ワタシノユメハ   作:アマノジャック

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明日のNHKマイルC…『ウォーターリヒト』に勝って欲しいな。


連闘(仮)をします…

『エピファネイアが先頭に立つ!

ジャスタウェイは伸びない…エピファネイアが突き放す!

エピファネイアがゴールイン!

2着にジャスタウェイ、3着にスピルバーグ。

ジェンティルドンナは連覇ならず…』

 

ーーー

 

場所は阪神レース場…今日はG1レースである『阪神JF』が行われる。勝負服を着たスペシャルオレンジの姿があった…観客席に。

 

『先頭はレッツゴードンキ!

しかし、外からショウナンアデラ!

ショウナンアデラが差しきった!!』

 

盛り上がるレース場…その後、ウイニングライブが行われる。そして、出走者も観客もレース場を後にし…全て終わった筈だった。

 

………

 

辺りは暗くなり…レース場はライトに照らされていた。現在、スペシャルオレンジは地下バ道におり…背後にいるミホノブルボンが淡々と言葉を発する。

 

「オレンジさん。今回のレース…出走していれば、間違いなく掲示板に入れていたでしょう。これは断言します。」

 

「ありがとうございます。では実際にその実力と覚悟を見せますよ…今から走る1600でね!」

 

「…では、最後に小言を。今からあなたが戦うのは歴戦の猛者たちです。絶対に無理だけはしないでください。少しでも違和感があれば中止にしてください。」

 

「…はい。」

 

地下バ道から芝コースへと移動したスペシャルオレンジ…そこにいたトップクラスのウマ娘たちが出迎えてきた。

 

 

「…!コイツがユズの妹か!」

 

G1レース計6勝…常識破りの女王『ウオッカ』。

 

 

「これはマンゴーちゃんのため…これはマンゴーちゃんのため…」

 

変則二冠…開拓者『ラインクラフト』。

 

 

「よろしくお願いしますねオレンジさん。」

 

G1レース計3勝…花の乙女『ニシノフラワー』。

 

 

「…共に精進して参りましょう。」

 

G1レース計2勝…華麗なる令嬢『ダイイチルビー』。

 

 

「はぁ…凄い熱。早く走りたいわぁ…」

 

ティアラ完全三冠…魔性の青鹿毛『メジロラモーヌ』。

 

 

「本日はよろしくお願いいたします。」

 

現成績2戦2勝…果実姉妹『スペシャルオレンジ』。

 

 

暗くなった阪神レース場、観客は関係者の数人。その中にはキングマンゴーやアグネスタキオンもいた。6人のウマ娘たちがゲートに入り…特別レースが始まった。

 

………

 

「オレンジ君、お疲れ様だねぇ…身体に変化はあるかな?」

 

「はぁ…はぁ…レースとライブの疲労以外、ありません。」

 

「…そうかそうか。この後は検査だろ?その前に君のデータを少しいただきたくてねぇ…」

 

「それは…痛いですか?」

 

「心配は要らないさ!心拍数と足の写真を撮るだけだよ!腕を上げてくれるかな?」

 

「…どうぞ。」

 

 

スペシャルオレンジがどんな選択をしたのか…その話は12月の始めへと戻る。

 

ーーー

 

太り気味を治し、トレーナーとのミーティングでスペシャルオレンジは自分の出した結論を話したのだ。

 

『オレンジ…もう一度、言ってくれ。』

 

『マスターと同じく。』

 

『はい!私は桜花賞と皐月賞に出走したいと思います!』

 

スペシャルオレンジの発言に室内が凍る。黒沼トレーナーは頭を抑え、ミホノブルボンはショートし頭から煙がみえる。

 

『オレンジ、お前…自分が何を言っているのか分かっているのか?G1を連闘…悪いがふざけているようにしか思えない。』

 

『…理解、不能です…』

 

『…。母が出来なかったことを…したいと思いました。』

 

果実姉妹の母であり、異次元の英雄と呼ばれた『ラウンドピーチ』。彼女は黄金世代と呼ばれた時代のウマ娘であり、オークスとダービーを連闘したウマ娘でもあった。

 

『母がクラシックで実行しました…娘の私が出来ない道理はありません。実際にグレープ姉がG1→OP戦ですがしています。』

 

『…オレンジさん。流石にそれは…』

 

『…本気か?』

 

『マスター?』

 

『…本気なんだよな?』

 

『えぇ!』

 

元気よく返事をするスペシャルオレンジ。過去にG1→G1の連闘を行ったウマ娘は6人…そのうち両方掲示板入りしたのはオグリキャップとラウンドピーチのみ。しかし連闘とはデメリットが大きい…肉体の疲労は勿論、それは精神的な疲労にもつながり、ケガのリスクもハネ上がる。重賞に出走するために行われることはあれど、重賞から重賞で行われるのは非常に稀な例だ。

 

『…ピーチ、悪いが時間をくれ。この場ですぐに決断は出来ない。』

 

『分かりました。』

 

『…トレーニングメニューだ。ブルボン、今日はお前に一任する。』

 

『承知しましたマスター。』

 

黒沼トレーナーは重い足取りでトレーナー室を後にした。

 

………

 

数日が経ち、再びトレーナー室へと呼び出されるスペシャルオレンジ…中に入ると黒沼トレーナーとミホノブルボン、さらにはキングマンゴーが座っていた。

 

『マンゴー姉!?』

 

『…座れ愚妹(オレンジ)。』

 

自身へ冷たい声色を放つ姉…スペシャルオレンジは黙ってパイプ椅子へと座った。キングマンゴーはドスのような視線をスペシャルオレンジへと向ける。そんな中、黒沼トレーナーが口を開いた。

 

『お前の本気を試す。』

 

『私の…本気?』

 

首を傾げるスペシャルオレンジ…それに向けてキングマンゴーが口を開く。

 

『12月14日…阪神レース場。そこで1600mを走ってもらう。』

 

『えーと、阪神JFに出走しろってこと?』

 

『話は最後まで聞け…ちょうど、URAから許可をもらい、非公式のレースをそこで行う予定だ。それにお前も加える。』

 

『非公式?』

 

『前にグレープとカナが私のためにレースをしたろ?あれの話が大きくなってな…阪神で特別レースが行われることとなった。』

 

『…話は見えた。分かった、そのレースを走…』

 

『メジロラモーヌ。』

 

『?』

 

『ウオッカ、ダイイチルビー。』

 

『??マンゴー姉?』

 

『私が今、知っている範囲だが…そのレベルのウマ娘たちが出走する。それでも走るのか?』

 

『ー!?』

 

スペシャルオレンジから大量の汗が流れ始める。トレセン学園において、トゥインクルシリーズでトップクラスの成績を叩き出したウマ娘が出走する。現在、ジュニア級で成長途中の自分が勝てる相手ではないのは明白…そんなレースにキングマンゴーは出走しろと言ったのだ。

 

『…はぁ…はぁ…』

 

『話はまだ終わりじゃない。翌週の21日の中山レース場…それで2000mの特別レースだ。参加するウマ娘は少なくともアグネスタキオンがいるな。』

 

『ーー!』

 

息が荒くなるスペシャルオレンジ…しかし、キングマンゴーは追い討ちをかけるように話を続ける。スペシャルオレンジは言葉を失った。連闘した状態でアグネスタキオンへ挑むこととなる。勝つ…いや、走ることすらプレッシャーで押し潰されそうになるスペシャルオレンジ。

 

『…マンゴーさん。よろしいでしょうか?』

 

『何々?ブルボンちゃん~?』

 

ミホノブルボンの声に反応して突然に猫なで声へと変わるキングマンゴー。ミホノブルボンは無表情のまま、キングマンゴーへと言葉を続けた。

 

『中山でのレース、私も出走したく思います。』

 

『ブルボンさん?』

 

『…ブルボン、どういうつもりだ?』

 

『…?エラーでしょうか?オレンジさんと走れる…そう思うと言葉が出ていました。』

 

『ふーん、いいよ。まだ中山の方は全然決まってないし…で、どうするつもりだオレンジ?』

 

キングマンゴーは猫なで声から冷たい声色へと戻り、スペシャルオレンジへと質問を投げた。

 

『トレーナー、マンゴー姉、ブルボンさん…ちょっとジュースを飲んでもいいですか?』

 

『…構わん。』

 

『ありがとうございます。』カシュ

 

スペシャルオレンジは缶ジュースを一本開けて、一気に飲む。そして一呼吸おいて、真っ直ぐな目をキングマンゴーへと向けたた。

 

『出走する!覚悟を見せたから…後は身体の強さを証明する!』

 

『………そうか。』

 

『…いいだろう。桜花賞と皐月賞…同時に向けたトレーニングを行う。』

 

『また、「彩 Phantasia」と「winning the soul」のウイニングライブの練習も追加されます。もう一度だけ聞きます…その選択でよろしいですね?』

 

『…はい!』

 

スペシャルオレンジは自分の希望を通したのだ。

 

ーーー

 

阪神での特別レースから1週間の時が流れ…今度の場所は中山レース場。スペシャルオレンジは再び勝負服を着て観客席へといた。自身の足の状態を気にしつつ、現地のレースを目に焼き付ける。

 

『外からレッドレイヴン!

レッドレイヴンが人気に答えて今、1着でゴールイン!!』

 

ワアァァァ!!

 

「…」すたっ

 

「どちらへ行かれるのですか?」

 

立ち上がるスペシャルオレンジにミホノブルボンが声をかける。

 

「缶ジュースを買いに…ブルボンさんもいかがですか?」

 

「では、あなたと同じものをお願いします。…しかし、もうすぐ本日のメインとなる朝日杯FSが始まりますので、早く戻るようお願いします。」

 

「分かりました。」

 

見つけた自販機に硬貨を入れて、オレンジジュースを買い…その場で1本飲みきるスペシャルオレンジ。しかし、その喉が潤うことはない。溜め息をつきつつ、もう2本買い…席へと戻る。

 

「思っていたよりも遅かったですね…オレンジさん。」

 

「…すみません。こちら、どうぞ。」

 

「ありがとうございます…始まりますよ。」

 

………

 

『ダノンプラチナ!

ダノンプラチナが1着ゴールイン!』

 

………

 

全てのレースが終わり数時間が経つ…先週同様にスペシャルオレンジの姿が地下バ道にあった。先週と違うのは一緒にいるミホノブルボンが勝負服を着ているところだろうか。

 

「私はまだ本調子ではありませんが…あなたに負けるつもりはありません。」

 

「はい。手を抜かないよう、お願いします。2000m…しっかりと走りきりますよ!」

 

地下バ道を超えると再び、勝負服を纏うトップクラスのウマ娘たちが出迎える。

 

 

「ほほぉ…疲労は少し見えるが問題は無さそうだねぇ。」

 

4戦全勝…光速の貴公子『アグネスタキオン』。

 

 

「うぅ…お姉ちゃん。ちゃんとソイツを見張っておいてね?」

 

三冠ウマ娘…金色の暴君『オルフェーヴル』。

 

 

「あらあら~、そう固くならなくても~。もっとリラックスしてくださいな。」

 

G1レース1勝…マイペースステイヤー『メジロブライト』。

 

 

「よろしく頼む。」

 

G1レース4勝…芦毛の怪物『オグリキャップ』。

 

 

「では、参りましょう。」

 

G1レース3勝…サイボーグ『ミホノブルボン』。

 

 

「はい!」

 

前走6着…果実姉妹『スペシャルオレンジ』。

 

 

今回も数名の関係者のみが観客として見ていた。その中にはキングマンゴー、『ドリームジャーニー』らもいたのだ。6名のウマ娘たちがゲートに入り…レースが行われる。

 

………

 

「オルフェちゃん~、ライブお疲れ様~!汗かいちゃったね…私が綺麗に拭いてあげるよ~?」

 

「不要だ!貴様は余の半径1メートルに入るな!お姉ちゃん、約束が違うではないか!余以外の栗毛に向かわないではないか!!」

 

「ったく、汗拭くくらいなら別にいいだろ?これでもかなり譲歩したんだぞ。最初は一緒に風呂入るとか言ってたしさ…」

 

「そもそもの基準がおかしいであろう!!」

 

「ほらほら、ジャーニーちゃんもこう言ってるし…」はぁはぁ

 

「不要だ!来るな変態が……お姉ちゃんっ!?離せ!離さぬか!!」ギチギチ

 

「どうせ、捕まる未来しかみえねよ。諦めろ。」

 

「いくよ~♪」

 

「いや…来るな!いやぁぁぁ!!」

 

オルフェーヴルの悲鳴を余所にミホノブルボンは大の字でターフへと転がるスペシャルオレンジの元へと向かっていた。

 

「お疲れ様でしたオレンジさん。簡単にですがボディチェックを行います…よろしいですね?」

 

「はい。」

 

「その前に現在の君のデータをいただくよ。腕を上げたまえ。」

 

「はい、どうぞ。」

 

ミホノブルボンとアグネスタキオンの処置を受けるスペシャルオレンジ。そう、彼女は阪神1600mと中山2000mの連闘を達成したのだ。ちなみに順位は6着→4着であった。

 

「オレンジ…痛みはどうだ?」

 

「右のふくらはぎと太ももの裏に違和感が…」

 

「…分かった。医師にはそう言っておこう。」

 

「マスター、今から担架を…」

 

「お前は休めブルボン。…誰か、担架を頼む。」

 

「いや、そこまででは…」

 

「黙って従え。」

 

「…はい。」

 

「担架、お待たせしました。」

 

「あなたは…!?」

 

担架を持ってきたのはヴィルシーナだったのだ。

 

「こんばんは…シュヴァルがお世話になっているわね。」

 

「ヴィルシーナさん…」

 

「…俺の車まで頼む。」

 

「分かりました。あなたのことはオレンジって呼ぶわね。それで…オレンジは凄いことに挑戦しようとしているようね。あまり褒められたことじゃないけど。」

 

「はい、分かっています。分かった上で…やろうと決めたのですよ。」

 

「…そう。なら、私から言うことはないわ。じゃあ運…誰か、片方を持ってもらえるかしら?」

 

「…姉さん、僕が手伝うよ。」

 

「シュヴァル!?」

 

もう一人のウマ娘がスペシャルオレンジのそばへと来る…シュヴァルグランだった。スペシャルオレンジはそのまま、担架へと乗り…車へと運ばれる。

 

「オレンジ、大丈夫?」

 

「うん、歩けるけど…少し違和感はあるかな…」

 

「…お疲れ様。僕、来週のレース走るから…上手くいけば皐月賞で一緒になるかもしれないね。」

 

「そうなんだ…お互い、頑張ろうね!」

 

「…うん。」

 

その後スペシャルオレンジは黒沼トレーナーの車へと乗り、そのまま病院へと運ばれた。検査の結果、軽い炎症が見つかったものの数週間で治るものであったため、経過を見ながらではあるが桜花賞と皐月賞への出走が決まったのだ。




続きはまた6月のどこかで。
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