奥へ消えていったセリナを見送ってこちらに向き直って口を開く。
リュウジ「セリナは許してやってくれないかな。義理とはいえ、ジャックの親として本気で心配してるんだ」
知っている。いつも俺の事を考えて、今使っている技術の基礎になっているのは、ほとんどがリュウジとセリナに教えてもらったものだ。人が死ぬのは、都市では当たり前なことだ。けれど、少しでも長く生きていてほしいといつも言って教えてくれていた。それでも、俺はフィクサーとして生きていく道を選んだ。何故かはわからない。けれど、今もあの日の旋律と黒い沈黙(彼女)の後ろ姿が焼き付いて離れない。
リュウジ「僕はジャックの考えを否定する気はないよ。それに、もう、一人前みたいだしね。さて……」
リュウジは椅子から立ち上がり、セリナが消えていった奥に歩いていく。
リュウジ「ジャック。一人前になったお前に僕らからの最後の贈り物をする。これ以降は、僕らは一人の人間として扱う。ついてきなさい」
リュウジの後をついていくと白い袴のような服に二人は着替えていた。二人が立つ奥には木の横開きの扉のような物がある。
セリナ「あんたには見せてこなかった私らの鍛冶場をみせてやる」
セリナは扉を開け、リュウジと共に中に入っていく。扉を開ける中から熱風が吹き荒れる。異常なほど高い気温おそらく中の温度は摂氏80度は超えている。その中に入り、赤い盃にセリナは腕を切り血を貯める。盃に血が貯まると腕から流れていた血は止まり、盃は鎚の形をとる。セリナはその鎚を手に取り、金床の前に立つ。リュウジも自身の血で作られた火箸を持ち、青白く輝く鍛冶炉の中へ火箸を入れる。何かを掴み、火箸を取り出すとオレンジ色に輝く金属が顔を出す。それが何かはわからない。しかし、すでにある程度形ができているように見える。
火箸で取り出したものを金床の上に置く。そうした瞬間に鍛冶場全体が青白い炎に包まれると同時に鍛冶場の温度は更に上昇し、呼吸しただけで肺が焼けると思えるほどの温度に達していた。青白い炎は人の腕の形をとり、セリナとリュウジの体に巻き付き二人の肌を焼く。セリナは、その事を気にも止めず鎚を振るう。鎚を振るう度に、打たれている物に鍛冶場の炎が圧縮され弾かれる。それを何度も繰り返し、刀の形を段々ととっていく。刀を打ち初めて刀を刃を研ぎ終わると炎は突然消え、二人の肌にあった炎に焼かれた火傷も同様になくなっていた。完成した刀身に柄と鍔をつけ、鞘に収める。
二人は俺等に向き直りセリナが口を開く。
セリナ「これで完成だ。受け取りな」
セリナは俺に完成した刀を渡してくる。
セリナ「一人前になったお前以上は、それに見合った男になりなジャック」
刀を鞘から抜き刀身が顕になる。青白く光を反射し、反りは浅く、先反りと呼ばれる部類の反り方をしている。刃文は角張ったような形をしている。
ユジャン「綺麗……」
セリナ「銘は忌凪(いまなぎ)。前に使っていたやつよりも軽く頑丈、切れ味も上がっているはずだ。ただし、軽く感じるのは、持ち主だけだ。実際には前のやつの2倍は重量がある」
確かに持った感触が以上に軽く感じる。羽のようだ。
セリナ「さっきも言ったが、それはお前さんが一人前になった証だ。失くすんじゃないよ」
「あぁ、ありがとう」
リュウジ「だいぶ、かかってちゃったんだ。二人共もう帰った方がいいね。玄関まで送るよ」
4人で玄関まで歩いて出る。
リュウジ「二人共、絶対また来なよ。僕とセリナはいつでも歓迎だからね。ユジャン僕らの息子を頼むよ。だいぶ危なかっしい所があるから支えてあげてほしい」
ユジャン「任せてください。課長を支えてみせます」
セリナ「そう言ってくれると安心だ」
セリナ・リュウジ「「いってらっしゃい(いってきな)」」
ジャック・ユジャン「「いってきます(お世話になりました)」」
最終回の方向性について(エンディング)
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幸せでもいいじゃない(ハッピーエンド)
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最後まで都市らしく(バットエンド)