百姓スペちゃん~このニンジンあげません!! 作:牛乳大好き
20××年 トレセン学園
「キズナちゃん、噂の百姓スペちゃん買ったんだ」
「まあね」
少し年季が入ってきたトレセン学園。そんなトレセン学園の学生寮、そこではキズナと呼ばれたウマ娘……どことなく弟くんに似ている少女が友人達と話をしていたのだが、1人の友人が『百姓スペちゃん』の漫画を見つけて手に取る。
「これ、面白いけど、絶対に盛ってるでしょ!!」
「だよね、特に親父殿の所!!いや、ありえないっしょ!!面白いから良いけどさ」
友人2人も百姓スペちゃんを読んでいるのだろう。読んでみて、百姓スペちゃんに出てきた親父殿の出鱈目っぷりに驚きながらも「これ、絶対に話を盛っている」と判断したようだ。無理もないだろう、いくらノンフィクションのお話でも多少面白くする為に話を盛るのは良くあることだ。
「いや、盛ってないよ。それどころか控えめに書いてるね」
「「えっ?」」
だが、キズナが友人達の言葉を訂正するように告げた。
「ヒグマ撃退エピソードないし、アメリカトレセンアカデミーの話ないし、中央トレセン学園のトレーナー時代の話書いてないしね。公に話してOKな所だけだね」
「「えっ?」」
「だって親父殿は私のお爺ちゃんで、書いてるの伯母だもん」
キズナからのカミングアウト!!そう、キズナはスペちゃんの姪っ子であり、親父殿の孫なのだから!!
「車で川飛び越えたのも!?」
「本当。私が産まれる前の話だけど」
「真冬の北海道で、風呂上がりのパン一で牛舎に行ったのも!?」
「本当。今は裸ジャケット+だけど」
「「親父殿やヴぇぇぇぇ!!」」
今日はそんな親父殿のお話し。
親父殿……本名はサン○ーサイ○ンス。アメリカ出身であり、忌み子だったかも知れないと自分で言っていた無敵の人物、産まれた当初は「コイツが名前を残すのは死んだ時だけだ」と笑われたが、持ち前の根性でそれらを否定した。
親父殿はアーサーという養父に引き取られ、名前はストローという老夫婦が名付け親と成ってくれた。娘であるスペちゃんにもアメリカ時代の話をあんまりしないが……
「しっぬぅぅぅぅ!!危なっ!!」
小学校卒業した後、乗っていたバスの運転手が心臓発作を起こしてしまい、大事故を引き起こす。しかし、親父殿は何事もなく生き残る!!
「おおう、息子よ。お前の為に曲を作ったよ」
「ブラボーブラボー、良い曲だぜアーサー!」
「まだ歌ってないからね!?」
アーサーが親父殿の為に曲を作ってくれることもあり、親父殿はアーサーという養父と巡り会えたことは幸せだったかも知れない。
しかし、そんなアーサーと親父殿も別れが訪れる。
「アーサー。俺、日本に行くわ」
「それで良い……お前はこの国に居てはいけない。必ず、幸せに成るんだ」
親父殿は中学卒業と共に、養父アーサーと別れて単身日本に旅立った。そこで、お母ちゃん……キャンペンガールとその親友であり、共に牧場を経営するティナおばさんと出会うことに成ったのだ。
「ねえ、サンデー。ティナから誘われたんだけどお家の牧場、共同で経営しない?」
スペちゃんが産まれる少し前、親父殿とキャンペンガールは東京で過ごしていた。東京は都会で医療設備が色々と整っているが、空気が汚い。
北海道は確かに空気が綺麗だが、試される大地であり冬は-20度に成ることも多々ある。悩んだ親父殿は……
「行く」
親父殿は訳有って東京に見切りをつけており、ティナの誘いにのった。そしてこの瞬間、親父殿とキャンペンガールの生存フラグが立ち上ぼる、正史ウマ娘ルートから百姓スペちゃんルートへと路線が切り替わった瞬間である。
スペちゃんが産まれて少したった後……なんか、3ヶ月間胸が痛かった親父殿は病院に行くと……
「えっ!?あんたマジかよ!?致死性の心臓病を3ヶ月間、気合いと根性だけで押さえ込んだの!?てか治ってるぅぅぅぅ!!」
「へー、流石は俺」
なんと親父殿、致死性の心臓病(史実での蹄葉炎、史実のサンデーサイレンスは精神力だけで3ヶ月症状を押さえ込んでいた)に成っていたが、精神力だけで耐えてしまい治してしまったのだ。
スペちゃんもすくすく育ち、親父殿が何処から弟くんを拾ってきた後の事。
「あー、良い風呂だった」
「お父ちゃん、お風呂上がりは服着なよ」
親父殿は風呂上がり、ブリーフ一丁であった。そんな時……
「モー」
牛舎から牛の声が響く。牛が声を出したという事はなにかが起こり、飼い主を呼んでいる証である。
「声から察するに、牛の出産が始まったな」
当時は12月、冬であり外は-10℃~-20℃という極寒の大地だ。しかし、親父殿はブリーフ一丁で……
「行ってくる」
「お父ちゃぁぁぁぁぁぁん!?」
牛舎に向かった。なんでも親父殿曰く、牛の出産でどうせ汚れるし、汚れるならパン一で良いだろうとのこと。
親父殿の頑丈さはこれだけではない。
「いてーな」
あるとき、牛舎の手入れをしているときに、屋根から落下……無傷!!
「いて」
農工車の整備をしている時に落下、無傷!!
ダンプカーで排水路に落下、無傷!!
「よいしょっと」
「ダンプカー持ち上げた!?」
これでも少ないほどであり、親父殿は人間を超えている。外に出るときは常に帽子を被っているが……気にしてはいけない。
そんな親父殿であるが、スペちゃんや弟くんを含めて子供達が楽しめるように、北海道の寒さを用いて自家製スケートリンクを作ってくれた事がある。
「お父ちゃん!凄いな!!」
「プイプーイ!!どうやって作ったの!?」
これにはスペちゃん達だけではなく、近所の子供達や輓馬トレセンの生徒達も興味深そうに見ていた。しかし、良く見ると、この自家製スケートリンク……ほのかに黄色かったのだ。
「お父ちゃん……これってもしかして」
「あれで作った」
親父殿が指差した方向には、牛の屎尿処理車……つまりバキュームカーが有ったのだ!親父殿はバキュームカーを改造し、水を散布出来るようにしてスケートリンクを作ったのだ。
「汚いな!?洗ったのお父ちゃん!!」
「洗ったぞ、軽くな」
「「軽く!?」」
絶対に転けたくないスケートリンクの誕生であった。
農作業車を使った親父殿の暴走はこの程度ではない。テンポイントがトレセン学園を中退し、大蝦夷農業高校に転入した後の事だ。
この日、スペちゃんと弟くんはテンポイント、そしてテンポイントが大蝦夷農業高校……通称エゾノーで仲良くなった御影ちゃん、八軒くん、駒場くんと共に川で釣りをしていた時だった。
「テンポイントは辞めて良かったのか?」
「有馬記念優勝の夢は果たせたけど、凱旋門賞はいきたかったな……今は新しい夢を探してる時だけど」
ギプスが外れ、軽く走れるようになったテンポイントを連れての釣り。
「スペちゃんとディープちゃんはどうするの?将来はエゾノー?トレセン学園?」
「私どうしようかな?」
その時だった……
「がきども!!釣れてるか?」
親父殿……トラクターで降臨!!
「ぼちぼちですね」
筋肉質の野球少年、駒場くんがそう言うと親父殿は笑みを浮かべた。
「よし、俺が下流から魚を追い込んでやろう!!」
親父殿はトラクターで川に入り、魚を追い込んできたのだ!!
「トラクターで川の中走ってきよったぁぁぁあ!!」
メガネをかけた八軒くんがツッコミを叫ぶが、エンジンという物は水が入ればダメに成ってしまう。
ぷすん……と親父殿を乗せたトラクターは沈黙した。
「あっ……エンジンに水はいった」
「トラクターが沈黙したぁぁ!!」
「この人……やっぱりバカだろぉぉお!!」
「いや、アホだろぉぉお!!」
そして親父殿は軽トラでも止まらない。
ある日のこと、大雨が降った時だった。
「あー、死ぬかと思った」
軽トラで出掛けた筈の親父殿が徒歩で帰ってきたのだ。
「お父ちゃんお帰り……あれ?軽トラは?」
「ああ。川が増水したから、営農用水の水源を確認してきたんだが……」
サンデー牧場が使う営農用水の水源はちょっとした堤防の橋……小高い丘を超えた先にある。その堤防の橋の下にはちょっとした川が流れており、親父殿は何時も通り軽トラのアクセルを吹かして走っていたが……
「その川が増水して橋が無くなってた」
「あぶな!!でも、無事ってことはブレーキが間に合ったんだね」
「いや、間に合わない。だからな……」
しかし、川のは増水の影響で掛かっていた橋が壊れていた。親父殿はブレーキを踏もうとするが、もう間に合わない。だからこそ、親父殿は……
「おもいっきりアクセルを踏んで加速して、向こう岸に着地してドリフトした。その後は軽トラおいて、歩いて帰ってきた」
「誰か、お父ちゃんをハリウッドに連れて行けぇぇぇ!!」
おもいっきりアクセルを踏み込んで、向こう岸に飛んで着地したのだ。着地した後は華麗にドリフトを決めて、停止した程である。
荒川先生の親父殿は出鱈目ですな……マジで
もし、番外編を書くなら?荒川ワールド全開に成るかも
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