フリ魔転生!~穏やかに暮らしたい~   作:如月SQ

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わぁ、もう感想がきてるし、閲覧やお気に入りもいっぱい……。
ありがとうございます、嬉しいです!


変わり者の魔族レーベ

 きゃあ、なんてカッコいいんでしょうか!

 端正な顔立ち、クールな振る舞い。

 まるで貴族のような雰囲気で、とてもカッコいいです!

 リュグナー様、リュー様、うふ、うふふふふ♪

 

 ……っと、失礼しました!

 私は魔族として生を受けました、レーベと申します!

 何歳かは忘れましたが、ここ、フリーレン世界に魔族として転生してしまった転生者であります!

 転生前の事もあまり覚えておりませんが、現代日本でサブカルチャーを楽しんでいた事だけは覚えております!

 その楽しんでいた作品の一つが、『葬送のフリーレン』な訳ですが……フリーレン世界だとは今までまったく気付きませんでした。

 サブカルの知識も抜けが多く、固有名詞もほとんど覚えてなかったんですよね……。

 後、農業に夢中になっていたのも大きいですね……。

 なんせこの世界、本当に土地が肥えてて、面白いように作物が実るのです!

 品種改良も楽々で、ドンドンお野菜が美味しくなっていって、本当に楽しくて……。

 前世で農家だったかは覚えていないのですが、つい夢中になってしまっていました。

 明らかにファンタジーな世界で、よくある何かしらの作品に転生したのかなーとは朧気に思ってはいたのですが……。

 まぁ今は平和だし、と後回しにしていたら……気付けば私を庇護して下さっていた魔王様は討伐されていて……。

 魔族が害獣として処理されるフリーレン世界だと気付いた時には、私の手元には豊かな農場しか残っていませんでした……。

 戦う……?魔法……?存じませんね、なんですかそれは。

 

「そちらのお二人も可愛らしいですね!お名前はなんて言うんですか?」

 

「リーニエ……」

 

「……ドラートだ」

 

「リーちゃんとドラくんですね、よろしくお願いします。

 アーちゃんから聞いてるようですが、私はレーベと言います。

 この農場で日々楽しく過ごしている魔族です!」

 

 いやぁ、魔族の方々は皆見目麗しくて素晴らしいですね!

 クヴァくんは人っぽくはありませんでしたが、カッコ良かったですしね!

 あー、クヴァくんの作る腐葉土はとても良かったのですが、彼は今どうしているのでしょうか……。

 

 しかし困りました。

 存在は知っていて、時折覗いて楽しんでいた転生者掲示板にも相談してみましたが、やはり私自身が強くないので論外のような雰囲気でした。

 今まで通り身を隠すのが最善だとは思いますが……うーん、大丈夫でしょうか。

 突然そこらの草むらからフリーレンがしゅばっ、と現れてゾルトラれたりしないでしょうか?

 まったく、恐ろしいです……。

 

「……ねぇ、聞いてるレーベ?」

 

 おっと、リュー様に見惚れて、リーちゃんやドラくんに構って、アーちゃんを無視してしまいました。

 これはいけない、彼女とも久し振りなのですから、ちゃんとお話しませんと!

 ……えっと、なんのお話でしたっけ……?

 

「……はぁ……もう良いわ、面倒臭い」

 

カチャ

 

 アーちゃんはタメ息を吐くと、なんだかカッコいい天秤を左手に掲げました。

 疲れたような、呆れたような表情を浮かべていますね……。

 どうしたんでしょうか?

 

「……?」

 

「実力行使よ、そもそも貴女に断るなんて選択肢はないの。

 大人しく、私に服従しなさい。『服従させる魔法(アゼリューゼ)』」

 

 あれ、なんだか私の胸から炎みたいなのが抜けて……あれ、アーちゃんからも?

 天秤にそれが乗って……?

 あっ、アーちゃんの炎のほうに傾きました!

 

ガシャンッ!

 

「服従?何するつも――」

 

キィイイイイイン

 

 はへ……なんだか……変な……。

 頭が……ぼやっと……。

 

 アーちゃん……リュー様……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……良かったのですか、アウラ様」

 

「いーのよ、それに見てわかるでしょ?

 魔力は少ないし戦闘能力はないし、戦力としては使えない。

 でもこの農場を見てわかる通り、食糧を生産する能力だけは素晴らしいわ。

 今の私達にとって、喉から手が出る程に欲しい存在だわ。

 多少強引でも、レーベが手に入るなら何の問題もない。

 これで土台は固められる。この先は貴方達の動きに掛かってるからね?」

 

 じろり、とアーちゃんがリュー様を見上げています……。

 可愛らしい上目遣いです……。

 リュー様は胸に手を当てて頭を下げました……。

 そんな所作も美しいです……。

 

「さ、それじゃ行きましょ。私達の拠点でも農場を作って貰わないと……」

 

 成る程、アーちゃんの拠点で農場を……わかりました!

 

「そろそろ収穫期なので、それが終わったら行きますね!」

 

「…………はぁ?」

 

 おや、アーちゃんは怪訝な表情で私を見てきますね!

 リュー様達は……なんだか驚いてますね。

 どうしたんでしょうか?

 

「……貴女、私に服従してるのよね?」

 

「はい!アーちゃんに従います!」

 

「ならさっさと、今すぐに行くのよ!私達の拠点に!」

 

 なんだかアーちゃん、苛立ってるようですね……。

 ですがこれは譲れません!折角実った素晴らしい作物達、次の為の種も確保してない状態で放置なんてしておけませんよ!

 

「え?今すぐ?バカ言っちゃいけませんよアーちゃん!

 勿体無いじゃないですか!

 リュー様、リーちゃんにドラくんも!

 まずは私の作った自慢の作物を食べてみてください!

 食べてみて不味かったら大人しく従いますよ!」

 

 という訳で皆に収穫したばかりのトマトを振る舞います!

 見るからに瑞々しくハリのあるこのトマトは、この農場でも一二を争う傑作!

 きっと気に入ってくれる筈です!

 

「……アウラ様……」

 

きゅー

 

 トマトを持ったリーちゃんが可愛らしいお腹の音を鳴らして、アーちゃんをじっと見ています。

 口元からは涎まで流れていて……可愛らしいですね。

 是非遠慮せずに食べてください!

 

「むぅ……し、仕方ないわね……まぁ、私もお腹空いてるし。

 とりあえず食べましょ、話の続きはそれからよ」

 

 アーちゃんがそう言うと、リーちゃんは早速とばかりにトマトにかじりつきました。

 

しゃぷっ!

 

「…………!」

 

 その途端目を見開いたリーちゃんは、トマトと私を交互に見てきます。

 ふふん、私のトマトの出来に驚いてるようですね!

 

「おいしい……」

 

しゃぷ、じゃぷ

 

 頬を緩めながらトマトを頬張るリーちゃんは、とても嬉しそうです!

 いやぁ、生産者冥利につきますねぇ!

 

「……頂こう」

 

 リュー様は……おお!なんでしょうか!

 赤い何がふわりと浮いて、トマトを切り裂いてしまいました!

 一口サイズになったトマトをリュー様はパクリと口に入れて……。

 

「む……美味い」

 

「そうでしょうそうでしょう♪」

 

 その顔に驚きを浮かべて、称賛してくださいました!

 いやぁ、嬉しいですねぇ!

 

「……ねぇ、もう一個、食べていい?」

 

 トマトを食べ終えたリーちゃんは口元を汁で汚しながら、私に手を差し出してきます。

 

「勿論です!いくらでも食べていいんですよ!」

 

 そんな口元を首にかけていた手拭いで拭いてあげてから、新しいトマトを手渡します!

 

「……♪」

 

 リーちゃんはそれをまた嬉しそうに頬張り始めました。

 ドラくんは……ふふふ、あの子も美味しそうに食べてくれてます。

 久し振りですね、魔族の皆さんに食べて貰うのは……。

 

「ふふふ、このトマトは会心の出来でして、瑞々しくてフルーツのように甘いのですよ!

 アーちゃんの拠点で農業するのに否はないですけど、これらをそっちでも食べたくはありませんか……?」

 

「……ま、まぁまぁね……食べてあげなくもないわ」

 

 アーちゃんはそう言って強がっていますが、リーちゃんと同じくらい夢中で食べていました。

 口元がトマトの汁で汚れていますよ?可愛いですねぇ……。

 

「そうでしょうとも!」

 

 その口元を同じように拭ってあげながら、私はもう一つアーちゃんにトマトを差し出します。

 少しだけ視線を彷徨わせたアーちゃんでしたが、リュー様もリーちゃんもドラくんもトマトに夢中なのを見て、恐る恐る受け取っていました!

 

 ……ふふん、勝ちましたね!

 

 さあて、忙しくなってきました!待ってて下さいね、アーちゃんの拠点近くの方々!

 私の可愛い作物ちゃん達で魅了してあげます!

 

「……ここで後始末したら、ちゃんと私達の拠点で頼むわよ?

 私達の進退は、貴女にかかってると言っても過言じゃないのだから」

 

しゃぷっ

 

 トマトを美味しそうに頬張りながら、アーちゃんが私に念を押してきます。

 お任せください!大丈夫ですとも!

 

「はい!この『豊穣のレーベ』!

 以後アーちゃんの為に頑張ります!」

 

 アーちゃんは、その言葉に頷いて……でも何処か複雑そうに表情を歪めていました。

 まるで喉に小骨が刺さってるような、そんななんとも言えない表情でした。

 どうしてそんな表情を浮かべているかはわかりませんが……大丈夫です!

 私の作物ちゃん達を食べれば、不安なんてたちどころに消えていきますよ!

 大船に乗ったつもりで、任せてください!アーちゃん!

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