フリ魔転生!~穏やかに暮らしたい~   作:如月SQ

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平和な偽装夫婦

 リュー様が子供達と遊んでいるうちに、作業は終わりました。

 一人だと子供達と遊ぶのに時間を取られてしまうので、ありがたい限りです。

 

「くそー、一時撤退だ!覚えてろよー!」

 

「てろよー!」

 

「てろよ」

 

「足元には気を付けるんだぞ」

 

「「「はーい!」」」

 

 子供達はリュー様の呼び掛けに元気よく答えて、駆けて行きます。

 次の遊び場へと向かったのでしょう。

 無邪気で可愛らしい事ですねぇ。

 

「お疲れ様です、あなた」

 

 リュー様の頬についた汚れを拭いながら、労りの言葉をかけます。

 あまり見せた事のない疲れた様子に、苦笑いしてしまいます。

 

「ふぅ、流石に少し気疲れするな。少し力を入れただけで潰してしまいそうだ」

 

「人間の子供は脆いですからね……本当にお疲れ様です」

 

 今まで感じた事のないタイプの疲労なのでしょう、馴れない様子で苦笑を浮かべていました。

 

「なに、これらの苦労も間も無く実る。そう思えばなんて事はない」

 

「そうなんですねぇ……皆頑張ってましたもんねぇ」

 

 しみじみと、そう呟きます。

 思えば、皆なんだかんだと頑張っていました。

 私はただ農業をしていただけでしたが、皆は農場の手伝いから自己研鑽、更には人間達との戦いまで、幅広く活躍しておりました。

 私が農業をして、作物を提供し、和平アピールをした所で、長年の人間と魔族との間の争いで培われた、魔族のイメージの払拭にはなかなか至りません。

 人間が襲い掛かってくる事もかなりあったそうです。

 故にある程度の自己防衛が必要だったのです。

 私はただ守られていただけでしたが……色々と調整をしていたそうで、皆本当に大変そうでした……。

 

 ですが、それも報われるのならば話は違いますね!

 良かったですねぇ……。

 ……そういえば、はて、何が目的なのかは聞いていませんでしたね。

 とはいえ、人間を油断させる、と言っていましたから、人間達にとってはあまり好ましい事にはならないのでしょうね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、一先ず今日はこれだけです!

 後はおばさまに作物を見て貰って、代金を貰うだけですね。

 

「なので、ちょっとご飯だけ食べて行きませんか?」

 

「む、帰ってから食べるのではダメか?」

 

 リュー様の顔には、不満がありありと浮かんでいます。

 ……まぁ、気持ちはわかります。

 いくら私の野菜を卸しているとはいえ、全てが全て私の野菜を使っている訳ではありません。

 そして、自慢ですけど、私の野菜を越える野菜は早々ありせん!えへん!

 更には調理も前世の飽食時代の記憶がありますから、でっかい都市ではわかりませんが、このくらいの規模の村で食べれる食事とは雲泥の差です!えへん!

 なのでリュー様は渋ってる訳ですけど……ここは譲れません!

 リュー様と二人きりの食事……まぁ、廻りに人はいるでしょうけど、逃す手はありませんね!

 

「たまにはいいじゃないですか!

 二人の時間というのを夫婦の時間として楽しむものです

 食事はデートとしてポピュラーですからね」

 

「む……それは……本当らしいな。

 ふー、なら仕方ない。わざわざ不味い食事をする意味は見出だせないがな……」

 

 少しの疑いを滲ませながらも、リュー様は納得してくれたようです。

 肩を竦めながら、籠をその場に置いたまま、ゆっくりと歩きだしました。

 

「まだまだこの辺りは発展途上なだけですよ!いつか美味しくなりますよぉ」

 

 私もその後を追って、その腕に後ろから抱き着きます!

 

「歩きづらい」

 

「夫婦はこうやって腕を組むものですよぉ」

 

 実際こうしてれば、私達を夫婦ではないと疑う人もいないでしょう!

 私の欲求も満たされて一石二鳥ですね!

 さあさ、リュー様、ラブラブしながらご飯にいきましょう!

 

「……角が腕に刺さって痛いぞ」

 

「それは……すみません」

 

 私は思わずリュー様から離れます。

 ああ、ごりごりと腕に擦り付けすぎたようです……。

 魔族ってこういう所不便ですね!もう。

 

「そこまで離れる必要もないだろう」

 

 そんな私に対して……なんとリュー様はその手を握って下さいました!

 内心驚きで飛び上がりながら、そのお顔を見上げると、リュー様は穏やかな表情で笑顔を浮かべていました。

 

「手を繋ぐ、でもいいのだろう?」

 

 これでいいだろう?とばかりに掲げられた、繋いだ手……。

 

「うー、ズルいですリュー様、スマートで格好良いです……!」

 

 頬が熱くなってる気がします……!

 私は繋いだ手を握り締めながら、視線を切ってゆっくりと歩きだしたリュー様に合わせ、村の中へと繰り出すのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、レーベちゃんに旦那さん!約束通り色つけといたよ!」

 

 二人で食事を終えた私達は、八百屋さんへと戻ってきました。

 リュー様から手を繋いでくれる、というでっかいイベントがあったので、あーんはやめておきました!

 ちょっと私がキャパオーバーするかもしれませんからね……危なかったです。

 

「ありがとうございますおばさま!」

 

 今までよりちょっと多い金額を受け取り、先程の食事で軽くなった巾着がまた重みを取り戻しました!

 

「冗談でしたのに……ですが、ありがとうございます。これで子供達にも贅沢させられます」

 

 あ、ここでいう子供達とは、リーちゃんとドラくんの事です。

 身寄りのない魔族の世話までしている、というバックボーンらしいです!

 ただ、私がその辺りに口を挟むとポロっと何か余計な事を言いそうなので、この話題の時はお口チャックです!

 

「いーのいーの!レーベちゃんのお野菜は本当に美味しいから!

 あ、そうだ、これこないだ買った干し肉なんだけど、結構美味しかったからお裾分け!」

 

「ええー!そんな、お金も多く貰ったのに、悪いですよぉ!」

 

「いーからいーから!これもレーベちゃんのお野菜を高く売ったお金で買ったもんだから!

 持っていきなさい!遠慮しないで!」

 

「何から何まで……ありがとうございます」

 

「ありがとうございます!そういう事なら……ありがたく頂きますね!」

 

 更に差し出された袋、それにはそこそこの大きさの干し肉が入っていました。

 うーん、このサイズはなかなかの大物だったようですね。

 ありがたく頂戴しましょう。

 二人で会釈を返し、籠を背負い直した所で、幼い声が響きました。

 

「あ、もう帰んのー!」

 

「帰んのー!」

 

「帰んのー」

 

 あの三人兄妹ですね。

 妹達の手には花冠……成る程、御花畑で遊んでたいたんですね。

 

「はい、用事は終わりましたからね」

 

 そう答えてやれば、妹達はずいっ、と前に出て来て、その花冠を差し出してきました。

 

「これ!」

 

「あげる」

 

 私とリュー様に、それそれ差し出された花冠。

 一瞬面食らい、互いに顔を見合わせる私とリュー様でしたが、直ぐに顔を綻ばせます。

 

「ありがとう、嬉しいよ」

 

「ありがとうございます!大変だったでしょう、綺麗ですねぇ」

 

 そう言って二人で花冠を受け取り、その頭をそれぞれ優しく撫でてあげれば、少女二人は嬉しそうにその顔を綻ばせていました。

 

「兄ちゃん上手だった!」

 

「兄ちゃん張り切ってた」

 

「ばっ!余計な事を……!」

 

 そうして告げられたのは、少年も花冠を作っていたというお話。

 少年の反応を見るに……これは口止めしていたようですね。

 まぁ、男の子ですから、そういうのが恥ずかしいのでしょうね。

 ふふふ、可愛いですね。

 

「まぁ、そうなんですか?タロンくん、ありがとうございますね?」

 

 私がそう言って撫でてあげれば、顔を真っ赤にして俯いてしまいます。

 本当に、可愛いですねぇ……ふふふ。

 

「ほら似合いますか?本当にありがとうございますね」

 

 花冠を被って聞いてみれば、男の子はコクコクと力強く頷いていました。

 それが微笑ましくて、ニコニコと笑っていると……。

 

「さ、レーベ、そろそろ行こう。帰るまでに日が暮れてしまう」

 

 リュー様が、そう言って私と男の子の間に手を腕を挟み、私を軽く引き寄せました。

 そう言われて空を見れば、日が傾き始めていました。

 ふーむ、夕食の準備もありますから、確かにこれは少し急いで帰らないといけませんね。

 

 私はニコリと笑って、ヒラヒラと手を振りました。

 

「はーい!それじゃ、また来ますね!バイバーイ!」

 

「バイバイ!」

 

「バイバイ」

 

 子供達もそれに応じるように手を振り返してくれます。

 少年も、まだ顔は赤く、言葉はありませんでしたが、元気よく手を振り返してくれました!

 

 それに私も笑みを深めて振り返しながら、私達はその場を後にします。

 隣のリュー様もいつの間にか花冠を被っていて、なんともファンシーですね!

 

「さあ、帰りましょう!」

 

 私達は自然と手を繋ぎ、帰路につくのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このお花は美味しい奴ですね。いただきます」

 

パク、モシャ……モグ、モグ……




皆さん速攻で気付いたので、最後の透明文字を解除しました。
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