...数分後
「なんだバルキってのはお前じゃなかったのか」
「俺の父さんがバルキなんです」
「お前の親父か、だが見た目から逆じゃないか?」
「はは...ところで、貴方の名は」
「俺か?俺の名はベレト。ベレト・カワサキだ!これからもよろしくな」
ベレトはその露出した上半身を輝かせながらニコニコと自己紹介をした。
「俺はバキラーだ」
「え、短くない?」
「短い方が覚えやすくていいだろ」
「まぁそうなのか」
「・・・」
「・・・」
謎の沈黙が始まってしばらく...
「バキラー!何処だぁぁぁ!」
「...あ、父さんが呼んでる、ベレト!これからもよろしくな!」
ベレトは手を振って返してくれた。
「バキラー、ちょっと...」
2人は物陰に移動した。
「どうしたの父さん、そんな固まって」
「それがな...バキラー、聞いてくれ。俺は次のボスじゃなかった...次のボスはお前だったんだよ...だから...ボス、これからよろしく願う」
バルキは腕輪を手渡され、困惑した。
「どど、どうして俺が急に...」
「実は...俺、ボスとか指導者に向いてなかったわ」
「...それだけ?」
「いやいや、それだけじゃないぜ?ボスがまとってた鎧が俺を拒絶するんだ」
「その鎧は生きてるってこと?」
「んー...生きてるというかは取り憑かれてるのか?たぶんそうだ。
まとう者によって取り憑かれるか取り憑かれないかが決まるらしいぜ」
「一応、バキ...いやボスもまとってみては?」
「...分かったよ父さん、俺に対して敬語はもう使わなくていいから...」
二人は自分たちの宇宙船に戻ろうと移動をしていた。
長い廊下での出来事。
「おい、あの宇宙船はお前らの所有物か?」
「そうですけど、何か」
「性能は良いが、ボロが多すぎだ。直しておいたぞ」
「はぁ?何勝手にしてくれてんだ?」
「何か気に喰わない事があるのなら船見てから言え、低能」
「んだとぉ?」
バルキは腰元の鞘から剣を引き抜いた。
「父さん落ち着いて!」
「でも」
「そんなしょうもない事で怒って低能って言われるのは当たり前だよ」
「ぐ...ぐぬぅ」
腕を震わせながら、剣を腰元の鞘にしまった。
そのまま二人は宇宙船の方へと移動した。
チラッと後ろを見ると、赤く光る5つの眼がこちらを睨んでいた。
バキラーは恐怖で腕の関節からカッと音が出てしまった。
「おい、大丈夫か?」
「いやぁ、大丈夫」
しばらくして振り返るとその光る眼はどこかへ行ってしまった。
バキラー率いる宇宙船内...
「あった、これだよこれこれぇ」
その鎧は黒く、鋭く、何か覇気を感じ取れるモノだった。
「これをまとうの?」
「まとってみなきゃボスにその鎧が適合してるか分からないじゃない」
「...お、重い」
「そういやボスはまだスケルトンの中じゃ若かったなぁ...よし、俺が手伝ってやろう!そいじゃぁまず両腕を上げて...」
バルキが軽々と鎧を持ち上げると両腕を上げたバキラーの上から落とした。
「ちょっ早...あれ?」
一瞬の間にバキラーは全身鎧をまとっていた。
「適合しちゃった...と、ところで歩けるか?」
「うん。特に問題なくね」
バキラーは鎧をまとっているにも関わらず軽々と動けていた。
「走ったりとかは?側転したりとかは?」
「しつこいな...そのくらいできるって」
これもまた軽々と動けていた。
「あー...次は」
「もういいよ父さん、この鎧がどれほどのモノか分かったし」
「...分かった。これでもう安心だな!」
「そうだね、父さん...そういえば、宇宙船のボロは直ってた?」
「おっと...確認してくるから散歩でもしておいてくれ!」
そう言うとバルキは船内をうろちょろし始めた。
「散歩って言われても...」
バキラーは鎧を外そうとした。
「自分で外れることくらいできる」
鎧は勝手に外れ、腕輪の中へと入って行った。
「...す、すごい」
「ボス、どうされました?」
船内を歩いていたテイルが話しかけてきた。
「テイルさん!」
「テイルさんだなんて...バルキとは大違いですね。
そんな貴方には俺は好感が持てる。別に呼び捨てでもいいんですよ?」
「そんなことしてちゃ、仲間との結束が乱れちゃうかなって...」
「本当にいいボスになれそうですね...」
テイルはバキラーの腕を撫でた。
「そうだ、テイルさん一緒に散歩行きません?」
「それはいい考えですね。リヴ内の散歩とは楽しそうです」
二人はリヴ内の散歩を始めた。
「ここは綺麗な惑星ですね...」
「たしかに、機械化は進んでいるものの自然には考慮されてますね」
「おや?散歩でもしているのかい?」
一人老人がどこからか現れた。
「まぁ...この惑星いいところですね」
「ここはワシの故郷の星の環境に似ておる...気に入ってもらえるとはありがたいものじゃな」
「貴方もここの兵士ですか?」
(兵士...?)
バキラーはテイルを見つめた。
「はっはっは...ワシは兵士ではなく、幹部じゃよ...」
(幹部?)
バキラーは老人を見つめた。
「幹部とは...まさか」
「ちなみに、最高幹部。四天王の位に就いておるからの...」
(四天王??)
バキラーは二人の顔を見た。
「四天王様にとっての安らぎの場なんですね...」
「そうじゃのぉ...本当に...懐かしいわい」
その老人は何か寂しそうだった。
そして、近くのベンチに腰を掛けた。
「おじいさんは名前は?」
「ボス...ちょっといきなりすぎでは?」
「あっ...」
「はっは...そんな気にすることはないぞ...
ワシの名は電動 羅動じゃ。
電動家2代目元当主という事だけ覚えておいてくれればありがたいのぉ。
あなた方の名は?」
「俺はバキラー。テミュニクスのボスだ!」
「俺はテイル。彼の左腕に属する者です」
「ほぉ、あなた方が新幹部の方でしたか...いやぁ、会えて嬉しいよ」
「こちらこそ!羅動さん!」
「それにしても...バキラー君は本当に綺麗な骨をしているね...スケルトン一族とは思えない美しさじゃ...」
「いつ聞いても照れるな...」
「ふふ...」
「笑うなぁ」
(上下関係が目立たないのぉ...きっと親しみやすいボスなんじゃろうな)
「あなた方は入ってきてまだ間もないからのぉ...ここのボスと最高幹部だけ教えておいてあげよう」
羅動はゆっくりと立ち上がった。
「ここにもボスが居るんだ...」
「聞いておいて損はないですね。メモしておきますか...」
「いいか?まず、ここを治めている者。つまりボスじゃな...
彼の名はゼメイ。ともう一人...彼女の名はキアレッテじゃったかの」
「ボスが二人いるんだ...」
「ボスはいくらでも居ていいとは限りませんし、俺らは今のままでいましょう」
「次は四天王。1人目はデム・テスター,2人目はこのワシじゃのぉ…3人目はテルヴァ,
4人目はベレト・カワサキじゃ...」
「ベレト・カワサキってムキムキの?」
「なんじゃ、会ったことがあるのか。親しみやすかったじゃろ」
「とっても親しみやすくかったですけど...」
「なんだ、会話が長続きしなかったのか?」
羅動はゲラゲラと笑い始めた。
「ベレトにツッコみを入れては会話が終わってしまうからのそこは気を付けるんじゃぞ?」
「は、はぁ」
「ボスでも会話が続かなかったのですね」
テイルも笑い始めた。
「んぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉ!」
その時の羅動はとても幸せそうに見えた。