー!」
キタサンブラックたちも続いて食堂を後にした。
………
午後の授業が始まり…トレーニングコースを走り回っていたスペシャルオレンジだが外の方へとスピードを落としながら移動し足を止めた。
「はぁ……はぁ……ふぅ。」
「オレンジ、お疲れ。」
「シュヴァルちゃん……はぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「うん…結構……ハードな…トレーニングで…鍛えてた……はず…だけね……ふぅ。」
「…指定された距離で終わればよかったのに。」
「キタちゃんみてると…何だかねえ…ふぅ。」
「はっ…!ふっ!ふっ…!」ダッダッダッ
そんな会話していた2人の目の前をキタサンブラックが駆け抜ける。ノルマはすでに終わっているものの…そのまま走り続けているのだ。
「…まだ走ってるよ。」
「はぁ…悔しいな。差を見せつけられてる感じがするな…」
「…君もだよ。」ボソッ
「シュヴァルちゃん?」
「何でもない…これ、僕の予備のタオル。」
「ー!」ファサ
シュヴァルグランはタオルでスペシャルオレンジの顔を覆い、汗を拭き始める。
「自分で拭…いや、自分のを取りに…」
「…いいから、じっとして。その間に…早く自分の息を整えなって。」
「…ふぅ。ありがとう…ちゃんと洗って返すね…ふぅ。」
「…」わしゃわしゃ
「…ふぅ。」
「…」わしゃわしゃ
「…」
シュヴァルグランは無言のままスペシャルオレンジの汗を…顔を拭き続ける。スペシャルオレンジもなすがままにそれを無言で受け入れていた。そして、それはトレーニングが終わるチャイムが聞こえるまで続いたのだ。
「シュヴァルちゃん、チャイムが…」
「………これくらいでいいか。それじゃ、僕は先に戻ってるから。」
「あ、タオル…まだ洗って…」
そのまま、シュヴァルグランはタオルを持ったまま戻っていった。
ーーー
放課後になる。今日はチームのトレーニングはなく、鞄に教科書をまとめ教室を出ようとしたスペシャルオレンジにキタサンブラックが声をかける。
「オレンジちゃん!オレンジちゃん!」
「キタちゃん?どうかした?」
「今日って休足日でしょ?一緒にゲーセン行かない?ダイヤちゃん家の新しい筐体が入ったんだって。」
「ダイヤちゃん家?…あ!サトノの!」
「そうそう!オレンジちゃんってクレーンゲーム得意?」
スペシャルオレンジの目が泳ぐ。
「うぅ…ごめん。今まで欲しいのは姉に取ってもらっていたからそこまでは…」
「あはは…実は私もそんなには…」
「大丈夫、いざとなったら私がアドバイスするから!」
「ダイヤちゃん…」
「何かスポンサー本人の前ではやりにくいような…」
「ダイヤちゃん本人はスポンサーじゃないような…あ!それでオレンジちゃんは行く…でいいのかな?」
「もちろん!ならシュヴァルちゃんとクラウンちゃんも…あれ?いない?」
「今日は2人とも普通にトレーニングだよ。」
「それじゃあ、行こっか!」
スペシャルオレンジ、キタサンブラック、サトノダイヤモンドがゲームセンターへと向かった。
………
ゲームセンターへと入り、クレーンゲームへのコーナーへと直行する3人。そこに設置されていたとあるぱかプチにスペシャルオレンジは目を輝かせる。
「…あ!スペシャルウィークさんの総大将勝負服がある!」
「オレンジちゃんってスペ先輩のファンだったね。」
「…うん。弥生賞から大ファン。」
「そうなんだ!あたしはテイオーさんの大ファン!」
「私はマックイーンさん!」
「トウカイテイオーさんか…オリーブ姉も…」
「おっ?オレンジがこんなところにいるとは珍しい。」
突然に黒鹿毛のウマ娘が声をかけてきた。
「バナナ姉!?バナナ姉こそ何でここに…」
「バイトだよバイト。取れなくて困った時は…ん?一緒にいるのって…」
「初めまして、キタサンブラックです。」
「サトノダイヤモンドです。…あれ?あなたは…?」
「…やっぱりサトノ家の。えーと、この前のパーティ以来だね。妹のオレンジが世話になってるな、姉の『コンドルバナナ』だ。」
「はい!ダービーでの活躍、覚えていますよ。」
「…え?知り合いなの?」
「いや、バイトで行ってただけだよ。…ダービーか。もうかなり前の話だけど…ありがとう。その娘がいるなら私からのアドバイスは要らないな。ぱかプチを初期位置に戻して欲しい時はいつでも言ってくれ。後はオレンジの恥ずかしい話とか…」
「…そういうのいいから!スペシャルウィークさんのぱかプチ取るだけから!」
「はいはい…ごゆっくり。」
スペシャルオレンジは財布を取り出してクレーンゲームを始めた。
チャリン
100円硬貨を1枚入れて、アームを操作する。
「ふぅ…よし!ここだ!やった!持ち上がっ……」
ズルッ
「あぁ!」
「落ちちゃったね…」
「…」
ぱかプチは掴まれ持ち上がるも…アームが天井に上がりきった所で落下した。
「もう一回!」チャリン
ズルッ、スカッ、ズルッ、ズルッ、スカッ…
「…キタちゃん…ダイヤちゃん…私はもうダメみたい…」ズーン
何度も挑戦した結果、ぱかプチは取れず、小銭が無くなり…スペシャルオレンジはその場で横になる。
「オ、オレンジちゃん…?」
「自棄になっちゃったね…」
「ちゃんと掴んで持ち上がったのに…」
「うーん、オレンジちゃん。普通に掴むところが悪いというか…」
「それにアームが届かない位置に落ちゃったね。」
「うっ…!はははは…やっぱり、私は自分の力でぱかプチ何て…」
「はいはい、他の客の邪魔になるから早く起きろオレンジ。初期位置に戻してやるからな。」
「バナナ姉…」
「お腹のリボン…狙ってみな。」ボソッ
「へ?」
コンドルバナナがぱかプチを初期位置へと戻す。そして、スペシャルオレンジが両替してリベンジへと入る。
「オレンジちゃん…いける?」
「うん!多分!」
「ダイヤちゃん…ダイヤちゃんならどこを狙う?」
「うーん、普通にいくなら腰にあるタグかな…。このアーム、2本だけどあんまり開かないから頭とかは難しいかも。」
「アームが大きく開かない…よし!」チャリン
再び、お金を入れて筐体を操作するスペシャルオレンジ。キタサンブラック、サトノダイヤモンド…そしてコンドルバナナがその様子を見る。
「…ここっ!」
「ん?真ん中?タグ狙いかな?」
「うーん、それにしてはちょっと上過ぎるような…あら?」
「持ち上げて…やった!持ったまま移動してる!」
「無事に取れたみたいだね。…さて、私は仕事に戻ろう。」
クレーンのアームはお腹のリボンを掴み…取り出し口へと落とされた。スペシャルオレンジはスペシャルウィークのぱかプチを手に入れたのだ。早速、取り出して自分の胸へと抱き締める。
「やったよ!」
「うんうん!やったね!」
「自分の力で取れてよかったね。」
「…ごめん、実はさっきバナナ姉がこっそり教えてくれた。」
「そうだったの?」
「フフフ…でもゲットはゲットだよ♪おめでとうオレンジちゃん!」
「そうだよね!部屋のベッドに飾っておくよ。」
「あたしも何か取ってみようかな…」
「今あるぱかプチは…『スペシャルウィーク』さん、『テイエムオペラオー』さん、『ゼンノロブロイ』さん…『トウカイテイオー』さんの総大将勝負服があるよ。」
「テイオーさんのあるんだ!?…オレンジちゃん、ダイヤちゃん、あたしもやってみる!」
「ぱかプチ以外でもいいよ。ぬいぐるみとかお菓子とか…」
その後、3人はクレーンゲームにメダルゲーム、プリクラなどで遊びゲームセンターを楽しんだ。そして熱中し過ぎたため…寮の門限を超えてしまい、3人とも反省文を書くこととなった。