魔法"少女"から戻れないんですけど? 作:饅頭
『マスター手遅れです。このままでは後一週間の命です』
「そ、そんな」
いつも通り、モチ論本舗でお餅をサービスして貰っただけなのに。僕達はあの後、エトが行きたいと言っていた葉桜ちゃんの研究室まで来ていた。そこで先ほどの余命宣告をされた。トンデモ展開すぎる。
『……原因は分かってます。なんでこうなったか分かりますかマスター』
全く分からん。
「いや。エトは?」
『さぁ〜なってか俺は関係ないだろ。な?』
そう言って、明らかに興味無さそうな顔でボーッと椅子に座り揺籠のように揺らすエト。他人事の権化みたいな存在だ。
『いやエトさんも同じですよ。このままじゃ二人仲良くあの世行きですね』
『何でだよ!そこまで運命を共にしたつもりはねえぞ!』
慌てて、椅子が倒れたけどそれに反応はせず葉桜ちゃんの方へ座るエト。自分の事になると凄いなぁ。人間より人間らしいわ。
『しょうがないでしょ、データーがそう示しているんだから。良いですか?……はぁ。とっくに分かっていると思って、私達は特に何も言いませんでしたが』
そう言って深いため息をついてから言葉を続ける。
『モチ論本舗の餅は毒ですよ。この間貰ったお餅を食べる前に調べてみたら、成分の中に中毒性がありました。その他にも洗脳とか服従等黒い物がてんこ盛りすぎて、途中で調べるの辞めましたけど』
「洗脳に服従?抵抗する気を無くすのか」
『って事でしょうね。そうすれば彼らの仕事の一番の邪魔は現住民の抵抗ですから。それさえ抑えて仕舞えば、仕事は半分終わった物だと思っていると思います。もう半分が魔法少女ですが、彼らはきっと忘れていると思いますよ』
「忘れてるの?」
『そりゃあそうでしょう!目の敵にすらならないですよ。ホイホイと引っかかる魔法少女に警戒する相手がどこにいますか。と言うか、初対面の人から貰った物を食べないで下さい』
『……悪りぃな。だったら俺のせいだ。俺がアイツと仲良かったから、俺に伝えといてくれってテイで渡されたんだ、悪いのは俺だ』
『まあ、それは一旦置いときましょう。余命一週間って言うのは嘘ですが……』
『何だよ!驚かせやがって』
「良かった」
一安心している僕らに、チッチッと指を傾けて眼鏡を抑える葉桜ちゃん。
『ですが!そのままにしとくと、身体が弱る一方なのでこのお薬を飲んで下さい』
そう言って、ボコボコした液体が入ったコップを渡された。何コレ。
『強力な下剤です、コレで胃の中をデトックスしてください』
『因みに一口か?』
『いや、一杯ですよ』
「えぇ……」
『凄い苦いので、一気に飲んだ方が良いですよ』
『……』
「……」
この後無事トイレとお友達になり、僕達は餅論乃介に殺意が湧いて強く憎んだ。こんな目に遭わした奴を絶対に許さないと。