「あの、すいません。一応、先輩以外の方も、キャラ描写とかに関して希望とかあれば言って欲しいのですが。」
「こ、これ以上指定が増やされるのか……!?」
会長さんの独演会をさえぎる形になってしまうためか、若干おどおどした態度で質問してくるアキ。気にしなくていいぜ、アキ。むしろ、あたしたちは、その一言によってあたしたちに発言ターンがもたらされたことが嬉しくてしょうがないんだから!描写の指定が増える可能性に慄いている鍵には悪いが、あたしのターンで自重する気はないぜ!
サッと知弦さんと真冬にアイコンタクトを飛ばすと二人とも先鋒は譲る気だったらしい。その合図を了承と受け取り、一つ頷いた。
「ああ、あたしはテキトーで構わないぜ。」
「じゃあ、これで……」
「【美しい】【格好いい】【頼りになる】【優雅】【最強】【華麗にして繊細】【戦乙女という称号に相応しい】【閃閃風神(ライジングエア)】という言葉さえ含んでくれれば……」
「指定しまくってんじゃねえかよ!」
「あ、椎名さん、最後のは……技名ですか?二つ名ですか?」
「アキは何普通に受け入れてんの!?どっちだったとしても、コレはそういう系統の話じゃねーから!」
「え~いいじゃねーかよ、伝記っぽくしろよー。二話から能力者とかだしてさー。あ、アキ、技名じゃなくて能力名だからな?」
「了解しました。」
「了解してんじゃねーよ!特にお前はちゃんと議事録を基にしたドキュメンタリー書くんだろ!?」
「あ、そう言えば、序盤に最強存在出てくると盛り上がったりするよな~」
「出しますか。どんな感じにします?」
「死を操る能力【残響死滅(エコー・オブデス)】!」
「なるほど。じゃあ杉崎さんの二つ名は【逃亡群鶏】って所でどうですか?」
「いいな!」
「よくねーよ!!なんだその聞くからに弱そうな能力!」
「弱い能力で強い能力を倒すところに読者は燃えを感じるんだぜ?」
「え?しかし椎名さん、僕の構想だと……、杉崎さんは生き汚く逃げまどった挙句に、【残響死滅】に遊ばれてボロボロ。果ては【もう飽きた。そろそろ死ぬがいい】とか言われてトドメを刺されそうになった瞬間、その攻撃の射線上に飛び出した【閃閃風神】・椎名深夏さんに助けられる……美しい、しかし、そこに居るはずのない最強の友に。って感じにするつもりだったんですけど。」
「俺、ボロボロじゃねーか!なんでそこに居るんだよ!なんか深夏に助けられてるし!」
「だがしかし、助けに入ったときに椎名さんは左腕を負傷してしまった!万全の状態で戦いを始めることができたならばおそらく互角に戦えたというのに!戦乙女という称号に相応しい椎名さんを無傷で送り届けるために、先輩や椎名、紅葉さんは格上の敵を相手に、今も戦っているというのに!!」
「本格的に俺なんでそこに居たんだ!?完全に足手まといになってるじゃねーか!」
「何故?如何して、そんなことをしたのか。理由は簡単だ。それこそが、【閃閃風神】の華麗にして繊細と評される、彼女の能力を維持するのに必要なことだからだ。【いつだって、格好いい自分を捨てないこと】こそが、その強さの源泉。…………だが、そんな小難しい理屈なんか、本当は必要じゃなかった。ただ、【逃亡群鶏】に優雅に振り返り放って告げた一言が全てだったのだ。【仲間、だからな!】」
「あの、俺の言葉届いてます?アキさーん?」
「【残響死滅】の前に居るのは、【逃亡群鶏】、【閃閃風神】、そして、僕【情報人形】、岸野アキ。戦闘で頼りになるのは左腕を負傷した椎名さんだけという、客観的には絶望的といえる状況で、しかし三人は覇気のある笑顔を零したのだった。マル。」
「いいな!燃えるな!その展開も!……だが、アキ。それじゃあ、駄目なんだ。」
「そうだよな!ダメだよな!だってそんな内容じゃあ、ドキュメンタリー要素がカケラも……」
「本当のラスボス戦は、お互いに全力を出せなきゃダメなんだ!アキのそれは、中ボス戦の燃え展開なんだ!!」
「し、しまった!それは盲点でした!!」
「そんなツッコミがあるなんてことの方が盲点すぎるわ!!」
バンバンと机を叩きながら憤慨している鍵。一通りボケ倒したので、そろそろ真冬あたりにターンを譲ろうかと思っていたが、むしろアキの方がまだ満足していないらしかった。
「じゃあ、杉崎さん、僕の案は椎名さんに却下されてしまったので、杉崎さんがちゃんと指定描写取り入れてくださいね。」
「……へ?」
「【美しい】【格好いい】【頼りになる】【優雅】【最強】【華麗にして繊細】【戦乙女という称号に相応しい】【閃閃風神(ライジングエア)】っていう8つの描写指定ですよ。僕の案はさっき出しましたけど、椎名さんに却下されちゃったんで。」
あ、あれか――――!あのアキが急に始めた寸劇、確かにあたしが適当に言った言葉全部取り入れてた!!あたしも気にしてなかったけど!!
「もちろん、発表もして下さいねっ!」
同性さえも見惚れる笑顔……というフレーズが浮かんだ。いやいや、アキは男だから!同性じゃなくて異性だから!あたしに百合の趣味なんか一切ないから!!
「……へ?」
どういう意味の【へ?】なのかはともかく、鍵が返事するまでの間は多分、アキの笑顔に見惚れていたのだろう。つまり、あたしが咄嗟に思い浮かべた【同性さえも見惚れる笑顔】っていうのはあながち間違いではなかったってことだな。
* * *
<略>
「お前……は」
「ふ……。覚えておけ。杉崎鍵。我は【残響死滅】。お前の……兄だ」
「な、なんだってぇ――――――――」
* * *
「無理だ―――――――!!」
「おおーー、杉崎さんの二話はバトル展開ですか。僕の二話はお昼の放送のログ起こしが大半だというのに……さすが、杉崎さんの創作能力には脱帽ですねっ!」
どう見ても【ニヤリ】という笑みを浮かべているアキが居た。
というか、お昼の放送って、あれか、アキバージョンの二話はラジオなのか。……ちょっと、見るのが怖いんだが……
――以上椎名深夏による追加記述――
最近、一週回って気にならなくなり始めてきたんですけど、それはあんまり言い傾向とは言えないと思うので、今日はしっかりソレについて考えることにします。
岸野君は、毎休み時間ごとに何処へ行っているのでしょう?
何故か、不本意にも大多数のクラスメートからの推薦を受けて一学期のクラス委員長なんてものを押し付けられてしまった真冬は、クラスの皆さんを仲良くさせるために頑張らないといけないのです!……真冬がお話できる人なんて、殆ど居ないんですけど。右隣の席の岸野君(ただし教室内で話したことはあんまりない)と、左隣の席のアキバ君と、アキバ君と一緒に居る姿を見る国立さんと、【マフー】ってあだ名で呼んでくれる巽さんと……他は、あんまり思いつかないです。
あ、でもでも、別にこのクラスが嫌とか、そんなのはないですよ?この教室で本を読んだり、ゲームしたりするのとか、大好きですし。あ、いけないですね。本題からドンドン関係ない方にずれてます。とにかく真冬としては、岸野君が真冬以上にクラスメートとの関わりあいを断ち切った生活をしていることをどうにかしたくて、授業が終わるたびにすぐどっかに行っちゃう岸野君が何をしてるのかを知りたいのです!
というわけで、れっつ聞き込み!なのです!
【証言者1少年A】
ん?なに?椎名。めずらしいな、お前から僕に話しかけてくるなんて。
え?岸野?…………岸野か…………絶対僕より清水とかの方が詳しいと思うけど……
まあ、いいや、岸野の何をききたいんだ?……休み時間に何やってるか?……いや、そんなこと岸野教でもなんでもない僕に聞かれてもなあ……
ああ、いやいや、なんでもない。椎名は知らなくていいことだ。少なくとも、椎名自身の身に起きてることに気づいていない間は一切知らなくてもいいことだ。
――ま、真冬は一体何に気づいてないのですか!?
いや、大したことじゃないから別に気にしなくていい。で、聞きたいのは岸野の休み時間のことだっけ?別に僕は岸野と仲がいいわけでもストーカーしてるわけでもないから……アーウンソーデスネ―。フツーハストーカーナンテシマセンヨネー。カタコト?キノセイキノセイ。
う~ん……しかし、岸野か……僕がたまにトイレに行ったりするときにはち合わせたことも殆どないから【教室に居づらくて男子トイレに引きこもっている】ってわけではないと思うぞ?そんな心配してるのかどうかも知らないけど。
――そ、そうですか……でも、どうしましょう……岸野君と同じ男子なら何か知ってるかもと思ってたのですが……
なんで椎名はそこで僕をチョイスしたんだよ?僕と岸野で未だ事務的でない会話が成立したことないんだけど……岸野について何か聞くならもっと適任のやつがいると思うんだけど。本当に。
――えと、それは例えば誰ですか?
例えば?そうだな……宗谷とか京極とか……
――こ、怖いです!あの人たちに真冬から話しかけろというのですか!?
ま、まあ、確かに厳つい見た目だけど……じゃあ札内とか天塩あたりは
――だ、男子じゃないですか!怖いですよ!!
あ、そういうことか……女子だったら……清水とか鹿追あたりが詳しいと思うけど?
――真冬から話しかけ難いことに変わりないです……
女子でもダメって、じゃあお前誰ならいいんだよ本当。
――く、国立さん、とか?
……まあ、凛々姉なら僕よりは知ってることがあるかもしれないけど、さっき僕が挙げた連中に聞く方が色々手っ取り早いと思うぞ
――構いません!今よりも多くの情報を手に入れるためならば、真冬は手段を選ばないのです!!
相手選びまくってるように見えるのは僕だけなのか!?おい!聞けよ!
――というわけで、国立さん!岸野君のことで何か知ってることはありませんか?
凛々姉の場合、岸野がクラスに溶け込みきってないことを気に病んでるからよく見てる……ってくらいだからな……そう考えるとどんなことでも知ってて不思議じゃない巽の方がくわしいのかも……まあ、いいか。
――以上椎名真冬による追加記述・一部秋峰葉露による補足――
○【スタッフ】への通達
近頃、諸君らの干渉成果に関して【企業】上層部から疑問の声が上がり始めている。
仕事の性質上、明確な数字として諸君らの功績は測れるものではない。しかし、今期はあまりに【企業】への貢献が見られない。
【ヒューマン・フィードバック・システム】の異変を指摘する声もあるにはあるが、活動の状況を鑑みるに、その可能性は極めて低い。つまり、言い訳はきかないというわけだ。
そのため、【スタッフ】の諸君らには、今一度危機感をもって、このプロジェクトにあたってもらいたい。
【学園】の空気にあてられ、気が緩んではいなかったか?
マニュアルに頼り過ぎ、柔軟な対応を忘れていなかったか?
自分たちの立場や権力を、過信し過ぎてはいないか?
子供を、侮るな。
諸君らの能力は確かに高い。この日本に君ら以上に人心を掌握する術に長けた精鋭は存在しないだろう。
しかし、この年代の未熟な子供の心を完全に把握するというのは、優秀な諸君らだからこそ難しい部分もあるのではなかろうか。
そして、
だからこそ、ときに、あの生徒会に後れをとるのではなかろうか。
そこで【企業】は、この度、新たな打開策を導入することを決定した。
その打開策とは――
――以上、スタッフ活動レポート其の百一より抜粋――
あれ?四か月も放置なんて、さすがに自分自身でも予想外なんですが……。
こんな体たらくのくせに「問題児達が異世界から来るそうですよ?」とか「咲-saki-」とか「遊戯王」とかの二次創作も手を付けたくて仕方がないというダメっぷり。
生徒会の執筆が進まない気分転換で妄想してただけのつもりだったのに、全部、執筆開始できる程度まで設定を詰めてたとか言っちゃマズイですかね……。
就職活動とかもあるので、これからも亀更新なのは間違いないですが、チマチマ書き続けてくつもりです。