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レーベです!
あれから少し時間が経ちまして、現在アーちゃんの拠点にいます!
特に何もない土地を好きにして良いとの事で、現在は開墾中ですね……とはいえ、私は土地の仕上げだけ。
木々や植物の伐採はリュー様を始めとした、他の魔族の方々がやってくれます。
なので私は畑仕事と土いじりに集中出来る訳ですね。
「ほいっ!ほいっ!ほいっ!」
ザクッ、ザクッ、ザクッ
そして今は鍬で土地を耕している所です!
カッチカチの土では育つものも育ちませんからね。
とはいえ前世とはいえ違い、多少の固さは屁でも無く、容易く実をつけるのがこの世界の植物ではありますが。
ですがまぁ、こうすれば更に良く実りますから、やらない理由はありませんね!
さて、世話をしていた農場を引き払いまして、現在は下準備中。
これらが実るのはまだまだ先ですね。
品種としては既に、かなり良質な作物が出来る種は揃っていますが……この土地でそれが芽吹くかは別問題です。
果樹園なんかはまだまだですしね……。
「リーニエ!果樹園が楽しみなのはわかるが、水をやり過ぎだ!
水は必要だが、やり過ぎても良くないとレーベが言っていただろう!」
「やだ!早く食べたい!」
「レーベがいる時点で通常より遥かに早く収穫が見込めるんだから、我慢しろ!」
「やだぁ!リンゴー!ブドウー!モモー!ナシー!」
また今日もリーちゃんとドラくんは言い争ってますね……。
お二人とも、麦わら帽子にラフな格好で手拭いを首にかけた、農夫スタイルです。
リーちゃんは私の果物を気に入ってくれたのは良いのですが……ちょっと気に入り過ぎちゃったみたいです。
以前の農場ではほぼ常に食べてたせいもあるかもしれませんが……。
「まぁまぁ、今日のおやつにはアップルパイを焼きますから、もう少し頑張ってください」
とはいえそれで、水のやり過ぎで根腐れを起こされても困りますからねぇ。
こういう所でバランスを取る事にしましょう。
「やった!レーベのアップルパイ好き!」
「レーベ……あまりリーニエを甘やかすな。この畑は我々の今後の生命線なんだ。
特に果樹は我々の時間を考えれば、長く世話になるものだ。
こいつの我が儘で適当にやって枯れさせる等、笑い話にもならん」
「まぁまぁ、ドラくんが真面目なのは良い事ですし、そうやって自分で考えて皆さんを管理してくれるのはありがたいですけどね。私では言うこと聞いてくれない事もありますし……。
ですが、締め付けるばかりではいけません。頭ごなしに言っても反発するだけ……。最初にご褒美を与えてから、お願いする……そういった事が必要な事もあるんですよ?」
そう私が言うと、ドラくんは顎に手をあて目を瞑り思案します。
「む…………一理、あるか」
そしてどうやら納得してくれたようです。
実際リーちゃんは、ご褒美がなければやる気を出してくれないでしょう。
ですが、逆にご褒美さえあれば全力で取り組んでくれる筈です。
今もふんすふんすと鼻息荒く、やる気に満ち溢れているようです。
「……なら、レーベ。君はおやつ作りに取り掛かってくれ。
耕すのは僕とリーニエが代わりにやっておく」
おっと、そうなりますか?
ふむ……ではおやつ作りに意識を多く割くとしますか。
「わかりました!じゃあリーちゃん、ドラくん、後はお願いしますね!」
という訳でここの私は消えるとしましょう!
お二人に、前の農場で熱心に私の話を聞いてくれていたドラくんがいれば大丈夫でしょう!
「任せて」
「美味いおやつを期待してる」
「楽しみ!早く食べたい!」
「それには同意する。さぁ、やるぞリーニエ」
そんな言葉を最後に、私はそこからかき消えます。
代わりに私がいるのは、拠点の、特別に作られた調理室。
ここでそもそもずっと調理していた私に、意識を多く割く事にします。
「さあ、アップルパイ焼くとしますか!」
拠点での農場作りは、順調です!
サクサクサク
もぐもぐもぐ
「んーっ!」
目をキラキラとさせたリーちゃんが、アップルパイを口一杯に頬張っています。
「美味しいですか?リーちゃん」
「んっ!んっ!」
こくこくと頷くリーちゃんは、とても可愛らしいですね。
「ふむ……やはり、あちらで食べた時よりは幾分か味が落ちるな……早くここでも収穫出来ると良いんだが」
少し納得出来ないように、ドラくんが呟きます。
まぁ……仕方ありません。
前回、あちらの農場でご馳走したアップルパイは材料の全てを私の農場で取れたものだけを使っていました。
ですが、今回は半分程が近くの町で購入したものを使っていますからね。
味が落ちるのは仕方ありません。
「頑張って畑仕事していきましょうね。
季節が回れば、ここでも美味しい作物が採れますよ」
リーちゃんの頬についたパイのクズを優しくはらってあげます。
この子は毎度あざといですねー。
可愛い可愛い。
「……?」
頭を撫でてやれば、疑問符を浮かべて……まったく、あざと可愛いんですから。
「はい、いっぱい食べてくださいね」
新しくアップルパイを切り分けてあげれば、その瞳は輝きを増します。
「うん!」
元気良く頷き、自分の手元に残ったパイ残った残りを一気に頬張って、次のアップルパイを手元に抱え込みます。
ふふふ……ドラくんの言う通り少し物足りない出来でしたが、ここまで喜んで貰えると嬉しいですね。
私は淹れた紅茶を甘いミルクティーにしながら、その様子を眺めているのでした。
「レーベ、農場はいつ頃安定するのかしら?」
……と、アーちゃんから質問が来ましたね。
あ、実はリーちゃんとドラくんだけではなく、アーちゃんとリュー様もこの場にはいます。
皆でお茶会ですね!
アーちゃんは静かに、リュー様は黙々と優雅に召し上がってくれていたので、言う事はありませんでした。
背筋をピン、と伸ばしたリュー様が紅茶をストレートで嗜む様は、本当に格好いいです!
凄く絵になりますねぇ……目の保養です!
「……レーベ?」
「はっ、失礼しました。えー……そうですねぇ」
おっと、アーちゃんから質問が来てたのでした。
さて……それでいつ頃安定するか、ですか……。
まだ畑を耕し終えるかどうかの段階ですが、恐らく明日には終わります。
種や苗は用意してありますし、終わってる所から順次植え始めてもいます。
果樹園はもう場所を決めて苗を植えていますし……そうですね。
「流石に果樹園はまだ二年くらいはかかりますが、他は私の魔法込みで……早い所では三ヶ月くらいで収穫が見込めますね!
果樹園を抜きにすれば、半年でほとんどが軌道に乗り始めるかと!
やってみないと確かな事は言えませんが、少なくとも一年の間に安定させる事が出来ると思います!」
「そう……心強いわね」
アーちゃんは笑みを浮かべると、珍しく紅茶をストレートで飲んでいました。
……けれど、眉をピクリと動かすと、直ぐに蜂蜜を投入してしまいました。
ふふ、まだアーちゃんに紅茶は早かったようですね。
「人間を油断させる作戦の一環として、貴女にはリュグナー達と一緒に人間の元に向かわせることを考えてるから。
まあ、貴女らしく普通に人間と愛想良く関わってくれればいいわ。
貴女ならそれで大丈夫でしょ?リュグナーの妻として、頼むわよ」
成る程、私も作戦に組み込まれる訳ですか……なんと珍し……え?
リュー様の……つま……?
「ほへ?」
私は気の抜けた返事を返して……いや、え?
リュー様の妻ァ!?