第23話 霧のマチ/贋作者
本来そこにあるはずのない、刀はその場に現れ、ひとりでに鞘から抜かれた。さっきまでの熱は、消え、霧が立ち込める。
――人とは何かしら?――
霧の幻想が辺りに町を映し出す。都市では、存在えない。生きている街。人が行き交い、誰しもが前向きに顔を上げ、笑っている。この場所において不相応なその光景にそれを見る者を混乱させる。しかし、その町が淀み、黝ずみ、少しずつ鈍化していく。
――生きるとはどのようなことなの?――
動きが完全に停止したと同時、町の体をなしていたものが溶け始める。形を崩し、元の美しい白亜の町並みが消えていく。何も残らず、何も成すことができなかったとある幼年の心のように。
――私達をつなぐものは?――
[それは、物語だ。]
[誰もが
今、幻想を捨てようとする1人がこの地に淀んだ白亜の町を炉心へくべて立つ。霧は晴れ、ドリーの前に霧によって作られた19世紀のスーツと和服の中間のような服装を身に纏い、体中には青黒い痣が浮き上がり、胸には、手に握る刀とは、別の一振の刀が突き刺さってあるなんと形容するべきかわからないそれと対峙する事となる。
――ドリー視点――
霧が幻想の町を映す。それが淀み、溶け、
霧が全て集約し終わった。やっと本当のねじれが見る事ができる。その期待は、裏切られる。姿がない。消えた?いや、違うあの圧迫感が消えていない。なら、どこへ?急に片足の感覚が消え、地面に倒れる。確認する必要はなかった。目の前に俺の足がある。立とうと力を入れようとした途端にその箇所が無くなった。数秒もせず、見事に頭だけ残され、他は骨粉になった。摩訶不思議、正しくねじれ。動く気配も、揺らぎも、音も無く移動していた。瞬間移動とかの類いではないことしかわからない。
これが、本当のねじれ……俺が目指している領域。どうしたら、あそこに至る?製作者は、ねじれという存在を心理的形態の一種の具現と表現していた。それが何を意味するのか詳しい事はわからない。おそらくは、人間の心理的抑圧と発露の均衡が発露が弱まるなどの要因によって均衡が崩壊し、極度の心理的抑圧が生まれる。これは、重力は、あるのに地面がない為に永遠に落ち続けるのと同じだ。本来、抑圧とは、発露があるから存在する。しかし、突如として抑圧だけが残り、本来霧散するはずの抑圧が一定の領域を超え、
その上で、俺が持つこの特異点は借り物だ。なぜここまでバラバラにされて、生きているのか。単純だ。ねじれの核とも言える特異点が帰属する場所は、頭にしかないからだ。特異点の元の持ち主は、頭だけで生かされ、継ぎ接ぎに別の人間を繋がれ、そして、繋がれた人間の尊厳と言うべきものを壊された記憶を送り込まれ壊れた。確かにそれは、ねじれという形をとった。ドリーを産み出した研究の目的が複数のねじれの力を合成、もしくは、共存は、可能なのかというものだった。研究の成果としていえば、十分以上、複数のねじれの力が同居じたいはした。しかし、代わりに不完全な形となった。何故か記憶を刻まれようと、それは他人の記憶だ。ねじれとなるための閾値に至ろうと、本当の意味でねじれとなり得なかった。結局俺は、半端者だった。
だが、わかった。何が必要か!だからこそ、お前には、感謝を述べよう。俺に必要なものいや、不必要な物は、俺自身だった!さあ、去らばだ。永遠にさようなら。
最終回の方向性について(エンディング)
-
幸せでもいいじゃない(ハッピーエンド)
-
最後まで都市らしく(バットエンド)