都市の地獄の日々   作:語部歯車

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第8講 帰路

 予定になかった刀の入手後の現在、裏路地をユジャんと抜け帰路についている。裏路地の夜の時間まで、まだ、時間がある。歩いて帰っても十分間に合うだろう。しかし、鍛冶場にいる間ほとんど時間が経過していなかったみたいだ。まだ、暗くなって間もない。なるべく早めに帰りたい所だな。面倒な奴らに絡まれたくない。

 そういえば、ユジャンとはどこで解散にするか。安牌なのは支部に帰ってそこで解散することだな。後は、ユジャンの家まで送ってそこで解散か。普通に支部で解散でいいか。一応聞いてみてその反応次第といった所だな。

 

「ユジャン」

 

 ユジャン「ジャック課長なんでしょうか?」

 

「解散場所はどうする?問題がなければ支部まで戻ってそこで解散にするつもりだが」

 

 さて、反応はどうだ?

 

 ユジャン「迷惑でなければこの後、少し飲みませんか?聞きたい事もあるので」

 

 あ〜そうなったか。まあ、別にこの後に特段予定ないどころか少し暇だったし良いか。

 

「別にいいぞ。どこで飲む?」

 

 ユジャン「私いい所知っているんですが、支部の近くまで戻ったら案内します。楽しみにしといてください」

 

「わかった。楽しみさせてもらう」

 

 前も飲んだが、まあ、いいだろう。もしかしたら最後になるかもしれないからな。それにしても、相変わらず都市(ここ)の空は今日も暗いな。

 そんな事を思っているとこちら側に向けて歩いてきている男の一人が俺に当たりに来たのを避けて通り過ぎようとするとその男が何か持った手を俺に向けて振り抜いた。狙いは側頭部、腰に下げた忌凪を鍔に指をかけながら鞘を持ち、持ち上げ柄で男の攻撃を防ぐ。

 ネズミか。フィクサーに喧嘩を売るなんて何を考えているんだ?フィクサーに喧嘩を売ってはいけない事は分かっているはずだ。いや、ネズミになって時間があんまり経っていないということか。

 そんな風に考えていると、男は空いた反対の手で俺の忌凪の柄を掴み、抜こうとするが、鍔にかけた指でそれを許さない。

 

「クソガキが!大人しく死んどけや!」

 

 喚き散らしながら、もう一度男は腕を振るう。その脇を抜け背後に回り、膝を蹴り膝を地面につかせ、忌凪を抜き、首の皮一枚残して切る。切られた首は、その自重によって落下し、男の膝の上に落ち、上半身はその上に覆い被さるように倒れる。

 ユジャンの方に目を向けると、既に残りのネズミの対処が終わっていた。それにしても、忌凪(こいつ)すごいな。人を斬ったのにほとんど感覚しなかったぞ。それに、軽い。俺が斬りたいと思うように斬ってくれる。本当に良いものをもらったな。

 ポケットから手ぬぐいを取り出し、刀身を拭き鞘に収める。まあ、ここじゃあんまり珍しいわけでも無いが、あんま気分が良い理由じゃないな。服が汚れるしな。

 

「そっちの処理をしてくれて助かった」

 

 ユジャン「いえ、問題ないです。それに課長なら一人でなんとかできたでしょう」

 

「そこは、いいんだよ。実際、手間が減ったわけだしな」

 

 ユジャン「わかりました」

 

「さあ、さっさと戻って酒、飲もうぜ」

 

 ユジャン「そうですね」

 

 それ以降は、これといった問題はなく、支部までは戻ってこれた。まあ、そう何度も問題が起きてほしくはないな。そろそろ、ユジャンの言う店に案内してもらうとするか。

 

「ユジャン。案内、頼むわ」

 

 ユジャン「はい。ちゃんとついて来てくださいね」

 

「はいよ」

 

 ユジャンの後ろについていき日が暮れたばかりの裏路地を歩く。しばらく歩いていくと、ユジャンが足を止める。

 

「もう着いたのか?」

 

 ユジャン「はい。着きました。とりあえず、楽にしてください」

 

「? わかった。」

 

 中に入るとモダンな見た目のバーが広がっていた。しかし、店員も客もいなかった。俺の後にユジャンは中へ入ってきた。

 どういう事?もしかして、はめられた?

 

 ユジャン「好きな席にどうぞ」

 

「え〜と。これは、どういう事だ?」

 

 ユジャン「気にしないでください。私の家ですので。」

 

「気にするが? 店まで案内を頼んだはずなのに、お前の家に何故か案内されているんだが?」

 

 ユジャン「店ですが?」

 

「いや、お前、家って言ってなかったか?」

 

 ユジャン「言いました。正確には、私の家兼店ですが。ほら、好きな席に座ってください。お酒出すので」

 

 何を言っているんだ?なぜ俺はこいつの家に連れてこられて宅飲みに付き合っているんだ?

 まだ俺が混乱しながらも、とりあえず、言われた通りに適当なカウンター席に座る。ユジャンは裏に周り、いくつか酒の瓶とグラスを持って戻ってくる。

 

 ユジャン「すぐに用意するので待ってくださいね」

 

 グラスに透明度の高い酒を最初にグラスへ注ぎ、その後、柑橘系のジュースで割ったものが出された。

 

「これは?」

 

 ユジャン「カクテルって言うんですけど聞いた事ないですか?」

 

「ないな〜。そもそも都市じゃあ、そんな凝った物は高くて作れたものじゃないからな」

 

 ユジャン「そうですね。ちなみに、このカクテルの名前はグレイハウンドです。あまり、カクテルはどうしても高くなってしまうので、最初だけですが」

 

「そうだな。これ飲んだ後は、ビールでも飲もう」

 

 グレイハウンドを口に入れる。柑橘系の甘みと酸味がちょうどいいな。飲んだ感じだと度数は、まあまあ高いな。

 

「ありがとう。美味かった」

 

 ユジャン「良かったです。すいません課長。この飲み会だけ口調崩していいですか?」

 

「別に良いけど。つうか、前から言ってるだろ?そんな固い口調じゃなくて良いって」

 

 ユジャン「いえ、普段は仕事なのでそこは、区別します」

 

「まあ、そこは任すわ」

 

 ユジャン「そうしてもらえると、私としても助かります」

 

 それから数時間ぶっ続けで飲み続けた。

最終回の方向性について(エンディング)

  • 幸せでもいいじゃない(ハッピーエンド)
  • 最後まで都市らしく(バットエンド)
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