「ジャック?!」
刀を抜いて漆黒の刀身をみているとジャックの様子が変化した。刀を見つめたまま、突然、膝を折り、頭を抑え始めた。けれど、すぐに頭を抑えていた手を下ろした。
何で当然、頭を?この刀が原因?いや、それよりも、ジャックにが無事か確認しないと。
多少焦りながらジャックへ向けて声をかける。
「ジャック大丈夫?ジャック?」
意識がない?おそらく、原因はこの刀を抜いた事、早く、刀を鞘に収めないといけない気がする。
彼が膝を付いた時に手からこぼれた鞘を拾い、刀を収めようとすると彼の体が急に動き出し、手に握る刀を振るう。普段の彼の持つ美しく、無駄のない太刀筋ではなく、荒々しく振るわれた獣のような一撃。何とか避ける事ができたが、振るわれた軌道にあった物が斬り裂かれただけでなく、彼の持つ刀の長さでは、到底届かないであろう物までもが斬られていた。
「ジャック?」
彼の姿を見てみると顔には、痣が浮かび、瞳は赤く染り、額からは角のような物が生えてきている。とても、正常な状態とは思えない。
早く、鞘に刀を収めないと彼も、私も危ない。急がな……
確かに警戒して見続けていたはずなのに、気づいたら彼の姿が眼の前にあり、刀が振るわれようとしていた。何とか反射的に地面を蹴り、横に飛ぶ事で彼の斬撃を回避できた。
速い!危ない。ギリギリまで反応すらできなかった。次か来る!
一文字に振るわれる軌道の斬撃をギリギリの所で体勢を下げる。私の頭の上を刀が通過すると、やはり、刃が届いていないはずの壁が斬り裂かれていた。
やっぱり、刀の間合い関係無しに、物が斬られてる。刀の軌道の延長線上にいると問答無用で斬られてるみたい。なら、突きならどうなる?
彼の体を蹴り、突きを誘うような体勢をする。彼の突きが始まると同時に横に避け、背後に一瞬目を向ける。やはり、突きの方向にあった物が刀に貫かれたような跡が残っていた。
刀身を一瞬で伸縮させてる?そう考えれば、刀の見た目の間合いを無視して物を斬ったり、突いたりする事ができるはず。なら狙うのは、刀を振る、もしくは、突いた直後の縮んだ状態の刀を鞘に収めるしかない。注意事項は、絶対に刀の軌道の延長線上にいちゃいけないことね。さあ、うちの課長を助けてあげますか。
「少し待っていてください。今、助けて上げますよ課長」
攻撃のタイミングを相手に委ねたら、押しつぶされる。なら、私から接近して、攻撃を引き出す!
地面を蹴り、彼に向けて駆け出す。それと同時に、彼の姿が消え、背後から凄まじい殺気を感じ、とっさに前に飛び、受け身を取り振り返るとそこにはもういなかった。気配を頼りに、彼の攻撃を捌くが、どんどん攻撃と攻撃の間の時間が短くなっていく。
こっちからリズムを作らせてもらえない。どうする?どうにかしてリズムをこっちに持ってこないと、力任せだから、防げているけど、このままだと押し負けちゃうね。それに、あの刀の特性が厄介この上ない。攻撃の間合いは軌道の延長線上。基本的に斬れない物はないと思った方が懸命ね。この鞘だけは例外の可能性は?他にいい案も無いことだし、試せる事試していきますか。
動きは見えない。けど、攻撃の瞬間動きを止めて剣を振るう、その瞬間が狙い目。来た、背後。刀の軌道は、上段からの斬り下ろし。鞘だけを刀の軌道上に残して他は離脱。さあ、頼むから斬れないで。
甲高い金属音がし、鞘に触れた刀が見事に弾かれ、彼が体勢を崩していた。良し!これで、選択肢が増えた。それに、今のでリズムを切れた。今のうちに畳み掛けて、刀を手放せさせる!
ジャックの懐に踏み込み、手に持った鞘を振るい、彼が握っていた刀を叩く。そうすると、更に彼の体勢は崩れ、地面に倒れようとした瞬間、地面の揺れと轟音と共に彼の姿が消え、気配が背後にあった。
なん……で。もう、このタイミング逃げられ……。
振り返り様に見たのは、私に向けて上段から放たれた唐竹割りが迫り、私を斬らんとする瞬間だった。
最終回の方向性について(エンディング)
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幸せでもいいじゃない(ハッピーエンド)
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最後まで都市らしく(バットエンド)