歪な愛をあなたへ、相応の覚悟を君へ   作:饅頭こわよ

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実を言うと、作者は六年前に緋弾のアリアを読んだのが最後でして、21巻から先の内容はさっぱり分かりません。今年になって緋弾のアリアブームが再熱したので、気ままに書いていきます。
設定等でおかしいことがあったら教えてください。
そうじゃなくても感想や評価はとても励みになるのでして頂けると⋯⋯
な〜んて言ってみたり。





この学校でレディーファーストしてたら死ぬから

「孫よ。男ならば、遠山侍のように女を護って強くあれ」

 

 俺は遠山一族のようにはなれない。

 

「息子よ。我が家の家訓は闘いに生きて闘いで死す。決して闘いから逃げることなかれ」

 

 無理だ。俺にそんな覚悟なんて無い。

 

「弟よ。自分の才能に不貞腐れるより、鍛錬をしろ。結果は努力があってこそ実る」

 

 努力したさ。それでも越えられない壁は沢山ある。兄さんもその内の一つさ。

 

「日本男児がうじうじ悩むくらいなら、闘いなぞ辞めてしまえ。お前には向いてなかった。それだけじゃ」

 

 そうします。今までありがとうございました。

 

 

 

 ★

 

 

 

 

「くぅおおおらあああああ!!流エェェェェェェェェェェェ!!!何寝とんじゃああああああ!!奥歯引っこ抜くぞてめえええぇ!!!」

「ふがっ」

 

 その日は雲一つない快晴の日。屋上にて呑気に昼寝をしていたら、メガホンを通したような大きい声が耳元で弾けた。

 鼓膜が破れたかのような錯覚に襲われてしまい、身体が跳ね上がる。

 寝ぼけ眼をこすりながら上半身を起こすと、目の前に長髪を一本に束ねた大女が立っていた。教務科の強襲科担当の蘭豹である。

 

「あ? てめぇ殺すぞ?何私の授業サボってんだァ?アァ?」

「えっ、いやっ。あの、すみません。天気が良かったので⋯⋯」

「良かったからなんだよコラァ。さっさと言えや殺すぞ」

「お、お花を摘みに⋯⋯」

「よし、死ね」

 

 そういうや否や蘭豹は懐から銃を取り出して、俺に撃ってきた。

 

「あぶねっ!」

 

 いや蘭豹さんさぁ、俺がムカつくからって近接距離からの銃はやめようよ。普通に死んじゃうよ俺。

 身体を捻って弾丸を避るが、すかさず脊椎損壊を狙った蹴りをかまされた。

 

「いてえええぇぇぇ!!!」

「何私の弾丸を避けてんだァ!!」

 

 前までは銃だけで終わったのに⋯⋯

 反射的にガードしたから免れたものの、直撃したら下半身不随コースは確実だったぞあれ。

 

「いっつも!いつも!お前は!!サボって!!ばかりで!!いい加減にしろォォォォ!!!殺すぞォォォォ!!!!」

「す、既に⋯⋯死にかけてるで、ありま、す⋯⋯カヒュ」

 

 背中の激痛にのたうち回っていたら、次は首根っこを掴まれて宙吊りにされた。

 お、おちおち落ち着け俺よ。こういう時こそ聡明な頭脳をフル回転させて現状を打開するんだ。酸素不足でも思考することを止めるな。

 現状は俺と蘭豹のタイマン。筋力は蘭豹が上。身長も蘭豹が上。体術は言わずもがな。対する俺が彼女に勝っているところは⋯⋯えーと、なんだろう。

 

 

 

 

 

 ⋯⋯ッスゥ────。どう見ても詰みです。本当にありがとうございました。

 というか思考の為に酸素使ったので、そろそろ不味いです。

 

「蘭豹先生、好きです。付き合ってください」

「婚活100連敗中なんだよ喧嘩売ってんのかテメェェェェェ!!」

 

 ヤケクソの告白も、そっち方面では無敵(笑)の彼女には通用しなかった。

 むぅ⋯⋯やはりここは婚活アプリだかマッチングアプリだか知らんが、それ系に登録している蘭豹のニックネームのランランが良かったかな? 

 

 とはいえ、そろそろ天国へのカウントダウンも10秒を切っている。ここ辺りが潮時だろう。

 

「ふん!今日はこのくらいにしといてやる。ただ、これ以上私を舐めるのなら次は本気で殺しにかかるからな」

 

 バッと蘭豹の手が引っ込む。

 ゲホゲホと咳き込みながら蘭豹の方を見ると、既に彼女は俺に興味を失って校内に戻ろうとしていた。相も変わらず気分屋なもので。

 

「次サボったらマジで殺すからなテメェ。いい加減にしとけよ」

「はい。もうサボりませんよ。麗しい姫様の御尊顔は拝めなくなることは、俺としても嫌なので」

「よし殺す」

「おじょじょじょ!!ちょっ、鳩尾に威力2tの膝蹴りって普通に死んじゃ⋯⋯ウギャッ!!」

 

 

 ここは東京武偵高校。武偵の雛とも言える者達が集まる魔の巣窟。

 一般的な解釈として、剣呑な雰囲気の武人や冷酷な天才、はたまた超能力者や戦闘狂の集いである。と思われがちだが、無論例外も存在する。

 

「もっ、もっと虐めてえええぇぇ!!!」

「気色悪ぃなゴラァ!!」

 

 それが足利流という人間であった。

 

 

 

 

 ★

 

 

 

 

 

 やっと蘭豹の親愛イベントが終わった。

 疲れた。もうヤダあの人。自分の教え子を殺しにかかるとか只の異常者だよ異常者。だから彼氏ができないってハッキリわかんだね。

 

「おつかれ足利君。とんだ災難だった、とは言わないよ」

 

 次の授業は綴の英語であるため、教室にて教科書等の準備をしていたところ不知火に声をかけられた。

 声をかけるのはいいけど、サラッとボディータッチしてくるのやめませんか? ノンケを食う展開とか要らないので。

 後、見てたのかよ。

 

「ああ失礼。確か足利君はこういうの嫌いだったね」

「いや、嫌いではないが。ただどうしても盗聴器とか発信機とか付けたのかと勘ぐってしまうからさ」

「おや?バレないようにしていたんだけどね」

「おいコラ」

「ハハハ、冗談だよ冗談。僕達はそういう仲じゃないか」

 

 何事も涼しい笑顔でソツなくこなすお前が言ったらシャレにならねーんだよ。

 つか、人をおちょくるのはやめろ⋯⋯⋯という文句は言わないでおく。俺もさっきまで、蘭豹を命懸けでからかっていたからね。

 他人の振り見て我が振り直せ。ここは我が器の大きさを見せていこうじゃないか。

 

 そして、俺の器に似合うお前の一物をボロn⋯⋯っといかんいかん。俺までホモに染まってきている。何度も繰り返すが俺はそういう展開を望んでいない。健全にいこうよお互いの為にも。

 

「はーい座れェー。一秒で座らなかったらヤキ入れなァー」

 

 そうして不知火と戯れていたら綴の理不尽な号令がかかった。

 その瞬間に教室が戦場と化して、互いの足を引っ張りあう哀れな争いが始まる。

 ふっ、悪いなお前ら。俺は席の近くなんだ。先に座っとくから、精々綴のストレス発散の玩具にでもなってくれ。そっちの方が助かる。

 

「悪い遠山!お前の犠牲は無駄にしない!」

「すまん遠山!不可抗力だ!」

「あばよ遠山!お前と過ごした時間はかけがえのないものだったぜ!」

「おっ、お前ら⋯⋯!」

 

 この間、約1.7秒。中々早口な奴らだ。

 あらら、今回の玩具は遠山侍君か。あいつはヒスらなかったらノロマだからなぁ。

 Sランクの癖にAランク以下の踏み台にされる奴、マジで危機感持った方がいいよ。

 

「はい遠山アウトなァー。お前は英単語20語しか覚えてない癖に、いつも話聞いてないからなァー。意欲というものが感じられないんだわ」

「あっ、アヅッッ!!」

「さっさと席戻れェー。何ボケっと突っ立ってんだ」

 

 てめえのせいだろ⋯⋯という文句がタバコを押し付けられた遠山侍の立ち振る舞いから聴こえてくる。

 あーうん、まあなんだ。俺も蘭豹にヤキ入られたからさ。今回限りは同情しないぞ。お前も俺と同類という事実を噛み締めながら今日を生きろ。

 

 

 

 

 

 

 

 クラス委員のやる気を感じない号令と共に英語の授業が始まった。

 

「あー、だからこの文は動詞を過去分詞にすることでbe動詞が来ても用いれるんだなァー。これ受動態っていうから覚えとけ。そんじゃ次行くぞー」

 

 まあご察しの通りではあると思うが、東京武偵高校は裏社会で飛躍する武偵を育てている反面、勉強面の残念さは突き抜けている。受動態って義務教育の内容だよね。なんで高校で同じ授業するのかな? 

 そういう重なる理由もあってこのクラスの9割5分は、勉強の内容を本気で理解しようとしてないと思う。

 

 武藤は綴の目を盗んで改造車の作り方という危なげな本で内職してるし。

 遠山侍は英単語20語しか覚えてないだけあって、頬杖つきながらあくびして勉強を諦めてるし。

 不知火に至っては涼しい顔をしておきながら、My hobby is killing. というレベルの作文が関の山だからな。あいつの事だし、本気を出せばそれなりに良い線は行くんだろうが、ろくな文章を作れないということはつまりそういうことだろう。

 

 かくいう俺自身は少々特殊な事情で常に英語を使う環境に居たため、内容を理解しようとしてないと言うよりは、既に理解しているという方が正しい。

 なんで水って青いんだろう?なんで海って塩水なんだろう?哲学っぽいな。あっ、蝶々だ。可愛いな。

 

 な〜んてくだらない事を考えながら、真剣に聴いている振りをすれば50分なんて何事もなく終わる。

 

「おい足利。お前話聞いてるか? 」

 

 はい。何事もなく終わりませんでしたね。おかしいなあ。我ながら完璧な演技だったと思うのだが。

 どうしようか。ここで選択肢をミスれば、放課後拷問のフルコースを味わうことになる。ぶっちゃけ密室で美人と二人きりとか、ご褒美以外の何者でもないのだが身体がもたない。つか死ぬ。

 

「すみません。黒板に書かれている文の意味が分からなくて、調べていました」

「おーおー、勉強熱心なのはいいことだ。そんじゃあこの文の日本語訳を答えてみろ。さっきの文をいじっただけだ」

 

 と、言いながらカッカッカッと黒板に書き込まれていく英文は⋯⋯なんだあれ。

 えーと⋯⋯私は、知っている、昼食の時間、天国? 

 意味分からん。受動態から後退しすぎだろ。

 

「私は昼食の時間が天国となることを知っている。ですか?」

「正解だ。まあ簡単だったか。そんじゃあ前の文との違いは?」

 

 嵌められた。と気づいた時には既に遅かった。

 黒板は先程の怪文以外は全て消されており、ご丁寧にチョークの粉一つ付いていない。つまり、消された跡から辿ることも不可能になっていた。

 これって板書していた奴らはどうすんの?ただでさえ乱雑に書き込まれた内容を整理してノートに書かないといけないのに、それが一瞬で消されるとかヤバすぎるんだが。

 教育者としてのレベルが低すぎるんだよこの美人教師は。

 

「えっと、綴先生は美人です。だったり?」

 

 直前に思ったことを切り取って発言してみる。頼むから当たってくれ。

 だが現実は非情なもので。

 刹那、音速を超えた黒板消しが俺の顔面にめり込んだ。パコアァン!という軽快な音と共に、俺は椅子から転げ落ちてしまう。

 ないわー、マジでないわー。褒めただけなのに、暴力振るってくるツンデレとか二次元だけで十分だわー。

 

 咄嗟の判断のおかげで額で受け止めれたものの、少しでも下にずれていたら衝撃で眼球が破裂していた。まじで、これだから教務科の奴らはさぁ⋯⋯少しは加減を知ろうよ。

 

「蘭豹の時もそうだが、あんまり調子に乗っていると死ぬぞお前?あ?今すぐ殺されてぇの?」

「えっとマジですみません反省しています本当に申し訳ありませんでした」

「ちっ⋯⋯昼食の時間は私のところに来い。正直お前なんかに時間を割きたくないが、これも先生としての務めだからなァ。そうだよな? 内職している武藤」

 

 ビクゥ! と身体を震え上がらせた武藤は、ゆっくりと綴の方へと向く。

 ハハハ武藤、死なば諸共ってやつだ。お前も体罰されちまえ。

 ちなみに俺は既に着席しています。クールな男は直ぐに体勢を立て直すのさ。⋯⋯ただ、周りの視線は絶対零度だからこれ以上クールになるのは勘弁だけど。

 

「あっ、えっと、そうっすね! 本当、綴先生の素晴らしい教えでこちらは非常に有意義な時間を過ごせているのに、それを無駄にするなんてダメだと思います!」

「分かっているのならよろしい」

 

 ちっ、お前もその時間を無駄にしてた癖に、こういう時だけは棚に上げやがって。許さんからな武藤。

 今夜お前の家の水道管にワカメが詰まる呪いをかけまくってやる。よかったな。グルコサミンが合理的に摂取できるぜ。

 

「はーい、授業再開するぞー」

 

 無論、綴が再び黒板に向き直る頃には全員姿勢よく座って板書をしていた。







多分、綴は尋問科と英語の教師だったはず。
後、蘭豹と綴の口調これであってますかね?うろ覚え過ぎて不安しかないです。
ちなみに、主人公は足利義輝の末裔です。つまりメインウェポンは⋯⋯


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