魔法"少女"から戻れないんですけど? 作:饅頭
それから周りを見渡しても居なそうだったので、兎の耳を引っ張って遊んでみた。本物みたいな手触りだった。
「ちょっと飛んで空から見れば見つかるかな」
ぴょんぴょんバネリストで思い切り飛ぶと、少し離れた場所に人影が見えた。
「あそこか」
そのまま跳ねて、向かうと予想通り男とエトがいた。染井はもう逃げたらしいし。後は逃げれば良いだけだろ。
「何で逃げないの?」
『おっ、来たか。……気づかなかったか?さっきの奴も、今いる奴も俺もお前の姿が見えてる。つまりアイツらは"侵略者"って事だ』
「だから兎の耳が生えてたんだ」
『いや、普通にそこで気づけよ。脳みそ幼女化してるのか?』
「まあまあ。要はアイツ倒せば、ハッピーエンドって事でしょ?」
『それはそうだな』
「あれ?でも前、デカい奴倒さなかったっけ」
『グッ……そう言うところは気づくんだな。さっき、本部から来たんだがあれは中ボスだったらしい。しかも今回の難易度は、ハードモードだと認定された。それぐらいコイツは強いらしいぞ。ってか強い』
ハードモードってどのくらいって聞くと、霊長類最強十人レベルの難易度らしい。無理ゲーじゃん。
『そろそろ良いか?と言うか……』
『"時間だ"』
男はそう言って時計を見た。時間?なんか用事でもあるのかな。
『
そう考えていると、突然地面から人参が飛び出してコッチに襲いかかって来た。
「何コレ、新鮮な食材を口元に届けてくれる的な奴?」
『そんな親切心、無いだろ。上を見ろ!ツララみたいに落ちて来るぞ!』
「ゲームのギミックじゃ無いんだから!」
『人生はクソゲーだな!』
僕達は一時撤退した。
『参ったな。アイツ倒さなきゃ、アレで世界滅亡するぞ』
「何とか近距離戦に持ち込めばいけるのかな」
『さぁな。やってみるか』
「ゴー!」
話が終わったので、全速力で突っ込もうとしたら杖を掴まれた。何なに。
『ちょっと待った、作戦を立てよう』
「作戦?だからほら近距離戦に持ち込めば」
『どうやってだ?近付いたら人参が飛んで来る。近付かなくても飛んで来るけどな』
「……どうすれば良いんだよじゃあ」
『俺が囮になる。アイツを煽り散らかして注目を引くからその間デカい魔法打て』
「分かった」
『待て、走るな。透明とかになれないか?なんかそんな魔法作れ。可愛い感じの奴』
「えー、そんな簡単に言われてもなぁ。……イナイイナイニャーとかは?」
『ずっと気になってたけどその猫縛りは何なんだ?もしかして前世猫だった?』
「いや違うけど。何で?」
『いや、魔法は自分の好きなモノと言うか関係しているモノが強く影響するからな』
「可愛いって言ったら、猫かお菓子かしか思いつかなかっただけだよ。オッサンだからさ」
「じゃあ行くわ」
『おう』
『行ったか』
俺は、あの男が視認出来る位置まで移動する。何故か、人参は撃たれなかった。
『戻って来たのか。いや、一人だけか。あの魔法少女はどうした?』
『他の女の事なんか考えるなよ、ヘラるぞ。俺の事だけ考えてろ!』
そう言って一歩動くと、全方向人参が放出された。全てが直撃して、頭がクラクラする。意識を強く持たないと倒れそうだ。やっぱ弱いな俺。元々
『何がしたいんだ?そもそもお前はヒトの姿をしてるが、人間じゃないだろう。何故ヒトの味方をする?』
『そんな事言ったらお前だってヒトのモノマネしてるじゃねえか。パクリだ、パチモンだ』
『ハッ!私は只の人じゃない。ウサギでもない。超人だ』
『へえ、じゃあさっきの質問を返すけどよ。何でここを侵略するんだ?』
『仕事だからだ。お前だってそうだろう?』
仕事だからか、俺も前はそうだった。何の達成感も得られず、ただ言われただけの事をこなす。何の生産性も無い無意味な神生。ただ平和な世界を見守るだけの簡単な仕事。俺以外、誰でも出来るそんな仕事。だけどな。
『人が猫を可愛がる感覚を知ってるか?ペットなのに、血も繋がっていないのに。凄く優しく可愛がるんだ。まるで自分の子供の様に、ご飯を与えて。一緒に遊んで、寝る』
『俺は性格が悪くて最低だからな。人をペット扱いしてる。なんせ、上位の存在だからな。だから俺がヒトに味方をする理由は唯一つ。守りたいからだよ。お前と一緒にすんな』
『…はぁ、決めろよロリ……桜』
ははっ。決まってるだろ、
『何を言ってる?』
「
最後に俺の目に映ったのは、桜が超人に殴り掛かるところだった。魔法使えバカ。