百姓スペちゃん~このニンジンあげません!! 作:牛乳大好き
馬鈴薯と書いてジャガイモと読む。馬鈴薯を食べたことはないって言うウマ娘は先ず居ないだろう、カレーライスの具にも入ってるし、マックに行けばセットのポテトにも使われているし、おやつのポテトチップスにも使われているし、なんならトレセン学園の学園農園でも栽培されていて食堂のご飯にも使われている。
「馬鈴薯か……シリウスが私だけのときに、活動費のためにトレーナーさんと学園農園の手伝いをしていたな」
そんなシリウスであるが、今はスペシャルウィーク、ナリタブライアン、ウイニングチケットとメンバーが次々と集まってきているのだが、ウイニングチケットだけの時は支給される部費も少なく、ウイニングチケットとトレーナーは活動費を工面するために学園農園のお手伝いを行っていたのだ。
「チゲゾーさんも農家仲間ですね」
「いや、私はスペみたいにガッツリやってないよ?」
「つまり、私がリギル時代に食べたポテトはトレーナーとチゲゾーさんが収穫したのか」
そんなシリウスであるが、今は放課後の自由時間を使って食堂でフライドポテトを食べている。このフライドポテトは学園農園で収穫された物や、提供してくれた農家さんや農協から購入した馬鈴薯が材料として使われている。
「スペ。そういや、お前の実家は馬鈴薯を作ってなかったか?」
ブライアンがポテトを食べながらスペちゃんに問う。そう、スペちゃんの実家は馬鈴薯を作っていては販売してるのだ。
「はい。でも半分以上は出荷出来ませんよ?」
「「半分以上も!?」」
普段我々がスーパーで良く見る馬鈴薯、あれは規定に合わせた馬鈴薯であり、言わば選ばれた馬鈴薯だ。その選ばれた馬鈴薯に成ることが出来なかった馬鈴薯は基本的に出荷されず、残念な事にお店に並ぶことはない。
その1つは規格外品、最近、テレビでサスティナなどで話題になることもあるB級品とも呼ばれている。市場に出すことは出来ないが、味は問題なく、形が悪かったり、傷があったり、小さすぎたり、大きすぎたりするため規格外品の烙印を押された物だ。基本的に加工用に回されたり、自分用やご近所用とした食べられたり、あげたりして用いている。味は正規品と全く一緒。
次にクズイモ。これは食用に出来ない物であり、虫に食われている、青い、完熟通り越して熟しすぎて腐ってる、馬鈴薯であり、農家さんでも基本的には食べないでデンプン加工工場に回してでん粉や片栗粉にして有効活用する。
「そしてこれは昨年の秋でした。私がトレセン学園に転入しようか、農業高校に進学しようか迷っていたときです」
昨年度の秋。スペちゃんの実家、サンデー牧場にも馬鈴薯の収穫時期がやって来た。
「芋掘りしてみたくてな、自分探しの旅の途中だが頼むよ!!」
自分探しの旅をしており、当時……トレセン学園から離れていたチームスピカのトレーナーである沖野Tが牧場にやって来た。スペちゃんの実家の他にも、収穫の体験を募っている場合があるのだ。
「へー、自分探しの旅か……良いじゃねえか」
帽子を被り、スペちゃんと似ておらず……「何人殺っちゃいました?」と言いたげな目付きの親父殿。そんな親父殿は家族以外と居るときは、常に帽子を被ってるのだとか。因みに血の気が多いとか。ヒグマを拳で撃退した経験あり(笑)
「プイ!!おじちゃん宜しくね!!」
濃い鹿毛で女の子のような顔立ちをした男の娘、スペちゃんの弟くんも麦わら帽子を被っている。因みに弟くんは芋掘り機……ポテトハーベスタと呼ばれる物と連結されたトラクターの運転席に座っている。免許?私有地なら問題ない。
「俺はおじちゃんって年じゃ無いんだがな……」
「30越えたらおっさんの仲間入りだろ。気が付けば40になるさ」
弟くんのおじちゃん呼びを否定したかった沖野Tであるが、親父殿の言葉を受けて沈黙した。30になれば直ぐに、40、50とおっさんに成ってしまうのだから。
「おじさんは何をしてるんですか?」
スペちゃんが沖野Tに聞いてみる。この時期、地元の人が手伝ってくれることは多々あるが、旅人が手伝ってくれるのは珍しいのだ。
「中央トレセン学園でトレーナーをしていたが、挫折してな。先輩のおハナさんはシンボリルドルフを無敗の三冠馬にするし、俺は才能が無くてさ……教え子にも逃げられた男さ」
沖野Tは挫折を経験してしまい、自分探しの旅を行っていた。そして旅先での活動費を稼ぐために、サンデー牧場の芋掘り体験に参加したのだ。
「中央トレセン学園か……」
親父殿はそこに何か思い入れが有るのだろうか?誰にも聞き取れないほどの小さな声でそう囁いた。
「サンデーさん!スペ、ディープ!!手伝いに来たよ!」
その時、大型バイクに乗って1人のスタイル抜群で巨乳、年齢は二十歳ほどのウマ娘がやって来た。彼女はテンポイント、牛乳大好き(史実通り)、中央トレセン学園で優秀な成績を修めており、凱旋門賞さえも期待されていたが……とある事故(ぶっちゃけ史実では人災)で片足を複雑骨折してしまい(史実ではこれが元で亡くなった)、トレセン学園を辞めて大蝦夷農業高校に転校した元スター選手である。
テンポイントが来てくれたように、ご近所同士で協力する事も多々ある。
「テンポさーん!!」
「テンポさーん!!」
「テンポ、良く来たな。それじゃ、乗りな!!収穫を始めるぞ!!勿論、沖野、お前もだ」
親父殿、テンポイント、スペちゃん、そして沖野Tが芋掘り機……ポテトハーベスタの上に乗り込む。彼等の前にはコンベアがあり、ポテトハーベスタは走りながら地面のなかの芋を収穫して、コンベアの上に芋が流れるのだ。コンベアの上に流れた芋、そして一緒に巻き上げたゴミ等のその他の代物を分別も行うのだ。
「昔は手で収穫してたんです。今はこれのお陰で楽に成りました」
「私が子供の頃は全部手作業だったからね」
「ディープ、走らせろ」
「プイ」
弟くんがトラクターのエンジンをつけて、トラクターと連結されたポテトハーベスタが起動した。芋掘りの始まりである。
トラクターが馬鈴薯畑の上を通り、ポテトハーベスタが次々と馬鈴薯を収穫する。
「凄いな……こんな風に収穫されるのか」
と沖野Tが感動しているが
「クズクズクズクズクズクズクズクズクズ規格外規格外クズ規格外規格外クズ」
「規格外規格外クズクズクズクズ正規、そしてクズクズクズ」
「完熟まで待ったらどうしてもクズが多くなるんだ」
職人のごとき手慣れた捌きで、スペちゃん、テンポイント、親父殿が馬鈴薯を選別していく。それを見て沖野Tは軽く引いていた。
「レンガ、クズクズポテチ」
「ポテチ!?」
「あー、キツネが埋めたな。たまにあるんだ」
北海道にはキツネも生息しており、キツネはたまにこうして物を隠す時があるのだ。ポテトハーベスタに流れてきたポテチは未開封であり、その後……スタッフ(スペちゃん、弟くん、テンポイント)が美味しく頂きました。
ポテトハーベスタでの収穫が終わり、選別されたクズ芋は親父殿が運転するトラックの荷台に載せられて、デンプン加工工場に運ばれ、でん粉や片栗粉として有効活用される。
「あんなに収穫したのに、出荷出来ないのがこんなにも……」
「「「まだたまだ増えますよ」」」
付着した土を乾かした後、ブラシをかけながら……更に選別!!
「クズクズクズクズクズクズ規格外規格外規格外」
「クズクズクズクズクズクズクズクズプイプーイ」
「クズクズクズクズクズクズ」
「どんだけクズと規格外有るんだよ!?」
ブラシが終わったら再び選別!!
「規格外規格外規格外」
「クズクズクズ規格外」
「規格外規格外規格外」
そして手に持っただけで、重さが分かる通称人間計り機の異名を持つ近所の婆さんもいる。
「60gよし、50gダメ、70gダメ」
「あの婆さん何者!?」
「「バイトのおばちゃん」」
そして再び選別されたクズ芋は親父殿の手で、デンプン加工工場に運ばれて片栗粉やでん粉に加工される。
親父殿が帰ってきた事で、1日の作業は終了した。
「さあ、旅人さん。折角だから食べて」
「ワイフの飯は旨いぞ。呑んで食べていけ」
沖野T、スペちゃんの実家で夕飯をご馳走に成る。その日のおかずは、今日出たばかりの規格外の馬鈴薯で作ったふかし芋が出ていた。
「これ、私んちで作ったバター。これをつけて、食べてくれよ」
テンポイントが実家から持ってきたバターをつけ、沖野Tは
一口食べる。苦労して収穫した馬鈴薯の味は格別であり、沖野Tは涙を流して馬鈴薯を沢山食べる。
「もうご飯は残しません!!これからは残さずに全部食べます!!」
沖野Tは覚醒した。農家さんの苦労を知った沖野Tは2度と、食品を無駄にすることは無くなった。食育は1日有れば充分なのかもしれない。
親父殿はどうやって熊を倒したんですか?
熊の舌を引っ張って、顔面パンチを与えました。熊は舌を引っ張るとおとなしくなるとか
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