一つ一つが本当に励みになります!
私は、クヴァくんの姿が白い煙となって消えていくのを眺めていました。
眉間に皺が寄るのを感じます……理解してくれなかった事が、とても悲しいです。
「……まぁ、仕方ないですね!それでもずっと一緒になれますから、いつか理解してくれる事を祈っておきましょう!」
パン!
両の手を合わせて音を鳴らし、目の前の小さな苗に集中します。
この辺りにー……大きな木があると良いと思うんですよね!
「あ、もう少し私の側に寄ったほうが良いですよぉ」
青い髪の青年、先程クヴァくんの攻撃を察知して止めてくれた彼に、忠告します。
まだ言葉は話せないようですが、もう少しでほぼ完璧な再現が出来そうです!
そして、彼が安全圏に移動したのを見て、『
「ばぁっ!」
シュルルルルッ
シュルシュルルルルル
小さな苗木は一気にその背を伸ばして行きます。
みるみるうちに私の背を追い越し、青々とした葉をつけていき、陽に照らされてキラキラと輝き始めました!
ああ、綺麗ですねぇ。やはり良いですねぇ。
私の頭の中では透き通るようなメロディが流れていき、やがて成長した木が見上げる程になって……思わず笑みが溢れます。
「ふふふん♪ふふふん♪」
思わず口ずさむのは、遠い昔、前世で聞いたアニメのメロディ。
何故かこういう時に自然と口ずさんでしまうんですよねぇ。
「ふふふん♪ふふふん♪」
めきめきと大きくなっていく木は既に大木と呼べる程の大きさになっています!
その木漏れ日と、葉が風に揺れてざわめく音が心地よいですね。
「ふふふ♪ふふふふふふふん♪ふふふん♪」
『風の通り道』でしたっけ、クヴァくんが言ってましたね。
なんのアニメだったのか、掠れてあまり思い出せませんが、自然豊かなイメージが頭に浮かぶ、良いメロディですねぇ。
……さて、大きな木も出来ましたし、作物も成長しました。
後は私がご飯作ってるので、戻るとしましょうかねぇ。
「じゃあ、戻りましょうか。それでは、にんにんっと」
視界の端で青年が頷いたのを見て、私は指を立てて……。
ポンッという音と共に、全てが白に包まれるのでした。
「ただいまー……お腹空いた」
料理をテーブルに運んでいると、そんな声が聞こえました。
作業を中断して顔を上げれば、桃色の髪を二つに結んだ少女、リーニエことリーちゃんが歩いてきている所でした。
手にはいっぱい果物の詰まった籠が握られていて、弱々しい言葉とは裏腹に、それを見る瞳はキラキラと輝いていました。
「うふふふ……お疲れ様ですリーちゃん。ご飯出来てますから、手を洗って来て下さいね。
今日のデザートはリンゴのソルベですよ」
「やった!洗ってくる!」
籠を別の私に預けたリーちゃんは、ウキウキとした様子でその場を去っていきました。
やはり可愛いですねぇ、あの子は。
「レーベ、こっちの収穫も終わったぞ、いつもの場所で良いか?」
と、緑髪の少年、ドラートことドラくんも今日の収穫が終わったようです。
パッと見ではわからない程細い糸で括られた、大量の小麦の束を背負っていますね。
「はい、お願いします。ご飯は出来てますよー」
「わかった。手を洗ってくる」
素直に頷いたドラくんは、小麦を背負い直してこの場を去ります。
収穫の他に品種改良も手伝って貰ったり、最近ではワイン造りなんかも手を出し始めてて……。
勤勉で、沢山手伝ってくれるし……本当に良い子ですねぇ。
そうほのぼのしていると、不意に嫌な匂いが鼻を掠めます。
……血の匂いと、獣臭さ……?
「レーベ、漸く畑を荒らしてた犯人を見つけたぞ。猪だ、血抜きは終わらせてある」
振り返れば金髪の男性、リュグナーことリュー様が佇んでいました。
平然とした顔で息絶えた大きな猪を、何処か誇らしげに掲げています。
「わぁ、大物ですねぇ。折角ですから、お昼は猪肉でバーベキューですかね!
そっちの私に渡しておいてください。下処理始めちゃいますので!」
「ああ、頼む」
皆で食べても満足出来そうな大きさの猪です!
新鮮でそのままでも美味しそうですが、やはり野生特有の臭みは残りますからね。
お昼までの間に、フルーツソースにつけて臭み抜きをしておきましょう!
あとは軽く燻製にでもして……うーん、楽しみですね。
「ご飯出来てますから、手を洗ってきてくださいねー」
「わかった」
猪を私に渡してフリーとなったリュー様は、ゆったりとした足取りで去っていきました。
立ち姿も歩く姿も様になる方ですねぇ、観賞用分身でも実らせたくなる気分です!
さてさて、最後にあつあつのスープを用意して、皆を待ちましょうかねぇ……。
「おはよぅ、レーベ……ふわぁ」
そこでまだ寝ぼけ眼な紫髪の少女、アウラことアーちゃんが顔を覗かせました。
小さな欠伸を噛み殺す様子は、明らかに寝起きです。
「おはようございます!また夜遅くまで魔法の研究ですかぁ?」
「まぁね……んー……」
うーん、まぁ私にアーちゃんのやる事に口出しする権利はありませんし、その気もありません。
ご飯には毎食顔を出しますし、やる事はやってるみたいですけど……。
子供達の教育に良くないのではないでしょうかねぇ……?
頬に手を当てて思考しますが……まぁ、明確な答えは出ませんね!
「とりあえず顔と手を洗って来て下さいな、ご飯は出来てますよぉ」
「はーい……」
とぼとぼと歩くアーちゃんは、ゆっくりとこの場を去っていきました。
そんなアーちゃんの姿に黒髪の男性が呆れたように身を寄せ、苦言を呈しているのを尻目に、私はスープの配膳を終えました!
円卓に用意された数々の料理を眺め、私は力強く頷きます。
ふふふ、皆さんの食べた時の笑顔が目に浮かびますねぇ。
やがてやってきた、アーちゃんと同じくらいの背の少女や、細身の女性と男性……相変わらずのゴツい鎧姿等々、懐かしい顔触れに、思わず顔が綻びます。
口々に挨拶を口にして、次々と席についていき……。
やがて最後にアーちゃんが少し慌てて戻ってきて……全員が席につきました。
円卓をぐるりと囲む、所々に空きがある光景に懐かしさと寂しさを感じますね……。
ふと横に視線を向ければ、青髪の青年が静かに佇んでました。
「貴方も席に着くんですよー」
その私の言葉に、彼は少し驚いた仕草をしますが、流石に彼だけ除け者、というのは気が引けます。
それに、先程はクヴァくんから守ってくれましたからね!
「遠慮しないでくださいな。ほら、あそこが貴方の席ですよぉ」
連続した四つの空席の……シュラくんの位置だった席を指し示します。
……いずれはその空席も、埋めたいですね。
さて、これで皆席につきました!
アーちゃんが微笑みを浮かべた青年が座るのを、複雑な表情で見ていましたが、まぁ、いずれ仲良くなれる事でしょう。
時間は、いくらでもあります。
「さぁ、頂きましょう!このスープ、ドラくんのとうもろこしを使ったコーンスープですからね!存分に味わってくださいねぇ!」
「レーベちゃん、おはよう」
「トートちゃん!おはようございます!良い天気ですよぉ」
「レーベちゃんは今幸せ?」
「勿論ですトートちゃん!」
「そっか、レーベちゃんが幸せなら私も幸せだよ」
「私も!トートちゃんが幸せなら私も幸せです!」
「ふふふ。後はたった20年まったりしてるだけで、
「ですね!楽しみですね!でも、クヴァくん達、なんで私達の言う事を聞いてくれないんでしょうね」
「不思議だね。別にあの子達に酷い事する訳じゃないのに、ね」
「でもきっといつかわかってくれますよねぇ」
「勿論。まぁ、待つまでもないけどね。始まってしまえば、あの子達も諦めるでしょ」
「ですね。そして私達の楽園の素晴らしさも理解してくれる筈です!だって、今も皆笑顔ですもん!」
「懸念だったフリーレンも、クヴァくんに邪魔されたけど、もう壊れかけ。……でもレーベちゃんはいずれはあの子もまぜてあげるつもりなんでしょ?」
「む?トートちゃんは嫌なんですか?」
「まぁ……レーベちゃんを痛め付けたんだから、気分は良くないかなぁ……」
「私はあまり気にしてませんが……でも、そうですねぇ……」
「トートちゃんが嫌なら、
「そっか、じゃあ壊しちゃおっか」
「壊しちゃいましょう」
「「私達が穏やかに過ごす為に」」