トライピオ・マキシマム   作:スピニングうどん仮面

1 / 1
どうしてもやってみたかった。
正直、すまんかった。


TRIP IOF DEATH

 “トライピオ”

 

 それは伝説の────クソザコベイブレード。

 超人集団『ミカエルの眼』の歴史133年において、僅か13個しか作られていない。

 

 それを個人で3個も与えられる名誉を手にした、歴史上ただ一人のGUNG-HO-GUNS(特殊ルール付きビットチップ持ち集団)のダブルナンバーの片割れ。

 それが『TRIP OF DEATH』

 

 本来の名は────

ラズロ・ザ・TRIPIO(トライピオ) F DEATH

 

 推し計れるだろうか、この途方もない例外の意味を。

 圧倒的な偉才を。

 

 

 

 

 

 

「なんやて、トライピオを(・・・・・・)同時3個も同時射出(シュート)やとっ!?」

 

「そうさ!! トライピオを同時3個も(・・・・・)同時にシュート!!

その旧式アルティメットドラグーン(パニッシャー)で、どこまでやれるか見せてくれ」

 

 

 

 二人を包んでいた砂埃が晴れる。

 両者の間に、ベイブレードスタジアムが姿を表した。

 

 

「スリー」

 

「ツー」

 

「ワン」

 

「「ゴー、シュートッ!!」」

 

 

 

 本来十分な広さがあるスタジアムだが、超大型ベイが3つも入っていれば窮屈にもなる。

 

 内側を3個のベイで占領されたスタジアムにおいて、フラットベースの高機動型ベイでは、自滅を誘われる可能性はあった。

 

「なん…やと…!?」

 

「あーあ、期待外れだったかな」

 

 

 そう笑うラズロに、彼等共通の師であるマスターチャペルが忠告した。

 

「駄目だこの男を甘く見るな。儂のパンプキングを倒した男だぞ!!

ラズロ、奴のビットチップ特殊ルールを見てみろ。何と書いてある」

 

「『2回負けOK』!? …この殺しにくい(ダイ・ハード)感じ最高だよ。リヴィオが言っていたのも頷ける」

 

 

 師匠に注意されても油断が消えないラズロに、ウルフウッドは煙草の煙をふかしながら忠告した。

 

「次の一手でワイはおんどれの動きに追い付く。これはホンマの事や」

 

 ウルフウッドはビットチップとウェイトディスク『ワイド』はそのままに、アタックリングをプラスチックの突起部分を切り落とし、ゴムの突起部分をも切り落としたバウンドディフェンサーに組み換える。

 

 

「今居るお前の場所が、そこが望み通りギリギリの場所やで」

 

「なんかさ、御託はもういいや。お前のビットチップはマスターに捧げるとして、それ以外は…“無くなっちまえ”」

 

 

 

 

 もはや二人に必要な言葉は一連の流れだけ。

 

 

「スリー」

 

「ツー」

 

「ワン」

 

「「ゴー、シュートッ!!」」

 

 

 

 

 強引にステージ中央に割り込んだウルフウッドのベイ。

 確かにラズロのトライピオはダウンフォースの空力により、僅かに早くスタジアムに着地出来るが、それでも互いにぶつからない様に、中央からそれぞれ均等に離すのは必要な事だった。

 

 1度目の敗北により、ウルフウッドはそれを理解していた。

 

 

 

「ラズロの精密シュートを読み切り、避けるしかない中央にシュートして強引に空白(スキ)に入り込みおった。

…だがウルフウッド、貴様はもう生き残れん。

奴は完璧だ。万にひとつも勝機はないぞ」

 

 

 

 

 マスターチャペルの言う通り、スタジアム中央のバウンドディフェンサー改に、精密シュートにより均等に3方向から距離を詰めて行くトライピオ。

 流石に3方向から同時攻撃されては、ダメージレートは3倍に跳ね上がる。

 

 

 そう。

 相手がトライピオでなければ。

 バウンドディフェンサーのアタックリングの突起がカットされて真円状になり、それよりも遥かに大きなウェイトディスク『ワイド』がアタックリングよりも先に相手に接種する。

 

 ポリエチレンのアタックリングを持つトライピオと、ウェイトディスクでは、材質レベルで強度が異なる。

 

「上等やこのトライピオ(デカブツ)!! ウェイトディスク()の洗礼受けていき晒せ!!」

 

 トライピオの超大型アタックリングでは、テコの原理により弾かれ易い。

 3つのトライピオが正確精密に距離を保てている間は良かった。

 しかし、その均衡は崩される。

 

 更に、突起を全カットしたバウンドディフェンサーは極めて上方が小さく、容易にトライピオ同士の接触を引き込んだ。

 スタジアムの中央を占拠されたトライピオは、そのアタックリングの大型形状故に、僅かな傾きでさえ致命傷になる。

 傾斜角の大きな側面では、驚く程簡単にスタジアムの床にアタックリングが接触する。

 

「一個目」

 

 ウェイトディスクによる下からのアタックは、ダウンフォースをものともせず、トライピオの反対側をスタジアムに押し付けた。

 

「二個目や」

 

 そして、崩れてスタジアムに横たわるトライピオは障害物となり、2つ目のトライピオを堰き止めて停止させる。

 

 

 2つの停止(スリープアウト)したトライピオは、スタジアム内の障害物として横たわるのみ。

 

「まだやぞラズロ。まだ、五分になっただけや」

 

 

 ウルフウッドの言葉通り、スタジアムにはまだ互いに1つずつベイブレードが回転している。

 

 

 その障害物は、生き残ったトライピオとバウンドディフェンサーに同時に接触していた。

 

 

 

 バウンドディフェンサの内側のゴムがフリー機能となりつつも、摩擦でスリープ力を奪っていた。

 それでも横たわるトライピオの死体を蹴り飛ばすバウンドディフェンサー。

 

「3個目……。これで終いやラズロ……」

 

 蹴り飛ばされたトライピオは、生き残ったトライピオへと激突した。

 

 

 それでも、それでもギリのギリで生きていたトライピオ、だったが…。

 

 

 『10秒後出し』のビットチップを付けた、マスターチャペルのパンプキングが突如スタジアムに乱入してバウンドディフェンサーを狙い──────

 

 

 

 

────普通にトライピオに当たって一緒にリングアウトした。

 

「マスター、俺もやろうとし…した」

 

 

 ラズロはショックを受けているが、放っておいても普通に負けていただろう。

 それに、アッパーフォースを生み出すパンプキングは、浮き上がる空力学的な関係から、遠距離からのスナイプシュートにはトコトン向いてはいないのだ。

 アニメ版のケイン・ザ・ロングショットがいたとすれば、そういった指摘があっただろうか?

 いや、無いだろう。

 ケインはセリフが無いどころか、声優も設定されていないので、指摘とかそういったことはやらない。

 

 さて、ミカエルの眼のメンバー達は果たして仲直り出来るのか?

 

 次回、『復讐鬼のジャンピングベイ!!』

 来週もお楽しみに。




一体、何ライグルなのか?
それともジャンピングベースなのか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。