仮面ライダーハーメルンジェネレーションズ THE LOST CHILDREN   作:黒井福

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どうも、黒井です。

今回でコラボ編もラストとなります。


第10話:訪れる別れ

 デイナとアズール、2人の仮面ライダーによりアラクネデリーターと言う未知の敵は倒された。その頃には先に暴れていたメタローによる被害は修復され、街に残った傷痕は結果的にデリーターとの戦いによるものだけとなっていた。それは決して小さな被害では無かったが、それでも当初の被害に比べれば圧倒的にちいさなものとなっていた。

 

 そんな街の中で、奇跡的にデリーターとの戦闘の余波を受ける事の無かった喫茶店Hamelnにて、仮面ライダー達は戦いの疲れを一杯のコーヒーで癒していた。

 

「ふぅ~……とりあえずこれで一件落着……かな?」

「そうですね。僕らをこの世界に連れてきたメタローって奴は倒せたし、そいつらと関係あるか分からないけどあのアラクネみたいな怪人も倒せましたし」

「アヤ、足は本当に大丈夫?」

「えぇ、ご心配なく」

 

 アラクネデリーターが倒れた直後、デイナは即座にルーナへと近付きスコーピオンメタローの毒により焼かれた彼女の足を治療した。ニュージェネレーションフォームのデイナは同じ超万能細胞を自他関係なく自在に操る事が出来る。その能力を用いて、彼は彼女の足の細胞を活性化させ治癒させたのだ。

 尤も強制的に細胞を活性化させ治癒を優先させることは、本人にとってもかなりの負担となる為治療を施されている数秒の間彼女は激痛に奥歯を食い縛って痛みに耐えていた。その光景はそれはそれで痛々しく、翔とアシュリィは本当に大丈夫なのかと見ていて不安を感じていた。

 

 そんな事がありながらも、無事に敵を倒せた彼らは掴み取った平和を温かなコーヒーの苦みと共に噛み締める。落ち着いた様子の彼らに対し、興奮冷めやらぬ様子なのは章太郎であった。

 

「仁兄ちゃん、翔兄ちゃん! 2人共凄かったよッ! 流石仮面ライダーッ! カッコいいッ!」

「こらこら、章太郎。皆疲れてるんだから、そんながっつくんじゃない」

 

 既に何度かもくげきしてはいるが、やはり目の前で仮面ライダーが実際に戦う様子を見るのはテレビなんかで見るのとは訳が違うのか未だに興奮の熱が冷めない章太郎。彼が仁達に詰め寄るのを、権兵衛は頭を軽く小突いて宥めながら引き離し、彼らへの労いと感謝を込めて作ったサンドイッチを乗せた大皿をテーブルの上に置いた。

 

「ともあれ、本当にありがとう。皆が居てくれなかったら今頃街も俺達もどうなっていたか分からない」

「いえ、助かったのはこっちもです。権兵衛さんのお陰で、僕らは皆万全の状態でアイツらと戦う事が出来たんです」

「拠点の有無はやっぱり重要だよね。短い間ですけど、滞在させていただいて本当に感謝してます」

 

 互いに感謝し合う仁、翔と権兵衛。亜矢とアシュリィも口々に感謝を述べ、そして脅威が居なくなった事への安堵と同時に感じた空腹に促されるままにサンドイッチを思い思いに頬張る。疲れた体に、サンドイッチの優しい味が染み渡った。

 

「ん~! カレーも美味しかったけど、サンドイッチも最高! 」

「愛衣ちゃんも食べる?」

「ん!」

「雄司、こっちおいで」

「章太郎君、君も食べよう?」

「うん!」

 

 訪れた平穏を、章太郎も共に味わった。ここに居るのは彼が知るどの仮面ライダーとも違うが、しかし確かに平和の為に戦う仮面ライダーだ。その彼らの戦いに、僅かながら貢献出来た事とこうして平和を分かち合える事が何より嬉しくて、そして誇らしかった。

 

 暫し彼らは談笑を交えつつ、戦いの疲れを心身共に癒していた。そんな中で雰囲気を変えたのは、アシュリィが何気なく口にしたこの一言だった。

 

「そう言えば、どうやって帰ろう……」

 

 彼女のその一言が響いた瞬間、その場の全員の動きがピタリと止まった。そう、章太郎や権兵衛など元からこの世界の住人であればともかく、それ以外の仮面ライダー関係者は全員元居た世界があるのだ。そして彼らは、その元居た世界から半ば強制的にこの世界に来てしまった。

 メタロー達が居る間はこの世界に用事があったので気にしている余裕も無かったが、明確な敵が居なくなった今、次に考えることが元居た世界への帰還になるのは当然の流れであった。

 

 最後にして最大の問題を前に、翔は思わず頭を抱えた。

 

「そうだった……アシュリィちゃんはアイツに無理矢理この世界に連れていかれたし、僕もアイツにくっついて来たから帰り方が無いんだった……」

「仁くん、どうしましょう……」

「どうするって……帰らない訳にもいかないけど、帰り方がなぁ……前とはまた状況違うし」

 

 仁と亜矢は、この一件以前にも異世界に渡った事がある。ただその時は世界渡航を可能とする能力を持つ者の力あっての事であり、間違っても2人が能動的に世界を渡る能力を持っている訳では無いのだ。

 だから今回の様に、完全に不可抗力に近い形で異世界に居る今、帰り方が分からず途方に暮れてしまっていた。

 

「え~!? 兄ちゃん達帰っちゃうの!?」

「そりゃ彼らにも帰る場所があるんだから当たり前だろう」

「そうだけど……もうちょっとここに居ても……」

 

 彼らにも帰らなければならない場所があるという事は章太郎自身も理解している。だが、同時に憧れの実在する仮面ライダーとの邂逅が終わってしまう事に名残惜しさを感じているのも事実だった。これまでにこの世界に訪れた仮面ライダー達も最後には去っていってしまっていたが、この別れの瞬間はどうにも慣れるものではない。

 

「ゴメンね? 僕らにも帰らなきゃならない場所とか、帰りを待ってくれてる人が居てくれるから」

「…………あれ? そう言えば仁君、どうやってこの世界に来たんだっけ?」

 

 この店で再会できた時は、子供達の安全な姿や愛する仁とまた会えた喜びですっかり安心しきってしまっていたが、そう言えば仁はスコーピオンメタローに無理やり連れてこられたわけでは無かった事を真矢が思い出す。メタローが関わっていないにも拘らず、彼はどうやってこの世界に渡って来たのか?

 ここで仁もそこに関しては詳しく話していなかった事を思い出し、その時の事を皆に告げた。

 

「えっとね、信じられないかもしれないけど俺の場合は公衆電話でこの世界に来たんだ」

「「「公衆電話?」」」

 

 世界を渡る物としてはあまりにも違和感を感じずにはいられない物の名前が出た事に、真矢だけでなく翔とアシュリィも頭のハテナマークを浮かべて首を傾げる。彼女らの気持ちも分かる仁は、出来る限り全員に分かりやすいように話す事を心掛けた。

 と言っても、本当に言葉通りだから分かり易くもへったくれも無いのではあるが…………

 

「どういう事、仁君?」

「そのままさ。真矢さん達が俺達の世界から居なくなった直後、俺もその場に居たんだけどね。どうやって追いかければいいのかって途方に暮れてたら、何も無かった場所に変な公衆電話があって…………!」

「仁さん?」

「どうしたの?」

 

 突然仁が言葉を区切り、店の外の方を凝視した。どうしたのかと全員がガラス越しに外を見れば、そこには何もなかった筈の場所にポツンと佇む奇妙な公衆電話の電話ボックスが二つあった。まさかと思い真矢がそれを指差すと、仁は小さく頷いた。

 

「仁君? もしかして、あれ?」

「うん、そうだ……確かにあれだ」

「あんな場所に電話ボックスなんてなかった筈だぞ?」

 

 長年この場所に居を構えていた権兵衛だからこそ即座にそれが異質である事が分かった。まぁ尤も、電話ボックスのある場所が道のど真ん中と言う普通ならあり得ない場所なので、例え彼でなくてもその電話ボックスが異常であるという事は即座に看破できたであろう。

 

 仁達は急いで席を立ち、店の外に出てその電話ボックスに近付いた。すると彼らを待っていたかのように、公衆電話からはそれぞれ着信音が鳴り響き始める。

 それを見て仁は漠然とだが何かを理解した様子で頷いた。

 

「なるほど……そう言う事か」

「どういう事?」

「この世界での俺達の役割は、もう終わったって事だよ。用事が済んだから帰ってヨシ、って事じゃないかな?」

 

 勿論この電話ボックスをこの場に出現させた者の意図が分からないので、本当にそんな事を考えているのかは定かではない。だが騒動が終わった今になって、これがこの場に出現した事には必ず意味がある。仁はそう考え、そして翔はこの電話ボックスに希望を抱いた。

 

「これを使えば、元の世界に?」

「多分ね」

 

 とは言え不安が無いわけではない。唯一の懸念はどちらがどちらへの帰りの切符か分からない事だ。これでもし、適当に選んだ方が互い違いの世界に向かう物であった場合、お互いに何も知らない世界に降り立つ事になってしまう。

 

 それでも、彼らに選択肢と言うものは存在しない。これが現状彼らが元の世界に帰る為の唯一の手段となり得るのであれば、それに賭けない理由は無かった。

 それにそこまで心配する程の事も無いのでは、と言うのが彼らの見解だった。もしこの公衆電話自体かそれに関わる者に意思があり、その意思が行き先を選んでいるのだとすれば、分かれて入れば自動的に元の世界に繋がる筈である。

 

「よし、行こう」

「はい」

 

 仁と亜矢がそれぞれ子供達を抱き上げて電話ボックスに近付き、翔とアシュリィもそれに続く。その際、彼らは振り返り権兵衛と章太郎に別れを告げた。

 

「それじゃ、権兵衛さん、章太郎君。本当にありがとう」

「本当に助かりました」

「またどこかで……って、会える保証はどこにもないですけど、お元気で」

「じゃあね」

 

 思い思いに別れを告げる仮面ライダー達に、章太郎は尚も名残惜しそうにしていた。

 

「兄ちゃん達……」

「ほら、章太郎」

 

 名残を惜しんで別れの言葉が出て来ない章太郎に、権兵衛が先を促そうとする。その様子に仁と翔は頷き合うと、仁は雄司を一度その場に下ろし翔と共に章太郎に近付きそれぞれ彼の肩に手を置く。

 

「大丈夫。もしかしたらだけど、また会えるよ」

「ッ!」

 

 仁の言葉に弾かれた様に章太郎が顔を上げると、翔が彼を元気づけるように言葉を紡いだ。

 

「話を聞く限り、仮面ライダーツルギ……御剣 燐って人は、何度かこの世界に来てるんでしょ?」

「あの電話ボックスは、この世界と何か関りがある。俺はそう思う。それが何かは分からないけれど……」

「もしあれが、この世界の危機に僕らみたいな仮面ライダーを呼ぶ為にあるのだとすれば、きっとまた会える筈」

「だからその時まで、暫くのお別れだ」

「もしまた何かあったら、その時はまた僕らが助けに来るから」

 

 その言葉は奇しくも、最初にこの世界にやってきた異世界の仮面ライダーである仮面ライダーデュオル事、双連寺 ムゲンが発した言葉を同じ物であった。事実あの後、この世界にはツルギが何度か訪れていた。不可抗力的な理由により来訪する場合もあるが、それでも確かにこの世界が仮面ライダーを引き寄せていると言う感じはあった。

 

 であるならば、彼らが再びこの世界に呼ばれてこないとも限らない。章太郎はそう自身を納得させると、目元に浮かんだ涙を拭って顔を上げた。

 

「分かったよ。仁兄ちゃん、翔兄ちゃん、またね!」

「ん、またね」

「次に会う時まで、元気でいてね」

 

 仁が肩を優しく叩き、翔が頭を撫でる。2人の仮面ライダーとの触れ合いに、章太郎がこそばゆさに笑みを浮かべる。

 

「それじゃ、今度こそお別れだ」

「権兵衛さん、改めてありがとうございました」

「こっちこそ、この子に付き合ってくれて感謝してる。また来ることがあったら、遠慮なく頼ってくれ」

「はい」

 

 そして、2人は共に愛する者の元へと向かい、そして今一度互いに顔を見合わせた。僅かな時間とは言え、共に轡を並べて戦った事で仁と翔の間には友情の様な感覚が芽生えていた。故に2人は、別れの際に多くの言葉を必要としない。告げる言葉はシンプルであった。

 

「それじゃ……翔君」

「はい、仁さん」

 

「「またどこかで」」

 

 その言葉と共に彼らはそれぞれ電話ボックスに入る。その際愛衣は、アシュリィとの別れを感じて章太郎以上にぐずり始めた。

 

「やぁ~!? おねえちゃん、おねえちゃ~ん!?」

「こら、愛衣! 駄目よ、我儘言っちゃ」

「やだぁ!? や~だ~!?」

 

 泣きじゃくって別れを嫌がる愛衣の姿に、母性に近いものを刺激されたアシュリィが駆け寄った。近付いて来たアシュリィに愛衣が手を伸ばすと、彼女はその手を優しく取り自分を呼ぶ声に静かに答えた。

 

「大丈夫だよ。ショウとジンも言ってた。また会えるって。私達も、何時かまた会えるから安心して」

「グスッ、う゛~……」

「いい子だから……ね?」

「ん゛ぅ……う゛ん゛」

「よしよし」

 

 亜矢が身をかがめてくれた為、アシュリィの手が愛衣の頭に届くようになる。漸く聞き分けた彼女の頭をアシュリィは優しく撫で、そこで愛衣もやっと落ち着いた。

 

「おねえちゃん……ばいばい」

「うん、バイバイ」

「ばいば~い」

「雄司もバイバイ。いい子でね」

 

 しゃくり上げながらもちゃんと別れの挨拶が出来た愛衣に続き、雄司とも別れを告げたアシュリィは踵を返して翔の元へと向かう。その際に目元を拭う仕草をしたように見えたのは、きっと亜矢の気のせいではないだろう。

 

 そうして別れが済んだところで、彼らはそれぞれ別の電話ボックスへと入り扉を閉める。そして着信音を響かせる受話器を手に取り、耳にそっと当てた。

 

「もしもし……?」

 

 仁が電話ボックスでこの世界に来る時は、幼い子供が必死に仮面ライダーに助ける声が響いていた。だが今回は、受話器からは何の声も聞こえてこない。暫く応答がないかと受話器を耳に当てながら何気なく外に目を向けると、そこは既に先程まで居た場所では無かった。

 

「あっ……」

「どうしました、仁くん?」

「外……帰って来たみたいだ」

「え?」

 

 仁の言葉に亜矢も周囲を見渡す。するとそこには、近くにあったもう一つの電話ボックスは勿論Hamelnの姿もどこにもなかった。そして何より、亜矢にはこの場所に見覚えがある。そう、スコーピオンメタローと最初に遭遇したあの場所だ。

 

 2人は我が子を抱き上げながら電話ボックスから出て、そして周囲をじっくりと見渡す。そこはやはり、世界を渡る前に居たあの場所に間違いない。

 

 ただ一つ違うところがあるとすれば…………

 

「門守君ッ!?」

 

 現場の周囲を、S.B.C.T.が取り囲んでいる事だろうか。恐らくは彼らが世界を渡る前に起こった騒動を調べる為現場に出動してきたのだろう。慎司の率いるαチームが周囲を警戒していた。

 

「い、一体どこから来たんですッ!? さっきまで誰も居なかった筈なのにッ!?」

「え~っと……何から話せばいいのか……」

 

 この状況、恐らくそのまま話せば下手をすると正気を疑われる。だが偽りなく答えるしかない状況に、仁も亜矢も揃って乾いた笑いを浮かべるしかない。

 

 2人の様子から何かがあった事を何となくだが察した慎司は、詳しい話を聞けるよう場所を移す事を提案した。

 

「とりあえず、2人共こちらに。お子さん達も」

「ん、ありがと」

 

 慎司に案内されその場を離れる仁達一家。その際彼は、今一度先程まで電話ボックスがあった所を見る。案の定そこにはあった筈の電話ボックスは影も形も無くなっていたが、それでも仁はこの場に居ない翔の存在をまだどこかに感じていた。

 

 故に彼は、その場で足を止めるとどこか別の世界に居る翔に向けて言葉を発した。

 

「……またね、翔君。仮面ライダーアズール」

「ん~……ばいば~い」

 

 父に触発されてか、雄司が何もない所に向けて手を振るのだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 一方、翔とアシュリィも無事に自分達の世界へと戻ってきていた。仁同様、受話器を取っても何の応答も無く、翔が違和感を感じていると不意にアシュリィが違和感を感じ周囲を見てそこでようやく自分達が元居た世界に戻ってきていた事を知った。

 

「ショウッ! 外見てッ!」

「え? 何が……えッ!?」

 

 見渡せば、電話ボックスの外に広がるのは見慣れた景色。その景色に引き寄せられるように外に出て、そしてふと振り返ればそこにはさっきまであった筈に電話ボックスは影も形もなくなっていた。その事に翔は束の間寂しさを感じるが、しかし再会の時を信じ小さく笑みを浮かべる。

 

「(また、会えますよね)……さ、帰ろっか?」

「うん」

 

 胸に感じた寂しさに蓋をして、翔はアシュリィと共にその場を離れる。見渡せば景色自体は同じだが、日の傾き具合が記憶にある景色と異なっている。あれからどれだけの時が経っているのか分からないが、少なくとも1分2分程度ではない事は確かだ。きっとみんな心配している。早く帰って、自分達の無事を知らせなければ。

 

 アシュリィの手を引いて我が家に帰ろうとする翔だったが、その刹那彼はふと隣を歩くアシュリィを見た。その時彼女の目には、僅かながら涙が浮かんでいるのが見える。

 彼女が何に対して涙を流そうとしているのか、容易に想像ついた翔は思わず彼女に声を掛けた。

 

「愛衣ちゃんの事がそんなに恋しい?」

「ッ! べ、別に……」

 

 翔に図星を指摘され、恥ずかしさに思わず顔だけを背けるアシュリィの姿に翔は微笑ましさを禁じ得ず小さく噴き出してしまう。彼が思わず拭いてしまった事にアシュリィが彼をムッとした顔で睨むと、翔は申し訳なさそうに彼女に頭を下げながら告げた。

 

「ゴメンゴメン。でも大丈夫だよ。心配しなくても、何時かきっと会える」

「何で、そう言えるの?」

 

 そのアシュリィからの問いに対して、明確な答えを翔は持っていなかった。今言った言葉は半ば勘に近いものであり、確証を言えるものは何もない。

 

 だが翔は、その勘が決してそこまで的外れではない事を漠然とだが察していた。

 

「何となく、かな」

「何となく……」

「そ、何となく。でも、自信を持って言えるよ」

「だから何で?」

「それは……」

 

 それに対する答えは、最早彼にとって一つだけであった。

 

「僕も仁さんも、仮面ライダーだから……じゃあ、答えになってないかな?」

 

 何とも曖昧にも程がある答えだ。常識的に考えれば、納得など出来ようはずもない。しかし…………

 

「ん……そっか、そうだね」

 

 翔と同じ仮面ライダーであり、また仁達と同じ時を過ごしたアシュリィを納得させるには十分な理由であった。今回の出会いはきっと偶然ではない。仮面ライダー同士はいざと言う時に引かれ合う。共に巨悪に立ち向かう為に……。だからきっと何時か会える。仁や亜矢だけでなく、その家族とも……そう信じると、胸に感じる穴が空いた様な寂しさも幾分かマシになった様に感じられた。

 

 アシュリィが少しだが元気になり、翔が満足そうに歩き出す。

 

 その時、不意に彼の耳にどこか遠くからの声が届いたような気がした。

 

――またね、翔君。仮面ライダーアズール

 

「ッ!」

「ショウ?」

 

 突然立ち止まり振り返った翔の姿に、アシュリィが何事かと首を傾げる。恋人のそんな姿も無視して翔は暫し周囲を見渡し、そして肩から力を抜くとフッと笑みを浮かべながら言葉を紡いだ。

 

「……また会いましょう、仁さん……仮面ライダーデイナ」

「ショウ、どうしたの?」

「ううん、何でもない。さ、行こうか」

 

 不思議そうにするアシュリィの手を引き、愛する家族が待つ家へと向け歩みを進める翔。

 

 その胸にあるのは、遠く離れた世界で今後も戦いを続けるだろう新たな仲間に対する敬意と健闘を祈る心。そして再会を願う気持ちであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この物語はここで終わるが、しかし仮面ライダーの物語はこれからも続いていく。

 

 そう、これからも………………




ここまで読んでいただきありがとうございました!

これにてデイナとアズールのコラボは終了となります。両作品を知ってる方は勿論、これを機にデイナやアズールと言う作品を知った方がそれぞれの作品を楽しんでいただけると幸いです。

改めましてコラボを承諾してくださり、正気山脈様には感謝です。ありがとうございました。

執筆の糧となりますので、感想評価その他よろしくお願いします!

それでは。
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