百姓スペちゃん~このニンジンあげません!! 作:牛乳大好き
「待ってください!!我々トレーナーとしては!!」
「俺の話を聞いてなかったか?何を勘違いしている?そもそも、前提が違う……俺達トレーナーの仕事はウマ娘をG1ウマ娘に育て上げて、スター選手にすることではない」
ある日の事。親父殿はトレセン学園にやって来ては、多くのトレーナーやウマ娘に講演会を開いていた。URAレジェンズの告知以来、親父殿は忙しい日々の合間を縫ってはトレセン学園に足を運んで各チームにアドバイスを送ったり、講演会を開いているのだ。
だが、1人のトレーナーが親父殿に意見を言ったのだ。そのトレーナーとしてはトレーナーの仕事はウマ娘をスター選手に育て上げる事だと言っていた。だが、それだけがトレーナーの仕事と言えるだろうか?
全てのウマ娘が走るに向いているか?そうとは限らない。勉強、家柄による推薦、様々な理由で入ることが出来ても必ずスター選手に成れるとは限らないのだ。
「確かに、出来れば教え子には活躍してほしい。それが一番だ、綺麗事だが出来ればそうしてあげたい。トゥインクルシリーズで活躍できればCM出演から雑誌モデルなど、仕事がもらえる。だが、それが叶えられるウマ娘は全体のなん%か分かるか?
答えられないのなら、お前の教え子はトゥインクルシリーズのレースで全員活躍出来てるんだろう。それとも……活躍できなかったウマ娘はチームを脱退させてるのか?そういうトレーナーもアメリカには居たよ」
「俺達トレーナーの仕事はウマ娘をスター選手にするのではない!ウマ娘の……親御さんから預かった子供達の未来を作るのが仕事だ!!
レースで活躍できてもな、将来的に金銭的な不安を抱えてしまうウマ娘だっている。頑張ってレースに打ち込んだのは良いが、学歴や資格が整っておらずセカンドライフが難しい子だっている」
元から名門一族のウマ娘、レースで活躍できたウマ娘はコネクションやタレントとしても働けるだろう。だが、全てのウマ娘がそう出来るのか?と言えば嘘になる。
一勝も出来ずトレセン学園を中退したウマ娘、トレセン学園を中退して地方トレセンに転校するウマ娘、夢を諦めて普通の中学校や高校に転校するウマ娘だって多いのだ。
「夢が叶えられないから、苦労して入ったトレセン学園を去るのか?ふざけるな……もっと此処で学びたい、友達と過ごしたい、此処で青春を過ごしたい……そう思ってる筈だ」
勝負の世界は残酷だ。折角入ってもトレセン学園を去る子供達が多い。勝ち負けが全てだとしても、子供達に寄り添い、未来を共に作るのだ……本来、学校とはそう有るべきだろう。
「俺達の行動、教育方針1つで教え子達の未来が変わると言っても過言ではない。レースに勝つ負けるではなく、はるかその先の未来もな。
その自覚を持って励んでくれ。今日の講義は此処までだ。そしてウマ娘の子供達、大いに悩め、そして青春を楽しめ、やりたいことを沢山やれよ……今しか出来ないことも有るんだからな」
そして親父殿の今日の講義は終わった。
「あと、農業体験したかったら何時でもサンデー牧場に連絡してくれよ?トレセン学園酪農コースも創設するかもしれないから!!」
「「「この人、どさくさに紛れて労働力確保するつもりだ!!」」」
なお、スペちゃんが百姓スペちゃんを執筆している未来では『トレセン学園農業学部酪農学課』が創設されており、東京のエゾノー化している。
「ウマ娘の未来か……シリウスは大丈夫そうだね」
「その代わり、農民に成っちゃいますよ。でも、元気いっぱいですね!」
講演会から1時間後。チームアルケスのサブトレーナーである明石椿(スタブロのトレーナーさん)は後輩である、チームシリウスの名物トレーナーの御影アキことアキねーちゃんに付き添ってトレセン学園牧場にやって来ていた。
「アキちゃんの先生……サンデーサイレンスさんの言ってることも当然だよね」
「勝ってほしい……レースで活躍してほしい。勿論、それも大切ですけど、それって見方を変えればエゴなんですよね、私達トレーナーの。
農家の親が子供に後を継いでほしいって願ってるのに似てるとおもいますよ」
と、話す2人の若きトレーナー。そんな2人の視線の先ではスペちゃん、ディープ王子、そして椿の担当ウマ娘である大学生のサクラローレル先輩が牛の出産を見守っていた。
「牛の出産が始まりましたね」
「これは……男の子!?女の子!?」
「かけましょうか……勝った方が缶コーヒー奢るのはどうです?2人とも同じで正解なら、ディープちゃんに奢ってもらいましょう!!」
「良いですね!では、私は女の子で!」
ニヤリ、スペちゃんは笑みを浮かべた。サクラローレルは知らないが、酪農家は子牛の前足が産道から出てきた瞬間に、99%で性別を当てられる。
「私は男の子ですね(缶コーヒーもらった)」
そして前足での見分け方が分からない、サクラローレルの懐から缶コーヒー代が消えた。
前足の足首が太かったらだいたい雄、括れていたらだいたい雌である。
「「雄なので、お肉コースですね」」
「お肉ぅぅ!?」
「因みに、殆どの牛さんは寿命を迎えません。その前に、だいたいお肉に成ります」
「女の子で産まれてもお肉になるの!?」
ローレル先輩、牛さんの現実を知る。
牛さん……ホルスタインの寿命はだいたい20~30年位だ。しかし、雄は種牛に成らなかったらお肉コース、混血の牛さんは産まれる前からお肉コースが決まっている、雌もお乳の出が悪くなるとお肉にされる。
「牛さんをペットで飼わないの?」
今のご時世、色んなペットが増えてきている。カワウソ、トカゲ、蛇、亀、猛禽類、ミニブタ、ミニチュアホース、様々な種類のペットを飼っている人々がいる。
だが、牛を飼っているという人はあんまり聞かない。
「ではローレル先輩、VRで試してみます?」
「プイ。ロイヤルマネーを使って作ったプイ」
「VR!?」
しかし、牛を飼うのはお勧めしない。牛は人懐っこく、賢く……芸を仕込めば将棋の台の上でバランスもとれる程だ。
だが、兎に角大変なのでやめた方が良い。犬や猫と違って兎に角、家で飼えば金が消し飛ぶのだ。
「土地は2~3ヘクタールは必要ですね」
「ヘクタール!?」
仮に家で飼うとしよう。今回は椿トレーナーの家である、トレセン学園近くにある四畳半のアパートだ。まあ、VRなので安心してね?
「なんで私が暮らしてるアパート!?」
椿トレーナーの実家である明石家のそこそこ大きな一軒家でも良かったが、都内での若者は一軒家よりもマンションやアパートで暮らしてる人が多いと思われるので此処にした。
「小型と言っても500キロあります」
「ほぼ占拠されてるだけど!!」
因みに牛さんが窓に寄りかかっただけで、簡単に窓ガラスは割れる。
「窓ガラスが割れた!?冷暖房のエアコン使えないよ!」
そして牛さんは犬猫と違って、うんちは何処でもやります。1日の量はなんと、20~50キロ。トイレの始末は飼い主の責任です。
「あと、牛さんは暑さに弱いです。夏は冷房を一日中つけてください」
「電気代が!!」
「寝床は柔らかい所で、つまり畳です」
「畳代が!!」
「飲み水は1日100リットルですね」
「水道代が!!」
「あと、仮に亡くなったら人力で運べないので、ウィンチで引っ張り出します」
「家の壁が!!」
結論、一般家庭で牛をペットにするのは無理!!
因みに、農業すると……筋肉が着きますよ。ウマ娘の皆、農業をするのだ!!
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