百姓スペちゃん~このニンジンあげません!! 作:牛乳大好き
エゾノーのチーズ加工室。チーズの実習でも使われるためか、チーズ実習室とも呼ばれる場所であり、地下にはチーズ仏陀こと中島先生のプライベート熟成室が存在している。
「今日はラクレットチーズ、モッツァレラチーズを作ります。ラクレットは今日どころか、今月中には出来ませんので、完成したときに皆さんに送り届けます。
モッツァレラチーズは直ぐ出来ますし、ご家庭でも出来るやり方を教えますね」
チーズ仏陀の手で、白衣エプロン姿に成ったチームシリウスのメンバー達。とは言え、都会育ちのマックちゃんやブライアンは興味深そうにチーズ加工室の道具を見回していた。
「変わった道具がイッパイですわ」
「本当にチーズが此処で作れるのか?」
「ラクレットチーズにはエゾノーで取れた生乳を作ります。皆さんがスタミナトレーニングをしている間に、低温殺菌牛乳にしました」
チーズの原材料は生乳である。つまり、牛乳の生産量が減ってしまうとチーズも値上がりしてしまうのだ。場合によっては嘗てのバターと同じく、店頭から消えてしまう恐れもあるだろう。
「この低温殺菌牛乳120リットルの温度を33度まで上げます」
中島先生の指示で、スペちゃん達は風呂桶に見えなくもない設備に、低温殺菌牛乳120リットルを投入していく。この120リットルの牛乳がチーズに変わるのだ。
「なんだか牛乳風呂みたいですね!!」
「お肌がツルツルになるんだっけ?酪農家なら入り放題じゃん!!」
くーちゃんとチゲゾーがそう告げる。牛乳風呂……それは牛乳で入るお風呂であり、噂では牛乳の成分でお肌がツルツルスベスベに成るのだ。
「えっ?やりませんよ」
「掃除が大変プイ」
だが、人々が夢見る牛乳風呂は酪農家の子供であるスペちゃんとディープくんの手で、全否定された。
皆さんも想像してほしい。牛乳を溢したら掃除が大変だろう?牛乳で風呂桶をイッパイにしても掃除は大変だし、風呂場の掃除が兎に角大変だ。だからしないし、なんなら牛乳は飲めるし売れる!!牛乳風呂なんてやり方はしないのだ。
「次に塩化カルシウム、リネンス菌、スターター(乳酸菌は発酵に時間がかかるので、予め予備発酵させた物)を入れます。
因みにリネンス菌はチーズの表面に皮を作ってくれる菌です」
中島先生は続いて低温殺菌牛乳に、塩化カルシウム、リネンス菌、スターターを投入する。此処から発酵食品として菌の力を借りてラクレットチーズを作っていくのだ。
「続いてレンネットを投下です」
「「「レンネット?」」」
レンネットとは基本的に、子牛の第四の胃(ギアラ)から取れる酵素であり、このレンネットの力で牛乳が凝固するのだ。
「最近ではカビから取れますけどね」
「「「カビから取れるの!?」」」
昔は子牛を殺してゲットしていたレンネットであるが、今はカビから作れたりしてゲット出来るのだ。
レンネットを投下した後は1分ほど混ぜて、その後は少し放置である。
暫くすると……
「えっ!?牛乳プリンみたい!?」
「固まってる!?プリンプイ!!」
「美味しそうですわ!!」
「これは凄いな」
「カチカチじゃん!!」
「酵素の力すご!!」
レンネットの力で牛乳は固まり、この固まった牛乳をカードと呼ぶのだ。そしてこのプリンのようなカードを、カードカッターで細かく切ると、透明に近い液体とカードに別れる。この透明に近い液体をホエーと呼ぶのだ。
ホエーはヨーグルトを食べるとき、ヨーグルトの上に有る透明の液体が有るだろう?あれもホエーである。
「これをゆっくり撹拌……掻き回せます。すると、ホエーに乳糖が溶けるので、乳糖が濃くなったホエーを捨てます。更にぬるま湯を入れて、浸透圧でホエーと乳糖を捨てます」
ここまで沢山の行程を踏んでいるが、一向にチーズの完成は見えない。
「その後、カードを仕切りで寄せて……蓋と重しをして予備圧搾。まだまだかかりますよ」
「「まだかかるの!?」」
予備圧搾をして更に固まったカード……プリンから木綿豆腐位に固まったカードを取り出して、型に入れる。その後、プレス機で圧搾!!
「この圧搾を天地返してあと、5回圧搾します。その後、冷水に一晩漬け込んで……その後は乾燥1週間。それから熟成が始まります。完成は3ヶ月後ですね」
「「「どんだけかかるの!?」」」
チーズを作るのは大変である。しかし、チーズは手間隙かかるが非常に利益還元率が大きいのだ。加工用の牛乳は1リットル80円程であり、ラクレットチーズは相場でキロ5000円だ。
ラクレットチーズを作るには10倍の牛乳が必要であるが、それでも充分な程の儲けが出る。その分、手間隙がしんどいが……
「では家庭用モッツァレラチーズですね。材料は市販の物で作ります。本来ならレモン果汁、レンネット、牛乳を用意ですが……今回はサンデー牧場の牛乳、お酢だけで作ります」
「「「材料二個!?」」」
家庭用モッツァレラチーズはまさかの材料が二個だけ、非常に経済的に優しかった。今回使うのはサンデー牧場の低温殺菌牛乳、そして市販の米酢である。
「先ず、鍋に低温殺菌牛乳を入れて42度まで温度を上げます。42度になると、お酢を入れます。これだけで、牛乳は固まり……カードが出来ます」
此処からは調理実習のように、中島先生ではなくスペちゃん達が主役で行う。中島先生が人数分の材料と調理器具を用意してくれたので、それを使うのだ。
む?なんで中島先生はチームシリウスの全メンバー知ってるの?競馬ファンだから。
「固くなった!?」
「美味しそう!!」
「この固まったカードをお玉で掬い、ザルに移します。ザルの下にはボールが有るので、重力でカードとホエーに分かれますよ」
固まったカードをお玉で掬い、ザルに移す。その後、ザルの下のボールに重力で別れたホエーが落ちるのだ。
「カードとホエーに別れたら……カードを熱いお湯につけて練ります」
此処からが大変である。カードを熱いお湯に入れて、熱いのに耐えながら練るのだ。
「「「あっつ!?」」」
頑張って練ると、カードに変化が現れてモッツァレラチーズに近くなってきた。もうすぐ完成である。
「大きさを手で分けて、塩水に20~30分つけて完成です」
こうして、ようやくモッツァレラチーズの完成である。めちゃくちゃ熱いので、気を付けて作ってね?スペちゃんとの約束だよ。
オマケ スペちゃんがアニメルートに進んだ場合~衝撃の英雄IN銀の匙(アンケート番外編)
「うわ!?ウマ耳が生えた女の子!?いやどっちだ!?」
エゾノー入学早々、敷地内で迷子に成った八軒勇吾は、1人の英雄と出会う。
「ディープインパクト」
親父殿、スペちゃんとも出会うことはなく……前世のトラウマ?が癒えることもなく、ウマ娘世界から馬の居る世界へと渡った衝撃の英雄であった。
「えっ……でもディープインパクトって確か去年に……」
「それは僕の前世だっプイ」
畜産、農業、そして競走馬を含めた経済動物……この世界で見て何を学ぶのだろうか?
「どうして……英雄が居ないの?」
一方のウマ娘世界。衝撃の英雄不在によるタイムパラドックス?でクラシックはリトルココンとビターグラッセの時代だと言われ、何処か違和感を覚えたラインクラフト。
「駒場さんの退学……なんとか出来ませんか!?金がないなら、僕はもう一度走りますよ!!」
「年間……この数の競走馬が行方不明なんですか?あんなに頑張って、人に夢を届けるために走ったのに!?」
この世界はウマ娘のアニメは存在しない、アプリもない。ウマ娘のお陰で新たな競馬ファンや引退馬協会に興味を持ってくれる人も少ない。だから英雄は考える……自分に何が出来るのかと。
「ディープ……貴方はもう自由よ。だから、恋をしなさい。前世の分まで……自由に、自由に自分の意志で走り続けなさい」
「ああ……間違いない!!彼はディープインパクトだ。全てのホースマンが衝撃を覚えたあの名馬だ!!」←チーズ仏陀
『さあ、これよりレジェンドレースの始まりです!!
全てのホースマン、ジョッキーと馬が挑むのは……衝撃の英雄!!ヒトとして生まれ変わった神話の体現者!!大蝦夷農業高校所属!!ディープインパクト!!』
なお、荒川ワールド全開の模様。
女王様「ところで、ディープの調子はどうかしら?ここの馬術部に所属してるって聞いたわ」
中島先生「全てのホースマンの頂点が来たんですが……」
もし、番外編を書くなら?荒川ワールド全開に成るかも
-
衝撃の英雄IN銀の匙
-
此処でのたづなさんの過去(エゾノー)
-
農業シリウスINエゾノー
-
凱旋門賞+チーズ